ネットで知り合った男性との交際から8カ月。ありふれた別れ話から、恋人はストーカーに豹変した。執拗なメール、ネットでの誹謗中傷…。恐怖の神経戦を描いたリアルドキュメント。『週刊文春』連載を単行本化。
本書は、ストーカー化した元交際相手が逮捕されてから仮釈放されるまでを描いたリアルドキュメント。ネットでのやまない中傷や身の安全を考えた転居、弁護士や警察とのやりとりなど、当事者にとって恐怖と混乱でしかない事柄が次々と起こり、その緊迫感が伝わってきます。被害者が守られるわけではない現実や、法律や公的機関が自分の味方になってくれるわけではないことなど、報復の恐怖も内容から想像できます。ただ、一番悪いのは加害者ではありますが、ここまでエスカレートするに至った経緯では、加害者の感情を逆撫でする言動も幾つか見られただけに、気持ちは理解できますが、もう少し違った対応を取るとここまで長引くことはなかったのではないかとも思いましたが、その点が読んでいても、どうしても引っかかりました。
【満足度】 ★★★★