2020年07月29日

『アメリカン・プリズン 潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』シェーン・バウアー




 刑務官の時給は9ドル、丸腰で1人あたり176人の受刑者を監視…。刑務官として実際に勤務した記者が見た、民営刑務所の実態。囚人たちから利益をあげる政府や企業が築きあげた仕組みとは。衝撃のノンフィクション。

 イランで投獄されたことで、アメリカの刑務所問題に関心を持った著者。身分を隠して面接を受け、アメリカ最大の刑務所運営会社が運営する刑務所で刑務官として働きはじめる。時給はウォルマートのアルバイトと同じ9ドル。利益を出すため経費は切り詰められ、人手不足が常態化し、トラブルは隠蔽。その背景には、奴隷制度以降、囚われの人々を使って利潤を上げようとするアメリカの暗部があった……。本書の元になった記事が時の政府を動かすほどに衝撃を与え、全米で話題を呼んだ傑作ノンフィクション。

 本書は、全米150万人の受刑者のうち、約13万人を収容する民営刑務所の秘密主義に覆い隠されている実態を明らかにするため、ジャーナリストの著者が刑務官募集に応募して潜入取材した様子をまとめたもの。アメリカの服役囚のおよそ一割弱が収容されている民営刑務所の実態を明らかにすべく、潜入取材を試みた4ヵ月間のルポでもありますが、刑務官という危険で精神的負荷の大きい仕事にも関わらず、時給がわずか9ドルで、大半の一般囚が寝起きする雑居房が44人もの大部屋であることや、その大部屋が計8室あるひとつの棟につき、受刑者を直接監視する刑務官がたったふたりしか配置されておらず、一般の刑務官は奪われる危険があるから銃はおろか警棒も催涙スプレーも携帯していないなど、驚くべき実態が明らかになっています。潜入取材を試みた4ヵ月の間には様々な事件やトラブルが続発し、その状況も書かれていますが、アメリカの刑務所ビジネスの闇の奥が白日のもとに晒されています。

【満足度】 ★★★★☆
posted by babiru_22 at 15:56| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする