製菓会社に寄せられた1本のクレーム電話。広報部員・岸はその事後対応をすればよい…はずだった。だが訪ねてきた男の存在によって、岸の日常は思いもよらない事態へと一気に加速し…。書き下ろし長篇小説。
製菓会社の広報部員「岸」は、ヒット商品への異物混入事件が起きたため、謝罪会見の準備に追われていた。そのさなか、会議室で眠りに落ちた彼は、何かと戦っているような夢をみる。ある日、彼のもとに都議会議員の「池野内征爾」が夢の中で会った≠ニ近づいてくる。続いて、世間で人気のダンスグループのメンバー「小沢ヒジリ」までが、同じ夢の中にいた≠ニ言い出して……。それまで何の接点もなかった3人の日常が、“夢”を媒介に大きく動き始める。ハシビロコウに導かれ、「岸」たちは二つの世界を救えるのか。
本書は、サラリーマンの主人公と政治家と芸能人が、なぜか夢の中で一緒に戦い、その結果が現実の世界に反映されるというファンタジー作品でもありますが、著者らしい仕掛けが幾つも用意されていて、夢と現実との往復の世界観が展開を盛り上げていて、特に後半のスピードある展開は実に面白かったです。
【満足度】 ★★★★