百戦錬磨の探検家を待ち受けていたのは、恐るべき混沌だった…。地図を持たない…それだけで日高の山は「極夜」を超える「魔境」と化した。『極夜行』と対をなす、冒険登山ノンフィクション!
グルメサイトや地図アプリの検索結果をなぞるだけの日常で生は満たされるのか。情報に覆われた現代社会に疑問を抱いた著者は、文明の衣を脱ぎ捨て大地と向き合うために、地図を持たずに日高の山に挑む。だが、百戦錬磨の探検家を待ち受けていたのは、想像を超える恐るべき混沌だった。前代未聞の冒険登山ノンフィクション。
本書は、288ページの読み応えのあるノンフィクションで、国立公園化された日高山脈を地図を持たずに冒険するという前代未聞の試みを記録したもの。その結果、著者が感じた自由さと不安の矛盾した感情、最終的に影響を与えた経験が描かれています。道標もなしに、ただ大地の声に耳を傾けながら進む様子、これまでの冒険者としての活動を通じて体験した様々な出来事、地図を持たない登山の難しさやその冒険行為の魅力、スマホやインターネットを通じて得られる情報に依存しきった日常生活に対する疑問…など、日高山脈への挑戦から自身の心に想像を超える重圧を含め、どのように探検家である著者の価値観や視点が変わっていくのかは読みごたえ満載です。
【満足度】 ★★★★☆