2025年03月31日

『もうひとつの引退馬伝説 関係者が語るあの馬たちのその後』マイクロマガジン引退馬取材班




 著名な競走馬のセカンドキャリアを追った一冊。関係者への取材を基に「第二の馬生」の様子やエピソードなどを紹介していきます。

 ターフを沸かせて引退したあの競走馬は今どうしてる?有名競走馬28種の引退後をさまざまな関係者に直撃取材。種牡馬、繁殖牝馬、乗馬、誘導馬、伝統神事馬、功労馬などなど、新たなキャリアを歩む馬たちの実像に迫る!和田竜二騎手と角居勝彦元調教師のインタビューも収録。

 競走馬の引退後の行き先は、種牡馬や繁殖牝馬になる他、乗馬、馬術競技、伝統行事や農業で活躍したりなど多岐に渡りますが、本書はG1など重賞を勝った著名な馬の、繁殖生活だけに限らない余生(セカンドキャリア・サードキャリア)にアプローチし、繋養先でどのように過ごしているのか、現役時代との違いやエピソードなどを関係者へ直撃し、引退した著名な競走馬の現在の魅力をとことん掘り下げていきます。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月29日

『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』森 功

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魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史 [ 森 功 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2025/3/29時点)




 大宅賞作家が「日本一のマンモス私大」の「権力と闇」に光を当てる。

 迷走する「林真理子体制」。裏切られた改革。大宅賞作家が「日本一のマンモス私大」の「権力と闇」に光を当て、現在進行形の「タブー」に迫る。2021年、田中英壽理事長(当時)が率いる日本大学を舞台に起こった一連の事件には、日本の私立大学が長らく抱えてきた共通の病が潜んでいた。日本一のマンモス私大「日本大学」の歴代トップが歩んできた日大の歴史を紐解きながら、転換期にある日本の私大問題を掘る。

 本書は、日本一のマンモス私大「日本大学」の歴代トップが歩んできた日大の歴史を紐解きながら、転換期にある日本の私大問題を掘り下げた一冊。アメフト部薬物事件、ならびに重量挙部・陸上部・スケート部における「被害額約1億1500万円超」もの金銭不祥事…など、日大で何が起こっているのか戦後の「日大」裏面史から、その原因を探り出しています。

【満足度】 ★★★★
ラベル:森 功 魔窟
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2025年03月28日

『沸騰大陸』三浦英之

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 「生け贄」として埋められる子ども。78歳の老人に嫁がされた9歳の少女。銃撃を逃れて毒ナタを振るう少年。特派員としてアフリカの最深部へ肉迫した3年間。生々しさゆえにお蔵入りとなった膨大な取材メモが残された…。ノンフィクション賞を次々と受賞した気鋭のルポライターが、閉塞感に包まれた現代日本に問う、むき出しの「生」と「死」の物語。

 本書は、朝日新聞記者でルポライターの著者が、アフリカ特派員時代の未発表メモをもとにした、アフリカの実情を伝える短編ルポ・エッセイ集。テロや紛争と背中あわせで生きる、市井の人々の日常、苛酷な運命に翻弄されつつも、逞しく生きる人々の笑顔、壮大な自然の美しさなど、バラエティに富んだ34編が収録されています。経済成長の裏側、内戦の実情など、報道の裏側ともいえる知られざるアフリカが書かれており、インパクトの強いルポでした。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月27日

『冬に子供が生まれる』佐藤正午

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冬に子供が生まれる [ 佐藤 正午 ]
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 このメッセージは未来の予言。起こりうるはずのない未来の予言。だがこれは…今年の冬、彼女はおまえの子供を産む。その年の七月、丸田君はスマホに奇妙なメッセージを受け取った。現実に起こりうるはずのない言い掛かりのような予言で、彼にはまったく身におぼえがなかった。送信者名は不明、090から始まる電話番号だけが表示されている。一方で彼は、過去の記憶の断片がむこうから迫ってくるのを感じていた。記憶の足音が聴こえる、数奇な半生の物語が再生される。

 本書は、少年期にUFOを目撃した3人組の感情の機微を描いたその後の物語。ファンタジー的な作品で不思議な感じの作品で、ミステリーとしてもオカルトとしても中途半端な作品にも感じました。小学生の頃のUFO目撃が、その後の少年たちや周囲の人々の人生に色濃く影を落としますが、もう少しエンタメ色を出した方が良かったようには思います。

【満足度】 ★★
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2025年03月26日

『日比野豆腐店』小野寺史宜

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日比野豆腐店 [ 小野寺史宜 ]
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 ベストセラー『ひと』の著者による、「日々の豆腐」という意味も込められた豆腐屋でひたむきに生きる人たちを描いた家族小説。

 東京の町なかに、ひっそりと佇む「日比野豆腐店」。店主の清道を亡くした日比野家は、厳しいながらも手を取り合って店を切り盛りしていた。店を終わらせようとしている祖母の初。亡くなった夫の代わりに店を続けたい母の咲子。店を継ぎたいのかどうか、将来に悩む令哉。そして、「ある人」と一緒に三人を見守る飼い猫の福。「日々の豆腐」という意味も込められた豆腐屋で、ひたむきに生きる人たちを描いた心揺さぶる家族小説。

 本書は、東京の下町の片隅にある日比野豆腐店を舞台に、経営は厳しいながらも家族の絆と豆腐を巡る物語。スーパーの安売り豆腐に押されながら、自慢の味を守って行こうとする家族と、美味しい豆腐を求めて、足繁く通って来るお客さん達とのやり取りがなんとも微笑ましく、お客さんとのコミュニケーションの大切さ、地域で頑張るお店を応援したくなる作品です。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月25日

『潜入取材、全手法』横田増生




 潜入取材の技術はブラック企業対策にもなり、現代社会における強力な護身術となる。ユニクロ、アマゾン、ヤマト運輸、佐川急便からトランプ信者の団体まで数々の組織に潜入。世に知られていない実情を掘り起こし、名誉毀損裁判ではユニクロに完勝したプロ中のプロが、調査方法から裏取りの仕方、執筆、更に訴訟対策に至るまで全技法を公開。レポート作成からセクハラ・パワハラ対策にまで使える決定版!

 本書は、自らの体験を語りながら、実践で身に付けた潜入取材のノウハウを公開した一冊。著者は、日本に上陸してまもない頃のアマゾンの物流センターをはじめ、ユニクロやアメリカ大統領選のトランプ陣営など、さまざまな組織に潜入してその内実を告発してきたジャーナリストですが、取材とは告げず、その組織や人物を至近距離から観察し、外面の下に隠された本当の姿が浮き彫りにする潜入取材の手法はとても興味深かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』下村敦史

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全員犯人、だけど被害者、しかも探偵 [ 下村 敦史 ]
価格:2,090円(税込、送料無料) (2025/3/24時点)




 社長室で社長が殺された。それに「関わる」メンバーが7人ある廃墟に集められる。未亡人、記者、社員2人、運転手、清掃員、被害者遺族…。やがて密室のスピーカーからある音声が流れる。「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」。犯人以外は全員毒ガスで殺す、と脅され、7人は命をかけた自供合戦を繰り広げるが…。

 本書は、一人の会社社長が殺害された事件が発端となり、それに関わるメンバーがある廃墟に集められることになり、密室のスピーカーから流れた「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」という脅しから、命を懸けたデスゲームが始まり、全員がそれぞれが「自分が犯人です!」と名乗る自供合戦が繰り広げられるミステリ。登場人物各々が犯人と名乗り自白し、矛盾点を指摘し合う推理合戦が繰り広げられる展開は面白く、ミステリ好きにはオススメの作品です。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月22日

『セルフィの死』本谷有希子

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セルフィの死 [ 本谷 有希子 ]
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 フォロワー獲得に死力を尽くすミクルは思う。「何故この世界は自分にフォロワーが増えないように作られているのだろう」。自撮りを繰り返すとイソギンチャクになる顔面。オート化された無人回転寿司。まさかのフォロワー爆増……狂った現象が次々とミクルを襲う、地獄展開に抱腹絶倒、気分は爽快。約十年ぶり、待望の長編!

 自意識と承認欲求から生まれた私達の姿をあぶり出す、地獄展開に気分は爽快。毎夜、フォロワーが欲しくてベッドで震えているミクルは、その数を増やそうと常に死力を尽くしている。老舗喫茶店でなりふり構わず自撮り、他人の投稿をパクって炎上、原宿系インフルエンサーからのフォローバックの提案…。何もかもうまくいかず七転八倒し、あらゆる希望が根絶やしになった時、ついに訪れた、バズりの先に見えた真実とは。

 本書は、フォロワー獲得に奔走する主人公ミクルの姿を通じて、現代社会におけるSNSの影響力と承認欲求の闇に鋭く切り込む作品。ユニークな心理描写が鋭く、どんな手を使ってでも自分のフォロワー数を増やしたいと思っている主人公の自意識と承認欲求がブラックユーモアを交えて、面白く描かれます。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月21日

『地獄の底で見たものは』桂 望実

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地獄の底で見たものは [ 桂 望実 ]
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 長年夫を支えてきたつもりだったのに、急に離婚を切り出された専業主婦。新規事業を立ち上げて15年、働きぶりを否定された会社員。ともにオリンピックを目指した教え子に逃げられたコーチ。22年間続けたラジオ番組をクビになり、収入が途絶えたフリーアナウンサー。どん底に落ちた女たちの、新たな人生の切り開き方とは?

 本書は、離婚、全否定、教え子の移籍、クビ…と、今まで信じていた人に突然裏切られたアラフィフ女性達が「人生の底」を経験して、そこから這い上がる物語。それぞれに自らの意思で道を切り開いていく様子は、読み手も前向きになれるストーリーで、読後の印象も良かったです。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月20日

『雫』寺地はるな

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雫 [ 寺地 はるな ]
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 新たに生まれ変わり、継がれるジュエリー。人から人へとつながっていく想い。変化しながら続いていく先に広がる、新たな始まりの物語。中学の卒業制作で出会った4人の同級生たち。恋人とも親友とも異なる距離感のまま時が巡ること30年、ビルの取り壊しに伴ってひとつのジュエリーリフォーム会社が営業を終え、4人は再会した。重ねてきた月日の過程で、不器用ながらもひたむきに生きる彼らに訪れる数々の選択と、人生のままならなさ、そして転機…。

 ビルの取り壊しに伴うリフォームジュエリー会社の廃業を起点に時間をさかのぼりながら、物から物へ、人から人へと、30年の月日のなかで巡る想いと“つながり”、そして新たなはじまりを描く、寺地はるなの真骨頂が光る、感動長篇。出会い、卒業、就職、結婚、親子、別れ……。中学の卒業制作づくりで出会った4人がそれぞれ直面する数々の選択と、その先にある転機、人生のままならなさ。不器用に、でもひたむきに向き合う彼らの姿を通して、日常のささいな不安や違和感を丁寧にすくい取って人の弱さにそっと寄り添いながら、いまを生きるあなたにエールを贈る大人の青春小説。

 本書は、男女4人の30年間を45歳から15歳までさかのぼっていく物語。中学の卒業制作づくりをきっかけに知り合った、親友とも恋人とも異なる距離感の同級生たち4人の30年の年月の中で訪れる様々な出来事を、遡りながら彼らの背景や心の移ろいを掘り下げていく展開と、大切な人から受け継いだ古い宝石が新しい姿に生まれ変わるということが彼らの人生にどのような意味を与えるのかは、共感と希望の物語でもありました。

【満足度】 ★★★★
ラベル:寺地はるな
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2025年03月19日

『罪名、一万年愛す』吉田修一

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罪名、一万年愛す [ 吉田 修一 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2025/3/19時点)




 横浜で探偵業を営む遠刈田蘭平のもとに、一風変わった依頼が舞い込んだ。九州を中心にデパートで財をなした有名一族の三代目・豊大から、ある宝石を探してほしいという。宝石の名は「一万年愛す」。ボナパルト王女も身に着けた25カラット以上のルビーで、時価35億円ともいわれる。蘭平は長崎の九十九島の一つでおこなわれる、創業者・梅田壮吾の米寿の祝いに訪れることになった。豊大の両親などの梅田家一族と、元警部の坂巻といった面々と梅田翁を祝うため、豪邸で一夜を過ごすことになった蘭平。だがその夜、梅田翁は失踪してしまう……。

 物語は、一代で、九州を中心にデパートを開業し、財をなした梅田壮吾の米寿の祝いに、梅田家の家族、探偵業を営む刈田、元警部の坂巻が招待されるが、祝いのパーティーの翌朝、孤島に建つ豪邸から壮吾が姿を消してしまうこととなりストーリーが進んでいきます。ミステリの展開でスタートするも、梅田壮吾にまつわる戦後の過酷な時代を生き抜いた戦争孤児の話や主婦失踪事件も絡み、読み応えある作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月18日

『その朝は、あっさりと』谷川直子

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その朝は、あっさりと [ 谷川直子 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2025/3/18時点)




 九十六歳の父を看取るまでの二十日間、家族と介護士、看護師はどうかかわるか。誰もが迎える最期には何が必要?一茶の句が持つ庶民のリズムと見捨てない温かさに包まれた「老衰介護看取り小説」。

 長寿社会という「最先端」の時代を生きる私たちに、道しるべとなる「老衰介護看取り小説」の誕生!老い、病、死にちかづくこと。じつはたっぷりした意味がある!中島京子さん推薦!老いとの闘い。死支度。「死下手」の一茶の俳句が、認知症のお父さんを支える。家族のじたばた、いらだち、せつなさも、どこか飄々とした俳諧のようだ。*元中学教師の恭輔は80代後半には認知症になり、骨折をきっかけに4年前からは在宅介護を受ける身の上だ。通称「かんたき」看護小規模多機能型居宅介護の看護師、介護士が自宅でのサポートをしているが、妻にとっては老老介護、かかわる子どもたちも還暦前後でらくではない。オムツとトイレの大惨事、認知症の薬などを試みるが、次第に出来なくなってくることが増えていく。万一の場合には救急車をどうする?96歳で息をひきとるまでの20日間、家族や介護者はどのように備えるのか。誰にとってもひとしく迎える最期はどのようなものなのか。死ぬときはどうなるのか。そしてその日は信じられないほど「あっさりと」やってきたのだ。

 本書は、96歳の父を自宅で看取るまでの20日間を、実体験に基いて描いた作品。寝たきりの父を看取る妻と2人の娘との20日間の様子はとてもリアルで、それぞれ死を受け入れていくまでの心の動きが見事に表現されています。笑いあり涙ありの家族小説でもあり、まさに『老衰介護看取り小説』として読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月17日

『言葉なんていらない 私と世界のあいだ』古田徹也




 言葉を介したコミュニケーションはなぜうまくいかないの…?言葉の役割を見つめ直し「生きた言葉」に出会う本。10代以上すべての人に。

 私たちは言葉を通して世界やそこに住む人々とかかわり、ともに暮らしている。でも、言葉による表現はときに不正確で、誤解やトラブルの元にもなる。はたして言葉は私と人々/世界をつなぐ「メディア」なのか、はたまた両者を隔てる「バリア」なのか。そもそも私たちは、「発話=言葉を発すること」によっていったい何をしているのか?……本書はこれらの問いから出発し、哲学的な視点を携えて、言葉を旅していく。SNSをはじめ、言葉に振り回されがちな日常の中で、言葉と親しくなり、より自由につきあっていくための一冊。

 私たちは言葉を通して世界や他の人々と繋がっていますが、一方で言葉は時に不正確で、誤解やトラブルの元にもなります。本書は、はたして言葉は私と世界を繋ぐ「メディア=媒介物」なのか、はたまた両者を隔てる「バリア=障壁」なのか。そもそも、私たちは「発話=言葉を発すること」を通して、いったい何をしているのか?という問いから出発し、言葉を旅していく一冊。改めて言葉とコミュニケーションを考えさせられる内容となっており、普段何の気なしに使用している言葉について改めて意味や用法を考えなおしたり、価値観を探ることは面倒な行為ではありますが、そうした地道な探索を繰り返すことで新たな物事の見方が開かれるなど、より豊かな人生を歩むためのヒントになりうるものかと思います。

【満足度】 ★★★★☆
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2025年03月15日

『コンビニ全史 日本のライフスタイルを変えた50年の物語』中村直文




 無数の「プロジェクトX」を生んだ挑戦者たちの物語!おにぎり開発、プレミアムPB、物流革命、24時間営業、銀行業参入…。セブンイレブン買収騒動、『コンビニ人間』村田沙耶香さん対談、レジェンド鈴木敏文氏の名言などを収録!

 コンビニが消費を、そして日本の文化を変えた。日経MJ元編集長が描く、コンビニ化するニッポンの物語。国内店舗数が5万店を超え、売上総額11兆円超、年間160億人が利用するコンビニ。大小さまざまなメーカー、卸、サービス企業が積極的な投資を進め、巨大な経済圏を作りあげた。コンビニおにぎり、からあげの登場。POSシステムによる単品管理。24時間365日営業。公共料金収納の取り扱い。トイレの開放。店内のATM設置。独自PBのプレミアム商品発売。イートインやカフェの導入……いまや生活インフラとなったコンビニエンスストアのイノベーションの歴史を解き明かす!

 本書は、セブンイレブン1号店誕生から50年、小売業態の1つにすぎなかったコンビニが、ライフスタイルを変え、インフラになるまでの物語。コンビニの本格的なチェーン展開が始まってから、今では社会インフラの一つとも言われていますが、米国生まれのコンビニはなぜ、これほどまでに日本社会に受け入れられたのか。そして、コンビニの拡大によって私たちのライフスタイルはどう変わったのかが、コンビニの歴史と現況からまとめられています。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月14日

『イラスト図解 知っているようで知らない 物価のしくみ』斎藤太郎/木下智博




 物価は私たちの生活と密接に関わっていますが、物価を測る指標や物価の変動する要因など、基本的なしくみは知らない人が多いのではないでしょうか。本書を読むことで、消費者物価指数の測り方、為替レートと物価の関係、金融政策の物価への影響など、さまざまな視点から「物価のしくみ」を知ることができます。物価への見方が一変することでしょう。

 近年、物価の上昇が続いており、話題となっています。2024年7月、一般の消費者に「日頃よく購入する品物の価格は1年後どの程度になっているか」を聞く調査が行われ、全体の45.2%の人たちが「5%以上上がる」と回答しました。しかし、消費者物価指数という物価の動きを表す数値を見ると、消費者が予想する「5%以上の上昇」は過去20年間で一度もありません。2%を超えたのも、2014年、2022年、2023年の3回だけなのです。物価に関する数字やしくみを理解することで、自分の中の思い込みが変わるきっかけになります。本書を読むことで、経済ニュースへの理解も深まるでしょう。

 本書は、「そもそも物価とは何か」「物価が変動する要因」「物価が上がると生活はどうなるのか」など、意外と知らない物価の知識について、誰でもわかりやすいようにイラスト図解を用いて解説した一冊。消費者物価指数の測り方、為替レートと物価の関係、金融政策の物価への影響など、様々な視点から「物価のしくみ」を知ることができます。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月13日

『あやふや記憶の本棚 思い出せないあの本、探します』あやふや文庫




 6.6万人の本好きさんが探してくれた、みんなの「あいまいな本の記憶」と、その正解。6031冊が判明。

 本書は、思い出そうとしても思い出せない、皆さんの記憶の中にある本を探し出してくれる×アカウント「あやふや文庫」(@ayafuyabunko)が、これまでに探し当てた本をまとめた一冊。古い本、日本作家以外、児童書、純文学…などが多いこともあって、知らなかった本が多かったですが、未解決の本が早く探し出せればと思いますし、読書好きとして中々面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月12日

『老い方がわからない』門賀美央子

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老い方がわからない [ 門賀美央子 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2025/3/12時点)




 どうすれば老害と言われず、若さにしがみつく醜態をさらさず、年相応の分別と年齢以上の価値を持つ老人になっていけるのか? 健やかで美しい老い方を追求したユーモア溢れるポジティブエッセイ。

 「人生100年時代」到来!シニア世代は、どうすれば若者に老害と言われず、若さにしがみつく醜態を晒すことなく年相応の分別と年齢以上の価値を持つ老人になっていけるのか。話題作『死に方がわからない』で「自分のためのよりよき死に方」を追求した著者が、今度は「健やか、かつ美しい老い方」を、とことん探究した、老い方のハウツーエッセイ。

 本書は、50代を迎えた著者が、ひとり暮らしのボッチが、人生100年時代において健やかに老後を生きる方法を追求したエッセイ。。「会社員、既婚、子どもあり」を前提とした日本の社会保障や、単身高齢者への支援が行き届かない現状などの問題を提示しつつ、それらの解決への道筋や、筆者の導いた答えを書いており、豊かな老後を迎えるためのヒントを得られる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月11日

『赤ずきん、アラビアンナイトで死体と出会う。』青柳碧人




 事件の最後に「あなたの犯罪計画は、どうしてそんなに杜撰なの?」の決めセリフが炸裂する大好評「赤ずきんシリーズ」の第3弾が登場! 今作では「アラビアンナイト」の世界で赤ずきんが大活躍します。王妃が王様に語る、「アラジン」「アリババ」「シンドバッド」といった物語の中で起きる殺人事件を、赤ずきんが名推理で解決していきます。空飛ぶ絨毯やランプの魔人といった小道具も盛り込み、これまで未読の方でも楽しめます。

 童話×ミステリ第3弾!またまた事件に巻き込まれた赤ずきん。謎をスッキリ解決!できるのでしょうか?「アラジンと魔法のアリバイ」お母さんが市場で買ったコーヒーを飲んでいた赤ずきん。指輪の魔人に連れられて、あるアラビアの国にやってきました。国の大臣がヤギの乳で殺されたというのですが…。「アリババと首吊り盗賊」空飛ぶ絨毯に乗せられた赤ずきん。森の中で墜落し、アリババに助けてもらいました。アリババはお兄さんを捜しに洞窟に向かい「開け、ゴマ!」と叫びます。そこにあったのは…。「シンドバッドと三つ子の事件」不思議な布で小さくなってしまった赤ずきん。海で出会ったシンドバッドから、アラジンの事件で知り合った大臣の3人の甥が不審な死を遂げたことを聞き、推理を展開しますが…。「アラビアの夜にミステリは尽きず」王妃が話す、赤ずきんの活躍を楽しんでいたペルシャの王様。ですが王様はまだ「赤ずきんの本当の物語」を知らずにいたのです…。

 本書は、「赤ずきんシリーズ」の第3弾で、今回は千夜一夜物語ををベースにアラジン・アリババ・シンドバッドと物語を紡いでいきます。魔法ありきの連作ミステリとして、世界観と共に楽しめました。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月10日

『おきざりにした悲しみは』原田宗典

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おきざりにした悲しみは [ 原田 宗典 ]
価格:2,200円(税込、送料無料) (2025/3/10時点)




 「おれはもうおじさんではなく、おじいさんだ」…様々な思いをおきざりにして、これまで生きてきた長坂誠、65歳。その運命の歯車が、或る姉弟との出会いから動き出す…。おきざりにされた者など、いない。生きていくかぎり、ささやかではあれ希望が生まれ、その旅は続いてゆくから。吉田拓郎の名曲にのせて贈る、昭和の香り漂う令和の物語。

 本書は、吉田拓郎の同タイトルの曲から着想を得た物語で、様々な人生の曲折を味わった人の優しさが描かれる作品。著者の6年ぶりの書下ろし小説で、まさか吉田拓郎の曲から小説を描くとはあまりにも意外で、しかも著者の25年以上前の『スメル男』の系譜で、初期の作品を彷彿とさせてくれていて、ひとり暮らしの65歳の主人公と幼い姉弟の交流を描いた物語は、優しさ、詩情、途轍もない夢などに溢れ、予想以上の素晴らしさでした。

【満足度】 ★★★★☆
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2025年03月08日

『ルポ 京アニ放火殺人事件』朝日新聞取材班

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ルポ 京アニ放火殺人事件 [ 朝日新聞取材班 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2025/3/8時点)




 2019年7月、京都市伏見区にある「京都アニメーション・第1スタジオ」で起きた放火殺人事件。死傷者68人を出した凄惨な事件はなぜ起きたのか。裁判での証言や供述調書および独自取材を通して、青葉真司被告が起こした事件の実相に迫る。

 36人もの命を奪った戦後最悪の事件は、なぜ起きたのか。「京都アニメーション・第1スタジオ」で起きた放火殺人事件から4年半ほどが経った2024年1月25日、青葉真司被告に死刑判決が言い渡された。143日間(23回)に及んだ裁判は事件の何を明らかにし、遺族や負傷者は何を思ったのか。裁判の記録と独自取材を通して、凄惨な事件の実相に迫る。

 本書は、京都アニメーション放火殺人事件の犯人・青葉被告の生い立ちから事件を起こすまでをたどり、どのような人生を送ってきたのかを浮き彫りにしたルポで、朝日新聞デジタルに連載された記事をまとめ、加筆されたもの。特に目新しい内容はなかったものの、改めて被害者の方々のご冥福をお祈りします。

【満足度】 ★★★☆
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