2024年07月31日

『正義の行方』木寺一孝

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正義の行方 [ 木寺 一孝 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/7/31時点)




 2人の女児が惨殺された「飯塚事件」。死刑執行された男は本当に犯人だったのか? 殺人事件に巻き込まれた当事者たちの正義をめぐるノンフィクション。NHK BS1スペシャルと2024年4月公開映画を書籍化。

 本書は、福岡県飯塚市で1992年、2人の女児が殺害された「飯塚事件」を、当事者である警察官、弁護士、新聞記者の3者の視点から捉えたドキュメンタリー。事件はDNA型鑑定が大きな決め手となり、死刑判決から、わずか2年後に死刑が執行されましたが、後に警察のDNA型鑑定は証拠能力を事実上失わせることになり、それぞれの正義の行方を追ったノンフィクションとなっています。死刑執行後も冤罪議論が続く飯塚事件について、改めて考えさせられる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月30日

『雪炎 富士山最後の強力伝』井ノ部康之

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雪炎 富士山最後の強力伝 (ヤマケイ文庫)
価格:1,100円(税込、送料無料) (2024/7/30時点)




 全盲の長女、妻の自殺。氷雪に閉ざされた厳冬の富士山頂測候所へ生活物資を運ぶ並木宗二郎は、人生の重荷をふたつながら背負って歩み続けた…。21年間、400回以上、厳寒の富士を登り続けた富士山最後の強力の生涯を描く。

 斜面はアイスバーンと化し、人を軽々と吹き飛ばすほどの烈風吹き荒れる冬の富士山。その頂にある富士山測候所で生活する人々のために、30キロの荷物を背負い、21年間、400回以上、厳寒の富士を登り続けた富士山最後の強力、並木宗二郎。長女が全盲になるという難病と夫婦一緒に闘い、それに疲れ果てた妻が入院、そして自殺…。幼い三人の子供を男手一つで育てながら、危険と隣り合わせの厳冬の富士山で闘い続けた並木宗二郎の生涯を、ノンフィクション作家・井ノ部康之が描く。

 本書は、日本最高峰・富士山の山頂に2004年まで設置されていた測候所へ、20年以上にわたり生活物資などを運んでいた、並木宗二郎の波乱の生涯を描いたノンフィクション。並木さんの長女は、5歳の時に病気のため全盲になり、それを悲観した妻が自ら命を絶ってしまったことから、2人の息子も含めた3人の子供を男手一つで育てることに。なるべく子供たちと過ごす時間を増やすために選んだのが、効率良く稼ぐことのできる強力という仕事で、富士山を舞台にした人間ドラマでもあります。

【満足度】 ★★★★
ラベル:井ノ部康之 雪炎
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2024年07月29日

『水族館飼育係だけが見られる世界』下村 実




 常務の指示でジンベエザメ捕獲へ。世界最小の魚を求めてジャングルへ…。水族館の飼育係として次々と舞い込むミッションをこなしてきた著者が、飼育係の日常と、生きものたちとの出会いや発見について語る。

 本書は、水族館飼育係の知られざる飼育係の日常と、生きものたちとの出会いと発見について語ったお仕事エッセイ。著者は、大阪は海遊館、京都水族館、すみだ水族館、四国水族館と4つの水族館で30年以上飼育係として勤務し、飼育係のリアルと、生きものたちとの出会いと発見について紹介しています。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月27日

『捨てられる魚たち』梛木春幸




 捨てたらゴミ、食べればごちそう! 捨てられる「未利用魚」を、火山灰を利用して干物にしてつかった「桜島灰干し弁当」を開発した食育日本料理家が、自身の活動とともにフードロス問題や日本の食文化について綴る。

 SDGsを学ぼう!捨てたらゴミ。食べればごちそう。未利用魚を使って漁師さんを救った感動ノンフィクション。

 本書は、サブタイトルに『「未利用魚」から生まれた奇跡の灰干し弁当ものがたり』とありますが、漁師さんたちがとった魚のうち、市場に出回らずに捨てられてしまう魚をつかって「桜島灰干し弁当」という人気の駅弁を生み出した料理人の著者の軌跡をつづったノンフィクション。未利用魚の問題についてはもちろん、「働くことの意味」「日本料理の知られざる精神」なども学べる内容で、困難を乗りこえ、未利用魚を使ったお弁当が生まれるまでの物語を、児童書として子供たちにも分かりやすく紹介している点もとても良かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年07月26日

『清算』伊岡 瞬

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清算 [ 伊岡 瞬 ]
価格:1,925円(税込、送料無料) (2024/7/26時点)




 広告代理店が会社を清算することが決まる。畑井伸一は総務部長に任命され、経験のない会社解散の手続きを担当することに。そんな中、負債の返済用資金2億円が元社員と共に消えてしまい…。『小説野性時代』連載を単行本化。

 広告代理店「八千代アドバンス」は、経営悪化により、会社を解散し清算することが決まる。制作部の畑井伸一は、総務部長に任命され、経験のない会社解散の手続きを担当することに。そんな中、負債の返済用資金二億円が元社員と共に消えてしまう。二億円の行方を捜す畑井の前に巻き起こるトラブル。金を取り戻し、八千代アドバンスの秘密を“清算”することはできるのか?

 本書は、会社解散という非日常の中で翻弄される主人公が、行方不明となった返済用資金の2億円の回収に挑みも不可解な人事や、意味深な役員たちの発言など、小さな違和感がやがて大きな謎へと膨らんでいき、事態はとんでもない方向へ加速していく、企業サスペンス。残務処理をしてから企業を畳む清算について、そこに関わる人間関係などをサスペンスとして読み応えある作品となっています。

【満足度】 ★★★★
ラベル:伊岡 瞬 清算
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2024年07月25日

『ゼロ打ち』相場英雄

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ゼロ打ち [ 相場 英雄 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/7/25時点)




 大和新聞の社会部記者・片山芽衣は衆議院選挙の報道センターに配属された。ある日、片山は「ある都議会議員の不審死」を知る。国会議員の秘書・中村は新人候補の応援に駆り出されるが…。『ランティエ』連載に加筆・修正。

 政界とマスコミに激震!小説でしか描けない政界の暗部とマスコミとの危険な癒着。大和新聞の社会部記者・片山芽衣は、唐突な解散後の衆議院選挙で、選挙報道センターに配属された。担当は激戦区の東京一区。そんなある日、片山は取材中に「ある都議会議員の不審死」を知ることに―。一方、国会議員の秘書歴十年の中村は、同じく民政党東京一区の新人・大学教授である若宮の事務所の応援に駆り出された。苦しい選挙戦のなか、若宮の女性スキャンダルがネットで拡散され…。

 タイトルの「ゼロ打ち」とは、選挙の開票開始直後、開票率0%に近い時点で、特定の候補者の当選確実を報じることで、 本書は、その「ゼロ打ち」に絡む政治とカネの深い闇、公共放送と大新聞の選挙速報をめぐる争いに斬り込んだ作品。選挙戦を通じて、政治と金の問題に切り込んだ作品でもあり、政界の暗部やマスコミとの癒着なども物語として読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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『君が手にするはずだった黄金について』小川 哲

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君が手にするはずだった黄金について [ 小川 哲 ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/7/24時点)




 片桐は高校の同級生。怪しげな情報商材を売りつけていたが、今や有名投資家。ある日、片桐のブログが炎上しはじめ…。「僕」が怪しげな人物たちと遭遇する6つの連作短篇集。『小説新潮』掲載に書き下ろしを加え単行本化。

 認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。彼らはどこまで嘘をついているのか? いま注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚実を描く話題作!

 本書は、収録されている6つの作品全ての主人公が著者自身という初の試み。エントリーシートが書けずに小説を書く「プロローグ」、詐欺師となった元同級生に思いを巡らせる表題作「君が手にするはずだった黄金について」、ニセのブランド時計を巻いた漫画家に取材を受ける「偽物」など、承認欲求や小説論に対する作家特有の視点がエンタメ作品として面白く描かれています。前作の『君のクイズ』のインパクトが強すぎて、やや物足りなさは感じたものの、それぞれの作品は面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月23日

『うらはぐさ風土記』中島京子

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うらはぐさ風土記
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/7/23時点)




 30年ぶりにアメリカから帰国し、武蔵野の一角・うらはぐさ地区の伯父の家にひとり住むことになった大学教員の沙希。そこで出会ったのは、伯父の友人で庭仕事に詳しい秋葉原さんをはじめとする、一風変わった多様な人々だった。コロナ下で紡がれる人と人とのゆるやかなつながり、町なかの四季やおいしいごはんを瑞々しく描く物語。

 店舗の屋上で野菜を育てる秋葉原さん。秋葉原さんと高齢結婚をした刺し子姫。独特な敬語を使う女子大生マーシーとその友達パティ…。30年ぶりにアメリカから帰国した大学教員の沙希が出会ったのは、ここ、うらはぐさ地区に縁のある、多様な人々だった。新しい時代の絆を描く、土地が人をむすぶ群像劇。コロナ下で紡がれる人と人とのゆるやかなつながり、町なかの四季やおいしいごはんを描く長編小説。

 本書は、東京の西部にあるという「うらはぐさ」と呼ばれる架空の地域を舞台にした作品で、アメリカから30年ぶりに帰国したバツイチの主人公が、一時幼少期に過ごした地域での人との交流を描いた物語。古い町で年も生活スタイルも違う人に出会い交流し、地域の良さを感じながら暮らしていく様が自然に描かれ、人との繋がりの良さを感じる作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月22日

『ルポ 年金官僚』和田泰明




 日本の年金制度はどうあるべきなのか。年金官僚は、この国の年金制度をどうしたいのか。20年以上にわたり年金問題を取材し続けてきたジャーナリストが、政治とメディア、巨額の積立金に翻弄されたエリートたちを描く。

 国民の年金不信がとまらない。これまで年金改革という錦の御旗のもと、いったい何が繰り広げられてきたのか?国民の不安を募らせる年金ブームを煽ったのは誰か?改革を先送りする年金官僚は、この国の年金制度をどうしたいのか?20年以上にわたり年金問題を取材し続けてきた『週刊文春』記者が、政治とメディア、そして巨額の積立金に翻弄されたエリートたちを描く渾身のノンフィクション!

 本書は、サブタイトルに「政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録」とありますが、『週刊文春』の記者として年金問題を追い続けてきた著者が、年金官僚についてを書いた一冊。年金制度の変遷、成り立ちのプロセスを官僚の視点から追ったルポで、年金官僚は、この国の年金制度をどうしたいのか?など、改めて年金問題を考えさせられる内容です。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月20日

『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』田崎健太




 日本で最初に本物のクラブチームとなる可能性があった「横浜フリューゲルス」を潰したのは誰だったのか。Jリーグ30年の歴史の中で唯一「消滅したクラブ」の真相に迫るルポルタージュ。

 「いつまで選手たちに黙っている気ですか?」「このままでは危ない。チームが潰れるぞ」関係者が初証言、Jリーグ31年目にして明かされる“真実”。日本サッカー界の「汚点」……クラブ消滅の伏線だった「全日空SCボイコット事件」の真相。日本で最初に本物のクラブチームとなる可能性があった「フリューゲルス」を潰したのは誰だったのか。

 本書は、『横浜フリューゲルス』消滅の真相について、選手・クラブ・Jリーグ・責任企業関係者へ総力取材した渾身のノンフィクション。全日空SCボイコット事件から、クラブの「家族的」な文化、その終焉に至るまでの詳細な記録が書かれており、フリューゲルスの消滅の背後にある事実は衝撃的でもありました。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月19日

『ポケット 特殊印刷図鑑』デザインのひきだし編集部・編

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ポケット特殊印刷図鑑 [ デザインのひきだし編集部 ]
価格:2,640円(税込、送料無料) (2024/7/19時点)




 日本全国でできるさまざまな特殊印刷加工を、「キラキラな印刷加工」「凸凹させる印刷加工」のように見た目や手触りなど、特殊印刷加工の効果別に、写真と文章で紹介する。『デザインのひきだし』掲載に項目を追加し書籍化。

 100種類以上の特殊印刷を掲載!「キラキラな印刷加工」「透明・半透明にする印刷加工」「見え方が変わる!印刷加工」「紙の加工」…などの章立てで、探している特殊印刷が探しやすい。

 本書は、100種類超の特殊印刷加工方法について、特徴を豊富な写真と文章とで徹底的に紹介し、見つけたい特殊印刷技術が短時間で探せる一冊。印刷物をつくるなら、少しでも凝ったものをつくりたいと思う人は多いとも思いますが、使いたい特殊印刷加工が具体的にわからず、調べるにもどんな特殊印刷加工があるのかから調べるのは非常に大変です。本書では、特殊印刷加工の「効果」別に章分けし、100項目超で紹介しており、印刷を頼みたい、知りたい人必携の内容となっています。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月18日

『秘密の花園』朝井まかて

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秘密の花園 [ 朝井まかて ]
価格:2,200円(税込、送料無料) (2024/7/18時点)




 馬琴は当代一の戯作者・山東京伝の門をたたき、戯作の道に踏み出した。人気作者になるが、馬琴は滝沢家再興の夢を捨てず、締切に追われながら家計簿をつけ、庭の花園で草花を丹精し…。『日本経済新聞』連載を単行本化。

 狷介で知られた馬琴の素顔、けなげな哀歓が鮮やかに甦る!大名の家臣の家に生まれた、馬琴。若き主君に仕えるもパワハラに堪えかねて出奔。放浪の末、当代一の戯作者・山東京伝の門をたたき、蔦屋重三郎の店に奉公して戯作の道に踏み出した。やがて独自の小説の道を開き、ついに人気作者になる。が、妻はヒステリー、愛する息子は柔弱、『南総里見八犬伝』に着手するも板元とはトラブル続きだ。それでも馬琴は滝沢家再興の夢を捨てず、締切に追われながら家計簿をつけ、息子と共に庭の花園で草花を丹精する。

 本書は、日本の小説の祖・曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」を生んだ劇的人生を描いた時代小説。28年を架けて書かれた全98巻『南総里見八犬伝』についてや、曲亭馬琴の生涯を辿り山東京伝、蔦屋重三郎との出会いによって読本の作者になっていく過程が描かれますが、著者らしく日本の小説の祖とも言える曲亭馬琴の、その波瀾万丈の人生をまとめた一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月17日

『パッキパキ北京』綿谷りさ

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パッキパキ北京 [ 綿矢 りさ ]
価格:1,595円(税込、送料無料) (2024/7/17時点)




 コロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲(アヤメ)。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。これぞ、貪欲駐妻ライフ!

 本書は、コロナ禍に北京に赴任した夫の様子見に訪中した妻の一人称小説。北京での生活にはじめカルチャーショックを覚えるものの、何事にも物怖じしない主人公のポジティブライフをエンタメとして面白く描いています。池も川もパッキパキに凍った中国を満喫する様子も気持ち良い程で、人生を前向きにエンジョイする姿も良かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月16日

『内臓脂肪の名医が教える 痩せるお酒の飲み方』栗原 毅




 お酒と肝臓の仕組みがわかれば、飲みながらでも痩せられる! 内臓脂肪の名医が医学的根拠に基づき、痩せるお酒の飲み方とその効果を高める食べ方、痩せるお酒のつくり方などを紹介する。

 “お酒を飲んだら痩せられない?”“週2日は休肝日をつくる?”世の中でいわれている「お酒」と「ダイエット」の常識を覆す名医が教える最強の飲み方。

 本書は、お酒と肝臓の仕組みについてを紹介し、飲酒前に効果的なフード、肝臓でのアルコール分解に適したお酒の種類と飲み方、飲酒後に気を付けることなどが医学的根拠と共に紹介されています。飲んだ後の痩せるための最大のアフターケア『歯磨き&舌磨き』の方法や、好きなお酒を楽しみながらでもしっかりと痩せていくための方法を図解、イラストでわかりやすく解説しています。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月15日

『日本一の農業県はどこか 農業の通信簿』山口亮子




 労働生産性日本一は北海道、土地生産性日本一は宮崎県。ではコスパ日本一の「最強農業県」は? 農業の財政効率や生産性、農地の集積率、食料自給率など、さまざまな指標を駆使して各県農業の真の実力を読み解く。

 作っている作物も、事情もさまざまな各県の農業を、一律に評価するのは難しい。著者は、各県の農業産出額を農業関連予算で割ることによって「コスパ」を算出し、それをランキング化してみた。結果、浮かび上がってきたのは、都道府県魅力度ランキングの下位常連組が最強グループを成している意外な実態だった。さまざまな指標を駆使して読み解く各県農業の「真の実力」。

 本書は、農業ジャーナリストである著者かへ、各県の農業産出額を農業関連予算で割り出すことによって「コスパ」を算出し、それをランキング化してみることを試み、様々な指標を駆使して、各県農業の「真の実力」を読み解いた一冊。労働生産性1位は、少ない人数で広い農場を管理できる北海道。土地生産性1位は、高値で売れる肉牛の生産が盛んな宮崎県。園芸(野菜や果物類)の生産性1位は、狭い土地での収量の拡大をひたすら追求してきた高知県…ですが、全体のコスパ1位になった「最強の農業県」は、意外な県でもありました。また、単に通信簿として出しただけではなく、農地転用の問題などにも触れており、農業の現状に対して問題提起を含んだ内容はとても良かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年07月13日

『ニッポンはじめて物語 世界初・日本初のヒット商品を生んだ開発者の熱き魂』北辻利寿




 レトルトカレー、電卓、食品サンプル、入浴剤、ミルクチョコレート…。私たちの暮らしの中に当たり前のように存在している、世界に先駆けて日本が発明した逸品の開発秘話を紹介する。CBC公式ホームページ連載を書籍化。

 開発秘話から見えてくる!ニッポンの底力。日常、当たり前のように存在している全てのものには初めの一歩があった!

 本書は、世界初、あるいは日本初のヒット商品を生み出した技術者たちの開発秘話を紹介した一冊。紹介するのはノーベル賞をとるような大げさな発明・発見ではないが、人々の生活に日々欠かせない画期的な発明や開発秘話ばかりで、乾電池、自動改札機、修正テープ、胃カメラやお子様ランチ、プラスチック消しゴムなど……の商品開発を支える技術者たちの奮闘が紹介されています。誰もが知る商品の開発の裏側のエピソードは多くの感動を覚えます。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月12日

『都市に侵入する獣たち クマ、シカ、コウモリとつくる都市生態系』ピーター・アラゴナ




 街中に出没するクマやシカとの遭遇事件が後を絶たない現代。人間が創り出した都市が思いがけず野生生物を引き寄せることになった理由を歴史的に振り返り、駆除か保護かの二元論ではない共生への道を探る。

 住宅地の道を横切るクマ、ヒナに子ネコを与えるワシ、動物園のコアラを連れ去ったピューマ―。かつて人間のために創られた都市は、時代とともに清潔で緑あふれる場所へと成長した。しかし、人間の生活を豊かにした都市のあり方が、思いがけず野生生物が都市で生きていくことを可能にしたのである。都市はもはや人間だけのものではない。生息地を共有する隣人として彼らを受け入れ、互いを傷つけることなく共存していくためには、過去に学び科学に基づいて考える必要がある。今われわれが下す判断は、今後何世代にもわたって影響を与えることになるのだ。カリフォルニア大学の環境史家が、一匹のボブキャットとの出合いをきっかけに、都市生態系の知られざる歴史を解き明かし共生への道筋を探る全14章。

 本書は、リスやコウモリなどの小型動物から大型猛獣まで、人工的なものの象徴である都市が思いがけず野生動物を引き寄せることになった理由を歴史的に振り返り、駆除か保護かの二元論ではない共生への道を探る一冊。世界的な事例も多く紹介され、駆除か保護の二元論ではない共生についても改めて考えさせられる内容です。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月11日

『調教師になったトップ・ジョッキー』蛯名正義




 ジョッキーから、52歳で調教師として第2の人生をスタートさせた蛯名正義。ジョッキーだったから分かること、調教師になって初めて分かったことを綴り、競馬の奥深さとサラブレッドという動物の魅力を伝える。

 牝馬三冠のほか、有馬記念2回、天皇賞(春)3回など、34年間でJRA重賞129勝をはじめ通算2541勝をあげた名手が、「生涯競馬に携わるため」にステッキを置き、52歳の新人調教師として第二の人生をスタートさせた。かつて騎手だったから分かることを調教や現役騎手とのコミュニケーションに活かす一方、調教師になって分かったことを蓄積させて管理馬に愛情を注ぐ。異なる視点から語られるメッセージが競馬界に新風を吹き込む。

 本書は、元JRA騎手で現調教師の著者が、騎乗した名馬のエピソードやG1レースの秘策といった現役時代の話から、調教師になって知った競馬の本質や奥深さまでを解説した一冊。騎手出身者の調教師として騎手とのコミュニケーションで気をつけていることなど、競馬初心者にも分かりやすいように、競馬の魅力についてが書かれています。

【満足度】 ★★★★
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2024年07月10日

『盗伐 林業現場からの警鐘』田中淳夫

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盗伐 林業現場からの警鐘 [ 田中 淳夫 ]
価格:2,200円(税込、送料無料) (2024/7/10時点)




 摘発したがらない警察、懲りない加害者、50年森を育ててきた夢を破壊された被害者の慟哭…。日本の盗伐事情とその背景を探るとともに、世界の違法伐採と、それを取り締まるための努力と実態を明らかにする。

 摘発したがらない警察、懲りない加害者、そして被害者はずっと泣き寝入り…。「絶望の林業」の断末魔の叫びが聞こえる。日本にはびこる盗伐と世界に広がる違法伐採ネットワークを暴く!

 本書は、盗伐・違法伐採が頻発している日本の実情を始めとして、先進国を含む世界中で近年続発し規模も膨らんでいる違法伐採について、盗伐や違法伐採が発生する理論やその構造を追い、また歴史的な背景や現代社会・経済の問題を突きつけたノンフィクション。国産材だけではない、輸入する木材にも違法性の高いものが多く紛れ込んでいる実情や、その背景にある盗伐事情など、知られざる実態が数多く取り上げており、現実問題を浮き彫りにしています。

【満足度】 ★★★★☆
ラベル:田中淳夫 盗伐
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2024年07月09日

『襷がけの二人』嶋津 輝

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襷がけの二人 [ 嶋津 輝 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/7/9時点)




 裕福な家に嫁いだ千代と、女中頭の初衣。戦後すべてを失った千代は住み込みの女中に、視力を失った初衣は三味線の師匠となり…。大正から戦後にかけて、「普通」から逸れてもそれぞれの道を行くふたりの女性を描く。

 裕福な家に嫁いだ千代と、女中頭の初衣。「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。

 本書は、大正から戦後にかけての東京・下町を舞台に、地味で平凡な千代と、その嫁ぎ先の女中頭で元芸者の初衣が、料理など家事の喜び、性を巡る苦悩、戦争への思いなどを通じて絆を強める姿を描いた作品。第170回直木賞候補作でもありますが、戦前戦後に生きた女性の半生を時代背景と共に、時代に翻弄されながらも、支え合って丁寧な暮らしを続ける女性たちの物語は読みごたえがありました。

【満足度】 ★★★★
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