飲酒運転中、1人の老女の命を奪ってしまった大学生の籬翔太。懲役4年を超える実刑を下された翔太を、被害者の夫は「ある思い」を胸に待ち続け…。贖罪の在り方を問う物語。『小説現代』掲載を大幅に加筆・修正し単行本化。
飲酒運転中、何かに乗り上げた衝撃を受けるも、恐怖のあまり走り去ってしまった大学生の籬翔太。翌日、一人の老女の命を奪ってしまったことを知る。自分の未来、家族の幸せ、恋人の笑顔…。失うものの大きさに、罪から目をそらし続ける翔太に下されたのは、懲役4年を超える実刑だった。一方、被害者の夫である法輪二三久は、“ある思い”を胸に翔太の出所を待ち続けていた。贖罪の在り方を問う、慟哭の傑作長編。
本書は、罪を犯した青年の葛藤と再生の物語。交通事故によってある日突然加害者となってしまった青年と、突然大切な人の命を奪われた被害者家族についてが描かれ、現代社会特有ともいえるSNSの問題や認知症も絡み、リアルで読み応えがありました。著者らしい作品です。
【満足度】 ★★★★