2020年05月25日

『女たちのシベリア抑留』小柳ちひろ




 従軍看護婦、電話交換手、民間人…。1000人近い日本人女性がシベリアに抑留されていた! 70年以上の沈黙を破り、捕虜だった女性たちが初めて証言したノンフィクション。NHK・BS1スペシャルをもとに書籍化。

 終戦直後、満洲や樺太などにいた軍人や民間人など60万人近い日本人がソ連によって連行された「シベリア抑留」。その中に数百人から千人近い女性捕虜が存在したことは、長く歴史の影に埋もれていた。関東軍の陸軍病院で勤務していた従軍看護婦や軍属として働いていたタイピスト、電話交換手、開拓団の民間女性、そして受刑者たちが、極北の地シベリアに送られていたのである。その中には「女囚」として10年を超える抑留生活を送った女性や、日本に帰る場所もなく異国の地で人生を全うした者もいる。帰国を果たした女性たちにとっても、故国の人々のまなざしは決して温かいものではなかった。戦後70年以上、長く沈黙を守ってきた女性たちをインタビューすることに成功し、2014年にNHK・BS1スペシャルで放送されたドキュメンタリー「女たちのシベリア抑留」は、文化庁芸術祭賞優秀賞、放送文化基金賞奨励賞、ATP賞テレビグランプリ優秀賞、ギャラクシー賞奨励賞、NHK放送総局長特賞など、その年のドキュメンタリー部門の賞を総なめにした。その番組を担当した女性ディレクターが綴る本格ノンフィクション。ロシア側から初めて提出された女性抑留者の記録「登録簿」の内容も明らかになる。

 本書は、日本赤十字、日本軍に所属していた従軍看護婦たちと、プロではないが看護婦として勤務していて女性たち(菊水隊)約150名の記録がまとめられたノンフィクション。女性ならではの被害、男性兵士とは違った苦しみ、極寒の地での捕虜の強制労働という過酷な状況……など、シベリア抑留の過酷な捕虜生活は胸が締め付けられる内容でもありましたが、著者の綿密な取材から、非常に読み応えのある本格的なノンフィクションとなっています。

【満足度】 ★★★★☆
posted by babiru_22 at 19:36| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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