2020年04月07日

『月の落とし子』穂波 了

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月の落とし子 [ 穂波 了 ]
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 新しい時代の有人月探査「オリオン計画」で、月面のシャクルトン・クレーターに降り立った宇宙飛行士が吐血して急死する。死因は正体不明のウィルスへの感染!? 生き残ったクルーは地球への帰還を懸命に試みるが…。

 それは人間の進歩を証明する、栄光に満ちたミッションのはずだった…。新しい時代の有人月探査「オリオン計画」で、月面のシャクルトン・クレーターに降り立った宇宙飛行士が吐血して急死する。死因は正体不明のウィルスへの感染…!? 生き残ったクルーは地球への帰還を懸命に試みるが、残酷な運命に翻弄されて日本列島へ墜落する…致死性のウィルスと共に…。空前絶後の墜落事故! そして未曾有のバイオハザード! 極限状況の中で、人間は人間自身を救い希望を見出すことができるのか。クリスティー賞史上、最大のスケールで描かれる超災害ミステリ。

 物語は、月面探査に降り立った宇宙飛行士が謎のウィルスで急死し、帰還した探査船が日本に墜落することでもたらされるパンデミックが描かれた作品。紹介文では「超災害ミステリ」と書かれていましたが、ミステリ色は非常に薄く、展開がご都合主義すぎて、設定が非常に良かっただけに、余計に物足りなさを感じてしまいました。

【満足度】 ★★★
posted by babiru_22 at 17:35| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月06日

『展望塔のラプンツェル』宇佐美まこと

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展望塔のラプンツェル [ 宇佐美まこと ]
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 多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊。寄り添って暮らすフィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児の面倒を見ることにするが…。

 多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか…。

 本書は、多摩川市の児童相談所の職員たち、フィリピン人の母親を持つ男の子と虐待を受け続ける家から逃げた女の子、不妊治療を続ける夫婦…と、3つの物語が並行する作品。ネグレスト、不妊治療、人種差別と、テーマは重い内容ではありますが、様々な伏線がラストで見事にまとまっており、印象に残る作品です。

【満足度】 ★★★★
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『いま、幸せかい?』滝口悠生




 「男はつらいよ」シリーズ第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」の2019年12月公開を記念した名場面集。寅さんマニアの芥川賞作家・滝口悠生が、過去全49作から心に沁みる154のメッセージを紹介する。

 22年ぶりの新作「男はつらいよ お帰り 寅さん」の封切りに合わせて刊行する、「読む、名場面集」です。新作を観る前に、観た後に、読めば何倍も楽しめる一冊です。「寅さん」全49作から150以上の名セリフ、名シーンを選んだのは、芥川賞作家の滝口悠生さん。ご存知の通り、滝口さんは『愛と人生』という「寅さん」小説を書いてしまったほどの「男はつらいよ」マニアです。30代の滝口さんが、シリーズをリアルタイムで観てきた世代よりも、劇場で観たことがない若い世代に向けた言葉と場面を選んでくれました。

 本書は、映画「男はつらいよ」の名場面・名台詞を厳選し、テーマごとに分類して抜粋したもの。改めて文字としてセリフを読むと、その言葉の深さを感じられ、その映画の場面を思い出します。著者のキュレーションもしっかりとまとめられていて、懐かしさも感じる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年04月04日

『賞金稼ぎスリーサム!』川瀬七緒

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賞金稼ぎスリーサム! [ 川瀬 七緒 ]
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 元刑事の薮下のもとへ、ある放火殺人の調査依頼が舞い込んだ。事件には多額の報奨金がかけられているという。薮下は世代も性格も考え方も異なる2人と組んで、調査に乗り出すが…。『きらら』掲載に書き下ろしを加えて書籍化。

 麻布署捜査課の刑事だった藪下浩平(43)は、寝たきりの母を介護するため、期待されるキャリアを捨てて1年前に退職した。母親を大切に思うあまり、いまだに独身を貫いている。そんな藪下のもとへ、東京の下町で起きたペットショップ放火事件の調査依頼が舞い込む。なぜか名指しで、さらに事件には多額の報奨金が掛けられているという……。指名したのは、藪下に公務執行妨害で逮捕された経歴を持つ「警察マニア」にして、桐生製糖株式会社御曹司の桐生淳太郎(33)だった。藪下と桐生の2人で調べ始めると、現場に出没する美少女に出会う。彼女は、あらゆる狩猟資格を持つ謎のハンター・上園一花(24)だった。世代も性格も考え方も異なる3人は、報奨金のために手を組むことになる。元ペットショップ店主犯人説の警察とは別のアプローチから真相に迫っていくのだったが、真犯人らしき人物は3人を標的に反撃を加えてきた! 3人は報奨金を手にすることができるのか!? そして桐生には、藪下に並々ならぬ思いを抱くある事件があった……。

 物語は、退職した刑事、御曹司で警察マニア、凄腕の美人ハンターの3人が繰り出すコメディミステリ。主人公3人の個性が強烈で、そのキャラクター背景も面白く、エンタメ作品として楽しめました。続編も出そうな感じのラストでもありましたが、3人がそれぞれの得意分野で才能を発揮し、真相に迫っていく展開が面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2020年04月03日

『スワン』呉 勝浩

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スワン [ 呉 勝浩 ]
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 ショッピングモールで起きた無差別銃撃事件。事件の渦中にいながら生き残った少女、いずみのもとに、ある日招待状が届く。生存者たちを集めた“お茶会”、その目的は? 『カドブンノベル』掲載を単行本化。

 首都圏の巨大ショッピングモール「スワン」で起きたテロ事件。死者21名、重軽傷者17名を出した前代未聞の悲劇の渦中で、犯人と接しながら、高校生のいずみは事件を生き延びた。しかし、取り戻したはずの平穏な日々は、同じく事件に遭遇し、大けがをして入院中の同級生・小梢の告発によって乱される。次に誰を殺すか、いずみが犯人に指名させられたこと。そしてそのことでいずみが生きながらえたという事実が、週刊誌に暴露されたのだ。被害者から一転、非難の的となったいずみ。そんななか、彼女のもとに一通の招待状が届く。集まったのは、事件に巻き込まれ、生き残った5人の関係者。目的は事件の中の一つの「死」の真相を明らかにすること。彼らが抱える秘密とは? そして隠された真実とは。

 本書は、ショッピングモールでの無差別殺人事件に居合わせ、生き残ってしまった主人公らが、本当にそこで何があったのかを明らかにしていくミステリ。極限状態の中で、どう選択すべきだったなど、事件の闇の深さが非常に重く、読後も正直スッキリとはしない展開でしたが、強烈なインパクトのある作品です。

【満足度】 ★★★★
ラベル:呉 勝浩 スワン
posted by babiru_22 at 17:02| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月02日

『背中の蜘蛛』誉田哲也

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背中の蜘蛛 [ 誉田哲也 ]
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 東京・池袋の路上で男の死体が発見された。目撃者もなく捜査は難航、しかし「あること」がきっかけになり捜査が急転。それから約半年後。東京・新木場で爆殺事件が発生。こちらもな捜査はなかなか進展しなかったが、「あること」が転換点となり容疑者が浮かぶ……。

 東京・池袋で男の刺殺体が発見された。捜査にあたる警視庁池袋署刑事課長の本宮はある日、捜査一課長から「あること」に端を発した捜査を頼まれる。それから約半年後……。東京・新木場で爆殺傷事件が発生。再び「あること」により容疑者が浮かぶが、捜査に携わる警視庁組織犯罪対策部の植木は、その唐突な容疑者の浮上に違和感を抱く。そしてもう一人、植木と同じように腑に落ちない思いを抱える警察官がいた。捜査一課の管理官になった本宮だった……。「あること」とは何なのか? 池袋と新木場。2つの事件の真相を解き明かすとともに、今、この時代の警察捜査を濃密に描いた驚愕の警察小説。

 本書は、第162回直木賞候補作品で、日本に超監視社会が半ば実現して、警察もテクノロジーを使って犯罪捜査をする世界が描かれる警察小説。監視社会の是非を問う作品でもあり、監視強化について考えさせられました。

【満足度】 ★★★★
posted by babiru_22 at 17:51| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月01日

『出航』北見崇史

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出航 [ 北見 崇史 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2020/4/1時点)




 出奔した母を探しに向かった北国の漁師町は、動物の死骸が散逸し、生々しい匂いが充満した町だった。ようやく見つかった母は、血塗られた船を造っていた。恋人や妹たちは、母が造った船に次々と呑み込まれていき…。

 禁断の書「根腐れ蜜柑」とは何か!? 出奔した母を探し出すため、私は北国の漁師町へと向かった。そこは、動物の死骸があちらこちらに散逸し、生々しい匂いが一面に充満した町だった。犬猫の死骸だらけの窪地に落ち、奇妙な老人たちに助けられた私。彼らは、太古の昔に繁栄した種族の、魔術めいた技術が記された特殊な本を手に入れるために自分を助けたのだという。ようやく見つかった母は、血塗られた船を造っていた。私の恋人や妹たちは、母が造った船に次々と呑み込まれていき…。

 本書は、第39回横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作。横溝正史賞の優秀賞作品という事で読んでみましたが、ホラーというよりスプラッター小説で、特に猫好きな人は読むべきではありません。グロテスクな描写が多く、個人的には全く合わない作品でしたが、スプラッターやホラー好きなら面白いのかも。。。

【満足度】 ★☆
ラベル:北見崇史 出航
posted by babiru_22 at 19:24| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする