2024年08月31日

『対決』月村了衛

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対決 [ 月村了衛 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/8/31時点)




 ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げている。新聞記者の檜葉菊乃は理事の神林晴海に目をつける。男性優位の社会で、共に無数の理不尽に直面してきた2人の闘いの行方は…。『ジャーロ』連載を単行本化。

 ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げている―衝撃的な「噂」を耳にした新聞記者の桧葉菊乃は独自の調査を始め、理事の神林晴海に目をつける。巧みに追及を躱す神林だが、突破口はそこにしかないと考え、桧葉は何度となく攻め立てる。男性優位の社会で、共に無数の理不尽に直面してきた二人。それでも敵対せざるをえない彼女たちの闘いの行方は…。

 本書は、医大入試における女子学生一律減点という実際にあった出来事を題材に、真相を求める女性記者と、大学を守ろうとする女性理事の対決を中心とした物語。読み応えのある社会派ドラマの作品で、男性優位の社会で、これまで幾度となく理不尽な扱いを受けてきた二人の女性が、それぞれの矜持と揺れる思いの中で、痺れるような対決が繰り広げられる女性同士の闘いは読みごたえがありました。

【満足度】 ★★★★
ラベル:月村了衛 対決
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2024年08月30日

『最新リスク管理マニュアル 元公安、テロ&スパイ対策のプロが教える!』松丸俊彦




 特殊詐欺・強盗、SNSに蔓延するニセ情報、ストーカー、狙われる機密情報、忍び寄るハニートラップ、チャイナ・リスク…。現実の犯罪事例を分析、解説するとともに、防犯対策法を伝授する。

 実態を知るのが、防犯の第1歩。特殊詐欺・強盗、SNSに蔓延するニセ情報、ストーカー、狙われる機密情報、忍び寄るハニートラップ、チャイナ・リスク。手口は日々、進化している!

 本書は、警視庁に20年以上勤務し、主に公安部外事課で防諜対策や各国の日本大使館のセキュリティアドバイザーを務めてきた著者ならではのリスク管理術を始めとして、現実の犯罪事例を分析、解説するとともに防犯対策法がまとめられた一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月29日

『戦国時代のタイムライン』スエヒロ

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戦国時代のタイムライン [ スエヒロ ]
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 応仁の乱、川中島の戦い、延暦寺の焼き討ち、関ケ原の戦い…。戦国武将たちが生まれた年からアカウントをもち、自らの死後も投稿できるSNSの画面を通して、1467年から1615年までの歴史を紹介する。

 「『いま風』だけど中身は本格」。もし戦国時代の武将たちがSNSをやっていたら? 応仁の乱、本能寺の変、関ヶ原の戦い……第一級の戦国ドラマをスマホ画面で振り返る、新時代の学び直し本!

 本書は、もし戦国武将たちがSNSをやっていたら?というテーマで展開される歴史紹介本。武将たちのツイートからみる当時の心境など、戦国時代とタイムラインのコラボがとても面白く、それぞれ戦った武将同士のSNSをスクロールする感じで読んでいけるので、簡潔にまとめられており、この歴史のタイムラインこそ、歴史に興味ない学生でも気軽かつ興味を持つようにも思え、現代ならではの感覚は新鮮でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月28日

『最後は住みたい町に暮らす 80代両親の家じまいと人生整理』井形慶子




 「本当は商店街のそばで暮らしたい」 母の一言から小さなマンションに出会った。実家売却、遺言書作り、家財道具を手放し、親子で目指した新たな暮らし方…。奔走した2年間を振り返る。

 「本当は商店街のそばで暮らしたい」母の一言から小さなマンションに出会った。実家売却、遺言書作り、家財道具を手放し、親子で目指した新たな暮らし方。感動の日々を描くエッセイ。

 本書は、著者が80代後半となった両親の自立生活を応援すべく、家じまいと引っ越し、人生整理に積極的に関わった経緯をつづったエッセイ。働きながら地方の親の家を効率よく売却、片付ける工夫、問題点など、80代両親のマンション住み替えと家じまいを実践した内容は、両親の家じまいを考えている人には参考になる内容です。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月27日

『水脈』伊岡 瞬

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水脈 [ 伊岡瞬 ]
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 神田川護岸の排水口から遺体が発見された。遺体は地下水路の「暗渠」を通って流れ着いたらしい。和泉署に合同捜査本部が立てられ、宮下は久しぶりに真壁と組むことになるのだが…。『読楽』連載を単行本化。

 神田川の護岸に設けられた排水口から、遺体が発見された。台風の雨で増水した影響で、遺体は地下水路の「暗渠」を通って流れ着いたようだ。死後数日経過しており、猛暑で一部は腐敗も始まっていた。和泉署に合同捜査本部が立てられ、宮下は久しぶりに真壁と組むことになるのだが、そこには“お客様”も加わることになった。暗渠に妙に詳しいその客は謎に包まれていた―。13万部突破『痣』の名コンビ復活!宮下刑事&真壁刑事が欺瞞の闇に迫る警察ミステリ!

 本書は、都市の地下を流れる水路を利用した犯罪に挑む刑事を描く警察小説。前作『痣』のシリーズ続編で、宮下刑事&真壁刑事が神田川護岸の排水口から発見された遺体捜査から、暗渠に隠された水脈を探っていく物語。特殊詐欺や闇バイトと殺人事件を絡め、真相を暴く過程は読みごたえがありました。

【満足度】 ★★★★
ラベル:伊岡 瞬 水脈
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2024年08月26日

『スピノザの診察室』夏川草介

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スピノザの診察室 [ 夏川 草介 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/8/26時点)




 京都の地域病院で働く内科医・雄町哲郎は、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。哲郎の力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を哲郎のもとに送り込むが…。

 雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かろうとした頃、最愛の妹が若くしてこの世を去り、一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが…。数多の命を看取った現役の医師でもある著者が、人の幸せの在り方に迫る感動の物語。

 本書は、京都の市中にある地域病院を舞台に、町の人たちとのふれあいを通じ、生きることの本質を、深く優しいまなざしで綴った物語。本屋大賞ノミネート作品で、『神様のカルテ』に続く医療小説ですが、主人公である雄町哲郎(マチ先生)は、京都の町中で働く内科医で、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師でしたが、妹の子供を育てる為に大学病院をやめて京都の地域病院で治る見込みがない患者に対して、患者さんに寄り添い心から向き合う医師の物語が描かれています。終末期の医療の重さを、京都の町並みや風情の描写と共に鮮やかに表現しており、終末医療のあり方や最先端医療との関わり方なども含めて、清々しい気持ちで読み終えることができた素晴らしい作品です。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年08月24日

『しをかくうま』九段理江

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しをかくうま [ 九段 理江 ]
価格:1,650円(税込、送料無料) (2024/8/24時点)




 競馬実況を生業とするわたしは、人類と馬との関係を取り戻すため、そして愛する牝馬〈しをかくうま〉号に近づくため、両者に起こった歴史を学ぼうと「これまで存在した全ての牡馬」たる男を訪ね…。『文學界』掲載を単行本化。

 新芥川賞作家による文学的挑戦。人類と馬との壮大な歴史を、太古から未来まで自在に全力疾走する、驚異の物語。第45回野間文芸新人賞受賞作。

 本書は、「競走除外」となって走れなかった馬を糸口にして、人と馬の歴史をたどる馬と人類の壮大な歴史をめぐる物語。詩を軸にした作品でもあるため、競走馬が題材ではあるものの難解な小説で、世界観もイマイチでした。

【満足度】 ★★★
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2024年08月23日

『警視庁公安捜査官 スパイハンターの知られざるリアル』勝丸円覚




 公安捜査官は日頃どのような活動をしているのか。尾行や変装、協力者の作り方・接触の仕方などのマル秘テクニックとは。スパイとの攻防の生々しい事例を紹介しながら、スパイを見破る「手の内」を明かす。

 スパイやテロリストを監視し、そのミッションを未然に防いで国を守る公安警察。公安捜査官は、日頃どのような活動をしているのか?尾行や変装、モニター(協力者)の作り方・接触の仕方などのマル秘テクニックとは?元警視庁公安部外事課所属の著者が、スパイとの攻防の生々しい事例を紹介しながら、スパイを見破る「手の内」を明かす。日本は、先進国の中で唯一スパイ活動防止法がなく、誰もがスパイに狙われる可能性がある。「スパイ天国」日本で我が身を守るために必読の一冊。

 本書は、元警視庁公安部外事課所属の著者が、スパイとの攻防の生々しい事例を紹介しながら、公安捜査官は日頃どのような活動をしているのかなども含め、スパイと公安のリアルな攻防戦が紹介されています。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月22日

『刑事捜査の最前線』甲斐竜一朗




 進化するDNA鑑定と、防犯カメラ網。一方で過渡期にある取り調べの実態。近年の特殊詐欺との戦いを含め、刑事捜査の最前線に迫る。『共同通信』配信を加筆し書籍化。

 30年を超える記者生活で警察庁・警視庁・大阪府警をはじめ全国の警察に深い人脈を築き、重大事件を追ってきた記者が明らかにする刑事捜査の最前線。

 本書は、防犯カメラによるリレー捜査、DNA鑑定、取調べなど最新の科学と共に捜査の最前線を紹介する一冊。グリコ・森永事件、地下鉄サリン事件、世田谷一家殺害事件、神戸連続児童殺傷事件からルフィ広域強盗事件まで、あらゆる事件で「いかなる捜査が行われたか?」「なにが犯人逮捕の決め手となったか?」が記されており、刑事捜査が進化するのと同時に、犯罪も同時に進化ていきますが、重大事件を追ってきた記者が明らかにする刑事捜査の最前線は興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月21日

『逆境路線バス職員日誌 車庫の端から日本をのぞくと』綿貫 渉




 バスから日本が見えてくる! 元バス営業所職員YouTuberが、日ごろ知ることの少ない運行管理者の仕事や全国・世界のバス乗車レポ等を綴る。「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」チーフプロデューサーとの対談も収録する。

 元バス事務員兼JR職員の交通系YouTuber綿貫渉がバスから日本を見る、まったく新しいバスエッセイ!

 本書は、元バス営業所職員兼JR職員の交通系YouTuberの著者が、バス営業所職員だったころの苛烈な労働環境、バスと鉄道両方の職員経験を踏まえた二大交通機関の比較、慢性人手不足のバス運転士の特殊な勤務体系、公共交通機関としてのバスの役割、現役バス運転士に聞いた労働の実情インタビューなどから、バス路線の減便・廃止や2024年問題など、業界の課題から様々な問題も書いた一冊。数々の逆境エピソードと共に描かれる職員同士の支え合いや、バス会社の組織文化についても興味深く、バス運行の裏側から日本の社会問題についても考えさせられました。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年08月20日

『観光地ぶらり』橋本倫史

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観光地ぶらり [ 橋本 倫史 ]
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 わたしとは違う人生を生きている誰かがいる。そんな誰かを想像することは、世界に触れることでありそれこそが「観光」ではないか…。道後温泉、竹富島、五島列島など各地の観光地を巡り、日本の近代の歩んできた足跡をたどる。

 話題作『ドライブイン探訪』の著者が、各地の「観光地」を巡り、日本の近代の歩んできた足跡をたどる傑作ノンフィクション・エッセイ。旅とは、生活とは、歴史とは、世界とは、生きることとは。

 本書は、各地の「観光地」を巡り、日本の近代の歩んできた足跡をたどるノンフィクション・エッセイ。旅先の景色や出会いとともに、思考する一冊でもあり、現地の人との交流から歴史をたどり、その地に触れる内容は単なる観光ガイドとは違い、新鮮な旅行記でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月19日

『教祖の作りかた』真梨幸子

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教祖の作りかた [ 真梨 幸子 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/8/19時点)




 奥寺色葉は普通の主婦。ある日、YouTuberの息子に1千万円の税金の督促状が届く。同窓会で会った同級生と不倫した色葉は、弁護士の彼に「宗教法人をやれば?」と持ちかけられ…。『小説幻冬』連載を単行本化。

 郊外のペンシルハウスに暮らす普通の主婦、奥寺色葉は夫と息子との3人暮らし。ある日引きこもりで大人気ゲーム実況YouTuberの息子に1千万円の税金の督促状が届き…。家のローンもあり、夫は詐欺にあっている。そんな大金、払えるわけがない。そんな時、高校の同窓会で久しぶりに会った同級生とついつい不倫をしてしまい…。弁護士の彼に「節税のために、宗教法人をやれば?」と持ちかけられるが。まさかこんなことになるなんて!

 本書は、カルト宗教、臓器売買、宗教法人節税活用などを織り交ぜながら展開されるミステリで、著者らしいイヤミスでもありましたが、恐怖と狂気を上手く展開に活かし、二転三転する展開には引きつけられました。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月17日

『介護の裏 実録ルポ』甚野博則

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実録ルポ 介護の裏 (文春新書) [ 甚野 博則 ]
価格:1,045円(税込、送料無料) (2024/8/17時点)




 突然降りかかってきた母親の介護問題。お金、虐待、施設…。制度について一から調べ、全国の現場を訪ね歩いた著者が、誰も教えてくれない、深くて暗い介護業界のリアルを明かす。『週刊文春』掲載をもとに書籍化。

 「うちはまだ大丈夫」。現実から目を逸らし続けてきた筆者のもとに、突然降りかかってきた母親の介護問題。制度について一から調べ、全国の現場を訪ね歩くと、深くて暗い業界の「裏側」が見えてきた!知らないままでは損をす
る「介護のリアル」を徹底ルポ。

 本書は、突如降りかかってきた母親の介護問題から、なぜ介護の仕組みはこれほど複雑なのか?なぜこんなにお金がかかるのか?一体誰が得をして、誰が損をしているのか?…と、制度について一から調べ、全国の現場を訪ね歩いた元文春記者の著者が介護業界のリアル裏側をまとめたルポルタージュ。不正請求を繰り返す業者への直撃取材や、悪徳施設への潜入など、元週刊誌記者ならではの取材力で読み応えのある内容にもなっており、日本の介護福祉の問題点なども浮き彫りとなっています。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年08月15日

『追いつめられる教師たち』齋藤 浩

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追いつめられる教師たち [ 齋藤 浩 ]
価格:1,650円(税込、送料無料) (2024/8/15時点)




 教師の我慢も限界にきている…。なぜここまで教員不足が深刻化しているのか。学校を取り巻く状況のどこに問題があるのか。現役のベテラン公立小学校教諭が、自身の体験を交えながらその実態を告発する。

 なぜ、ここまで教員不足が深刻化しているのか。学校を取り巻く状況のどこに問題があるのか。現役のベテラン公立小学校教諭が、自身の体験をまじえて綴る問題提起の書!

 本書は、現場の教師たちの窮状が数多く書かれ、学校教師を便利屋のように使う保護者やモンスターペアレントについてが多く取り上げられていますが、どこにも頼ることができず、多忙と無理解の中で苦しみ心身をすり減らし続ける現場教師の本音から、教育現場の問題点が浮き彫りとなっています。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月14日

『インティマシー・コーディネーター 正義の味方じゃないけれど』西山ももこ




 出演する側と制作する側のあいだに入り、おもに映画やドラマの性的シーンの内容について調整するインティマシー・コーディネーター。その仕事の詳細を自身の半生や将来への展望とともに語る。

 俳優が演じやすく。監督がより演出しやすく。日本では数人しか従事していないインティマシー・コーディネーター。出演する側と制作する側のあいだに入り、おもに映画やドラマの性的シーンの内容について調整する。その仕事の詳細とは。そして、どんな人がいかなる思いで取り組んでいるのか?

 本書は、日本に2人しかいないインティマシー・コーディネーター(映画やドラマなどの制作現場で、性的描写やヌードなど体の露出があるシーンの撮影を巡り、俳優の「同意」のもとで安心して演じられる環境を整え、同時に監督など制作サイドの演出を最大限実現できるようにサポートする職業)の著者が、現場で気をつけていることや感じていること、今の仕事に就くまでの経歴などを綴ったノンフィクション。俳優側と制作側の調整を担うインティマシー・コーディネーターについて分かりやすく紹介されています。

【満足度】 ★★★☆
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2024年08月13日

『アルプス席の母』早見和真




 秋山菜々子は、神奈川で看護師をしながら一人息子の航太郎を育てていた。航太郎は甲子園常連校を倒すことを夢見て、大阪の新興校に進学する。菜々子もまた大阪に拠点を移すが…。『産経新聞』大阪版夕刊連載に加筆・改稿。

 秋山菜々子は、神奈川で看護師をしながら一人息子の航太郎を育てていた。湘南のシニアリーグで活躍する航太郎には関東一円からスカウトが来ていたが、選び取ったのはとある大阪の新興校だった。声のかからなかった甲子園常連校を倒すことを夢見て。息子とともに、菜々子もまた大阪に拠点を移すことを決意する。不慣れな土地での暮らし、厳しい父母会の掟、激痩せしていく息子。果たしてふたりの夢は叶うのか!?

 本書は、母子家庭の母親を主人公に、高校野球の強豪校特有の理不尽な慣習や保護者、指導者らとの人間関係を嫌悪しつつも、息子の甲子園出場の夢を応援する姿を描いた物語。高校野球という裏側にある人間関係を母親目線で描いた作品でもあり、指導者との確執や父母会での不和、故障による挫折など様々な辛い困難から、信頼できる仲間との出会いや希望、母親同士の友情から成長していく様子が、高校野球を舞台に描かれています。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月12日

『兎は薄氷に駆ける』貴志祐介

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兎は薄氷に駆ける [ 貴志祐介 ]
価格:2,420円(税込、送料無料) (2024/8/12時点)




 資産家男性が愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒で命を落とす。被害者の甥の自白で事件は解決と思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった。『毎日新聞』連載を加筆・修正。

 ある嵐の晩、資産家男性が自宅で命を落とす。死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。容疑者として浮上した被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に大きく向かうと思われたが、それは15年前の殺人事件に端を発する壮大な復讐劇の始まりだった。“犯罪者”を執念深く追い詰める警察・検察、英之を献身的に支える本郷弁護士、その依頼で事件調査を始めた元リストラ請負人の垂水、恋人の無実を信じて待つ千春。それぞれの思惑が絡み合い、事件は意外な方向に二転三転していく…。稀代のストーリーテラーが満を持して放つ!これぞ現代日本の“リアルホラー”。

 本書は、司法における冤罪をテーマにエンタメに仕立てた作品。約500ページとボリュームある内容ではありますが、展開から一気に読み進み、リアルな裁判シーンと二転三転の逆転劇は読みごたえがありました。何が正義なのかを改めて考えさせられる内容でもあり、緊迫感ある物語でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月10日

『犬は知っている』大倉崇裕

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犬は知っている [ 大倉崇裕 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/8/10時点)




 癒やしのファシリティドッグ、ピーボには、特別病棟に入院する囚人患者の心を開かせ、彼らが隠していた事件の秘密を聞き出すという裏の任務があり…。犬×窓ぎわ警官の異色コンビの警察ミステリー。『小説推理』連載を書籍化。

 ゴールデン・レトリバーのピーボ(7歳オス)は、患者の恐怖や苦痛などを和らげるために警察病院に常駐するファシリティドッグだ。小児科病棟で子供達を癒やす存在なのだが、ピーボには裏の任務があった。特別病棟に入院する余命わずかの囚人患者の心を開かせ、彼らが隠していた事件の秘密を聞き出す。どんな凶悪犯もふさふさの毛並み、つぶらな瞳、愛らしい動きに癒されてつい心を許してしまうのだ。そして、ピーボ専任担当の笠門達也巡査部長は、ピーボが聞き出した患者の秘密を端緒にして、事件の再捜査を開始する。警察病院のスーパー癒やし捜査犬が、難事件を迷わず賢く解決!!犬が主役で助手は窓ぎわ警官。超異色コンビの警察ミステリー。

 本書は、警察病院に常駐するファシリティドッグ、ピーボが事件を解決に導くミステリ。魅力的なメンバーと面白い設定でしたが、サラリと読めましたが、展開にぎこちなさがあり、やや盛り上がりに欠けていたのが少々残念でした。

【満足度】 ★★★
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2024年08月09日

『力道山未亡人』細田昌志

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力道山未亡人 [ 細田 昌志 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/8/9時点)




 力道山が他界して60年。「力道山未亡人」として好奇の視線に晒され、プロレスという特殊な業界に翻弄されながら、昭和・平成・令和と生きた、一人の女性の数奇な半生を紐解くノンフィクション。

 遺された負債は30億円。英雄の死後、妻の「戦いのゴング」が鳴った。第30回小学館ノンフィクション大賞受賞作。

 第30回小学館ノンフィクション大賞受賞作の本書は、2023年に60周忌を迎えたプロレスラー・力道山の妻である田中敬子氏の半生を描いたノンフィクション。唐突すぎる夫の死の舞台裏、夫の死後、22歳にして5つの会社の社長に就任、30億円もの負債を背負い、4人の子の母親となった一人の女性の数奇な半生を紐解く一冊です。唐突すぎる夫の死の舞台裏とその後の波瀾の半生も興味深かったですが、猪木や馬場との関係性や日本プロレス幹部の狡猾さも含め、政財界、芸能界、プロレス格闘技界、そして裏社会についてのエピソードはとても印象に残りました。

【満足度】 ★★★★
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2024年08月08日

『リーマンの牢獄』齋藤栄功

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リーマンの牢獄 [ 齋藤 栄功 ]
価格:2,200円(税込、送料無料) (2024/8/8時点)




 371億円を詐取し、獄中14年。逃亡を指示した「共犯者」は、忽然と姿を消した…。リーマン・ショックのトリガーを引いた男が明かす、「マネーゲーム」狂奔のすべて。『ストイカオンライン』掲載を加筆・修正。

 無名のサラリーマンの人生を狂わせた「バブル」とは何だったのか?リーマン・ショック64兆円の破綻のトリガーを引いた男、衝撃の手記。

 本書は、2008年に破綻した証券会社リーマン・ブラザーズの日本法人から371億円を詐取した「アスクレピオス事件」で首謀者の一人として懲役15年の実刑判決を受け服役した著者が、自身との対話形式で事件の顛末を語る半生記。複雑な金融の話をわかりやすく書かれており、バブルの裏側の金融業界の生々しい実態は興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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