2020年06月18日

『二重らせん 欲望と喧噪のメディア』中川一徳

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二重らせん 欲望と喧噪のメディア [ 中川 一徳 ]
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 テレビ局が生み出すカネと利権に群がる人々…。戦後、公共のものとして開放されたはずの電波。やがてメディア一族が私し、政官財で分け合い、マネーゲームの具と化していったその姿を、チャンネル8と10の裏面史で辿る。

 フジテレビとテレビ朝日は1959年、日本テレビ、TBSに続く民放テレビ第三局、第四局として産声をあげた。テレビ局が「カネのなる木」だということが明らかになるにつれ、多くの政商、旧軍人、メディア企業、政治家たちが群がった。なかでもフジ、テレ朝の2社に深く食い込んだのが、出版社「旺文社」を経営する赤尾好夫である。自らが支配するラジオ局文化放送を通じて両社の株を握り、テレビ朝日では東映社長の大川博を追い出し、経営権を握った。その息子・赤尾一夫もテレビ朝日の大株主として独特の存在感を発揮、さらにマネーゲームへと狂奔していく。テレビの系列化に乗り遅れた朝日新聞はその間隙をつき、テレビ朝日を支配しようともくろむ。一方のフジテレビのオーナーとなった鹿内家だが、突然のクーデターによって鹿内宏明が放逐され、日枝久による支配体制が確立される。しかし、その後も、フジの親会社・ニッポン放送株の10%を握る鹿内宏明の存在が、日枝に重くのしかかった。それを振り払うためのニッポン放送、フジテレビの上場が、思わぬ「簒奪者」を呼び込むことになる……。絡み合うようにうごめく二つの「欲望のメディア」。膨大な内部資料を入手し、その相貌を赤裸々にする。

 本書は、テレビ朝日・フジテレビの設立から現在までの利権争いや買収工作をまとめたもの。テレビ特有の「絶大な影響力」という武器にして金のなる木に魅せられた、政治家、実業家、投資家、裏のフィクサーなど、野心に満ちた輩が群がり、ついにはマネーゲームの具と化す「メディア経営」の舞台が書かれますが、政治権力と放送メディアが結託したいびつな日本社会の裏側の姿は実に読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
posted by babiru_22 at 21:29| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする