2021年02月12日

『イノセンス』小林由香

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イノセンス [ 小林 由香 ]
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 中学時代、不良に絡まれた星吾は、彼を助けようとして刺された青年を見捨てて逃げてしまう。青年は死亡し、星吾は世間から集中砲火を浴びた。大学入学後、星吾の周囲で不審な出来事が…。『カドブンノベル』掲載を単行本化。

 音海星吾は美術サークルに所属する大学生。中学生時代、不良に絡まれた星吾は、彼を助けようとして身代わりに刺された青年を見捨てて逃げてしまう。青年はその後死亡したため、星吾はネット社会を中心とした世間の誹謗中傷を浴び続ける。大学入学後も星吾は心を閉ざして生きていたが、ある日、ホームから飛び降りようとした中年男性に「そんなに死にたいなら、夜にやってよ。朝やられると迷惑なんだ」と心無い言葉をぶつけてしまう。現場を目撃していた同じ大学の学生・紗椰にその言葉を批判されるが、それがきっかけで星吾は彼女と交流を持つようになる。星吾は心惹かれるようになった紗椰に思いを告げようとするが、自らの過去の重みのため、踏み出すことができない。コンビニのバイト仲間の吉田光輝、美術サークルの顧問・宇佐美ら周囲の人間との交流を通して、徐々に人間らしい心を取り戻しかける星吾。そんななか、星吾を狙うように美術室の花瓶が投げ落とされ、さらに信号待ちの際、車道に突き飛ばされるという事件が起こる。星吾を襲う犯人の正体は? そして星吾の選択とは……。

 本書は、自分を助けてくれた青年を見殺しにした事をネットで叩かれ、以来全てに怯え頑なに自分の殻に引きこもってしまった主人公が、同じように心に傷を抱えた友や先生と出会い、少しずつ少しずつ心を解放していく物語。過去の過ちによる罪に意識についてをミステリとしてよく表現した作品でもあり、主人公の心の変化は読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
posted by babiru_22 at 18:04| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする