中島飛行機のエース技師として、「隼」「疾風」など名戦闘機の設計を手掛けた小山悌。終戦間際は極秘計画「富嶽」に取り組んでいた。小山が富嶽に込めた願いとは? 事実をもとに物語として構成したノンフィクション・ノベル。
本書は、離陸速度、最高速度、旋回、急降下等、その性能の高さは世界の中でも群を抜き、第二次世界大戦中、米国軍に「悪魔の機体」と名付けられた「疾風」を世に生み出した中島飛行機と、そこで生きた人間の物語。現スバルの前進「中島飛行機」の当時の社風や、パイロットの命を重視した上で技術的課題を乗り越えようとしていた技術者達の矜持ぶりには感動を覚えます。「零戦」に関しては様々な資料や書籍がありますが、一方で、実は米軍がもっとも脅威に感じた「疾風」に関することはほとんど知られておらず、設計者の小山悌氏を中心に見事に物語として構成しています。
【満足度】 ★★★★☆