2024年03月30日

『競馬の経済学』渡辺隆裕

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競馬の経済学 [ 渡辺隆裕 ]
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 年間売上3兆円は、ファンにいくら還元される? 1回数千万円の種付けが失敗した場合は? 競馬という巨大エンタメ産業のお金の流れと経済の動きを、イラストや図表とともにわかりやすく解説する。

 日本が誇る巨大エンタメ産業・競馬の経済は、主催者、関係者(騎手、調教師、馬主)、生産者、ファンなど、たくさんの人たちによって動いています。本書を読めば、イラストと図解で“競馬のお金の流れ”がまるっとわかります。

 本書は、競馬のレース、生産・育成、馬券、経済効果などのお金の流れと動きをイラストと図解でわかりやすく解説した一冊。「競馬場の経済」「牧場の経済」「ファン・馬主の経済」と。それぞれに分かりやすく紹介しており、日本競馬と日本経済の歴史も含め、見やすいイラストと図表で、経済的な視点から競馬を深堀りしています。競馬とお金の大きな動きと流れは、馬産地に住む者としてもとても興味深く、関わる人の多さと組織の巨大さも面白く、競馬ファンは勿論のこと、競馬を知らない人にも、この競馬の経済についてはぜひとも知ってほしいですし、読み物としても雑学的な部分も多く、とても良かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年03月29日

『逆転正義』下村敦史

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逆転正義 [ 下村 敦史 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/3/29時点)




 『闇に香る嘘』『同姓同名』どんでん返しの名手が仕掛ける常識がひっくり返るエンタメミステリ短編集。SNSにも正義警察、正義中毒者が蔓延る現代ニッポン!どんでん返された回数が多ければ多いほどあなたの頭は凝り固まっている!

 『同姓同名』が中国でベストセラー、TikTokで話題、中学生ビブリオバトルでチャンプ本に!どんでん返しの名手によるエンタメミステリ短編集。どんでん返された数が多ければ多いほど、あなたの頭は凝り固まってる!常識とか普通とか思い込みとか。まっさらにして読んでみてください。もくじ:「見て見ぬふり」教室のいじめ。みんな見て見ぬふりをするけれど……「保護」コンビニの前で制服姿の彼女に出会った僕は……「完黙」素人相手にクスリは売らない闇社会の男は……「ストーカー」トイレで彼を殺した女の家に彼氏が現れて……「罪の相続」俺の息子は殺される理由もなく殺された……「死は朝、はばたく」刑務所から出てきた男に絡む少年たちは……SNSにも正義警察が蔓延る現代日本。「あなたはそんなに正しいの?」あなたの知らない自分に出会える目から鱗だらけのミステリ集。

 本書は、正義が逆転する連作短編集。何が正義なのかを問うミステリでもあり、身近で日常にありえるテーマがミステリともなっているだけに、色々と正義について考えさせられる連作集で、短編で読みやすい作品ではありますが、色々と考えさせられるミステリでした。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月28日

『緊立ち 警視庁捜査共助課』乃南アサ

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緊立ち 警視庁捜査共助課 [ 乃南 アサ ]
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 カメラアイを武器に群衆の中から手配犯を捜す警視庁刑事と、広域捜査を担当する刑事。ある時、「強盗および殺人の手配犯がここにいる!」という緊急立ち回り情報が入り…。本格警察小説。『オール讀物』掲載を書籍化。

 名手による本格警察小説が誕生!「カメラアイ」を武器に群衆の中から手配犯を捜す警視庁刑事と、広域捜査を担当する刑事。ビル爆発事件で、怪我を負いながら、離婚、介護という人生の壁を乗り越える女性刑事二人の物語。ある時、強盗および殺人の手配犯がここにいる!という緊急立ち回り情報(緊立ち)が入った。

 本書は、警視庁捜査共助課の広域班と見当たり班に所属する女性警察官が活躍する物語。女性ならではの立場や、仕事と家庭の両立の難しさなども描かれ、大きな事件は描かれていませんが、人間ドラマとして読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
ラベル:乃南アサ 緊立ち
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2024年03月27日

『お客さん物語 飲食店の舞台裏と料理人の本音』稲田俊輔




 人気の南インド料理店総料理長が、楽しくも不思議なお客さんの生態や店の舞台裏を本音で綴り、サービスの本質を真摯に問う。レビューサイトの活用術など、飲食店をより楽しむ方法も提案する。WEBマガジン連載等を加筆修正。

 レストランは物語の宝庫だ。そこには様々な人々が集い、日夜濃厚なドラマを繰り広げている…。人気の南インド料理店「エリックサウス」総料理長が、楽しくも不思議なお客さんの生態や店の舞台裏を本音で綴り、サービスの本質を真摯に問う。また、レビューサイトの意外な活用術や「おひとり様」指南など、飲食店をより楽しむ方法も提案。食にまつわる心躍るエピソードが満載、人生の深遠を感じる「客商売」をめぐるドラマ!

 本書は、人気の南インド料理店「エリックサウス」総料理長でもある著者が、楽しくも不思議なお客さんの生態や店の舞台裏を本音で綴り、サービスの本質を真摯に問う一冊。楽しくも不思議なお客さんの生態から、値上げや後継者をめぐる飲食店の舞台裏、サービスの本質までを本音で綴り、レビューサイトの意外な活用術や「おひとり様」指南など、飲食店をより楽しむ方法も提案しています。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月26日

『おあとがよろしいようで』喜多川泰

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おあとがよろしいようで [ 喜多川 泰 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/3/26時点)




 金も夢も友もない上京したての大学生・暖平は、ひょんなことから落語研究会に入ることに。落語が繋ぐ仲間との出会いが、彼の人生を大きく変えていき…。書き下ろし人生応援小説。

 大学進学を機に群馬から上京したばかりの門田暖平は一人、新品のこたつを亀の甲羅のように背負い佇んでいた。配送料が払えず自力で下宿に持ち帰ろうと思ったが、帰宅ラッシュで電車に乗り込むことができない…。途方に暮れる暖平の前に、一台のバンが止まる。乗っていたのは、入学式の日、構内で落語を演っていた落語研究会の部長・忽那碧だった。落研に誘われるが、金もなく、コミュニケーションにも自信がなく、四年間バイト中心で過ごすつもりだと語る暖平。だが、「必要なのは扇子一本。あとは座布団さえあればどこでもできる」という碧の言葉に背中を押され、暖平の人生が大きく動き出す…。

 本書は、大学進学を機に上京したが、友達を作らずサークルにも入らず、お金を稼ぐためバイトに明け暮れる日々を過ごすつもりだった主人公が、ひょんなことから落語と出会い成長していく物語。落研のメンバーが皆個性豊かで人情味もあり、落語の世界をエンタメ小説として魅力ある表現で描かれます。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月25日

『あの光』香月夕花

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あの光 [ 香月 夕花 ]
価格:2,200円(税込、送料無料) (2024/3/25時点)




 ハウスクリーニング会社を辞め独立した紅は、「開運お掃除サービス」を事業として立ち上げ、教祖的存在になるが…。自己啓発と承認欲求の闇を撃つオフリミットノベル。『小説すばる』連載を加筆・修正し単行本化。

 ハウスクリーニングサービスで働く高岡紅は、丁寧な仕事と気配りで依頼人からリピート指名が入るほど信頼を得ていた。だが、入社当時からさほど変わらぬ待遇や問題の多い部下に腐心する日々に疑問を抱いていた。そんな折、母・奈津子から独立を後押しされ起業を決意する。仕事は軌道に乗り、リピート客である船場薫の強い勧めで新事業「開運お掃除サービス」を立ち上げる。薫の仕掛けで紅のブログがインフルエンサーの目に留まり、書籍化も決定。初セミナーも大成功を納め、カリスマ指導者として一躍時の人となった。そんなある日、紅のメソッドを曲解した一部の会員の行動がSNSで批判され大炎上。窮地に追い込まれた紅は起死回生を試みるのだが……。

 本書は、ハウスクリーニングサービスで働く主人公の高岡紅が独立し「開運お掃除サービス」を起業し、書籍販売や講演会など軌道にのるもオンラインサロンでの自己啓発セミナーの世界の隆盛と転落を描いた物語。承認欲求や開運ビジネスの闇をエンタメ作品としてスリリングな展開は一気に読まされました。

【満足度】 ★★★★
ラベル:香月夕花 あの光
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2024年03月23日

『利尻島から流れ流れて本屋になった』工藤志昇

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利尻島から流れ流れて本屋になった [ 工藤志昇 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/3/23時点)




 祖父が採ってきたウニの殻割りの手伝い、利尻の夏、父の軽トラ…。利尻島で生まれ育ち、今は札幌で書店員として多忙な毎日を送る著者が、ふとした瞬間に頭に浮かんでくる故郷の記憶を綴る。note掲載を書籍化。

 書店は、故郷だ。ゴールの見えない多忙で多様な仕事と、ふとした拍子に思い起こされる大切な記憶…最北の風味豊かなエッセイ集。

 本書は、北海道利尻島出身で三省堂書店札幌店に勤める著者のエッセイ集。ウニの殻むきを手伝って何度もスクールバスに乗り遅れ、寝坊と思われないよう祖父のバイクで小中学校に送ってもらったことや、兄を追いかけて道路に飛び出し、車にはねられたが、かさぶた三つですんだことなど、今となっては笑える子ども時代の思い出を、ユーモアたっぷりに綴っています。投稿サイト「note」に身辺雑記を投稿していたものが、出版社から書籍化の提案があり、エッセイ本として出版されたとのことですが、祖母や父親とのやり取りが魅力的で、著者の人柄と故郷への思いが伝わります。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月22日

『横丁する人々』桑原才介

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横丁する人々 [ 桑原才介 ]
価格:2,200円(税込、送料無料) (2024/3/22時点)




 横丁ブームを仕掛ける気鋭のプロデューサーたち、戦後からの現在までの横丁の歴史、昭和・平成・令和の外食産業の変遷……居酒屋・外食産業の最前線を駆け抜けてきた著者による渾身のノンフィクション。

 本書は、戦後からの現在までの横丁の歴史、昭和・平成・令和の外食産業の変遷をまとめたノンフィクション。横丁の成り立ちと本質についてや、時代と共に変化する外食産業と飲食店横丁について、歴史と共に地域別での紹介もしていて、横丁における社交文化や多様性についても、丁寧にまとめた一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月21日

『40歳だけど大人になりたい』王谷 晶

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40歳だけど大人になりたい [ 王谷 晶 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/3/21時点)




 年はとった。しかし、なんか違う気がする。身体の衰え、お金の不安、変えられない生活習慣…。理想と現実のギャップに戸惑う中年世代へ贈る、痛快オトナ考。『ウェブ平凡』連載に書き下ろしを加えて書籍化。

 本書は、著者の等身大エッセイで、大人はこれでいいのか?と不安な気持ちを表現したエッセイ集。若い頃思い描いていたオトナ像と現在の自分とのギャップについてなど、大人の概念を改めて考えさせてくれる内容で、ユーモアも含めた内容は興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月20日

『未解決殺人クラブ 市民探偵たちの執念と正義の実録集』ニコラ・ストウ




 40年逃げ続けた「黄金州の殺人鬼」を追い詰めた作家。娘を殺したギャングをSNSの偽アカウントで騙して捕らえた母親…。仕事の合間を縫い、あるいは余暇を使い、未解決事件の手がかりを探す市民探偵たちの実録集。

 どの市民探偵も、未解決事件に関心を抱くようになった個人的経験を持ち、調査する事件からも大きな影響を受けていた…人生をかけて謎に挑み、時には警察よりも早く犯人にたどり着く。何が彼らにそこまでさせるのか?

 本書は、人生をかけて未解決事件を追った「市民探偵」たちの姿を描いたノンフィクションで、実際に起きたいくつもの事件とそれを解決した市民探偵たちへの取材から、あまり知られることのない彼らの正義と執念を描いた一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月19日

『МОСТ 「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』青島 顕




 東西冷戦下、モスクワから発信される日本語放送。その業務を担っていた日本人たちはどんな人物だったのか。何を目的としていたのか。ラジオを通して隣国の一面を伝えた人たちの物語。『毎日新聞』掲載を大幅に加筆・再構成。

 MOCTとは、ロシア語で「橋」「架け橋」のこと。東西冷戦下、モスクワから発信される日本語放送。その現場では、少なくない数の日本人が業務を担っていた。彼らはどんな人物だったのか。何を目的としていたのか。

 本書は、2023年第21回開高健ノンフィクション賞受賞作。冷戦時代にソビエトから日本向けに放送されていたラジオ局「モスクワ放送」で働いていた日本人へのインタビューを通して、その時代にソ連と日本との架け橋になろうともがいた人たちの半生と、時代を描くノンフィクションですが、第2次世界大戦中の1942年に日本向けのラジオ放送を開始し、ソ連の状況や社会主義の理想を伝えた「モスクワ放送」で戦後働いた日本人スタッフの人間模様は非常に印象に残る内容でした。

【満足度】 ★★★★☆
ラベル:青島 顕 МОСТ
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2024年03月18日

『無人島ロワイヤル』秋吉理香子

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無人島ロワイヤル [ 秋吉理香子 ]
価格:1,815円(税込、送料無料) (2024/3/18時点)




 バーのマスターの「俺、無人島、持ってるよ」の一言で、8人の常連たちは3つのアイテムを手に楽園を目指すことに。10億円の賞金をめぐって、壮絶なサバイバルバトルが幕を開け…。『小説推理』連載に加筆、訂正し単行本化。

 「無人島に3つ持っていくとしたら?」初夏の夜、この定番の他愛ない話題で盛り上がっていたバーの常連たちは、マスターの告げた一言でさらに沸く。「俺、無人島、持ってるよ」かくして、8人の常連たちは3つのアイテムのみを手に楽園を目指すことに。だが、一夜明けると、マスターとヨットは消え、代わりにビデオメッセージが残っていた。「これからみんなにバトルロワイヤルをやってもらいます」初めは絶望感に駆られながらも協力し合っていた8人だが、「10億円の賞金」をめぐって互いに疑心暗鬼となり、ついに最初の落伍者がでる…。

 本書は、「無人島に3つ持っていくとしたら?」の話題から、バーのマスター所有の無人島へ行くことになった常連客8人が、10億円の賞金を懸けたバトルロワイヤルが描かれる物語。登場人物がそれぞれに個性的で、かなりスピーディーな展開で進み読みやすく、エンタメ作品としては面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月16日

『貧乏ピッツァ』ヤマザキマリ

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貧乏ピッツァ (新潮新書) [ ヤマザキマリ ]
価格:902円(税込、送料無料) (2024/3/16時点)




 17歳でフィレンツェに留学。極貧の画学生時代に食べたピッツァの味が、今でも忘れられない…。食の記憶とともに溢れる人生のシーンを描く。フジ日本精糖株式会社ホームページの連載を再構成。

 17歳でフィレンツェに留学。極貧の画学生時代に食べたピッツァの味が、今でも忘れられない…。トマト大好きイタリア人、ピッツァにおける経済格差、世界一美味しい意外な日本の飲料など、「創造の原点」という食への渇望を、シャンパンから素麺まで貴賎なく綴る。さらに世界の朝食や鍋料理、料理が苦手だった亡き母のアップルパイなど、食の記憶とともに溢れる人生のシーンを描き、「味覚の自由」を追求する至極のエッセイ。

 本書は、絵画を学ぶため17歳でフィレンツェに留学した著者が、当地での極貧生活を救ったピッツァやパスタ、出産直後に通りすがりのお婆さんにもらった飴玉、料理が苦手だった亡き母が作った思い出のアップルパイなど、食の記憶から溢れ出す人生のシーンを描いたエッセイ集。イタリアと日本の食文化の違いも含め、食の楽しさを再認識するエッセイで、食べ物を通して描かれる人間、歴史、土地に対する思いも味がありました。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月15日

『ぼくのコーヒー地図』岡本 仁

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ぼくのコーヒー地図 [ 岡本 仁 ]
価格:2,420円(税込、送料無料) (2024/3/15時点)




 コーヒーを飲む時間を幸福にしてくれるものは何だろう? 毎日のようにいろいろな場所でコーヒーを飲んでいる編集者・岡本仁によるコーヒー店案内。日本全国58都市・166店を紹介する。

 manincafeのIDでインスタにコーヒーを飲む日々をポストする編集者、岡本仁によるコーヒー店案内。日本全国58都市・166店を紹介。

 本書は、エッセイストでもある著者が、全国の様々な街を訪れ、北海道から鹿児島まで全国58都市、166店の居心地の良い珈琲店を紹介した一冊。写真と文章から店内の様子も伝わり、老舗の喫茶店から新しいコーヒースタンド、チェーン店から個人店、時には紅茶店や日本茶店も紹介しています。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月14日

『トゥデイズ』長嶋 有

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トゥデイズ [ 長嶋 有 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/3/14時点)




 子育てのため、郊外にある大規模マンション「Rグランハイツ」に引っ越してきた美春と恵示。築50年のマンションに集まり住む住人たちとともに、かけがえのない日々を重ねていく。『群像』『ことばと』掲載を単行本化。

 「しゅっ」「ぱーつ!」5歳の息子コースケと僕たち夫婦は、今日も小さな冒険の旅に出る。Rグランハイツ…郊外にある巨大なマンション群。ずらりと並んだドアを一つ選んであけるとそこには、「どこにでもある日常」の、「かけがえのない今日」が詰まっていた。楽しいことばかりじゃない。けれどいつか、泣きたくなるほど大切だったことに気づく「今日」がここにある。

 本書は、郊外にある築50年近い大型マンションで、5歳の息子と暮らす夫婦の日常を描いた作品。物語は家族の平凡な日常が続く展開ではありますが、何も変わらない毎日や何気ない会話での3人家族の朗らかな生活の積み重ねがテンポよく描かれています。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月13日

『サービスの達人に会いにいく』野地秩嘉




 タイカレーの普及に執念を燃やす食品メーカー社長、「ご当地インク」をヒットさせた文具店社員、極上の鯛寿司を生み出す寿司名人…。独自のサービスで顧客を魅了する“サービスの達人”11人の人生と哲学に迫る。

 世間から見れば取るに足らないことに強いこだわりをもって心血を注ぎ、「最高のサービス」へと結実させる人々がいる。そんな“サービスの達人”たちの仕事と人生に迫る11のストーリー。

 本書は、「サービスの達人」という視点で11の異なる職業の人たちを紹介した一冊。職種もバラバラではあるものの、こだわりと個性をしっかりと持ち、顧客を最優先するサービスについては見習う点が多かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月12日

『実母と義母』村井理子

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実母と義母 [ 村井 理子 ]
価格:1,650円(税込、送料無料) (2024/3/12時点)




 夫を亡くしたあと癌で逝った実母と、高齢の夫と暮らす認知症急速進行中の義母。「ふたりの母」の生きざまを通して、ままならない家族関係を活写するエッセイ。『よみタイ』連載を加筆し単行本化。

 癌で亡くなった実母。認知症進行中の義母。恋した、悩んだ、怒った、恨んだ、涙した。逃げたいときもあった。妻であることからも、母であることからも。気鋭の翻訳家が活写する、昭和を駆け抜けた「ふたりの母」の人生。

 本書は、今は亡き母と認知症が進行しつつある姑を通じて、一筋縄ではいかない愛憎入り交じる家族の人間関係を綴ったエッセイ。家族だからこその距離感から生じる様々なエピソードが強烈でもありますが、近しい関係性だからこその家族関係がリアルで印象に残るエッセイでした。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月11日

『尖閣1945』門田隆将

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尖閣1945 [ 門田隆将 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/3/11時点)




 1945(昭和20)年に起こった、尖閣戦時遭難事件。なぜ尖閣は日本の領土なのか。尖閣と無縁な中国が、なぜ、かくも理不尽な主張を繰り返すのか。「尖閣諸島」で展開された知られざる日本人の勇気の物語を紹介する。

 知られざる日本人の勇気の物語。圧倒的な事実と壮絶なドラマ、奇蹟の生還、感動の尖閣領有ノンフィクション。

 本書は、78年を経て明らかになる壮絶な尖閣戦時遭難事件の真実、奇跡の全貌。日本人の歴史と矜持が緻密な取材で浮かび上がる、感動の尖閣領有ノンフィクション。大東亜戦争末期の昭和20年7月に、石垣島から台湾へ疎開中の小型船2隻が、米軍機の攻撃を受け、当時無人だった尖閣諸島、魚釣島に漂着した尖閣戦時遭難事件について、関係者に丹念に取材をし。食料の無い島で次々と餓死者が出る中、難破船の廃材を使って手漕ぎの舟を造り、決死隊が救助を求めて荒波に漕ぎ出す史実、尖閣諸島の歴史を紐解き、島々が歴史的にも国際法上も日本固有の領土であることを改めて証明した一冊でもあります。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年03月09日

『仕事と江戸時代 武士・町人・百姓はどう働いたか』戸森麻衣子




 戦国時代の終焉で、劇的な経済発展をし、多様化・細分化していった江戸時代のあらゆる階層の働き方を丁寧に掘り起こしながら、仕事を軸に江戸時代を捉えなおす。『賃金事情』連載を再構成し新書化。

 常に変化を求められながら、同時に変わらなさもあると感じる私たちの働き方。そもそも現代日本人の働き方の源流はどこにあるのだろうか。明治時代、産業革命以降の資本主義の流れのなかで形成されていったと見る向きもあるが、戦国時代の戦乱から解放され、おおいなる社会的・経済的発展や貨幣制度の成熟を背景に、多様化・細分化していった江戸時代の労働事情が、その源にあると本書では考える。当時の社会を形作ったあらゆる階層の働き方を丁寧に掘り起こしながら、仕事を軸に江戸時代を捉えなおす。

 本書は、江戸時代の仕事の実態について身分別に詳しく紹介し、働き方の江戸時代の実態に迫る一冊。戦国時代の終焉で、劇的な経済発展をした江戸時代の多様化し細分化した労働環境の変化については参考になるところも多く、当時の福利厚生についても中々興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年03月08日

『正義はどこへ行くのか 映画・アニメで読み解く「ヒーロー」』河野真太郎




 世界を救う、「正義」の象徴たるヒーローは、圧倒的な“マジョリティ”として表象されてきた。しかし21世紀を迎え、ジェンダー、加齢、障害、新自由主義といった様々な観点への理解・変化から、留保なしでその存在は認められなくなった。では、ヒーローたちはどのように「多様性」と向き合うのか? そして、「ポスト真実の時代」とどう対峙していくのか?

 本書は、ヒーローの表象の移り変わりとその背後にある社会の変化を読み解いたもの。日米のヒーロー作品を対象に、時代や社会情勢の影響を受けながら変化していくヒーロー像と、その解釈については楽しめましたが、多様性時代のヒーローは今後どう変化していくのかは気になるところです。

【満足度】 ★★★☆
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