創業約50年の「純喫茶パオーン」。その店主の孫である「ぼく」が、小学5年・中学1年・大学1年の頃にそれぞれ出会った不思議な事件と温かな日々を描く。表題作のほか、『静岡新聞』掲載作品や書き下ろしを加えて書籍化。
創業50年の喫茶店「純喫茶パオーン」。トレイを持つ手がいつも小刻みに震えているのに、グラスにたっぷり、表面張力ギリギリで運ぶ「おじいちゃんの特製ミルクセーキ」と、どんなにお腹がいっぱいでも食べたくなっちゃう「おばあちゃんの魔法のナポリタン」が看板メニューだ。その店主の孫である「ぼく」が小学5年・中学1年・大学1年の頃にそれぞれ出会う不思議な事件と、人生のちょっとした真実。心地の好さに、きっとあなたも通いたくなる。
本書は、喫茶店「純喫茶パオーン」のマスターの孫である来人の視点を軸に、美味しい料理と不思議な事件を描いたハートウォーミング。ミステリではあるものの、主人公の成長物語でもあり、読後は昔ながらのナポリタンとミルクセーキが味わいたくなります。
【満足度】 ★★★★