介護離職して老後が絶賛不安なあたしは、地下鉄の中で人類を捕食する未知のいきものと遭遇し…。大人の冒険ファンタジー。『文芸カドカワ』『カドブンノベル』連載を加筆し単行本化。
「うぃやっ……地震?」56歳の大原夢路は将来が絶賛不安な元校正者、現在無職。両親の介護のために仕事をやめ、さらには認知症になった義父母の存在もがっしりとのしかかっている。そこそこに仲良しの旦那はいるけれど、そりゃもうストレスは満載。おかげで最近妙な夢を見る。地震で止まった地下鉄の中に閉じ込められ続けるのだ。親友の冬美と、袖すりあった見知らぬひとたちと、そしてもうひとり、人間の生気を喰らういきもの「三春ちゃん」と!!それぞれに問題を抱えたいい年の大人たちが、自分たちの生存と、たまたま居合わせてしまった子供たちの未来を守るために戦いを始める。初めはおずおずとコミュニケーションをとり、やがて奇妙な共闘態勢が。憧れるのは猫のごとき平和な日常、いつか手にしたら、絶対そこから動いてなんかやるものか。でも、それまでは−−日本SFのレジェンドがおくる、最高の「ふつうの大人」の冒険小説!!
物語は、人の生気を吸う妖怪のようなモノと、夢の中の地下鉄に閉じ込められた人々の話が描かれる妖怪ファンタジー。SFを期待して読み始めましたが、SFではあるものの、妖怪色が強くて、読み始める前の予想とはやや違いましたが、著者らしい展開ではあったものの、展開の幅が広がりすぎて、今一つの印象でした。
【満足度】 ★★★