2020年04月06日

『展望塔のラプンツェル』宇佐美まこと

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展望塔のラプンツェル [ 宇佐美まこと ]
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 多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊。寄り添って暮らすフィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児の面倒を見ることにするが…。

 多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか…。

 本書は、多摩川市の児童相談所の職員たち、フィリピン人の母親を持つ男の子と虐待を受け続ける家から逃げた女の子、不妊治療を続ける夫婦…と、3つの物語が並行する作品。ネグレスト、不妊治療、人種差別と、テーマは重い内容ではありますが、様々な伏線がラストで見事にまとまっており、印象に残る作品です。

【満足度】 ★★★★
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『いま、幸せかい?』滝口悠生




 「男はつらいよ」シリーズ第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」の2019年12月公開を記念した名場面集。寅さんマニアの芥川賞作家・滝口悠生が、過去全49作から心に沁みる154のメッセージを紹介する。

 22年ぶりの新作「男はつらいよ お帰り 寅さん」の封切りに合わせて刊行する、「読む、名場面集」です。新作を観る前に、観た後に、読めば何倍も楽しめる一冊です。「寅さん」全49作から150以上の名セリフ、名シーンを選んだのは、芥川賞作家の滝口悠生さん。ご存知の通り、滝口さんは『愛と人生』という「寅さん」小説を書いてしまったほどの「男はつらいよ」マニアです。30代の滝口さんが、シリーズをリアルタイムで観てきた世代よりも、劇場で観たことがない若い世代に向けた言葉と場面を選んでくれました。

 本書は、映画「男はつらいよ」の名場面・名台詞を厳選し、テーマごとに分類して抜粋したもの。改めて文字としてセリフを読むと、その言葉の深さを感じられ、その映画の場面を思い出します。著者のキュレーションもしっかりとまとめられていて、懐かしさも感じる一冊です。

【満足度】 ★★★★
posted by babiru_22 at 16:03| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする