2024年02月29日

『存在のすべてを』塩田武士

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存在のすべてを [ 塩田武士 ]
価格:2,090円(税込、送料無料) (2024/2/29時点)




 平成3年に発生した誘拐事件から30年。新聞記者の門田は旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がり…。『週刊朝日』掲載を改題・加筆修正。

 前代未聞「二児同時誘拐」の真相に至る「虚実」の迷宮!真実を追求する記者、現実を描写する画家。著者渾身の到達点、圧巻の結末に心打たれる最新作。 本書は、未解決に終わった二児同時誘拐事件から30年後、当時の事件に関わっていた新聞記者が真実を求めて取材を開始し、絵をモチーフに二つの誘拐から始まる家族の物語。登場人物の背景事情、報道のしがらみ、美術界の縦社会など、凝った展開で著者らしい読ませる物語で、読み応えある作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月28日

『十戒』夕木春央

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十戒 [ 夕木 春央 ]
価格:1,815円(税込、送料無料) (2024/2/28時点)




 伯父が所有していた枝内島を訪れた里英。島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たちのうち、不動産会社の社員が殺された。そばに「この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない」と書かれた紙片が…。

 浪人中の里英は、父と共に、叔父が所有していた枝内島を訪れた。島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。“この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まった……。

 本書は、前作『方舟』に続き、聖書のエピソードを下敷きにしたクローズドサークルミステリ。『方舟』は、生き延びるため、制限時間までに犯人を見つけようとする展開だった。こちらは、生き延びるため、犯人探しをしないようにして、期限が来るのを待つという展開でしたが、最後の解説で『方舟』を読んでいた人は二度驚く設定にもなっており、この仕掛けは見事でした。作品のインパクトとしては前作『方舟』の方が衝撃的だったこともあり、やや物足りなさは感じましたが、ミステリとしては楽しめました。

【満足度】 ★★★★
ラベル:夕木春央 十戒
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2024年02月27日

『外事警察秘録』北村 滋

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外事警察秘録 [ 北村 滋 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/2/27時点)




 中国、ロシア、北朝鮮…。海外からの脅威に日本の「外事警察」はいかに対峙してきたのか。警察官僚、前国家安全保障局長の著者が、スパイとの闘い、水面下での極秘任務の数々を明かす。『文藝春秋』掲載を書籍化。

 北朝鮮による日本人拉致事件、日本赤軍メンバーの追跡、オウム真理教「ロシアコネクション」の解明、プーチンのスパイとの攻防、山口組マフィア・サミットの阻止、中国スパイのTPP妨害工作の摘発……。警察官僚、前国家安全保障局長として、数々の修羅場をくぐり抜けてきたインテリジェンス・マスターと『見えざる敵』との闘いは、外事警察が抉る平成の裏面史でもあった。知られざるスパイとの闘い、水面下での極秘任務の数々がいま初めて明かされる!

 本書は、中国、ロシア、北朝鮮…スパイ戦争の最前線が紹介された一冊。対凶悪犯・国家的犯罪・国難級災害など、日本中を揺るがす大事件の裏で何が行われてきたのかは、警察官僚、前国家安全保障局長だった著者だからこその内容で、紹介されるそれぞれのエピソードは実に興味深いもので、日本の安全保障の最前線を知ることができ、外国に関連する捜査活動についてもインパクトがありました。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年02月26日

『可燃物』米澤穂信

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可燃物 [ 米澤 穂信 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/2/26時点)




 連続放火事件が発生し、県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに犯行がぴたりと止まってしまう。捜査は行き詰まるかに見えたが…。葛警部の鮮やかな推理が光る全5編。『オール讀物』掲載を単行本化。

 太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か?なぜ放火は止まったのか?犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが…(「可燃物」)。連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。

 本書は、早川書房「ミステリが読みたい!」、文藝春秋「週刊文春ミステリーベスト10」、宝島社「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得した作品。群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズで、5編の作品が収録されたミステリ集です。深夜の交通事故、バラバラ殺人、街の連続放火、立てこもり…など、主人公の葛警部が対峙する事件にはどれも奇妙な点があり、都合のよい目撃証言に飛びつかず逆に不信感を抱くなど、経験に基づいた判断力が冴えわたり、鮮やかな推理で魅了する警察ミステリです。

【満足度】 ★★★★
ラベル:米澤穂信 可燃物
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2024年02月24日

『愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集』佐々木良

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愛するよりも愛されたい [ 佐々木良 ]
価格:999円(税込、送料無料) (2024/2/24時点)




 1300年前に奈良で生まれた万葉集を、現代の奈良弁で訳した本。本書では、奈良時代の若者の恋歌を“令和の若者言葉”や“奈良の言葉”を使って訳しています。ワンチャン、〇〇しか勝たん、ならファミリー、ナライガーなどなど……気難しそうな万葉集も、これなら読めるかも?!

 本書は、万葉集の恋歌を若者言葉に訳した一冊。万葉集を奈良弁プラス現代の若者言葉と絵文字を使ってSNS風に超訳していて、面白い視点で万葉集を取り上げています。思わず笑ってしまう万葉集の内容は、古典の新解釈として楽しかったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月23日

『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?』森達也・編




 街を歩いていても気づきにくい。目をこらさないと見えない。目に付けば議論になる。それを避けるためにひっそりと、こっそりと進められていく排除のシステム。11人の論客がそれぞれの専門分野の状況を読み解く。

 排除したい。だからこそ見えづらくする。街を歩いていても気づきにくい。目をこらさないと見えてこない。こっそりと進められていく排除のシステム。誰が排除されているのか。どうやって排除しているのか。11人の論客がそれぞれの専門分野の状況を読み解く。

 本書は、サブタイトルに「知らぬ間に忍び寄る排除と差別の構造」とありますが、「排除」と「差別」をキーワードに各方面の11人が様々な切り口で語るノンフィクション。アート、貧困、公共財など、興味深い内容にはなっていますが、「区別」をあえて「差別」として取り上げている部分が見られる箇所が幾つか見られ、偏りある見方に感じられるところも多く、個人的にはイマイチでした。

【満足度】 ★★☆
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2024年02月22日

『あのとき売った本、売れた本』小出和代

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あのとき売った本、売れた本 [ 小出和代 ]
価格:1,925円(税込、送料無料) (2024/2/22時点)




 日本最大級の書店、紀伊國屋書店新宿本店。25年間文芸書売場に立ち続けた名物書店員の、ベストセラー回顧録。帯から火がついたミステリなど「本屋さんの裏話」が満載。『小説宝石』連載を大幅に加筆修正し単行本化。

 日本最大級の書店、紀伊國屋書店新宿本店。25年間文学書売場に立ち続けた名物書店員の、ベストセラー回顧録。店頭に積んだ瞬間から飛ぶように売れた『1Q84』、重版が追いつかず各書店で取り合いになった『ハリー・ポッターと賢者の石』。文芸史に残る大ヒット作はもちろん、フェアで爆発した詩集や、帯から火がついたミステリなど「本屋さんの裏話」が満載。元アメリカ大統領・クリントン氏のサイン会で起きた驚きの出来事、東日本大震災の夜に手を差し伸べてくれた人気作家…。大型書店だからこそ出会えた珠玉のエピソード、25年間の記録。

 本書は、紀伊国屋書店で書店員として25年以上務めて退職した著者による、売れた本にまつわるエッセイ集。あらすじや本の魅力の紹介も書かれており、ブックガイドとしても面白く、本を売るための工夫や作家とのエピソードや、大手書店だからこそのエピソードなど、読書好きにはたまらない一冊でした。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年02月21日

『アミュレット・ホテル』方丈貴恵

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アミュレット・ホテル [ 方丈貴恵 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/2/21時点)




 〈アミュレット・ホテル〉は、武器も違法薬物もお取り寄せ可能、警察の捜査が一切入らない犯罪者たちの楽園。でもルールを破ったらホテル探偵があなたを必ず追いつめます…。本格ミステリ短編集。『ジャーロ』掲載を加筆修正。

 そのホテルは犯罪者たちの楽園。守るルールは2つだけ。一、ホテルに損害を与えない。二、ホテルの敷地内で傷害・殺人事件を起こさない。ルールを破ったらホテル探偵が必ずあなたを追い詰めます。

 本書は、犯罪者御用達のホテルで起きた事件を描く探偵小説。「ホテルに損害を与えず、敷地内で傷害や殺人事件を起こさない事」。この2点を守れば、どんなサービスでも提供するアミュレット・ホテルが舞台で、偽造パスポートでも実弾でも用意してくれる、そんな犯罪者の楽園の如きホテルなのに殺人事件が勃発し、ホテル探偵が調査して犯人を探し出す連作ミステリですが、特殊な設定も面白く、奇抜な内容ではあるものの、本格推理が楽しめる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月20日

『エヴァーグリーン・ゲーム』石井仁蔵




 世界有数の頭脳スポーツでありながら、日本ではまだ競技人口の少ないチェス。その魅力にとりつかれた、4人の若者たち。彼らは、己のすべてをかけて盤上の戦いに挑む。命懸けの勝負の行方は…!?

 世界有数の頭脳スポーツであるチェスと出会い、その面白さに魅入られた4人の若者たち。64マスの盤上で、命を懸けた闘いが繰り広げられる……!

 本書は、「第12回ポプラ社小説新人賞」受賞作で、それぞれ背負うものがある4人の若者たちが、世界有数の頭脳スポーツ「チェス」に出会い、その魅力にとりつかれ、チェスを通して己の人生と戦っていく物語。病気や障害、不安、ピンチなどを抱えた各主人公たちが、チェスとの出会いによって成長し、命がけの熱き勝負が描かれます。チェスの世界の奥深さと、人間ドラマは読みごたえある作品で、チェスのことが分からなくても楽しめる物語です。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月19日

『エレファントヘッド』白井智之

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エレファントヘッド [ 白井 智之 ]
価格:2,145円(税込、送料無料) (2024/2/19時点)




 精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、小さな亀裂から崩壊してしまうことを…。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていき…。多重解決ミステリ。

 本書は、主人公で精神科医の象山は、過去のトラウマを抱えながら愛する家族と暮らしていた中、ある時謎の薬を手に入れたことで、とんでもない事態に巻き込まれることになるミステリ。エロとグロと倫理破綻も交わう作品で、読み手によって大きく好みが分かれるでしょうが、著者らしい特殊設定ミステリで、この設定で描いたことに驚きます。難解な物語ではあるものの、ストーリーがある程度理解できると面白いです。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月17日

『東家の四兄弟』瀧羽麻子

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東家の四兄弟 [ 瀧羽麻子 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/2/17時点)




 東家は占い師を父に持つ、男ばかりの四兄弟。三男の優三郎がタロットで〈最凶〉のカードを引き当ててから、不運が連鎖し、隠れていたトラブルが表面化し始める。平穏な日常は戻るのか!?『コフレ』連載に加筆、訂正。

 東家は男ばかりの四兄弟。上から研究者の朔太郎、占い師の真次郎、会社員の優三郎、大学生の恭四郎と両親が、ほどよいバランスで暮らしている。ある日、優三郎が趣味のタロットで“最凶”のカードを引き当てた。直後、優三郎と彼女の秘密が真次郎によって恭四郎に明かされ、信頼関係に亀裂が入ってしまう。不運の連鎖は止まらない。朔太郎や両親にも波及し、隠れていたトラブルが表面化しはじめた。あげくの果てに家族関係を崩壊させそうな女性まで現れ…。噴出する秘密と本音に大わらわの東家に、平穏な日常は戻るのか!?

 本書は、タロットカード占いが引き起こした不運に翻弄される、心優しい家族の物語。タイプも性格も異なる男子4兄弟の視点が交互に切り替わりながら展開する家族小説で、大きな事件や展開はないものの、テンポよく物語は進み、テレビドラマを見ているような感じで、家族の優しさが感じ取れる作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月16日

『あなたが誰かを殺した』東野圭吾

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あなたが誰かを殺した [ 東野 圭吾 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/2/16時点)




 閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。そこに、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎が現れ…。

 本書は、刑事・加賀恭一郎シリーズの最新作で、裕福な家族が集まる別荘地を舞台にしたミステリ。休暇中の加賀刑事が、依頼によって別荘地で起こった無差別連続殺人事件に挑む作品ですが、著者の初期ミステリのような本格推理で、斬新さはやや欠けていましたが、ミステリとしては楽しめました。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月15日

『アリアドネの声』井上真偽

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アリアドネの声 [ 井上 真偽 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/2/15時点)




 巨大地震が発生。地下の危険地帯に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。崩落と浸水で救助隊の進入は不可能で、およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれしまう。運命はドローンを操るハルオの指先に託され…。

 事故で、救えるはずだった兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから災害救助用ドローンを扱うベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)として活動する中川博美だった―。崩落と浸水で救助隊の進入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。無音の闇を彷徨う要救助者の女性と、過去に囚われた青年。二人の暗闇に光は射すのか…。

 本書は、超難関の救出作戦を描いた作品で、IT技術を結集させた地下都市を巨大地震が襲い、目が見えず耳も聞こえず、話せないという3つの障害のある女性が取り残される。がれきや火災で救助隊の進入は不可能で、浸水により救助までのタイムリミットは6時間。次々と不測の事態に襲われながら、危機的状況に置かれた女性をいかに救うかを描いた物語。冒頭から緊迫感ある展開が最後まで続き、巨大地震で地下水による浸水が迫るなか、ドローンビジネスを手掛ける企業に勤める主人公を始めとする救助チームがドローンを使って、スリリングな救出劇を展開します。救助を進める中で、様々な困難や疑惑なども起きる中、ラストの展開はとても良く、できればぜひ映像化してほしい作品です。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年02月14日

『をんごく』北沢 陶

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をんごく [ 北沢 陶 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/2/14時点)




 大正時代末期、画家の壮一郎は妻・倭子の死を受け入れられずにいた。巫女に降霊を頼むと「普通の霊とは違う」と警告を受ける。倭子の霊について探る壮一郎は、死を自覚していない霊を喰う「エリマキ」と出会い…。

 大正時代末期、大阪船場。画家の壮一郎は、妻・倭子の死を受け入れられずにいた。未練から巫女に降霊を頼んだがうまくいかず、「普通の霊とは違う」と警告を受ける。懸念は現実となり、壮一郎のもとに倭子が現われるが、その声や気配は歪なものであった。倭子の霊について探る壮一郎は、顔のない「エリマキ」と出会う。エリマキは死を自覚していない霊を喰って腹を満たしていると言い、倭子の霊を狙うが、大勢の“何か”に阻まれてしまう。ふたりは怪現象の謎を追ううち、忌まわしい事実に直面する。

 本書は、第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作で、大正末期の大阪・船場の商家を舞台にした怪奇ホラーとミステリを合わせた物語。風景や心象描写は見事で、とても読みやすい作品でもあり。読後も良かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月13日

『夜のお店解剖図鑑 お酒を出す店舗の仕掛けと工夫がマルわかり』高橋哲史

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夜のお店 解剖図鑑 [ 高橋 哲史 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/2/13時点)




 バー、クラブから、町中華、コンカフェまで、お酒を提供する繁盛店の「おもてなし」を完全図解。間取り、デザイン、テーブル・イス、店員の服装など、夜のお店を知りたい、つくりたい、描(書)きたい人に役立つ資料が満載。

 飲食店の天井をはずして俯瞰・立体的に見てみよう。こだわりのデザイン・座席の数・その間隔や、トイレの位置、厨房の広さ……、さらにはそこで働く人の所作や服装などなど、それぞれのお店に最適化された独自の仕掛けが見えてくるはずです。本書は、バー、クラブ、スナックから、角打ち、町中華、コンカフェまで。お酒を提供する繁盛店の「おもてなし」を完全図解しました。著者はこのような酒類を提供する店舗を100件以上設計してきた大ベテランの設計者です。夜のお店を知りたい、つくりたい(開業したい)方だけでなく、描(書)きたいクリエイターまで。すべての人に役立つ資料が満載の1冊です。

 本書は、バー、クラブ、スナックから、角打ち、町中華、コンカフェまでお酒を提供する繁盛店の「おもてなし」を完全図解した一冊。間取り、デザイン、テーブル・イス、食器の寸法、店員の服装などなど夜のお店を知りたい、つくりたい、描きたい人にも役立つ資料も充実しています。夜のお店の構造上の解剖図鑑は、読んでいても面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月12日

『名探偵のままでいて』小西マサテル

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名探偵のままでいて [ 小西 マサテル ]
価格:1,540円(税込、送料無料) (2024/2/12時点)




 かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、71歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。しかし、小学校教師である孫娘の楓が、身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった!

 かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、71歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。しかし、孫娘の楓が身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった!そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が…。

 本書は、レビー小体型認知症の祖父が安楽椅子探偵となり、小学校の女性教諭の孫娘の持ち込む様々な謎を次々と解決していく連作ミステリ。謎解き自体は少々決定力に欠けていたものの、探偵役の祖父と語り手の孫娘の関係性や家族の絆を強く感じ、ドラマを見ているような感じで読みやすかったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月10日

『魔女の原罪』五十嵐律人

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魔女の原罪 [ 五十嵐 律人 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/2/10時点)




 鏡沢高校には校則がないが、“法律”だけは犯してはいけない。僕らにとってはいたって普通のことだ。しかし、ある変死事件をきっかけに、鏡沢高校、そして僕らが住む街の秘密が暴かれていく…。特殊設定リーガルミステリー。

 僕らの通う鏡沢高校には校則がない。ただし、入学式のときに生徒手帳とともに分厚い六法を受け取る。校内のいたるところには防犯カメラが設置されてもいる。髪色も服装も自由だし、タピオカミルクティーを持ち込んだって誰にも何も言われない。すべてが個人の自由だけれども、“法律”だけは犯してはいけないのだ。現役弁護士作家の特殊設定リーガルミステリー。

 本書は、魔女裁判、法律、医療も絡む特殊設定のミステリ。設定も展開も非常に複雑で、舞台となる法律に違反しなければ自由が保障されるという鏡沢高校、町に漂う空気から感じる不穏さなど、物語は複雑な構成にもなっていて、読み応えはありましたが、読後は少々読み疲れも感じました。

【満足度】 ★★★
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2024年02月09日

『未明の砦』太田 愛

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未明の砦 [ 太田 愛 ]
価格:2,860円(税込、送料無料) (2024/2/9時点)




 大手自動車メーカーで働く4人の非正規工員は、共謀罪の初の標的となり、公安とグローバル企業を相手に闘うことを選ぶ。4人が決意した最後の実力行使の手段とは…。学芸通信社の配信により各紙にて掲載したものに加筆修正。

 大手自動車メーカー「ユシマ」の工場で働く4人の非正規工員は、夏休みのある出来事を契機に大きくその人生の軌道を変える。そして冬、彼らは共謀罪の初の標的となる。逃亡のさなか、4人が決意した最後の実力行使の手段とは…。共謀罪始動の真相を追う刑事、この国を超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。

 本書は、犯罪の相談・準備をしたと判断されただけで逮捕される共謀罪を題材とした社会派サスペンス。物語は、大手自動車メーカーで働く非正規の若者4人が、警察をバックにつける大手自動車メーカー相手に、共謀罪の初の標的となったことから、労働者の人権を守ろうと立ち上がるストーリーですが、労働者、経営者、警察、公安、政治家、マスコミ…と様々な立場の人々の視点で、非正規問題を重厚なエンタメとして描かれています。工場労働の過酷な現実など、社会問題としても非常に考えさせられる作品で、待遇改善の為に知識を身につけ何者にも屈しない決意で大きな敵に挑んでいく主人公達の姿も胸が熱くなりました。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年02月08日

『パドックの教科書 好調馬、不調馬を見抜け!』治郎丸敬之

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パドックの教科書 [ 治郎丸敬之 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/2/8時点)




 馬の目や耳、口、尻尾、馬具などの各パーツの見方から、踏み込みや入れ込みなどの歩き方、馬体全体を見るポイントまでを伝授。馬体重や馬格の話、パドック解説者の苦悩、競馬関係者インタビューも収録。

 2022年春より川崎競馬場でのパドック解説を始めた著者が贈る『パドックの見方』が自然と身につく『教科書』。パドックで馬の雰囲気(精神状態)を見るべきという論から始まり、目や耳、口、尻尾、馬具などの各パーツの見方、踏み込みや入れ込み(気合乗り)などの歩き方、そしてパドックで馬体全体をパッと見る5つのポイントと続く。さらに馬券につながる肝としての「馬体重」や「馬格」の話、パドック解説者としての苦悩、関係者とのインタビューも掲載。

 本書は、人によってハードルが高いと感じることもある 競馬場での競走馬のパドックの見方をわかりやすく解説したもの。著者は川崎競馬でパドック解説を務め、競馬週刊誌『Gallop』などで馬体の見方にまつわるコラムを執筆しています。自ら競馬場や牧場に足を運ぶだけでなく、数多くのホースマンにインタビューするなどして馬体の見極め方を探求し続けてきた著者が、パドックで好調馬と不調馬を見抜くポイントを書いています。

【満足度】 ★★★★
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2024年02月07日

『星野と落合のドラフト戦略 元中日スカウト部長の回顧録』中田宗男




 星野仙一と落合博満、2人のカリスマ監督はスカウトに何を求め、チーム編成にどう携わったのか? 中日ドラゴンズの栄枯盛衰を目の当たりにしてきた元スカウト部長が、ドラフトの舞台裏を明かす。

 「星野さんは人を残し、落合さんは結果を残した」。スカウト歴38年、闘将とオレ竜に仕え、球団の栄枯盛衰を見てきた男が明かすドラフト舞台裏。

 本書は、中日ドラゴンズ元スカウト部長だった著者が、当時のチーム事情、球界情勢などを交えて、星野時代と落合時代中心にした球団のドラフト戦略を振り返った一冊。何故その選手を指名したのか、或いは指名しなかったのかのドラフト戦略裏話はプロ野球ファンとして非常に興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
posted by babiru_22 at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする