2014年07月16日

『スペードの3』朝井リョウ



 女優のファンクラブまとめ役という地位にしがみついている美知代。地味で冴えないむつ美。かつての栄光は見る影もない女優のつかさ…。人生を動かせるのは自分自身だけだと気付く女性たちを描く。『小説現代』連載を単行本化。

 ミュージカル女優、つかさのファンクラブ「ファミリア」を束ねている美知代。大手化粧品会社で働いていると周りには言っているものの、実際は関連会社の事務に過ぎない彼女が優越感を覚えられるのは、ファンクラブの仕事でだけ。ある日、美知代の小学校時代のクラスメイトが「ファミリア」に加盟する。あっという間に注目を集めた彼女の登場によって、美知代の立場は危うくなっていく。美知代を脅かす彼女には、ある目的があった。華やかなつかさに憧れを抱く、地味で冴えないむつ美。かつて夢組のスターとして人気を誇っていたが、最近は仕事のオファーが減る一方のつかさ。それぞれに不満を抱えた3人の人生が交差し、動き出す。

 本書は、劇団出身女優香北つかさのファンクラブ“ファミリア”のリーダー美知代、ファミリアに新たに加入したアキと呼ばれる美知代の小学校の同級生、そして、香北つかさを主人公にした3編の連作集。全編が女性目線で、心理も非常に細かく描かれており、女性独特の世界がうまく表現されています。ラストで物足りなさを感じましたが、女性の嫉妬心をうまく物語としており、3人の女性心理が巧みに書き分けられています。

【満足度】 ★★★★
posted by babiru_22 at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック