大学院生の圭は、ニセ科学批判の急先鋒である蓮見教授のもとで、美貌の女性研究者・美冬に関する信じ難い事実を告げられる。彼女はニセ科学商品の開発に手を貸し、行方をくらませたのだ。圭は美冬の消息を追うが…。
「ニセ科学」……それは、根拠のないでたらめな科学用語をちりばめた、科学を装う「まがいもの」。大学院生の圭は、新進気鋭の生物学者・宇賀神と共に、ニセ科学批判の急先鋒である蓮見教授の元を訪ねる。そこで告げられたのは、宇賀神のライバルであり、想い人でもあった女性研究者の美冬に関する信じ難い事実だった。神秘の深海パワーで飲むだけでがんが治る、「万能深海酵母群」。「VEDY」と名付けられたニセ科学商品の開発に手を貸し、行方をくらませたのだ。ニセ科学を扱うことは、研究者にとって「死」に等しい。なぜ彼女は悪魔の研究に手を染めたのか? 圭は宇賀神に命じられ、美冬の消息を追うが……。すべての真相が明らかになったとき、「理性」と「感情」のジレンマが、哀しい現実を突きつける……。
物語は、××水、××酵素、代替医療など、科学のように説明して利益を得るニセ科学商法と向き合うサスペンス。設定自体が面白く、興味深く読みましたが、改めて現代はニセ科学の商品が溢れていることも感じました。ノンフィクション的でもあり、色々と深く考えさせられる作品です。
【満足度】 ★★★★☆