2020年12月02日

『サラリーマン球団社長』清武英利

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サラリーマン球団社長 [ 清武 英利 ]
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 旅行会社から阪神タイガースに出向した野崎。経理部員から広島カープに転職した鈴木。どん底球団の優勝に向けて、野球素人のサラリーマン2人が行った改革とは…。企業ノンフィクション。『週刊文春』連載を加筆し書籍化。

 旅行マンから阪神タイガースに出向した野崎勝義。経理部員から広島カープに転じた鈴木清明。野球の素人だった彼らは、ある日を境に突然、球団運営に身を投じることになる。「営業収益アップ」「商品販売の効率化」「上司の理不尽な命令」「異例の人事異動」「業務のデジタル化」……異端な2人のサラリーマンが“どん底”球団の優勝にむけて行った改革とは!?『しんがり』『石つぶて』の著者が放つ渾身の企業ノンフィクション!

 本書は、プロ野球「阪神タイガース」と「広島東洋カープ」を舞台に、組織改革に奮闘する異端のサラリーマンを描いた企業ノンフィクション。主人公は、2003年の阪神優勝時の球団社長、野崎勝義さんと、現在も広島の球団本部長を務める鈴木清明さん。親会社から球団に出向、転職した2人のサラリーマンが、球団の変革に挑んだ軌跡を追ったものですが、現場と上司の板挟みに遭い、悪戦苦闘しながらチームやフロントを変えていく2人の姿は勿論、プロ野球フロントの裏話も多く書かれ、野球ファンにはオススメの一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年12月01日

『じんかん』今村翔吾

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じんかん [ 今村 翔吾 ]
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 天正5年のある晩、織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が2度目の謀叛を企てたという。だが、意外にも信長は笑みを浮かべ、語り出したのは…。『小説現代』掲載に加筆修正し単行本化。

 仕えた主人を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くす……。民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか? 時は天正5年(1577年)。ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の謀叛を企てたという。前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の小姓・狩野又九郎。だが、意外にも信長は、笑みを浮かべた。やがて信長は、かつて久秀と語り明かしたときに直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。

 本書は、主人公が「裏切り者」のイメージで語られることの多い戦国武将、松永久秀。主君の織田信長に2度も反旗を翻し、室町将軍の暗殺にも関与、東大寺大仏殿を焼いたという説も伝わる人物でもありますが、そんな史上屈指の悪人にまつわる史料を大胆に解釈し直すことで、周囲の誤解を恐れず、胸に秘めた夢を追い続ける新たな人物像を描き出した作品。松永久秀の生涯を、大胆な新解釈で描くと共に、不条理に満ちた乱世を懸命に生きる人々の業と夢を描き切った時代小説で、500ページ強というボリュームではありますが、読み応え十分で面白かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年11月30日

『侵略者 アグレッサー』福田和代

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侵略者 [ 福田和代 ]
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 日本領空に突如現れた不明機による自衛隊機撃墜事件。行方不明となった2人のパイロットは、独立国家樹立を目指すラースランドに拘束されていた。リムパックによる作戦が始動する中、驚愕の真相が明らかに…。ミリタリー小説。

 航空自衛隊飛行教導群(通称:アグレッサー部隊)に所属するF−15パイロットの森近は、訓練中に不明機の急襲を受ける。何とか空域を脱出した森近だが、同僚の深浦と安田の機体は撃墜され、行方不明となる。2人は目を覚ますと、独立国家樹立を目指す“ラースランド”が保有する最新兵器“クラーケン”の中に拘束されていた…。一方、森近は“クラーケン”捜索艦隊に派遣される。さらにリムパックによる作戦“ディープ・ライジング”によって、“クラーケン”を追い詰めていくのだが…。

 物語は、領空侵犯した国籍不明機に訓練中の自衛隊機が撃墜される…という衝撃的な出だしから始まり、息もつかせぬ展開で物語はとんでもない方向に進んでいきます。エンタメとしては面白いとは思うものの、展開があまりにも広がりすぎているのが事件の焦点がボヤけてしまい、この点が少々残念。

【満足度】 ★★★☆
ラベル:福田和代 侵略者
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2020年11月28日

『スーベニア』しまおまほ

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スーベニア [ しまおまほ ]
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 安藤シオは、30代半ばのカメラマン。大好きなのに「恋人」とは呼べない文雄。妻子のいる点ちゃんからの、不意打ちのキス。そして地震のあとで届いた元カレ角田のメール…。シオの心は揺れうごく。両親や友だちの目を気にしながら生きてきたシオが選んだ答えとは?

 文雄と過ごすキラキラした時間は、いつか歳をとった自分自身への贈り物になる……。2010年、東京。34歳独身で、雑誌を中心に活躍するフリーカメラマンの安藤シオは、3年前に飲み屋で知り合って以来たまに泊まりに来る41歳の映像カメラマン、文雄に思いを寄せている。自分の私生活を語りたがらず、マメに連絡をくれない文雄との「恋人」とは呼べない曖昧な関係にモヤモヤしていたシオは、美大時代の男友達でイラストレーターの点ちゃんと偶然出版社で再会。周囲には秘密にしていた文雄とのことを話した帰り道、妻子のいる点ちゃんに不意打ちのキスをされる。2011年3月11日、東日本大震災が発生。真っ先にメールをくれたのは、シオが連絡を待っていた文雄からでも、点ちゃんからでもなく、いやな別れ方をした元カレの角田だった。シオの心は揺れ動く……。両親や友だちの目を気にして生きてきたシオが選んだ答えとは?

 本書は、三十代半ばの働く女性の人間関係と複雑な心模様を描いた作品。恋愛模様が物語となっていますが、主人公と登場人物の男達の曖昧すぎる関係が、どうもリアル感が感じられず、流されるままの主人公と身勝手すぎる男達との関係が、逆にイライラ感が募ってしまい、イマイチでした。

【満足度】 ★★
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2020年11月27日

『戦争にいったうま』いしいゆみ

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[改訂版]戦争にいったうま [ いしい ゆみ ]
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 1934年の秋、マツさんの家にかわいい子馬がやってきました。ランタンと名付け、可愛がっていましたが、ある日、1通の青い手紙が届きました。それは馬の召集令状で…。平和への願いをこめてつづった実話をもとにした物語。

 マツさんの家にかわいい子馬がやってきました。栗色の毛の子馬です。目と目の間から鼻すじ、口まで真っ白、右の後ろ足も真っ白。その姿がかわいくて、家族はかわるがわる馬小屋をのぞいていました。ところがある日、マツさんの家に1通の手紙が届きます。青い紙に書かれたその手紙は……。きずついたのは人間だけじゃない。あの日、やさしい目にいっぱいの涙をうかべたこの馬は、何を見ていたのでしょう。戦後75年をむかえたいま、平和への願いをこめておくる、奇跡といわれたある馬の物語。

 本書は、戦争にいって元の飼い主のもとに帰ってきた、たった一頭の馬の実話を物語とした児童書。岩手から中国、神奈川。そして東神奈川で貨車にのり4日かけて岩手と、戦地では何度も負傷するも、部隊長が日本に連れて帰り、飼い主の元に帰ってきた勝山号について、子ども達にも分かりやすく書かれた作品で、こういう側面から戦争を考えるのもとても良い児童書だと思います。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月26日

『事件持ち』伊兼源太郎

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事件持ち [ 伊兼 源太郎 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2020/11/26時点)




 報日新聞の若手記者・永尾哲平は、千葉県下で起きた猟奇的な連続絞殺事件の取材を始める。捜査情報をつかめずに苛立つ記者クラブは県警批判を開始。犯人逮捕の手がかりを得られない県警は、報日新聞にある取引を持ち掛け…。

 千葉県下で起きた連続猟奇殺人事件。入社2年目の報日新聞の記者・永尾哲平は事件直後の聞き込みで、被害者2人を知る不審な男・魚住優に偶然接触する。その後、魚住は失踪。県警一課の津崎庸介も重要参考人として、魚住の後を追う。捜査情報をつかめずに苛立つ記者クラブは県警批判を開始する。犯人逮捕の手がかりを得られない県警は、ある取引を報日新聞に持ち掛けるが……。永尾と津崎、2人は交錯する2つの使命に揺れ動く。

 本書は、猟奇殺人事件の真相を追う「入社2年目の記者」と「捜査一課の刑事」の立場の違う2人がそれぞれの「正義」を求めて衝突、共闘していく社会派ミステリ。事件は勿論のこと、新聞記者と刑事の意識に焦点が当てられており、報道と正義のあり方について、事件報道の意義についてが書かれ、新聞記者の存在意義を問いかける作品で、読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年11月25日

『感染症はぼくらの社会をいかに変えてきたのか 世界史のなかの病原体』小田中直樹




 地中海貿易が広めたペストは民衆に力を与え、天然痘は医学にイノベーションをもたらし…。社会経済史学者による「コロナ後」を読み解くための感染症史。感染症と社会の相互作用という観点から感染爆発の歴史をたどる。

 社会経済史を専門とする歴史学者である著者が、緊急事態宣言発令下で芽生えた切実な関心から文献を集め、読み解いた、感染症史です。「感染症と人間社会の相互作用(人間社会の変化が感染症に影響し、感染症の変化が人間社会に影響する)」という観点から、ペスト、天然痘、コレラ、インフルエンザなど、過去に感染爆発を起こした代表的な感染症について、概説します。ウイリアム・マクニールの論考を枠組みとして用いながら、信頼できる情報を体系的、かつコンパクトにまとめました。各章末には、それぞれの感染症についてより深く理解するうえで役立つ名著、良書を紹介するブックガイドを付しています。

 本書は、社会経済史を専門とする歴史学者である著者が、緊急事態宣言発令下で芽生えた切実な関心から文献を集め、読み解いた、感染症史。ペスト、天然痘、コレラ、インフルエンザなど、過去に感染爆発を起こした代表的な感染症について、概説しており、各章末には、それぞれの感染症についてより深く理解するうえで役立つ名著、良書を紹介するブックガイドを付しています。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月24日

『腰の激痛 最高の治し方大全』菊地臣一




 現在、国民が訴える不調の第1位は腰痛。治療を続けてもなぜ治らない? 痛みが和らぐ体操は? 腰痛診療の第一線で活躍してきた脊椎外科の専門医陣が、患者の疑問や質問、不安について、最新の知見に基づく解決策を示す。

 日本人の国民病といわれて久しいにもかかわらず、いまだ患者数の増加に歯止めがかからない「腰痛」。二足歩行の人間の宿命ともいわれるが、長年、腰痛の85%は原因不明と考えられ、有効な対策に出合えずに慢性化を許す人が非常に多いことが懸念されている。こうした腰痛や坐骨神経痛をなんの対策も講じずに放置して悪化・進行させれば、生活に大きな支障をきたし、やむなく転職や休業を迫られる人も少なくない。さらには、腰痛の最終形態ともいわれる「脊柱管狭窄症」の発症にもつながり、少しずつしか歩けなくなる間欠性跛行や排尿・排便障害など重い症状も生じかねない。 しかし、脊椎の専門医らによると、大半の腰痛はきちんと診察すれば原因を特定でき、その原因に応じた対策や治療を行えばかなりの高確率で改善できることがわかってきたという。本書は、脊柱管狭窄症に至るさまざまな腰痛の原因(椎間板ヘルニア・すべり症・分離症・圧迫骨折など)について総合的に取り上げ、それぞれの最善の治し方や対処法を、一問一答形式で専門医に解説してもらった究極の腰痛対策本。独りで思い悩んでいる腰痛持ちの患者さんを一人でも減らすため、有用・有益な情報だけを届ける一冊とすることを主眼にした、腰痛患者必携の書。

 本書は、急性のギックリ腰から、椎間板ヘルニア・すべり症・分離症・圧迫骨折、果ては脊柱管狭窄症まで、なかなかよくならずに慢性化し、医療難民化する人も多い腰痛の本当のところがわかる、日本を代表する名医陣による一問一答事典。12章に分けて「腰痛についての疑問」「腰痛を招く原因についての疑問」「症状についての疑問」「診察・検査・診断についての疑問」「治療についての疑問」「保存療法についての疑問」「薬物療法についての疑問」「運動療法についての疑問」「日常動作についての疑問」「セルフケアについての疑問」「食事についての疑問」「手術についての疑問」…と、Q&Aとして分かりやすく解説されている他、痛みを和らげる、体操やストレッチも紹介さけているため、腰痛持ちの人にはオススメの一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月23日

『KGBの男 冷戦史上最大の二重スパイ』ベン・マッキンタイアー




 核戦争を回避させた老スパイは現在、英国で24時間警護を受けながら、名前も身分も偽り、孤独な生活を送っている…。本人のインタビューとMI6で工作に関わった面々の証言から、大胆にして危険極まりない諜報半生を辿る。

 本書は、KGBの敏腕な情報工作員が、自らの祖国の政治姿勢に疑問を持ち、スパイとして担当している西側社会に惹かれ、やがて二重スパイになるという実話ノンフィクション。著者は、ゴルジエフスキー本人のインタビューと、彼を操っていたMI6の当事者たちの膨大な取材をもとに、この稀代の二重スパイの物語を丁寧に編んでいくと同時に、70年代から80年代にかけての冷戦後期、激動の国際政治を巡る裏面史でもあります。展開にも驚かされますが、波瀾万丈のスパイ物語は面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月21日

『現代経済学の直観的方法』長沼伸一郎

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現代経済学の直観的方法 [ 長沼 伸一郎 ]
価格:2640円(税込、送料無料) (2020/11/21時点)




 世界の状況が刻々と変わる現在、文系理系問わず、経済を知らずに世の中を知ることはできない。「経済をなんとなく避けてきた」人に向けて、現代資本主義社会の本質とその問題をわかりやすく解説する。

 本書は、経済学に「直観的方法」を応用した一冊。その本書は9つの章に分かれ、「資本主義はなぜ止まれないのか」「農業経済はなぜ敗退するのか」「インフレとデフレのメカニズム」「貿易はなぜ拡大するのか」「ケインズ経済学とは何だったのか」「貨幣はなぜ増殖するのか」「ドルはなぜ国際経済に君臨したのか」「仮想通貨とブロックチェーン」「資本主義の将来はどこへ向かうのか」……について、経済初心者にも、感覚的に捉えられるように書かれています。

【満足度】 ★★★★
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