2018年08月29日

『肉弾』河崎秋子

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肉弾 [ 河崎 秋子 ]
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 心の通わぬ父子は、森へ入っていく。そこが獣の領域と知りながら…。北海道のカルデラ地帯で孤立した青年が熊や野犬と戦い、人間の生きる本能を覚醒させてゆく。圧倒的なスケールで描く肉体と魂の成長物語。

 豪放でワンマンな父親のもとで育った貴美也は大学を休学中のニート。親に反発しながらも庇護下から抜け出せずにいる。そんな彼を父親は、北海道での狩猟に連れ出した。地元ガイドの話を無視し、大物の雄鹿を仕留めるために、父子はカルデラ地帯の奥深く分け入っていく。そこに突然熊が襲ってきた。なすすべなく腹を裂かれて死ぬ父親。ひとり取り残された貴美也。後ろから気持ちの悪い唸り声が追ってきた。情けなく涙と涎を垂らし、悪態をつきながら、貴美也は逃げる。ただ、死なないために。自分の傲岸なまでに強靭なエゴに支配される人間。人間に従属する歴史を繰り返した犬。人間の営みにより生活をおびやかされた熊。残酷だが美しい、それぞれの生……そして青年は覚醒する。

 本書は、北海道の山中、四晩にわたって人間と動物が繰り広げる極限の物語。心の通わぬ親子が、狩猟のため北海道の森へ入り、山中でたった独りになった青年と、人間に捨てられた野犬の群れとの、極限の状況の中での本能が描かれる作品でもありますが、自然の厳しさ、動物達の描写など迫力抜群で、荒削りな文体ではあるものの、壮絶な展開にも圧倒されます。

【満足度】 ★★★★
ラベル:河崎秋子 肉弾
posted by babiru_22 at 17:39| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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