2012年11月28日

『転がる空に雨は降らない』小野寺史宜



 1本のキックが2人の運命を変えた。大切なものを守れなかったGKは、夢に邁進する少年の願いを受け止められるのか…。人生の美しさを描く長編小説。『新潮ケータイ文庫DX』連載に加筆修正して書籍化。

 30代半ばを迎えたプロのサッカー選手、灰沢考人は控えのゴールキーパー。小学生の息子と広場でサッカーをしていて、灰沢の蹴ったボールが車道に飛び出してしまう。この事故により、息子を失い、妻との関係は壊れ、練習に集中できず、引退が頭をよぎる。一方、車を運転していて加害者となった父の思いを胸に、高校生の砂田佳之也はユースからプロ選手を目指す……。

 物語は、一つのキックが2つの家庭を狂わせ、その2つの家族の喪失から再起の兆しを描いた作品。交通事故の被害者と加害者、それぞれの家族の崩壊と再生が描かれますが、子を失った親の悲しみと怒り、徐々に生まれる夫婦の確執など、リアル感があり、哀しくも再起に向けての決意が、非常に前向きで、崩壊と再生のバランスがうまく表現されています。

【満足度】 ★★★★☆
posted by babiru_22 at 13:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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