彼はなぜエベレストに挑み続けたのか? 登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由とは? 滑落死は本当に事故だったのか? 凍傷で指を失いながら七大陸最高峰単独無酸素登頂を目指した登山家・栗城史多の秘密に迫る。
両手の指9本を失いながら“七大陸最高峰単独無酸素”登頂を目指した登山家・栗城史多氏。エベレスト登頂をインターネットで生中継することを掲げ、SNS時代の寵児と称賛を受けた。しかし、8度目の挑戦となった2018年5月21日、滑落死。35歳だった。彼はなぜ凍傷で指を失ったあともエベレストに挑み続けたのか? 最後の挑戦に、登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由は何だったのか? 滑落死は本当に事故だったのか? そして、彼は何者だったのか。謎多き人気クライマーの心の内を、綿密な取材で解き明かす。
本書は、第18回開高健ノンフィクション賞受賞作。2018年にエベレストへの登頂を目指している最中に滑落死した登山家・栗城史多について、かつて、彼のドキュメンタリー番組を制作した著者が、疑念を抱えながら、その最期を追ったノンフィクション。著者は、栗城史多の番組をプロデュースしようとし、栗城に係わった多くの人同様、彼に近づき、その元を去っていくが、栗城の死後、取材を進める中で、著者の栗城観が大きく変わっていく様子も含めて、人物像に迫る一冊です。
【満足度】 ★★★★☆