2019年11月11日

『悪の五輪』月村了衛

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悪の五輪 [ 月村 了衛 ]
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 アジア初の五輪開催を翌年に控えた東京。ヤクザの人見は、五輪公式記録映画の監督に中堅クラスの錦田をねじ込むことで、興行界をのし上がろうとするが…。『小説現代2019年5月号特別編集 吉川賞特集』掲載を単行本化。

 1963年3月21日、翌年の東京オリンピック開催を前に、公式記録映画の監督を務めることになっていた黒澤明が降板した。博打をしのぎにしている白壁一家の人見稀郎は、親分からの指示を受け、中堅監督の錦田を後任にねじ込んで、興行界に打って出るべく動き出す。オリンピック組織委員会には政治家、財界関係者が名を連ねており、その下には土建業者や右翼、ヤクザ、さらには警察までもが蠢いており、あらゆる業種が莫大な利権に群がっている。稀郎は記録映画の監督選定に権限を持つ委員たちの周辺を洗い、金や女を使って言うことを聞かせようとする。東京が、日本が劇的に変貌を遂げた昭和の東京オリンピックをモチーフに、現代エンターテインメント小説の旗手が放つ、長編社会派クライムノベル。

 物語は、五輪開催を翌年に控えた昭和の東京を舞台に、公式記録映画監督に決まっていた黒沢明の突然の降板から、後任に市川崑が決定するまでの間に暗躍する者たちのドラマを、実在の大物ヤクザや戦後最大のフィクサー・児玉誉士夫、映画界のドン・永田雅一などを登場させ、虚実織り交ぜて描いたクライムノベル。映画界を軸にしながらも、労働者に蔓延するヒロポン、警察の腐敗、五輪を盾にした傷痍軍人の追放、私利私欲にはしる政治家、第三国人への差別など、戦後日本の歪みや闇を描いた作品で、当時の時代背景と共にオリンピックの舞台裏が面白く描かれています。

【満足度】 ★★★★☆
posted by babiru_22 at 20:17| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする