2020年11月06日

『ルポ不機嫌な老人たち』林美保子




 かつて経験したことのないような急激な社会変化の中で戸惑い、傷つき、苛立つ老人たち。社会問題として取り上げられる彼らの本当の胸の内とは。その被害と実情を、被害者、専門家、高齢者への丹念な取材から読み解く。

 定年後は、年金でのんびりとした老後を、というのはもはや過去のこと。長すぎる老後、敬老意識の希薄化、早すぎる技術革新、コミュニティー・家庭の崩壊、経済的不安定……、かつて経験したことのないような急激な社会変化の中で戸惑い、傷つき、苛立つ老人たち。当たり前としてきた価値観がことごとく否定され、「暴走老人」、「困った高齢者」、「わがまま老人」といった言葉で揶揄され、社会問題としてセンセーショナルに取り上げられる、彼らの本当の胸の内とは。その被害と実情を、被害者、専門家、高齢者への丹念な取材から読み解く。

 本書は、タイトルそのままに「不機嫌な老人たち」の被害と実情をまとめたルポルタージュ。大きく6つの章の分かれており、「従業員を悩ますシルバークレーマーたち なぜ、高齢者の客はイラついているのか」「ネットに呑み込まれる人々 デジタルシニアの落とし穴」「場違いの現役感をまき散らす元管理職たち なぜ、普通のお年寄りになれないのか」「寂しいお年寄りたち 口をつぐむ男性、しゃべり続ける女性」「老成しない老人たち 元気と機能低下の狭間で」「長い老後を機嫌よく生きるには」として、その実情が紹介されます。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月05日

『留萌本線、最後の事件 トンネルの向こうは真っ白』山本巧次




 廃線前の撮りおさめのため、北海道・留萌本線に乗車した鉄道ファンの浦本。だが発車後まもなくハイジャック事件に巻き込まれ、車内に閉じ込められてしまう。犯人はなぜか道議員を交渉役に指名し、半端な身代金を要求するが…。

 留萌本線をハイジャック。車両はトンネル密室の中。身代金は1億7550万円。北海道のローカル線を乗っ取った犯人の狙いとは?

 本書は、北海道ののどかな大地を走る廃線前の留萌本線でハイジャックが発生し、犯人はなぜか道議員を交渉役に指名し、半端な身代金を要求。そのハイジャック事件について、鉄道ファンの乗客と警察の両側の視点から描いたミステリ。地方の交通問題を背景にハイジャック事件を描いた作品ですか、ローカル線利用者の減少や道路建設との兼ね合い、政治家の地元利権や談合、様々な背景・問題を描きつつも、犯人たちの思惑は分かりやすい部分へ収束していくので、読みやすく期待していたよりも面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月04日

『宿無し弘文 スティーブ・ジョブズの禅僧』柳田由紀子




 スティーブ・ジョブズをはじめ、世界中の弟子たちが慕った禅師、乙川弘文。しかし彼は「破戒僧」でもあった! 一体弘文とは何者だったのか。その波乱万丈の人生に迫る。季刊『Kotoba』『新潟日報』連載を改稿し書籍化。

 ジョブズが「終生の師」と仰いだ日本人がいた! アップル社のiPhoneやiPodなどの革新的製品の設計思想にヒントを与えた禅僧・乙川弘文。しかし、彼の人生はいくつもの「謎」に包まれている。「日本曹洞宗の明日を担う」とまで期待された若き僧侶は、なぜ日本を捨て、アメリカに渡ったのか? ある人は「あんなに優れた禅僧はいない」と激賞するが、「女にだらしない、酒浸りの男だった」と批判する人もいる……彼はいったい何者だったのか? そして、スイス山奥での突然の死……その真相は?

 本書は、日本人僧侶・乙川弘文の生涯をまとめたノンフィクション。アップル社の共同設立者として、世界を変えた男スティーブ・ジョブズが若き日に禅と出会い、そこから多大な影響を受けたといわれ、生涯の師と仰いだ僧侶・乙川弘文についてを8年にわたる取材で丹念に描き出したノンフィクション。乙川弘文とスティーブ・ジョブズにまつわる人々が語る人物像を語り口調で記されており、かなり読みやすく、アメリカに渡った破天荒な曹洞宗僧侶の一生はしても興味深い内容でもありました。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年11月03日

『歪んだ正義 「普通の人」がなぜ過激化するのか』大治朋子




 「自分は絶対に正しい」と思い込むと、人間の凶暴性が牙をむく。普通の人が様々な経緯を経て過激化へと突き進むに至るその道のりを、体系的に地図化する試み。テロリズム、通り魔等に共通する暴力のメカニズムを解き明かす。

 本書は、「普通の人」がさまざまな経緯を経て、過激化へと突き進むにいたるその道のりを、 いわば体系的に地図化しようという試みをしたもので、 過激性はどこから生まれ、どのように育つのか。そうしたプロセスを可能な限り「見える化」することで、個々人、あるいはその愛する人が過激化プロセスにあるのかどうか、あるとすればどの位置にいるのかを認識し、暗くて深い過激化トンネルへと落ちるのを防ぐ、もしくは落ちたとしてもそこから引き返すために手がかりとなる情報をまとめたもの。「過激化」は身近な現象で、実際には誰にでも起こりうるプロセスでもありますが、身の回りで過激化する個人やグループに対して、何ができるのかについても解決や防止策が提示されています。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月02日

『町を歩いて、縄のれん』太田和彦




 旅に酒肴、映画や音楽…。居酒屋探訪家が、老いても愉しい充実した日常を綴る。『サンデー毎日』連載のエッセイに、美麗なカラー写真を添えて文庫化。

 好きで始めた居酒屋探訪。さすがに昔のように毎晩通うことはなくなったが、馴染みの店はたくさんある。旅に出るのも億劫なときは近場を散歩。ふらりと入った店で掘り出し物を見つけたり。映画や演劇観賞は今でも一番の趣味。人生まだまだ楽しめそうだ……古希を迎えた著者が、日常にあるささやかな幸せをつづった「サンデー毎日」連載のエッセイに、美麗な写真を添えたオリジナルカラー文庫。

 本書は、居酒屋探訪家でもある著者のエッセイ集。居酒屋探訪は勿論のこと、旅先の店案内や歴史紀行、映画や音楽、舞台鑑賞など幅広い趣味の話も盛り沢山で、楽しめるエッセイです。

【満足度】 ★★★★
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『歩行者事故はなぜ起きるのか』松浦常夫

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 日本で多発する歩行者事故。事故にあいやすいのは、いつ? 誰? どんな場所? データと人間特性に基づいた原因と対策を解説する。『交通安全教育』連載「歩行者の交通安全」に加筆修正し単行本化。

 本書は、長年、交通安全研究・事故統計分析に携わってきた著者が、歩行者の身体・心理・行動の特性から、道路交通環境、事故防止対策まで、歩行者の安全にかかわるテーマを一冊にまとめ、広い視点で論じた一冊。歩行者事故の実際や歩行者事故の対策など、参考になるところも多く、ドライバーの一人として参考になりました。

【満足度】 ★★★★
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