2024年01月31日

『777 トリプルセブン』伊坂幸太郎

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777 トリプルセブン [ 伊坂 幸太郎 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/1/31時点)




 やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという「簡単かつ安全な仕事」のはずだったのだが…。

 そのホテルを訪れたのは、逃走中の不幸な彼女と、不運な殺し屋。そして…。やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという「簡単かつ安全な仕事」のはずだった…。時を同じくして、そのホテルには驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結花が身を潜めていた。彼女を狙って、非合法な裏の仕事を生業にする人間たちが集まってくる…。『マリアビートル』から数年後、物騒な奴らは何度でも!

 本書は、非合法な裏の仕事をこなす物騒な腕利きが集う「殺し屋シリーズ」の最新作で、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』に続く第4作。いつも不運に見舞われる七尾が、今回はホテルから出られずに災難に巻き込まれるストーリーで、伊坂ワールド全開で楽しく読めました。展開のテンポも良く、エンタメとして楽しめました。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月30日

『沈没船で眠りたい』新馬場新

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沈没船で眠りたい [ 新馬場 新 ]
価格:1,925円(税込、送料無料) (2024/1/30時点)




 2044年、技術革新に伴う人間の雇用の減少を憂いた機械打ち壊し運動の最中、暴動の首謀者と関係を持つひとりの女子学生が機械を胸に抱いて海に身を投げた。事件に隠された悲しき真実とは…? 慟哭のシスターフッドSF。

 加速度的に発展するAIによって、人間の就く職が減少することを憂いた人々が機械の打ち壊し運動を起こす最中、首謀者と関わりを持つ一人の女子学生が機械を抱いて海に飛び込んだ。彼女はなぜ、機械と心中まがいの行動に至ったのか…? 絶えず変化していく世界を、その中に生きる人間を、変わらずに愛することが出来るかを問う、慟哭のシスターフッドSF!

 物語は、加速度的に発展するAIや産業機械によって、人間の就く職が減少した2044年の日本を舞台に。そのことを憂いた人々が機械の打ち壊し運動を起こす最中、首謀者と関わりを持つ一人の女子学生が機械を抱いて海に飛び込み、機械と心中まがいの行動に至ったのかを描いた作品。「銀河鉄道999」の機械化人間を思い出すような作品で、人間と機械の境界線についてをうまくSFとして表現していました。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月29日

『地雷グリコ』青崎有吾




 射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは…。本格頭脳バトル小説。

 高校生の射守矢真兎が挑む5つの勝負。騙しと理詰めが勝利を導く。『11文学の檻』の著者による究極の頭脳戦。

 本書は、勝負ごとに強い女子高生の主人公・射守矢真兎(いもりや・まと)が、ちょっと変わったゲームに巻き込まれては敵を倒し続ける連作短編集で、騙しと理詰めが冴えわたる頭脳バトル小説。物語は、「グリコ」「神経衰弱」「ジャンケン」「だるまさんがころんだ」「ポーカー」…と、誰もが知る簡単なゲームが、特殊ルールの追加で複雑な攻防戦を繰り広げる頭脳としても推理としても楽しめる作品で、心理の読み合い、個性的な登場人物、ルールの抜け穴や意識の隙間を上手くついての逆転劇など、痛快な展開は非常に面白く、ぜひ映像化もしてほしいです。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年01月27日

『照子と瑠衣』井上荒野

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照子と瑠衣 [ 井上荒野 ]
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 照子と瑠衣。ともに70歳。妻を見下す夫を捨て、老人マンションの陰湿な人間関係を見限った。新天地に来て、ストレスのない暮らしを手に入れたふたりは、自分の人生を取り戻していき…。『コフレ』連載に加筆、訂正。

 照子と瑠衣はともに70歳。ふたりにはずっと我慢していたことがあった。照子は妻を使用人のように扱う夫に。瑠衣は老人マンションでの、陰湿な嫌がらせやつまらぬ派閥争いに。我慢の限界に達したある日、瑠衣は照子に助けを求める。親友からのSOSに、照子は車で瑠衣のもとに駆けつける。その足で照子が向かった先は彼女の自宅ではなく、長野の山奥だった。新天地に来て、お金の心配を除き、ストレスのない暮らしを手に入れたふたり。照子と瑠衣は少しずつ自分の人生を取り戻していく。照子がこの地に来たのは、夫との暮らしを見限り、解放されるため。そしてもう一つ、照子には瑠衣に内緒の目的があった…。

 本書は、70歳の元同級生の女性2人がモラハラ夫と老人マンションのイジメから、これまでの暮らしを見限って逃避行する物語。現実的ではない展開ではありましたが、70歳の女性2人のバイタリティさはエンタメとして面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月26日

『伝言』中脇初枝

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伝言 [ 中脇 初枝 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/1/26時点)




 「尽忠報国」「一億玉砕」「五族協和」、そう信じていた。永遠に失われた、もう、どこにもない国。あの場所で見たこと、聞いたこと、託されたことを忘れない…。終戦間際の満洲を事実に基づき描く。『小説現代』掲載を書籍化。

 満洲・新京で暮らす、ひろみ。「尽忠報国」「一億玉砕」「五族協和」、そう信じていた…永遠に失われた、もう、どこにもない国。あの場所で見たこと、聞いたこと、そして、わたしに託されたことを、わたしは忘れない。2016年本屋大賞3位。『世界の果てのこどもたち』には書かれなかったもうひとつの真実。終戦間際の満洲を、圧倒的な事実に基づき描く。

 本書は、終戦間際の満州を舞台に、現地で暮らしていた人への取材や文献資料をもとに描いた作品。豊かな生活を送る日本人と、満人と呼ばれた中国人たちの虐げられた生活。軍事機密として働いた工場での作業。戦後、日本に引き揚げるまでの過酷な情況。「尽忠報国」「一億玉砕」「五族協和」を信じて疑わなかった日々。そして、真実を知ってからの葛藤…と、満州からの引上げ者の現状と当時の悲惨な状況が鮮明に描かれ、戦争の悲惨さと当時の現実、そして言われるがままに何も考えず兵器を作っていた自分を後悔する主人公の思いや、見て見ぬふりをすることの愚かさなど、事実を伝え続けることの大切さを強く感じる作品でした。

【満足度】 ★★★★☆
ラベル:中脇初枝 伝言
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『女子大小路の名探偵』秦建日子

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女子大小路の名探偵
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 栄の女子大小路にあるバーで、のんびりバイト店長を務めていた大夏。ところが、そこに大事件が転がり込む! 連続女児殺害事件の容疑者になってしまった大夏は、絶縁状態だった姉の美桜に助けを求めるのだが…。

 栄の女子大小路にあるバー・タペンスで、のんびりとバイト店長を務めていた大夏。ところがそこに大事件が転がり込む!連続女児殺害事件の容疑者になってしまった大夏は、絶縁状態だった姉の美桜に助けを求めるのだが…ホステス、弁護士、大学教授、店の常連客、そして担当刑事、あらゆるネットワークを駆使した先に見えてきた驚愕の真相とは?真犯人が仕掛けた罠に、大逆転の計画で立ち向かう痛快ミステリー!

 本書は、名古屋市中区栄四丁目、通称「女子大小路」と岐阜柳ヶ瀬を舞台に繰り広げられるミステリ。名古屋で少女連続殺人事件が起こり、主人公が関係者として疑われてしまうも、頼れる姉と個性的な登場人物達と共に真犯人を追い詰める物語でしたが、テンポが良く、登場人物のキャラも個性的で面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月25日

『葬式同窓会』乾 ルカ

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葬式同窓会 (単行本) [ 乾ルカ ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/1/24時点)




 7年ぶりに再会した、高校3年6組の元クラスメートたち。それは同窓会ではなく、担任だった先生の葬儀だった。思いがけず再会した皆は、先生が授業中に起こした事件がきっかけで不登校になった男子生徒がいたことを思い出す。

 「彼が不登校にならなかったら、世界は変わっていたのかな」。7年ぶりに再会した、北海道立白麗高校3年6組の元クラスメートたち。それは同窓会ではなく、担任だった水野先生の葬儀だった。思いがけず再会した皆は、水野が授業中に起こした“事件”が切っ掛けで不登校になったクラスメートがいたことを思い出す。今、彼は…。

 本書は、高校3年生の時の担任教師が亡くなり、その通夜に集まった元クラスメート達の群像劇ですが、いじめ、差別、性的マイノリティ…など、様々な問題が含まれており、読み応えある作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月24日

『活版印刷 デザインのアトリエ』ギャビー・バザン

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デザインのアトリエ 活版印刷 [ ギャビー・バザン ]
価格:2,420円(税込、送料無料) (2024/1/23時点)




 ようこそ、フランスの印刷工房へ! 古代の複製技術から、グーテンベルクの活版印刷機の誕生、そして活版印刷のしくみまでを、職人がやさしく案内します。活版印刷のことがゼロからわかる入門ブック。

 ようこそ、フランスの印刷工房へ!古代の複製技術から、グーテンベルクの活版印刷機の誕生、そして活版印刷のしくみまで。奥深い職人の世界をのぞいてみよう!活版印刷のことがゼロからわかる!職人を水先案内人に、大人から子どもまで楽しめる、いちばんやさしい活版印刷入門ブック。

 本書は2022年に、フランスから刊行されたアーティストによる絵本の翻訳版で、活版印刷や製本など、本と印刷にまつわる、歴史や技術の素晴らしさを、幅広い世代の人々と分かち合いたいとい願いから生まれたもので、フランスの活版印刷工房を舞台に、印刷工が水先案内人となって、奥深い職人の世界を紹介しています。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月22日

『体に悪い、悪くない、ホントはどっち?』ジョージ・ザイダン




 加工食品、電子タバコ、コーヒー、チートス…。「体にいい」「体に悪い」って研究結果は、ホントかウソか? いろいろな疑問への回答を得るために、体内に取り込む化学物質に関する論文1000本を読んで検証する。

 私たちの現代の生活は,科学によって支えられ,その知識に基づき作られた道具や,昔よりずっと長持ちするようになった食品で満ちあふれている.しかしこうも豊富にあるのに,私たちの「科学」の知識は乏しく,加工食品の原材料を見ては,そこに羅列するカタカナ語の文字数に頭を抱え,これらが自身の健康に害を与えるものではないかと怯えている.その一方で,嗜好品としてたばこを愛用したり,「天然」や「無農薬」と書いてあれば,ヒトにとって彼らが友好的で親愛なる善きサマリア人だと思って疑わない.しかし本当にそうだろうか? 本書は,科学を恐れすぎていて,しかし恐れ知らずでもある私たちを,ユーモアを交えながら時にシリアスかつ大胆に「科学の世界」へと連れて行ってくれるだろう.

 本書は、加工食品から体内に取り込まれる化学物質が、本当に体に悪いのか?を論文1000本を読んで検証したもの。人間が食べ物を保存するようになったきっかけ、タバコと電子タバコの違い、コーヒーは体にいいのか悪いのか、加工食品はどれくらい許容できるのか?…など、安全を訴えつつ矛盾を抱える加工食品の裏側を見るための検証結果は興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月20日

『家で死ぬということ ひとり暮らしの親を看取るまで』石川結貴




 入院も施設入所も拒み、住み慣れた家でひとり暮らしを続けた父。終末期の父に付き添い、介護し、死にゆく傍らでその一部始終を見ていた著者が、父と自身に降りかかった様々な出来事を綴り、「家で死ぬ」というリアルを伝える。

 命の終わり、その場所はどこがいいですか。住み慣れた自宅で幸せな最期を迎えるために。親子の絆を探す3年間の遠距離看取り体験記。

 本書は、病院や施設に入ることを拒み続け、実家で一人暮らしを続ける父親と、遠距離介護した娘と父のリアルな泣き笑い奮戦記。遠距離介護のリアルな現実が書かれており、介護の始まりから看取りまでの出来事が書かれ、親の介護問題に非常に参考になる内容です。自宅で家族に看取られて…ということを望む人は多いでしょうし、できるうちは子供達に迷惑を掛けたくは無いと思う人も多いでしょうが、係わる周囲の人達のことを考え、我を張らず、素直に受け入れることも大切だと改めて考えさせられる一冊でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月19日

『後悔しない生き方 人生をより豊かで有意義なものにする30の方法』マーク・マチニック




 仕事や人間関係をより豊かで有意義なものにするには、ものの見方を変えればいい。米国の経営コンサルタントが、後悔しない生き方をするための30の方法を紹介する。

 「自分の思いに素直になる」「一日一日を大切に生きる」「現状を打ち破る」「困難に挑戦する」「良心にしたがう」という5つの基本方針から、 人生をより豊かで有意義なものにするための30の方法を紹介!

 本書は、5つの視点から後悔しない生き方についてを紹介した一冊。より良く生きるため、後悔しない人生を選択するためについての方法が書かれていますが、割と当たり前のことが繰り返し書かれていますが、これを行動できるかできないかが大きなポイントなのだと思います。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月18日

『還暦不行届』安野モヨコ

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還暦不行届 (単行本) [ 安野 モヨコ ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/1/18時点)




 きのこを食べられるようになった。少し運動するようになった。家事をやってくれるようになった…。還暦を迎えた夫、鬼才監督・庵野秀明とのおかしくも愛おしいディープな日常を綴る。SNSほか掲載を書籍化。

 本書は、『新世紀エヴァンゲリオン』の監督で知られる庵野秀明氏との“日本一のオタ夫婦”としての日常を、その妻であり漫画家の安野モヨコ氏がつづったエッセイ集で、日常から垣間見える庵野監督の鬼才っぷりを妻の視点でおもしろおかしく描いた一冊。夫婦というよりクリエイターの視点からの日常生活がとても面白く、お互い尊敬し合う仲であるというのがとてもよく分かる内容で、ディープな日常は読んでいて楽しかったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月17日

『お怒り対応マニュアル クレーム対応以前の「お客様対応」』川合健三




 34年間で2000件以上のクレームに対応した元お客様相談室長が、ほとんどのクレームを早い段階で解決できる「お怒り対応」の手法を紹介する。現場ですぐに使えるフレーズ集、言い換えリスト付き。

 理不尽な要求もこれで解決! 34年間で2000件以上のクレーム対応に携わった元お客様相談室長による、新しい「お客様対応」。

 本書は、34年間で2000件以上のクレームに対応した元お客様相談室長によるクレーム対応とは違う、「お怒り対応」の基本が書かれた一冊。フレーズ集、言い換えリストは具体的に紹介されており、特にNG表現をOK表現にする「言い換えリスト」は参考になりました。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月16日

『危ない家電 「使い方」「管理」「掃除」…誤ると悲惨な事故に!』ぼうきち




 日常的によく使う身近な家電でも、使い方を誤れば、火事になったり爆発したりと危険を生じる。電子レンジやエアコン、スマートフォン、電動キックボードなど、さまざまな家電の注意点や危険回避の方法を紹介する。

 こんなにあった、家電のトラブルや事故の話。技術的観点から、家電製品の危険性を知り、事故・ケガのリスクを回避する!

 本書は、消防や行政からの「家電事故報告」から、ネットに溢れる「危険な家電の噂話」などをもとに、家電製品の「危ない状況」を可能な限り検証したもので、家電製品を使うリスクと正しい使い方が紹介された一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月15日

『アジア発酵紀行』小倉ヒラク

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アジア発酵紀行 [ 小倉 ヒラク ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/1/15時点)




 チベットのサバイバル食「バター茶」、漢方麹でつくるリス族の白酒、謎の“インドなれずし”…。壮大なスケールでアジアの発酵文化の源流を浮き彫りにする。『オール讀物』連載に加筆修正。

 チベット〜雲南の「茶馬古道」からインド最果ての内戦地帯へ―前人未到の旅が幕をあける!

 本書は、中国雲南省の熱帯エリアからヒマラヤ、そしてインドの東の最果て…と、日本の発酵文化の起源を求めてアジア辺境を旅するノンフィクション。米に付着して日本酒などの原料になる糀(こうじ)というのは日本独自の発酵の素だと考えられてきましたが、実はアジアにもその文化は長らく(むしろ日本に糀文化が生まれる前から)存在し続けてきたのではないか、という仮説から、「海の向こうにも糀文化の兄妹がいるのではないか」という着眼点で新しい旅のルートを見出し、アジアの発酵文化を辿っていきますが、非常に興味深いアジア紀行でした。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年01月13日

『同じ星の下に』八重野統摩

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同じ星の下に [ 八重野 統摩 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/1/13時点)




 自分を虐待してきた両親が、自分の殺害を計画していることを知った中学2年の沙耶。ところが下校途中、ある男に誘拐・監禁される。監禁下の交流から、彼女は、男が、じつは「本当の父親」ではないかと疑い始め…。

 12月の北海道。中学2年の少女・沙耶は、自分を日常的に虐待する両親が、明日の晩、海で自分の殺害を計画していることを知っていた。ところが下校途中、「児童相談所の職員」を名乗る男・渡辺の車に乗せられ、そのまま誘拐・監禁される。監禁下のやりとりで男にやさしさを感じ、あることから彼女は、男が、じつは「本当の父親」ではないかと疑い始める。一方、男は身代金2000万円が目的の営利誘拐であるとの犯行声明を北海道警察に送りつけ、粛々と計画を進める。渡辺とは一体、誰で、何が目的なのか?

 本書は、両親から虐待を受けて来た中学2年の沙耶が誘拐され、誘拐犯との奇妙な交流が描かれる作品。犯人の狙いや真相はネタバレになるので書けませんが、誘拐ミステリとは違い、二人の交流、誘拐の顛末、男の真意など心温まる作品で、できれば映画化してほしい物語です。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月12日

『歌われなかった海賊へ』逢坂冬馬

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歌われなかった海賊へ [ 逢坂 冬馬 ]
価格:2,090円(税込、送料無料) (2024/1/12時点)




 1944年、ナチ体制下のドイツ。父を処刑された少年ヴェルナーは、エーデルヴァイス海賊団を名乗るエルフリーデとレオンハルトに出会う。市内に敷設された線路を辿った果てで「究極の悪」を目撃した彼らのとった行動とは…。

 1944年、ヒトラーによるナチ体制下のドイツ。密告により父を処刑され、居場所をなくしていた少年ヴェルナーは、エーデルヴァイス海賊団を名乗るエルフリーデとレオンハルトに出会う。彼らは、愛国心を煽り自由を奪う体制に反抗し、ヒトラー・ユーゲントにたびたび戦いを挑んでいた少年少女だった。ヴェルナーらはやがて、市内に敷設されたレールに不審を抱き、線路を辿る。その果てで「究極の悪」を目撃した彼らのとった行動とは。差別や分断が渦巻く世界での生き方を問う、歴史青春小説。

 本書は、ナチスの支配するドイツで生き、体制に反抗した少年少女を描いた作品。物語で描かれるエーデルヴァイス海賊団は、ナチス政権下のドイツに実在した若者の集団で、その史実を読みごたえのある物語として、戦争末期のドイツを生きた少年少女の生き方を活写しています。理不尽に抑圧された社会の中で、懸命に生きる若者たちの熱さが伝わる内容で、見て見ぬふりをする大人たちとは違い、子供たちの勇敢な行動力は強い印象を受けました。本屋大賞を受けたデビュー作「同志少女よ、敵を撃て」以来2年ぶりとなる新刊の本書は、非常に読み応えがあり、とても良い作品でした。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年01月11日

『ラウリ・クースクを探して』宮内悠介

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ラウリ・クースクを探して [ 宮内悠介 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/1/11時点)




 ソ連時代のエストニアに生まれたラウリは、黎明期のコンピュータ・プログラミングで稀有な才能をみせ、魂の親友と呼べるロシア人のイヴァンと出会う。だが二人は時代の波に翻弄され…。『小説トリッパー』掲載を単行本化。

 ソ連時代のバルト三国・エストニアに生まれたラウリ・クースク。黎明期のコンピュータ・プログラミングで稀有な才能をみせたラウリは、魂の親友と呼べるロシア人のイヴァンと出会う。だがソ連は崩壊しエストニアは独立、ラウリたちは時代の波に翻弄されていく。彼はいまどこで、どう生きているのか?…ラウリの足取りを追う“わたし”の視点で綴られる、人生のかけがえのなさを描き出す物語。

 本書は、プログラムを通じて生まれた少年たちの友情が、エストニアとソビエトの歴史に翻弄される物語。エストニアに生まれたプログラムが得意な少年ラウリの半生が描かれる作品ですが、不安定な情勢の中にあるこの小さな国がIT国となった背景や、歴史に翻弄される様子など、ひたむきに生きる名も無き人の半生の物語は余韻の残る作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年01月10日

『列』中村文則

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列 [ 中村 文則 ]
価格:1,540円(税込、送料無料) (2024/1/10時点)




 ある動物の研究者である「私」はいつのまにか「列」に並んでいた…。先が見えず、最後尾も見えない。だれもが互いを疑い、時に軽蔑し、羨んでいる。この現実に生きる私達に救いは訪れるのだろうか。『群像』掲載を単行本化。

 あらゆるところに、ただ列が溢れているだけだ。何かの競争や比較から離れれば、今度はゆとりや心の平安の、競争や比較が始まることになる。私達はそうやって、互いを常に苦しめ続ける。「君だって、列に並びたいから、並んでたんだろ?」ある動物の研究者である「私」は、いつのまにか「列」に並んでいた…。先が見えず、最後尾も見えない。だれもが互いを疑い、時に軽蔑し、羨んでいる。この現実に生きる私達に、救いは訪れるのだろうか。

 本書は、先頭も末尾も見えぬ長蛇の列に並んだ主人公が、並び続けるか列を離れるか、周囲との駆け引きを通じ、優越感や焦燥感、連帯感、性的衝動に心を乱される様子が描かれる作品。物語は三部構成となっており、人は何故列を作るのか、なぜ並ぶのかを不条理文学として表現しています。

【満足度】 ★★★★
ラベル:中村文則
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2024年01月09日

『めざせムショラン三ツ星』黒柳桂子




 刑務所の食事は受刑者が作っている。調理を教えているのは、栄養士!? コロッケ爆発、鍋から火柱…。何も知らず刑務所の炊場に飛び込んだ栄養士と、料理初心者の男子受刑者たちの給食作り奮闘記。オリジナルレシピ付き。

 著者は天然記念物並みに希少な全国に20人程度しかいない現役の刑務所管理栄養士。知られざる刑務所の給食事情を、笑いありホロリありのエピソードを交えて紹介する。クサくないメシづくりをめざして調理経験ゼロの受刑者たちと奮闘する日々を描く炊場ドタバタ実録。

 本書は、サブタイトルに「刑務所栄養士、今日も受刑者とクサくないメシ作ります」とありますが、国家公務員の管理栄養士である著者が、愛知県・岡崎医療刑務所でのレシピを考え、刑務作業をする受刑者の調理を指導するクッキング奮闘記。著者が勤務する刑務所は、男子刑務所ということもあり、調理経験がほぼゼロという受刑者が大半で、そのため、ふかしたジャガイモを冷ますために水をかけたり、冷凍コロッケが次々と爆発したり…と、料理初心者たちが真剣に取り組むゆえに数々の珍事件が起こります。全国の刑務所人気ナンバーワンの「どんぶりぜんざい」、「ピーナツ煮」、「獄旨ドーナツ」など、中々立ち入ることのできない刑務所の炊場で作られたオリジナルレシピも収録されており、笑えるエピソードも多く、楽しく読むことができました。

【満足度】 ★★★★
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