2023年10月31日

『日本銀行 虚像と実像 検証25年緩和』河浪武史

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日本銀行 虚像と実像 検証25年緩和 [ 河浪 武史 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2023/10/31時点)




 1998年の新日銀法の施行。日銀の独立は「物価の番人」としての責任をすべて引き受けることであった。孤高の日銀はどこに向かうのか。ベテランの金融記者が、相次ぐ緩和政策をその人間模様ととも検証する。

 2023年、日銀に初の経済学者総裁が誕生した。植田新総裁は25年間の長期緩和を「多角的にレビューしていく」と表明する。新日銀法が施行されて四半世紀。速水、福井、白川、黒田と、4人の総裁が駆け抜けた。虚像と実像の間で揺れ動く日銀。ベテランの金融記者が実録から説き起こす。

 本書は、日銀トップが何を考え、裏で誰が動き、結果として日本経済に何をもたらしたのか、歴史的事実を掘り起こしながら、25年間の日銀緩和を検証した一冊。分かりやすく丁寧に解説しており、25年間の金融政策については勉強になりました。

【満足度】 ★★★★
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『誰も国境を知らない 揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅 令和版』西牟田靖




 尖閣諸島、竹島、北方領土…。戦争の果てに線引きされた「日本の国境」でいまなお翻弄される人々の声を追ったノンフィクション。尖閣諸島沖を再取材、国有化のリアルに迫ったルポなどを追加した令和版。

 日本周縁の島々をめぐり、そこに行かなければ見えない、知られざるニッポンをあらわにする伝説のノンフィクション大作、15年の時を経て復活。尖閣諸島、竹島、北方領土……戦争の果てに線引きされた「日本の国境」に足を運び、数十年にわたり翻弄され続ける人々の声を追ったノンフィクションが復刊。尖閣諸島沖を再取材、国有化のリアルに迫ったルポも新たに加筆。

 本書は、領土問題のある辺境の孤島をめぐるルポルタージュ。尖閣諸島、竹島、北方領土…など、通常踏み入れられない島でのルポは、各領土問題の発端や経緯まできちんと調べて書かれており、「国境の島」の歴史と現実を丹念に掘り起こしています。一読の価値ある一冊です。

【満足度】 ★★★★☆
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『デモクラシー』堂場瞬一

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デモクラシー [ 堂場 瞬一 ]
価格:2,145円(税込、送料無料) (2023/10/28時点)




 202×年、20歳以上の国民から政治家がランダムに選出され、総理大臣は直接選挙で選ばれる。議員の不正を監視する機関の危うさ、権限が大きくなった官僚、そして現首相と旧体制に固執する現都知事らの政権争いの行方は。

 憲法は改正され、20歳以上の国民から合計1000人の「国民議員」がランダムに選出され、総理大臣は直接選挙で選ばれる。議会はオンラインで行われ、年間報酬500万円、任期は4年。議員活動は全てオープンになり、国民は常に確認、監視できるようになっていた。突然議員に選ばれた大学生の混乱、議員の不正を監視する機関の危うさ、一気に権限が大きくなった官僚…そして、現首相と旧体制に固執する現都知事らの政権争いの行方は。

 本書は、国会が消滅し、有権者からランダムに選ばれた国民議員が国を動かす、近未来の日本が舞台の物語。選挙によって選ばれる国会議員から、全国民からランダムに選ばれる国民議員への変更という発想は面白かったですが、残念ながら政治小説にしては緊迫感が少なく盛り上がりに欠けた作品でした。

【満足度】 ★★★
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2023年10月30日

『鈍色幻視行』恩田 陸

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鈍色幻視行 [ 恩田 陸 ]
価格:2,420円(税込、送料無料) (2023/10/27時点)




 撮影中の事故により三たび映像化が頓挫した“呪われた”小説『夜果つるところ』と、その著者・飯合梓の謎を追う小説家の蕗谷梢は、関係者が一堂に会するクルーズ旅行に夫・雅春とともに参加した。船上では、映画監督の角替、映画プロデューサーの進藤、編集者の島崎、漫画家ユニット・真鍋姉妹など、『夜〜』にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢の取材に応えて語り出す。次々と現れる新事実と新解釈。旅の半ば、『夜〜』を読み返した梢は、ある違和感を覚えて…。

 物語は、謎の小説家・飯合梓が遺した“呪われた”小説『夜果つるところ』に関する取材のために、小説家・蕗谷梢は、さまざまな事情と思惑を抱えた関係者が集まる豪華客船ツアーに参加するが、船上でインタビュー取材が進むにつれ、次々と現れる新事実と新解釈。2週間にわたる旅の最後に、梢がたどり着いた真相について描かれるミステリ大河ロマン。約650ページとボリュームある作品でしたが、舞台設定や背景など、飽きさせない内容で、最後まで楽しめました。

【満足度】 ★★★★☆
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2023年10月28日

『水中ミステリー 海底遺跡と難破船』井上たかひこ

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水中ミステリー 海底遺跡と難破船 [ 井上たかひこ ]
価格:1,540円(税込、送料無料) (2023/10/26時点)




 龍馬のハッタリ、クレオパトラの謎、タイタニック探査の裏話…。謎に包まれた文明や人類のいとなみを示す物的証拠が数多く埋没している水中の遺跡。それらを研究調査する水中考古学を紹介する。『産経新聞』連載を書籍化。

 本書は、水中考古学の第一人者の著者が、歴史上の著名な人物や出来事にまつわる発見と知見を紹介し、ロマンをかきたてる時空を超えた想像世界へ誘う一冊。日本の水中遺跡も多く紹介されていますが、タイタニック探査の裏話は興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月27日

『鈍色幻視行』恩田 陸

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鈍色幻視行 [ 恩田 陸 ]
価格:2,420円(税込、送料無料) (2023/10/27時点)




 撮影中の事故により三たび映像化が頓挫した“呪われた”小説『夜果つるところ』と、その著者・飯合梓の謎を追う小説家の蕗谷梢は、関係者が一堂に会するクルーズ旅行に夫・雅春とともに参加した。船上では、映画監督の角替、映画プロデューサーの進藤、編集者の島崎、漫画家ユニット・真鍋姉妹など、『夜〜』にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢の取材に応えて語り出す。次々と現れる新事実と新解釈。旅の半ば、『夜〜』を読み返した梢は、ある違和感を覚えて…。

 物語は、謎の小説家・飯合梓が遺した“呪われた”小説『夜果つるところ』に関する取材のために、小説家・蕗谷梢は、さまざまな事情と思惑を抱えた関係者が集まる豪華客船ツアーに参加するが、船上でインタビュー取材が進むにつれ、次々と現れる新事実と新解釈。2週間にわたる旅の最後に、梢がたどり着いた真相について描かれるミステリ大河ロマン。約650ページとボリュームある作品でしたが、舞台設定や背景など、飽きさせない内容で、最後まで楽しめました。

【満足度】 ★★★★☆
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2023年10月26日

『水中ミステリー 海底遺跡と難破船』井上たかひこ

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水中ミステリー 海底遺跡と難破船 [ 井上たかひこ ]
価格:1,540円(税込、送料無料) (2023/10/26時点)




 龍馬のハッタリ、クレオパトラの謎、タイタニック探査の裏話…。謎に包まれた文明や人類のいとなみを示す物的証拠が数多く埋没している水中の遺跡。それらを研究調査する水中考古学を紹介する。『産経新聞』連載を書籍化。

 本書は、水中考古学の第一人者の著者が、歴史上の著名な人物や出来事にまつわる発見と知見を紹介し、ロマンをかきたてる時空を超えた想像世界へ誘う一冊。日本の水中遺跡も多く紹介されていますが、タイタニック探査の裏話は興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月25日

『全国水害地名をゆく』谷川彰英

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全国水害地名をゆく [ 谷川 彰英 ]
価格:1,012円(税込、送料無料) (2023/10/25時点)




 近年、集中豪雨や台風による被害が増加している。地名ハンターが水にちなむ全国の地名を現地調査し、水と闘い共生してきた人々のエピソードとともに、その地名の本当の由来や変遷を探る。『毎日新聞デジタル』連載を加筆修正。

 地名に込められた水害の記憶。その地名の由来を知ることで、命を守る。関東大震災から100年。防災への願いを込めて刊行。

 本書は、水害にちなむ全国の地名を著者自ら訪ね歩き、それにまつわるエピソードを交えながら、その由来を探った一冊。水と闘いながらも、水と共生してきた人々の姿を追うことで、防災意識を高め、今後、災害が起こった時に被害を最小限に抑えることができるはず……そのような信念をもとに、後世に伝えなければならない地名の由来の話を一冊にまとめています。

【満足度】 ★★★★☆
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2023年10月24日

『1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀』速水健朗




 50代に突入した1973年生まれの団塊ジュニア世代。彼らが生きてきた1970年代から2020年代にわたる、日本社会、メディア、生活の変遷を、圧巻の構想力と詳細なディテールで描く年代記。

 その数、約210万人。ロスジェネ、超氷河期、お荷物と言われ続けた団塊ジュニア世代のど真ん中ゾーンも、ついに天命を知る50代に突入。そんな世代が生きてきた1970年代から2020年代にわたる、日本社会、メディア、生活の変遷を、あるいはこの時代に何が生まれ、何が失われたのか…を、73年生まれの著者が、圧巻の構想力と詳細なディテールで描くノンフィクション年代記。

 本書は、団塊ジュニア世代の筆者が、自身の少年期に当たる80年代から現在に至る世相に関し、芸能、スポーツ、事件事故、暮らし、娯楽等におけるトピックを綴った一冊。1967年生まれとしてノスタルチックに感じる内容でもありましたが、生まれてからの半世紀の50年をまとめた社会論といえます。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月23日

『スタジオジブリ物語』鈴木敏夫

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スタジオジブリ物語 (集英社新書) [ 鈴木 敏夫 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2023/10/23時点)




 長編アニメーション作品を作り続けてきたスタジオジブリの軌跡は、波瀾万丈の連続だった。スケジュールと闘う制作現場、時代を捉えた宣伝戦略、独自の経営法など、27作品ごとにその過程のすべてを明らかにする。

 『風の谷のナウシカ』がきっかけで誕生したスタジオジブリ。長編アニメーション作品を作り続けてきたその軌跡は、波瀾万丈の連続だった……。試行錯誤の上に生まれる企画から、スケジュールと闘う制作現場、時代を捉えた宣伝戦略、独自の経営法まで、その過程のすべてを、最新作までの27作品ごとに余すことなく網羅した。鈴木敏夫責任編集で、今明かされる40年の物語。

 本書は、スタジオジブリの代表取締役プロデューサー、鈴木敏夫氏が企画立案から制作現場、宣伝戦略、経営法までの全過程を軸に、最新作「君たちはどう生きるか」までの計27作品の軌跡を書いた一冊。ジブリの40年間を振り返る1冊で、試行錯誤のうえに生まれる企画、スケジュールと闘う制作現場、時代を捉えた宣伝戦略、独自の経営法などに迫る内容です。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月21日

『北岳山小屋物語』樋口明雄

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北岳山小屋物語
価格:1,540円(税込、送料無料) (2023/10/21時点)




 小屋開けの苦労、山岳遭難救助の実態、登山道の整備、山小屋生活の日常、食事へのこだわり…。北岳の山小屋の小屋番やスタッフへのインタビューを通じて、山小屋の裏側を描き出す。単行本刊行時からの変化を加筆し文庫化。

 日本第二の高峰、南アルプス・北岳周辺に建つ5軒の山小屋―白根御池小屋、広河原山荘、北岳山荘、北岳肩の小屋、両俣小屋。山小屋の現実を管理人や従業員へのインタビューを通じて描き出す、著者渾身のノンフィクション。単行本刊行後の変化を再取材して加筆。

 本書は、取材のために何度も登っている北岳の1年間を山小屋視点で描いたノンフィクション。小屋開け、山岳遭難救助、山小屋生活の日常、小屋番の素顔、それぞれの小屋のこだわりなど、宿泊・通過するだけではわからない、山小屋の裏側についてや、医大生や看護士志望生のボランティア、雷鳥の保護活動を続ける活動など知られざる一面も知ることかできました。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月20日

『教養としての生成AI』清水 亮

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教養としての生成AI (幻冬舎新書) [ 清水 亮 ]
価格:1,034円(税込、送料無料) (2023/10/20時点)




 2022年、一般ユーザーも気軽に使える生成AIサービスが次々と現れて世界に衝撃を与えた。最新のAI研究からその歴史、仕事への活かし方、AI時代に人間が鍛えるべき能力まで、人工知能研究の第一人者が解説する。

 2022年、文章生成AI「ChatGPT」や画像生成AI「Stable Diffusion」など、一般ユーザーも気軽に使える生成AIサービスが次々と現れて世界に衝撃を与えた。すでに“一億総AI活用時代”が到来した様相だ。「人間の仕事が奪われる」などとメディアは煽るが、その特性を正しく知って使えば、生活やビジネスの効率が大幅に上がるのは確実である。本書は最新のAI研究からその歴史、仕事への活かし方、AI時代に人間が鍛えるべき能力まで、人工知能研究の第一人者が解説。「AIを使う人間」と「AIに使われる人間」の分かれ目がここにある!

 本書は、最新のAI研究からその歴史、仕事への活かし方、AI時代に人間が鍛えるべき能力まで、人工知能研究の第一人者の著者が解説したもの。生成AIについては、活用法も含めて今後の課題にもなるでしょうが、変化への対応と使い方については参考となるところが多かったです。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月19日

『激安ニッポン』谷本真由美

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激安ニッポン(マガジンハウス新書) [ 谷本真由美 ]
価格:1,100円(税込、送料無料) (2023/10/19時点)




 東大卒より海外の介護士のほうが稼げる、欧米では年収1000万円で「低所得」…。日本がいかに安い国なのか、どうして安い国になってしまったのかをデータや事例とともに明らかにし、幸せをつかむヒントを紹介する。

 本書では、元国連専門機関職員の谷本真由美さんが、「物価も給料も日本はいまだに激安」であること、そしてその安さゆえに「海外から買われている」ことを“忖度抜き”で明かしています。日本人はなかなか気づけない、世界から見た「ニッポンの真実」がわかる一冊です。

 本書は、日本がいかに安い国なのかをデータや事例とともに明らかにしている内容で、海外との価格差をデータや事例で紹介しています。本書で書かれるデータを見ると、確かに日本は安い物、安い服、安い靴で暮らすことはできる国であるということは分かりますが、果たしてそれでいいのだろうか?と改めて考えさせられます。安さを求めることで価値を下げているということも考えていくべきと思いますが、ちょっと話は逸れますが、本書での各国との違いを見ると、国民の多くがデフレを望んでデフレの悪循環を招いているのではないかとも感じました。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月18日

『客観性の落とし穴』村上靖彦




 その考えは客観的なもの? エビデンスはある? こうした考え方が社会に広がった原因を考察。数字への素朴な信仰、数値化できないはずのものを数字へと置き換えようとする傾向を問い直し、失われたものを明らかにする。

 「その意見って、客観的な妥当性がありますか?」この感覚が普通になったのは、社会の動きや人の気持ちを測定できるように数値化していったせいではないか。それによって失われたものを救い出す。

 本書は、客観性、数値に価値が置かれることにより、序列化、差別、排除等の問題を生んでいることについて書かれており、特に個人の体験を大切に扱う視点の大切さについては考えさせられました。客観的なデータばかりに偏重した視点ではなく、客観も主観も大切にしていきたいです。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月17日

『帰ってきたお父ちゃん』水島かおり

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帰ってきたお父ちゃん [ 水島 かおり ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2023/10/17時点)




 幼稚園にあがる前に突然あらわれ、借金をつくっては蒸発するお父ちゃん。うそつきで泣き虫でだらしがないけど愛嬌あるオヤジを看取るまでの、女優であり脚本家でもある水島かおりの半自伝的小説。

 幼稚園にあがる前に、突然あらわれたお父ちゃん。それから母、セっちゃん、兄との四人暮らしが始まるが、お父ちゃんが借金をこしらえては蒸発するたびに「差し押さえ」がくるようなハチャメチャ生活に。明るくたくましい私は16歳のときに、ひょんなことからアイドルの道を歩むが、セっちゃんの闘病に向き合えず暴走するお父ちゃんに耐えかね絶縁状態となった。32歳のとき、咽頭がんで余命2年と診断されたお父ちゃんを看取る決心をするが……。家族のややこしさ温かさを突き付けられる、爆笑&落涙必至の半自伝小説。

 本書は、俳優で脚本家でもある著者の壮絶な自伝的小説。調子が良くてお気楽で、借金こさえると蒸発して……と、こんなお父ちゃんに辟易しつつも、咽頭がんでの壮絶な最期を看取るまでが綴られています。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月16日

『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』酒井聡平

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硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ [ 酒井 聡平 ]
価格:1,650円(税込、送料無料) (2023/10/16時点)




 日本兵1万人がいまだ行方不明という、「硫黄島の戦い」の謎。滑走路下にいるのか、それとも…。新聞記者が、民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査。執念でたどりついた真実を明かす。

 僕は、硫黄島発の電報を受けた側にいた父島の兵士の孫だった。『祖父の戦友とも言える戦没者の遺骨を本土に帰したい』13年前に一念発起し、政府派遣の遺骨収集団への参加を模索し続け、ようやく参加が認められたのだった。僕の心には、あの電報があった。『友軍ハ地下ニ在リ』硫黄島の兵士たちは今も地下にいて、本土からの迎えを待っているのだ。電報を信じ、地を這うように玉砕の島の土を掘りまくった。結果、僕はこれまでにどの記者も挑まなかった謎の解明に、執念を燃やすことになった。その謎とは……。

 本書は、硫黄島に4度渡り、日米の機密文書等を徹底調査した成果をまとめたもの。北海道新聞の記者でもある著者は、戦時中に小笠原諸島・母島の警備隊兵士だった祖父の軍隊手帳を見たのを機に、硫黄島に関心を持ち、新聞記者としてでなく「母島の兵士の孫」として、派遣団の一員として硫黄島に渡れる機会を得て、遺骨の収集作業に今も当たっています。北海道新聞社での著者のオンライン記者トークにも参加させていただき、貴重な資料や硫黄島の派遣団の現実など、実際に体験した人でなければ分からない話も聞かせていただきましたが、本書では知られざる様々な真実についても書かれており、著者の熱い想いが伝わる内容でもあり、多くの人に硫黄島の現実を知ってほしいとも思います。

【満足度】 ★★★★☆
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2023年10月14日

『いま本気で考えるための日本の防衛問題入門』小野圭司




 NATOは日本にどんな役割を期待しているのか。日本の防衛産業が抱えている問題とは。気候変動や人口減少は軍事にどんな影響を与えるのか…。防衛省防衛研究所の研究官が、安全保障の核心と未来を解説する。

 ロシアのウクライナ侵攻や台湾情勢の緊迫化、北朝鮮のミサイル発射…。緊張が高まるいま「反撃能力の保有」「防衛費増額」といった問題が議論されている。平和の理念と現実への対応のバランスをどうとるのか?私たちが直面している難問を考えるためのポイントと必須知識を、基本から解説!

 本書は、議論されている「反撃能力の保有」「防衛費増額」問題や、緊張高まる「台湾有事」「北朝鮮ミサイル発射」をどう考えるべきか?など、国民が知りたい防衛問題の核心を解説したもの。ロシアによるウクライナ侵略をはじめ、中国や朝鮮半島情勢、台湾有事、日米同盟、安保3文書、防衛費増額の背景、防衛産業が抱える問題、宇宙・サイバー・電磁波、AIからSNS戦に至るまで、古今東西の歴史と教訓を織り交ぜながら、今起きている事象の本質について、裏付けとなる具体的な数値やデータも示されていて、国防を考える上で、参考になる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月13日

『イラク水滸伝』高野秀行

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イラク水滸伝 [ 高野 秀行 ]
価格:2,420円(税込、送料無料) (2023/10/13時点)




 「水滸伝」さながら権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込むイラクの謎の巨大湿地帯〈アフワール〉とは? “現代最後のカオス”に挑んだノンフィクション。『オール讀物』連載を加筆・修正して単行本化。

 アフワール…そこは馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない地。権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む、謎の巨大湿地帯。中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録…“現代最後のカオス”に挑んだ圧巻のノンフィクション大作!

 本書は、イラクの謎の湿地帯・アフワールについての現地ルポをまとめた一冊。数多くのエピソードも興味深い内容ばかりで、チグリスとユーフラテス川が合流してペルシア湾に流れるイラク南部の巨大な湿地帯では、電気ガス水道を使わず、葦で作った家に住む原始的な暮らしから、発電機を使ってスマホを使いこなし、多くの水牛を飼う大牧場のような暮らしなど、自然と未知の文化の探究に富んだ内容で面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月12日

『おかげで、死ぬのが楽しみになった』遠未真幸

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おかげで、死ぬのが楽しみになった [ 遠未真幸 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2023/10/12時点)




 定年退職後、無所属、無希望。かつて応援団員だった3人が、友人の通夜で集まった。そこに、「応援団を再結成してくれ」と遺書が届くが、誰を応援してほしいのか分からなくて…。青春くらい熱くて尊い「老春」小説。

 きみの未来に、幸せの時限装置を仕掛けておいた。定年退職後、無所属、無希望。かつて応援団員だった3人が、友人の通夜で集まった。そこに、「応援団を再結成してくれ」と遺書が届くが…誰を応援してほしいのか分からない!?青春くらい熱くて尊い泣ける「老春」小説!

 本書は、同級生の遺言を受け取った70歳の老人3人が応援団を再結成して、周りの人を応援する…という物語ですが、それぞれのエピソードも温かく、オヤジギャグのダジャレも連発しますが、前向きになれる作品です。

【満足度】 ★★★★
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2023年10月11日

『息が詰まるようなこの場所で』外山 薫

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息が詰まるようなこの場所で [ 外山 薫 ]
価格:1,650円(税込、送料無料) (2023/10/11時点)




 一人息子の過酷な受験戦争、最上階に住む医者一族、エリートコースを歩む同僚やPTAの雑務…。大手銀行で働くさやかは、念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。逃げたいと思ったさやかは…。

 大手銀行の一般職として働く平田さやかは、念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。一人息子である充の過酷な受験戦争、同じマンションの最上階に住む医者一族の高杉家、そして総合職としてエリートコースを歩む同僚やPTAの雑務。種々のストレスから逃れたいと思ったとき、向かったのは親友・マミの元だった。かつては港区で一緒に遊び回り、夢を語り合った二人だったが…。幸せとはなんなのだろう。逃げ場所などない東京砂漠を生きる人々の焦燥と葛藤!

 本書は、タワマンの低層階と高層階に住む家族にフォーカスを当て、東京で生きるということの息苦しさや葛藤を等身大で描いた群像劇。タワマンの最上階に住む家族と低層階に住む家族の夫婦それぞれの気持ちがリアルで、家族の抱える問題をうまく物語としています。

【満足度】 ★★★★
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