私の体の中には複数の時間が流れている。ADHDの診断を通じて小説家が自分の内側で一体何が起こっているかを考えた。
眠い、疲れる、固まる、話が飛ぶ、カビを培養する。それは脳が励ましの歌を歌ってくれないから? ADHDと診断された小説家は、薬を飲むと「36年ぶりに目が覚めた」。私は私の身体しか体験できない。にしても自分の内側でいったい何が起こっているのか。「ある場所の過去と今。誰かの記憶と経験。出来事をめぐる複数からの視点。それは私の小説そのもの」と語る著者の日常生活やいかに。SFじゃない並行世界報告!
本書は、大人になってからADHD(注意欠如多動症)の診断を受けるという、著者自身の経験がテーマになったエッセイで、自分の経験からADHDやASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害について考えていかれるノンフィクションでもあります。著者自身でのADHDとの付き合い方など、中々興味深い内容でした。
【満足度】 ★★★★