2023年08月31日

『大胆推理!ケンミン食のなぜ』阿古真理

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大胆推理! ケンミン食のなぜ [ 阿古 真理 ]
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 北海道の牛乳豆腐、浦和のうなぎ、長野のそば、広島のお好み焼き…。土地土地で食いしん坊たちのおなかを満たしてきた22の食を深掘りする。亜紀書房ウェブマガジン『あき地』連載に書き下ろしを加え書籍化。

 土地土地で食いしん坊たちのおなかを満たしてきた22の食を深掘り。日本全国の“旨いもん”への知識と愛が深まる、食文化・教養エッセイ集。

 本書は、全国各地のケンミン食についてのエッセイ本で、雑学知識としても面白かったです。道東ではなぜ牛乳豆腐が生まれたのか?、岩手ソウルフードにはなぜ、三つも麺類があるのか?、浦和はなぜウナギが名物なのか?、名古屋人はなぜ小倉トーストが好きなのか?、大阪人はなぜミックスジュース好きなのか?、博多ラーメンの出汁はなぜ豚骨なのか?…など、ケンミン食の深堀りは面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月30日

『情報洪水時代の歩き方 メディアを賢く消費する「情報リテラシー」』大野 伸




 日々溢れる情報の中から有益な情報を見つけ読み解き、消化して発信することが人生を豊かにする。情報リテラシーを高め、情報を活用し豊かに生きるための知見を具体的な事例や概念図を用いながら伝える。

 マスメディアから個人まで、1億総メディア時代。溢れる情報の中から有益な情報を見つけ読み解き、消化して発信することが、人生を豊かにする…。藤井貴彦キャスターの発信を一番近くで見守ってきた番組制作責任者が語る舞台裏とプロの目線。

 本書は、日本テレビ「news every.」前統括プロデューサーが伝授する、不確実性の高い時代を力強く生き抜く情報リテラシーについて書かれた一冊。溢れる情報の中から有益な情報を見つけて読み解いて、いかに消化して発信していくかの重要性を説いた内容で、情報洪水の中で「部族化」する世界、人はなぜフェイクニュースにだまされるのか?先入観より判断力を持つなど、どうやって情報の感度を高めるのか、情報の選択・消化・整理・発信の重要性にも触れています。情報を発信する身として参考になる一冊でした。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月29日

『失礼な一言』石原壮一郎

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失礼な一言 (新潮新書) [ 石原 壮一郎 ]
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 つい口にしてしまう“失礼な一言”がもたらす行き違いを回避するにはどうすればいいのか。日常会話からメールやLINEのやりとり、SNSへの投稿まで、知っておきたい言葉のレッドラインを語る。『週刊新潮』連載を書籍化。

 「きれいになったね」「赤ちゃんはまだ?」「独身は自由でいいよね」「食べていけるの?」「おい、生中」。家庭や職場や仲間うちで何気なく言ってしまうマナー違反の言葉の数々。自分では気をつけているつもりでも、つい口にしてしまう“失礼な一言”がもたらす行き違いを回避するにはどうすればいいのか。日常会話からメールやLINEのやりとり、SNSへの投稿まで、様々な局面で知っておきたい言葉のレッドライン。

 本書は、飲食店での恥ずかしい所業やLINEで評判を落とす方法、昭和の頃はOKだった狼藉など、知っておきたい令和のマナーについてが紹介されており、マナー違反でもある「失礼な一言」についてや、様々な局面でお互いの気持ちの行き違いにならない処し方など、日常的に参考になることが多く書かれており、改めて自身もマナーを大切にし、気をつけたいと思います。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月28日

『地震・台風に動けるガイド 大事な人を護る災害対策』辻 直美




 数多くの災害現場をみてきた防災のプロが、要介護者・高齢者・家族など大事な人を護る防災を、自宅と施設に分けて提案。役立つ防災術が満載。コピーして使えるチェックシート付き。

 阪神淡路大震災は被災者として、地下鉄サリン事件は現場ナースとして救護にあたり、東北大震災ではレスキューナースとして現地に赴く。多くの災害に対してきた医療職であり、また防災の重要性を伝える第一人者として活動する著者が、護りたい人がいるあなたへ送るメッセージ。高齢化社会と介護に携わる人々、そして我が国ではもはやそこにある危険と言える地震と台風。この身近でリスクの大きい災害に対して、護る立場で何ができるかを紐解く。

 本書は、国際災害レスキューナースでもある著者が日本における災害の多くを占める地震と台風に焦点を当て、自分だけで抱え込まない、“大切な人と自分自身を護るための防災“を提唱した一冊。要配慮者の目線に立ち、手に入りやすいグッズを駆使して、自宅や施設の減災に取り組む方法や備蓄、避難の考え方、日常で取り組みたい訓練や防災意識を解説し、実際に被災した際にメンタルヘルスを保つ大切さ、温かい食事の提供方法なども紹介。高齢者・乳幼児・健康不安のある方など、避難行動に支援を要する人を家族に持つ方も、誰もが活用できる「人に優しい防災」術が満載で、防災に役立つ内容はぜひ多くに人に読んでほしいです。

【満足度】 ★★★★☆
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2023年08月26日

『それでは釈放前教育を始めます!』竹中 功




 受刑者に人気の本は日本地図! 塀のない刑務所がある!? 網走刑務所で飼育している動物は? 全国の刑務所で釈放前教育を続ける元吉本興業専務が、実体験をもとに綴る刑務所訪問記。

 刑務所から見えてくるのは「日本社会の課題」だった!?…全国の刑務所で釈放前教育を続けている元吉本興業・専務が実体験をもとに書き下ろす刑務所訪問記。

 本書は、サブタイトルに『10年100回通い詰めた全国刑務所ワチャワチャ訪問記』とありますが、元吉本興業専務で「釈放前指導導入教育員」として、仮釈放や満期釈放で出所する前の受刑者たちに「社会復帰プログラム」の授業を行っている著者による刑務所訪問記。普段は知ることのない塀の中の生活を詳しく知ることができ、興味深いエッセイでした。

【満足度】 ★★★★
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『スカーレット・レター』五十嵐貴久

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スカーレット・レター [ 五十嵐 貴久 ]
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 文芸編集者の春川澄香は、新人作家の山科和美と打ち合わせをするため岩手県に向かった。温泉宿の部屋で一息ついていると赤い封筒が目に入る。中に入っていた便箋を読むと…。『Webジェイ・ノベル』配信を加筆、修正。

 文芸編集者の春川澄香は、新人作家の山科和美と打ち合わせをするため岩手県に向かった。半日かけてやっとたどり着き、温泉宿の部屋で一息ついていると赤い封筒が目に入る。中に入っていた便箋を読むと歓迎の言葉が綴られていた。その時、窓に何かがぶつかる音が。おそるおそる確認してみるとカラスがぶつかり、血を流していた。それをきっかけとするように老人の幻影が現れ、何かを訴えようとしてきたのだ。和美の友人の不審死、ベストセラー作家の失踪…。全ての真相が暴かれた時、澄香が町を訪れた本当の理由が明らかになる!

 本書は、新人作家に会うために岩手に行き、作家の実家の旅館に滞在した編集者の周りでおきる不穏な出来事を描いたホラーミステリ。ホラーとミステリがそれぞれに中途半端な感じで、伏線も最後で一気に回収しますが、中途半端な感が強く、個人的にはイマイチでした。

【満足度】 ★★☆
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2023年08月25日

『検証ウクライナ侵攻10の焦点 現地取材400日で見えた』朝日新聞取材班




 2022年2月24日に始まった、ロシアのウクライナ侵攻。現地では何が起きていたのか。ウクライナ入りした記者たちのルポを中心に、10の角度から戦争の全体像を浮き彫りにする。『朝日新聞デジタル』等掲載を書籍化。

 ロシアのウクライナ侵攻は、全世界に衝撃をもって受け止められた。侵攻から1年の間に、現地では何が起きていたのか。ウクライナ入りした記者たちのルポを中心に、10の角度から戦争を浮き彫りにする。

 本書は、ロシアによるウクライナ侵攻を現地取材から捉えた一冊。10の論点のもとに構成されたルポでもあり、避難民やロシア人の肉声が事態の深刻さ、多様さと複雑さを語っており、ウクライナ侵攻の現実に心が痛みます。ウクライナの早期な平安を切に願います。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月24日

『カティンの森のヤニナ 独ソ戦の闇に消えた女性飛行士』小林文乃




 独ソ戦最大の謎とされた虐殺事件には、たったひとり女性の犠牲者がいた。その死はやがて、国家の思惑の渦にのまれてゆく…。ポーランドという国家と一人の女性、そしてその一族の運命が重なり合う歴史紀行ノンフィクション。

 カティンの森事件…2万人のポーランド将校が何者かによって虐殺された独ソ戦の闇。その犠牲者のなかに、たったひとり女性がいたことはあまり知られていない。彼女の名前はヤニナ・レヴァンドフスカ。優秀なパイロットであった彼女の頭蓋骨は調査隊によって持ち去られ、長らく歴史の表舞台から姿を消した。その足跡を追う旅は、ワルシャワからクラクフ、グダニスク、ポズナン、そしてカティンの森へ…。ポーランドという国家と一人の女性、そしてその一族の運命が重なり合う、歴史紀行ノンフィクション。

 本書は、第二次大戦中の旧ソ連の捕虜となった2万数千人のポーランド人将校らが虐殺された中で唯一の女性であるパイロット・ヤニナに焦点を当てたノンフィクション。独ソ戦最大の謎「カティンの森事件」から、一名の犠牲者の足跡をひたすら追うことで、戦争の悲惨さと、ポーランドの歴史がよくよく伝わってくる作品です。現ウクライナとの戦争は独ソ戦の続き、という一ウクライナ市民の言葉が強く印象に残ります。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月23日

『交通崩壊』市川嘉一

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交通崩壊 (新潮新書) [ 市川 嘉一 ]
価格:902円(税込、送料無料) (2023/8/22時点)




 寸断される鉄道、広まらないトラム、カオス化する歩道…。「部分最適」を脱し、総合的な交通政策を構想せよ! 独自に歩みを続けてきたため、今や様々な形で弊害が目立ち始めている日本の都市・地域交通の問題を探る。

 日本の交通行政は「部分最適」の集合体である。新幹線の延伸によって寸断される在来線のネットワーク。欧州で復活続くも日本では広まらない路面電車。自転車に加え電動キックボードも乗り上げカオス化が進む歩道。権限を警察が握り、「まちづくり」の観点での施策が進まない道路行政…。そろそろ全体最適を意識した総合的な交通政策を構想すべきではないか。都市・交通問題に精通したジャーナリストによる提言。

 本書は、鉄道ネットワークの寸断、路面電車の導入が進まない現状、CASE時代の自動車の再定義の必要性、「歩道のカオス化」など、日本の交通政策の現状をトータルに概観し、総合的な交通政策の必要性を提言したもの。交通政策や都市政策に興味を持つ方、鉄道ファンなどに、お勧めできる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月21日

『コメンテーター』奥田英朗

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コメンテーター [ 奥田 英朗 ]
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 ワイドショーに出演することになった精神科医・伊良部とマユミ。放送事故寸前のコメントを連発するが、それは暴言か、はたまた金言か!? トンデモ精神科、復活! 表題作など全5編を収録する。『オール讀物』掲載を書籍化。

 低視聴率にあえぐワイドショーのスタッフの圭介は、母校のつてで美人精神科医をコメンテーターとしてスカウトしようとする。が、行き違いから伊良部とマユミが出演することに。案の定、ふたりは放送事故寸前のコメントを連発するが、それは暴言か、はたまた金言か!?

 本書は、非常識な精神科医伊良部が登場するシリーズ第4作。コロナ禍でコメンテーターとして暴走する表題作を始め、5つの作品が収録されていますが、キャラクターの強さとハチャメチャな展開に、一気に読まされた作品集です。様々な精神病を、とんでもない方法で伊良部医師が解決していくシリーズですが、爽快感を感じる作品で、とても面白かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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2023年08月19日

『クワトロ・フォルマッジ』青柳碧人

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クワトロ・フォルマッジ [ 青柳碧人 ]
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 閉店間際のピッツェリア「デリンコントロ」に飛び込んできた男性客が、マルゲリータを食べた途端、絶命した。ピザに毒が入っていたのか? 今夜はオーナー不在…店のスタッフ4人の中に犯人が? 『ジャーロ』連載を書籍化。

 丘の上の小さなピッツェリア「デリンコントロ」。閉店間際に飛び込んできた男性客が、マルゲリータを食べた途端、絶命した。ピザに毒が入っていたのか?今夜はオーナー不在、店のスタッフは4人…ということは、犯人はこの中にいる!?離れて暮らす娘を持つバツイチの仁志、なぜか仁志に敵意を見せる女子大生・映里、天真爛漫を装う小悪魔・久美、実はピザが嫌いな伸也。誰もが秘密を抱えていて、誰もが怪しい…。事実は1つ。でも事情は4つ。すべての真相は店の中にある。仕掛け満載のワンナイト・パズラー。

 本書は、小さなピッツェリアで巻き起こる悲喜こもごもの人間模様と殺人事件が描かれるミステリ。ドタバタコメディのミステリで、テンポ良く小気味よい掛け合いと設定が面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月18日

『ゴリラ裁判の日』須藤古都離

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ゴリラ裁判の日 [ 須藤 古都離 ]
価格:1,925円(税込、送料無料) (2023/8/18時点)




 ローズはとても賢く、言葉を理解し人間と「会話」ができるゴリラだ。人間の子供を助けるために、という理由で、夫ゴリラが射殺される。そしてローズは、人間に戦いを挑む。力ではなく、知恵と勇気を武器に。法廷で。

 カメルーンで生まれたニシローランドゴリラ、名前はローズ。メス、というよりも女性といった方がいいだろう。ローズは人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解する。手話を使って人間と「会話」もできる。カメルーンで、オスゴリラと恋もし、破れる。厳しい自然の掟に巻き込まれ、大切な人も失う。運命に導かれ、ローズはアメリカの動物園で暮らすようになった。政治的なかけひきがいろいろあったようだが、ローズは意に介さない。動物園で出会ったゴリラと愛を育み、夫婦の関係にもなる。順風満帆のはずだった……。その夫が、檻に侵入した4歳の人間の子どもを助けるためにという理由で、銃で殺されてしまう。なぜ? どうして麻酔銃を使わなかったの? 人間の命を救うために、ゴリラは殺してもいいの? だめだ、どうしても許せない! ローズは、夫のために、自分のために、正義のために、人間に対して、裁判で闘いを挑む!

 本書は、第64回メフィスト賞受賞作。内容は、手話を使って人間と会話できるゴリラのローズが動物園に対して裁判を起こすという物語で、実際に起きたゴリラの射殺事件(ハランベ事件)をモチーフに描かれており、エンタメとしても楽しめましたが、人間と動物の権利についてなど様々な問題提起も含まれる作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月17日

『引退馬保護活動が抱える理想と現実』林 由真




 馬主になったことで、公には知られていない競馬を引退した馬達の悲惨な現状を知った著者は、馬を助けるための活動を始める。助けることが不可能と言われていた多くの馬を保護するに至るまでの活動記録。

 中学時代に出会った「競馬」に衝撃を受け、馬主になることを夢見る。念願かなって馬主になったことで、公には知られていない競馬を引退した馬達の悲惨な現状を知り、馬を助けるための活動を始める。自分だけではどうにもならない現実に打ちのめされながらも活動を続けることで賛同者が次々と現れ、助けることが不可能と言われていた多くの馬を保護する。「1頭の馬が起こした奇跡」による、そこに至るまでの活動記録である。

 本書は、自らが地方競馬の馬主となったことで、引退馬の現状を知り、引退馬保護活動を始めた著者の活動記録を自らでまとめたもの。引退馬保護活動については馬産地に住む一人として、今も課題が大きな問題とも思います。現実には引退馬保護活動を名目にして、矛盾する活動をする団体などもあり、支援の難しさも感じますが、引退馬の支援の輪が広がることを願いますし、タイトルにもある「引退馬保護活動が抱える理想と現実」は多くの人に知ってほしいとも思います。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月16日

『硫黄島に眠る戦没者 見捨てられた兵士たちの戦後史』栗原俊雄




 アジア・太平洋戦争屈指の激戦地、硫黄島には、兵士や元島民たちの遺骨1万体以上が放置されている。国家によって死地に追いやられた人々が死後もなお見捨てられる日本の「戦後」を問い直す。

 アジア・太平洋戦争屈指の激戦地、硫黄島。しかし、本土から遠く離れたその地に兵士たちの遺骨一万体以上が放置されていることはあまり知られていない。遺骨の収容を望む遺族たちの切実な思いと、それを踏みにじり続けてきた政府……国家によって死地に追いやられた人々が死後もなお見捨てられる日本の「戦後」を問い直す。

 本書は、硫黄島に今も残る遺体の収容、戦時中の状況、現代に至るまでの遺体収容の歴史、その他沖縄、シベリア、東アジア、東南アジア、海底に未だ残る遺体についても言及した一冊。著者は毎日新聞社記者であり、勢力的に、戦後の国の戦争処理(補償、遺骨収容)などを取材されており、日本全体の遺骨収容の経緯もまとめています。遺骨収容の課題は多いですが、少しでも進むことを願っています。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月15日

『朝日新聞ウェブ記者のスマホで「読まれる」「つながる」文章術』奥山晶二郎




 読者とつながる姿勢を大切にしつつ、1.5億PVを達成、マネタイズにも成功した『withnews』創刊編集長が、言葉選びからネタ探し、書き方のポイント、炎上防止のコツまで全公開。すぐに使える文章テクが満載。

 読者とつながる姿勢を大切にしつつ、1.5億PVを達成、マネタイズにも成功したwithnews創刊編集長が、言葉選びからネタ探し、書き方のポイント、炎上防止のコツなど全公開!たくさん読まれて、シェア、売上、認知ファンにつながる!広報・PR・フリーランス・自営業・副業者、必見!すぐに使える!わかりやすい!文章テク満載。

 本書は、朝日新聞社が2014年に立ち上げたウェブメディア「withnews」創刊編集長の著者が、「読まれる」「つながる」文章の書き方から、そのためのネタの見つけ方、言葉の選び方、書き方のポイント、ユーザーとの付き合い方などをまとめたもの。SNSの発信の仕方や書き方などを改めて考えさせられる内容で、非常に参考になる内容でした。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月14日

『「おかえり」と言える、その日まで 山岳遭難捜索の現場から』中村富士美




 今も、どこかの山には、家に帰れずにいる人が助けを待っている。彼らを迎えに行くために、今日も捜索を続ける。その実際の様子を、民間の山岳遭難捜索チームの代表を務める著者が6つのエピソードで紹介する。

 発見の鍵を握るのは、行方不明者の「癖」。プロファイリングによる捜索実話。「せめてお別れだけでもしたい」……いくら探しても見つからないという家族から依頼を受け、著者は山へ向かう。たとえ身近な低山でも、運命の分かれ道は登山道の随所に潜んでいるのだ。家族のケアをしながら丹念に話を聞き、プロファイリングで消えた足跡を辿る6つのエピソード。予防と早期発見に役立つコラム付き。

 本書は、山岳遭難捜索のリアルを描いたノンフィクション。著者は警察や消防による捜索が打ち切られた後に、家族から依頼を受けて遭難者捜索に携わるプロで、看護師として患者に寄り添ってきた経験を活かし、「この登山者だったら、どのルートを進んでしまうか」と考え、登山者のご遺体を発見していきます。本書ではその現場の様子、またご家族との交流を描き、6つのエピソードで紹介しています。山岳救助隊の活動を詳しく知ることができ、とても興味深い一冊でした。

【満足度】 ★★★★☆
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2023年08月12日

『四日間家族』川瀬七緒

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 自殺を決意した夏美は、ネットで繋がった同じ願望を持つ3人と車で山へ向かう。夜更け、車中で練炭に着火しようとした時、森の奥から赤ん坊の泣き声が。一時的に赤ん坊を保護した4人は、連れ去りの汚名を着せられ…。

 置き去りにされた赤ん坊。育児放棄か?組織犯罪か?自殺を決意した夏美は、ネットで繋がった同じ望みを持つ三人と車で山へ向かう。夜更け、車中で練炭に着火しようとした時、森の奥から赤ん坊の泣き声が。「最後の人助け」として一時的に赤ん坊を保護した四人。しかし赤ん坊の母親を名乗る女性がSNSに投稿した動画によって、連れ去り犯の汚名を着せられ、炎上騒動に発展、追われることに…。暴走する正義から逃れ、四人が辿り着く真相とは。

 本書は、自殺するために集まったバラバラな4人が犯罪者から逃れるために、赤ちゃんを助けるために奔走するノンストップサスペンス。誰もが簡単にSNSを使う現代だからこそ起こりうる一般人の監視の恐怖をサスペンスとして描かれていますが、スピード感ある展開は読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月11日

『南風に乗る』柳 広司

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南風に乗る [ 柳 広司 ]
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 米軍支配下に取り残された沖縄は「独立」に向けた闘いを開始した。詩人・山之口貘、政治家・瀬長亀次郎、沖縄資料センターを立ち上げた中野好夫。本土復帰までの「時代」と「闘い」を描く。『週刊ポスト』連載に加筆・修正。

 戦後、日本は二つの国に分断されていた。本土から切り離され、米軍支配下に取り残された沖縄は「独立」に向けた闘いを開始した。故郷沖縄に東京から思いを馳せる詩人・山之口貘、“アメリカが最も恐れた男”不屈の政治家・瀬長亀次郎、「沖縄資料センター」を立ち上げ沖縄との連帯を模索する中野好夫…。実在の人物たちの視点を通し、本土復帰までの「時代」と「闘い」を描く傑作長編!この物語の主人公は沖縄である。

 本書は、戦後の沖縄を舞台に、沖縄側、本土側の視点を政治家の瀬長亀次郎、詩人の山之口貘、評論家で沖縄資料センターを主宰した中野好夫の3人に託し、米統治下の沖縄を描いた作品。沖縄の歴史の奥深さを考えさせられる物語で、実在の人物たちの視点を通して描かれる戦後沖縄の黒歴史は読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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2023年08月10日

『マイ・リトル・ヒーロー』冲方 丁

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マイ・リトル・ヒーロー [ 冲方 丁 ]
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 暢光の息子の凛一郎が交通事故に遭い、意識不明に。悲しみに暮れる暢光だったが、オンラインゲーム内で息子からメッセージが届き…。凛一郎を救うため、暢光はeスポーツの世界大会を目指す。『別冊文藝春秋』連載を改題。

 暢気なだけが取り柄の暢光は、事業を興しては失敗し、妻から離婚を言い渡される始末。離れて暮らす中2の息子と小3の娘とはオンラインで会うばかりで、オンラインゲームは最後の砦となっている。そんな中、息子の凛一郎が交通事故に遭い、意識不明に。悲しみに暮れる暢光だったが、ゲーム内で息子からメッセージが届き…君となら、ヒーローになれる。ゲームを通して成長し、繋がっていく、新しい家族の物語。

 本書は、交通事故で意識不明状態の中学2年生の息子から、オンラインゲーム内でメッセージを受け取った父親が共に成長していく物語。eスポーツを舞台とした父子のストーリーですが、ゲーム描写が多く、普段からゲームにはそれほど馴染んでいないこともあって、リアリティさがそれほど感じられず、やや物足りなさを感じました。

【満足度】 ★★★
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2023年08月09日

『北海道の図書館員が薦めるブックガイド わが町を知ってもらうなら!』加藤重男




 国土の22%を占める広大な大地をもつ北海道には、地域の特色を生かしたユニークな図書館がたくさんある。アンケートを実施し、回答を得た北海道の170市町村の図書館お薦めの本を紹介。図書館へのインタビューなども掲載。

 広大な北海道には、地域の特色を活かしたユニークな図書館がたくさんあります。今回、道内の図書館・図書室に「わが町を知ってもらうなら!」というテーマで本の紹介アンケートをお願いし、170市町村から寄せられた208タイトルの回答を編集。さらに現地を訪れ取材した26館のインタビュー、書店や図書館・教育関係者などから寄せられたコラムを掲載しました。多くの情報が手元の端末で手に入る今の時代に、その土地を知るために読んでほしい「本」を図書館員の言葉で紹介。ご当地の図書館・図書室を巡り、「そこにしかない本」に出会う旅へと誘う、「ブックツーリズム」の媒介ともなる一冊です。

 本書は、道内の図書館・図書室に「わが町を知ってもらうなら!」のテーマで行ったアンケートを基に、図書館員が薦める208タイトルを紹介したブックガイド。入手困難な書物も数多く掲載され、なんと編著者自ら道内を回って集めたという26施設の図書館員へのインタビュー記事も収録されています。日高管内では「レ・コードと音楽によるまちづくり 新冠町レ・コード館図書プラザ」、「文化・芸術がまぶしく光るまち 浦河町立図書館」、そしてコラムとして「馬のまちにある図書館 日高町立門別図書館郷土資料館」が紹介されていますが、特色を生かした道内のユニークな図書館が紹介されており、道内の図書館利用者はぜひ一読をオススメします。

【満足度】 ★★★★
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