2024年10月31日

『あらゆることは今起こる』柴崎友香




 私の体の中には複数の時間が流れている。ADHDの診断を通じて小説家が自分の内側で一体何が起こっているかを考えた。

 眠い、疲れる、固まる、話が飛ぶ、カビを培養する。それは脳が励ましの歌を歌ってくれないから? ADHDと診断された小説家は、薬を飲むと「36年ぶりに目が覚めた」。私は私の身体しか体験できない。にしても自分の内側でいったい何が起こっているのか。「ある場所の過去と今。誰かの記憶と経験。出来事をめぐる複数からの視点。それは私の小説そのもの」と語る著者の日常生活やいかに。SFじゃない並行世界報告!

 本書は、大人になってからADHD(注意欠如多動症)の診断を受けるという、著者自身の経験がテーマになったエッセイで、自分の経験からADHDやASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害について考えていかれるノンフィクションでもあります。著者自身でのADHDとの付き合い方など、中々興味深い内容でした。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月30日

『遺伝子からたどる 日本の歴史と起源』杉田繁夫

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 DNAなら、わかる。ネアンデルタール人が美白だったのかまで。「歴史って遺伝子で何か分かるの?」遺伝子進化の専門家が新しい日本史の授業、始めます。

 最新の解析・測定方法を取り入れた研究によって明らかになってきた興味深いトピックの数々を、遺伝子進化の専門家が分かりやすく解説。人類の移動と文化を軸に、旧石器時代から古墳時代にいたるまでの日本の歴史を遺伝子という側面から読み解き、当時の日本人の遺伝子の特徴や中国との関係、文化の伝播や交易についても考察。

 本書は、遺伝子研究の最先端にいる著者が、遺伝子解析を含めた様々な最新の解析法を用いて歴史を再考する一冊。最初に「そもそも遺伝子とは何?」、「DNAからどんな情報が分かる?」などの疑問について簡単に解説したあとに、1冊を通して旧石器時代〜古墳時代の日本史を中心に追っていきます。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月29日

『老いてお茶を習う』群ようこ




 恥ずかしい失敗ばかり、でも楽しい。68歳にして、お茶を習うことになった。着物も着るし、三味線も弾く。でも、お茶はまったく違う山だった。老いてなお、新しいことを学ぶおもしろさを綴るエッセイ。

 齢六十八にして、お茶を習うことになった。果てがない稽古が始まった。初めてのお茶のお稽古。お手本を見ても、「はああ?」というしかない。「何度もやっていれば、そのうち慣れるから、大丈夫ですよ」と声をかけてくださったが、前期高齢者の脳で、本当にあんなにうまくできるようになるのだろうか。教えてもらっては忘れ、忘れては覚え直し。そうしていつの間にか季節は巡っていく……。

 本書は、68歳にしてお茶を習うことになった著者の古稀の手習いの冷や汗と面白さが書かれたエッセイ集。一年に渡るお茶のお稽古について事細かに記されており、著者の読みやすいエッセイを期待していましたが、エッセイというよりは体験記で、笑いや痛快さはいつもより少なめだったのが残念でした。

【満足度】 ★★☆
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2024年10月28日

『イランの地下世界』若宮 總

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 イスラムへの無関心、棄教・改宗が進んでいる?国民の関心はいかに国から逃げるか!?イスラム体制による、独裁的な権威主義国家として知られるイラン。しかし、その情報は、日本では極めて少ない。違法・タブーとされる麻薬や酒に留まらず、体制の欺瞞を暴きつつ、庶民のリアルな生存政略と広大な地下世界を描く類書なき一冊。

 本書は、長年イランの一般社会で暮らしてきた著者が、違法・タブーとされる麻薬や酒をはじめ、イスラム体制の欺瞞を暴きつつ、庶民の生存戦略と広大な地下世界を描いた一冊。イスラム体制による、独裁的な権威主義国家として知られるイランについて、その実態に関する報道は日本では極めて少ないですが、イスラム原理主義的な独裁下にありながら国民は硬軟織り交ぜて反発、飲酒も婚前交渉もヒシャブ不着用も事実上OKになっていて、信仰の深い人でも政権を支持しない人が多いなど、同国の混沌とした状況が細かに報告されていて、イラン国内の実態が細かく書かれており、知られざる世界についてはとても興味深く、一気に読まされました。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年10月26日

『あじろ』赤松利市

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 立ち飲み屋のマドンナ、その正体は悪女だった。人情酒場の闇堕ちミステリー。新橋の老舗酒場の「あじろ」。常連客にも店主にも愛された清廉な美女が殺されて…。職業偽装、パパ活斡旋、深夜の奇行…彼女は嘘をいくつ重ねたのか?

 新橋の立ち呑み居酒屋「あじろ」の常連でマドンナだった真由美が、突然失踪してまう。心配した常連客と店主が彼女を捜し始めると、その美貌と笑顔からは計り知れない邪悪な一面が見えてくる。偽りの職業、パパ活斡旋、恐喝……常連の和歌子は彼女の本性を知って逡巡するのだが、真由美は殺されていたことがわかり、あじろに不穏な空気が漂いだした。犯人は常連客の誰かなのか。平和で楽しいはずの酒場の人間関係に何があったのか。大藪春彦賞作家の鬼才が描く、人情と愛情の居酒屋サスペンス!

 本書は、新橋の立ち呑み居酒屋「あじろ」を舞台にした人情と愛情の居酒屋サスペンスで、境界知能、貧困問題、ネグレクト、パパ活斡旋…と様々な現代の課題が提起されてはいるものの、ライト感覚で描かれているため、読みやすい半面、軽すぎて折角の設定が活かされていなかったのが残念です。

【満足度】 ★★☆
ラベル:赤松利市 あじろ
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2024年10月25日

『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』石井光太

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 スマホ登場以来16年、教室にいるのはもはや私たちが知る「子ども」ではなくなっている。デジタルネイテイブの育ち方を徹底レポート!保育園から高校まで、200人以上の「先生」が証言。衝撃の現場報告!

 保育園から高校まで、200人以上の教師に取材を重ねた衝撃の現場報告。スマホ登場以来16年、教室にいるのはもはや私たちが知る「子ども」ではなくなっていた。ハイハイも体育座りもできない保育園児。教室の「圧」に怯える小学生。クラスメイトの姓すら知らない中学生。会ったその日にベッドインする高校生……児童に関する問題を丹念に追ってきた著者がデジタルネイティブの育ち方を徹底レポート。

 本書は、『こどもホスピスの奇跡』や『ルポ 国語力を誰が殺すのか』など、子どもたちへの取材を重ね、伝えてきた著者が、スマホ登場以来16年、コロナ禍を経て、子どもの身体やコミュニケーションはどう変化しているのか、デジタル・ネイティブの子どもたちの成長現場のリアルを描くノンフィクション。本書で書かれる様々な問題が全てスマホのせいではないでしょうが、デジタルネイテイブの育ち方については衝撃的な内容が多く、今の子どもは区切られた狭い空間で育てられ、スマホ画面を見ている時間が長く、赤ちゃん時代に必要なハイハイをしていないために筋力がついていない…など、スマホとデジタルが、子どもたちの心とからだを変えていくリアルなレポート内容は強い印象を受けました。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年10月24日

『ゆれるマナー』青山七恵/戌井昭人/小川糸/温又柔/恩田侑布子/白岩玄/服部文祥/松家仁之/宮内悠介

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 機内食を選ぶときも、道ばたでの転倒にも作法があった!? 浮き世をサバイブしてきた賢者9名が惑い、うろたえ、発見する、マナーのエッセイ集。

 本書は、9人の作家がマナーについて語ったエッセイ短編集。マナーとは言っても「かくあるべし」と言うほどでもなく、それぞれが日常生活で心がけていることを綴ったエッセイとなっています。マナーについてではあるものの、日常的な内容は軽いタッチのエッセイばかりで気軽に読めました。

【満足度】 ★★★☆
ラベル:ゆれるマナー
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2024年10月23日

『ブラック・チェンバー 米国はいかにして外交暗号を盗んだか』H・O・ヤードレー




 ワシントン海軍軍縮会議で日本側の暗号電報5000通以上が完全に解読されていた。米国暗号解読室「ブラック・チェンバー」の内幕を創設者自身が暴露し、戦前にベストセラーとなったインテリジェンスの一級資料、待望の復刊!日本語暗号突破までの一部始終を総解説、「日米諜報戦」の原点を描くとともに、ベルサイユ平和会議やロシア革命の裏で展開した国際“諜報戦”の現場を描く秘録。

 ワシントン海軍軍縮会議で参加国の暗号電報5000通以上が完全に解読されていた1931年に刊行された『ブラック・チェンバー』は、米英日はじめ世界中に衝撃をもたらし空前のベストセラーとなる。米国がひそかに行っていた諜報活動の実態を、暗号解読室「ブラック・チェンバー」創設者、H・O・ヤードレー自身が暴露したのだ。ベルサイユ平和会議、ロシア革命、ワシントン海軍軍縮会議世界が “国際協調” へ向かう歴史の裏で繰り広げられていた米国インテリジェンス活動の実態とは? 日本語暗号突破までの一部始終を総解説、「日米諜報戦」の原点を描くとともに、ベルサイユ平和会議やロシア革命の裏で展開した国際 “諜報戦”の現場を描く秘録、待望の復刊!

 本書は、1929年に閉鎖されるまでの16年間の米国暗号解読室「ブラック・チェンバー」での暗号解読に尽力した著者自身の奮闘を描いた一冊。諜報活動の内容など興味深い話が多く、日米諜報戦での日本語暗号を突破する内容は特に興味を惹きました。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月22日

『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』今井むつみ




 「うまく伝わらない」という悩みの多くは、「言い方を工夫しましょう」「言い換えてみましょう」「わかってもらえるまで何度も繰り返し説明しましょう」では解決しません。人は、自分の都合がいいように、いかようにも誤解する生き物です。では、都合よく誤解されないためにどうするか?自分の考えを“正しく伝える”方法は?「伝えること」「わかり合うこと」を真面目に考え、実践したい人のための1冊です。

 本書は、サブタイトルに「認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策」ともありますが、ビジネス現場で頻発するコミュニケーション問題の本質と解決策を、認知心理学の視点から詳しく解説した一冊。どうすれば、伝え手と受け手の認識・理解のギャップを埋められるか、どうすれば正確なコミュニケーションができるか、コミュニケーションのヒントが多く書かれており、コミュニケーションの考察本としては参考になりました。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月21日

『猫と罰』宇津木健太郎

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猫と罰 [ 宇津木 健太郎 ]
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 ここだけが私の居場所。猫達と居るこの場所が。「猫に九生あり」という。かつて漱石と暮らした黒猫は、何度も生と死を繰り返し、ついに最後の命を授かった。過去世の悲惨な記憶から、孤独に生きる道を選んだ黒猫だったが、ある日、魔女を称する女店主・北星恵梨香が営む猫まみれの古書店「北斗堂」へと迷い込む。文豪の猫と創作の業が絡まり合う、ハートフル×ビブリア×ファンタジー!

 本書は、「日本ファンタジーノベル大賞2024」大賞受賞作。文豪に飼われていた猫たちが集う不思議な古書店を舞台にしたファンタジー小説で、猫の目を通して、生きることと創作することの意味を問いかける物語。『吾輩は猫である』のオマージュ作品でもあり、9回目の転生をした黒猫を主人公に、古書店で生活する中での心境の変化などがファンタジーとして描かれています。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月19日

『ネオ日本食』トミヤマユキコ

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ネオ日本食 [ トミヤマ ユキコ ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/10/19時点)




 無形文化遺産に「和食」を登録。ユネスコは、「ネオ日本食」を見落としている。和食だけが日本の食ではない!ホットケーキ、たらこスパ、餃子、カツレツ、カレー…海外の味を、日本に馴染ませる「工夫」と受け入れる「柔軟さ」が生むあくなき「探求」。かくして、ネオ日本食は、しれっと日常にある。一度もまとめてかえりみられることのなかった一大ジャンルを考察する世界初の本。

 本書は、海外から持ち込まれたはずなのに、日本で独自の進化を遂げ、日本人の食文化にすっかり溶け込んでいる食べ物や飲み物「ネオ日本食」について、ホットケーキ、ナポリタン、餃子、食パン、カレーなど、誰もが日常的に食していて、大好きな人も多いこの「食」の一大ジャンルを、作り手へのインタビューを通して紐解き、その奥深い世界を語りつくす一冊。日本での食文化の進化が感じられ、考察内容も良かったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月18日

『中東の経済学』細井 長

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中東の経済学 [ 細井長 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/10/18時点)




 日本にとって、石油を通じて中東は重要な地域です。しかし日本で中東政治や文化についての出版物はありますが、経済関連のものは皆無といえます。本書は、トレンドをおさえつつ学術的な観点から中東経済のしくみ・成り立ちを説明し、世界との関係性を考えるための入門書です。

 本書は、中東経済の仕組みや成り立ちを説明し、世界との関係性についてを分かりやすく解説した一冊。中東はそれぞれどんな国々なのか。イスラム教の基本から、上流と下流に分かれる石油産業の構造、米欧主導から少しずつ変わりつつある中東各国の石油産業の歴史と仕組み、脱酸素時代の石油産業を解説しながら、世界と比較しながらの日本のエネルギー事情を考察していて、中東経済の入門書としては分かりやすくまとまっています。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月17日

『ツキノワグマの掌を食べたい!』北尾トロ




 クマの掌は何の肉の味に似ている?カラスはまずいって先輩猟師が言ってたけど!?最近話題のキョンってうまいの?などなど。ノンフィクションライター北尾トロが狩猟で得た30種のジビエを食べまくる!!!

 本書は、サブタイトルに「猟師飯から本格フレンチまでジビエ探食記」とありますが、著者による様々な鳥や獣の忌憚ない30種のジビエ食レポをまとめた一冊。ジビエと狩猟の世界を知るための本としてもとても楽しい一冊で、カラー写真が多く読みやすかったです。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月16日

『珍道中!ごみ紀行』五味泰平

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珍道中! ごみ紀行 ─遥かなる山河─ [ 五味泰平 ]
価格:1,500円(税込、送料無料) (2024/10/16時点)




 全国、そして世界各地のごみ処理場を巡った世にも珍妙な旅行記!

 本書は、日本・世界のごみ処理施設の見学した旅行記をまとめた一冊。ごみを見ただけで、その国の文化や経済もわかり、日本は、ごみの量がバブル当時より減っているのですが、リサイクル文化が高まっているのもありますが、残念ながらごみの量が大きく減っている最大の理由は、日本の経済力が落ちているからなのだとか。本書はごみ処理場を巡る旅だけではなく、ネパール、パラオ、ラオスなど、なかなか行くことができない地域の旅行記でもあり、そして、著者の泣き笑い人生も綴られています。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月15日

『人類は宇宙のどこまで旅できるのか』レス・ジョンソン




 未来の「星間旅行」はどのようなものとなるのか?光子ロケットや静電セイル、反物質駆動、ワープ航法など、NASAテクノロジストの物理学者が本気で考えた宇宙トラベルガイド。宇宙のスケールの大きさや、人類の叡智に圧倒させられる、ワクワク感あふれる全人類待望の書。

 本書は、サブタイトルに『これからの「遠い恒星への旅」の科学とテクノロジー』とありますが、NASAの物理学者が本気で考えた宇宙トラベルガイド。NASAの星間推進研究プロジェクトのリーダーを務めた経験があり、様々なSF映画の監修なども行ってきた著者が、人類が太陽系外惑星に行くための課題とそれを解決するためのテクノロジーについて、紹介している一冊で、核融合、反物質、太陽帆など、理論上は可能である様々な技術的アプローチを解説しながら、どのような技術開発ができれば、星間旅行が実現するかをわかりやすく紹介しています。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月14日

『30年でこんなに変わった! 47都道府県の平成と令和』内田宗治




 1990年代初頭、世はバブル景気。日本の製造業も元気だが、インフラは信じられないほど貧弱だった。それから30年が経ち、47都道府県はそれぞれどう変わったのか。日本一を誇っていた産業が衰退した県、逆に生産量日本一を実現した県。かつて学校で学んだ記述がいまはどう変わっているかで知る、現代の日本各地の真の姿!

 本書は、47都道府県の色々な面を30年前と比べることで見えてくる、日本の直近30年の現代史。人口と自治体の変化、農業・漁業・工業などの変化、その地域で歴史的に注目されることがら、人気観光地の変遷、交通事情、地方百貨店の興亡、民放テレビ局の状況、地元の大企業ベスト5の変化、高校を取り巻く事情と進学校の実績、全国シェア上位の生産物、家庭の年間購入金額上位のもの…など、都道府県毎に紹介しており、30年での変化はとても興味深かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年10月12日

『世界の食卓から社会が見える』岡根谷実里

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世界の食卓から社会が見える [ 岡根谷 実里 ]
価格:2,090円(税込、送料無料) (2024/10/12時点)




 イスラエル、中国、モルドバ、ボツワナ、フィンランド…家庭の台所で料理を教わり見えてきた、食と政治・宗教・環境・民族との関係。

 世界各地の家庭に滞在し、その家の人とその土地の食材で料理をして食卓を囲むと、それまで気づかなった疑問が湧いてくる……。「どうしてここのほうれん草は日本のより味が強いんだろう」「肉とチーズを一緒に食べることが宗教的にだめってどういう理屈だろう」「なぜアボカド産地なのにいいアボカドが買えないのだろう」「ブルガリアの人って本当にヨーグルトをたくさん食べるんだろうか」そんな疑問から、食べ物と政治、宗教、環境、教育、気候、民族などとのつながりを解き明かしていく。台所探検家・岡根谷実里が探る「おいしい/おいしくない」を超えた料理の向こう側の話。

 本書は、世界各国や日本に住む外国人の台所にお邪魔して、料理をともに作って食べたり一緒に生活したり、さらに料理を通して経済、歴史、宗教、国際情勢などについて考察したノンフィクション。クックパッドの元社員の著者が、世界の食卓を実際に体験する旅の記述でもありますが、料理を通して見える暮らしや社会の様子、著者独自の視点が興味深く、世界の食文化は大いに興味をそそられました。

【満足度】 ★★★★☆
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2024年10月11日

『死んだ山田と教室』金子玲介

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死んだ山田と教室 [ 金子 玲介 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/10/11時点)




 夏休みが終わる直前、人気者の山田が死んだ。悲しみに沈むクラスに担任の花浦が席替えを提案すると教室のスピーカーから死んだ山田の声が聞こえた。山田はスピーカーに憑依してしまったらしい。“俺、二年E組が大好きなんで”。声だけになった山田と、二Eの仲間たちの不思議な日々がはじまる。

 二年E組の人気者・山田が死んだ。悲しみに暮れるみんなに担任の花浦が席替えを提案すると、教室のスピーカーから死んだ山田の声が。〈俺、ずっと前から考えてたんすよ、二Eの最強の配置を〉。声だけになった山田と、二Eの仲間たちの新たなる学園生活が幕を開けた……。

 本書は、第65回メフィスト賞受賞受賞作。飲酒運転の車に轢かれて死んでしまった二年E組の人気者・山田が、夏休み明けたら教のスピーカーに憑依して、声だけの存在になって帰ってくるというファンタジー・ミステリで、テンポが良く、非現実的な設定ながらつい引き込まれる展開で、時の経過とともに分かってくる事実や、クラスメイトの様々な受け取り方なども含めて、エンタメとして楽しく読めた作品です。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月10日

『けんごの小説紹介 読書の沼に引きずり込む88冊』けんご




 小説紹介クリエイターけんご厳選!ミステリー・恋愛・ホラー・SFなど、88冊の多種多様な小説を紹介。

 100年以上前に発表された作品から、近年刊行されたばかりの新刊まで。栄誉ある賞を受賞した作品から、新人作家のデビュー作まで。思わず涙が溢れてしまう物語から、戦慄が走るほどのホラー作品まで。動画では紹介していない作品も多数収録。新しい読書体験で、ぜひ「読書の沼」にお入りください。あなたにとって、大切な一冊が見つかりますように…。

 本書は、ジャンルや刊行年を問わず、多種多様な88冊の小説を紹介したブックガイド。紹介文がとても分かりやすく、日常的に読んだ本の書評を書いている自分としては参考になりました。

【満足度】 ★★★★
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2024年10月09日

『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』山岡彰彦




 人はいつからでも、どこででも成長できる!感動・覚醒のビジネス・ストーリー。Fランク大学出身、高知営業所配属になっても、「いつ辞めるか」だけを考えていたダメ新人が、セールス日本一を達成した、机上では学べない「知恵」。

 Fラン大学出身、四国のボトリング社に入社するも、高松本社勤務の大学同期とはスタート地点から差をつけられて高知営業所のルートセールススタート。最初は「いつ辞めるか」だけを考えていたダメ新人が、セールス日本一、そして全国のボトラー社でも前例のない日本コカ・コーラ社への出向を果たす。その裏には先輩・取引先をはじめ多くの人から教えてもらった机上ではけっして教われない「学び」があった。大学・企業でも話題の、どんな仕事にも生かせる普遍的な学びを明かす。

 本書は、著者が日本コカ・コーラでの営業の経験を通じて、学んだこと、得たことについてまとめたもの。著者の営業の仕事を通じて、取引先との接し方など、仕事の取り組み方について考えるきっかけとなる内容が収録されており、営業職が中心に書かれていますが、それ以外の職種でも共通する学びを得られる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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