広島平和記念資料館初代館長・長岡省吾、広島市長・浜井信三、建築家・丹下健三…。原爆投下後の広島を蘇らせた人びとに光を当てたノンフィクション。『すばる』『小説すばる』掲載を加筆・修正し、大幅に書き下ろしを加える。
1945年8月6日午前8時15分、B29から投下された一発の原子爆弾が、広島を死の町に変えた。残留放射能に満ちた市内に通い、原爆症になりながら、その悲劇を記録して後世に残そうとする人物がいた。のちに広島平和記念資料館の初代館長となる長岡省吾である。被爆直後の広島には、彼をはじめとして“原爆市長”浜井信三、世界的建築家・丹下健三など、様々な人たちが集まり、「75年は草木も生えぬ」と囁かれた廃墟の町を、命を懸けて平和都市へと蘇らせた。世界平和を願い、広島に奇跡の復興をもたらした歴史に迫る、感動の群像ノンフィクション。
本書は、戦後の広島の復興に尽力した4人の物語。「75年間は草木も生えない」と言われた広島を、原爆投下直後から駆けずり回り、国際平和文化都市“ヒロシマ”へ導いた人びとを取り上げる本書には、戦後70年を越えた今日まで、語られることのなかった、骨太な実話・秘話が詰め込まれています。勿論、広島の復興は、本書で書かれる4人だけではありませんが、本書で取り上げられる4人に焦点を当てて、丹念なる取材が伺える内容で、知られざる復興物語がここに書かれており、貴重な史料ともいえるノンフィクションです。
【満足度】 ★★★★☆