時は戦国、北の大地。「とこしえの和」は成るのか…。謎多きアイヌの壮年・シラウキがクマの襲撃から助けた少女は、蛎崎氏の娘・稲姫だった。礼として居城に招かれるが、それが戦の思わぬ発端となってしまう。和睦の条件は「15日以内に仲介人となる安東氏を出羽国から連れ帰る」という困難なものだったが、それでも二人は「友との約束」を胸に、稲の許嫁、無頼の女傑、女真族、恐山の怪僧など心強い協力者とともに、難題に立ち向かう。
時は戦国、北の大地。謎多きアイヌの壮年・シラウキが人喰いクマの襲撃から助けた少女はなんと、蠣崎氏当主の娘・稲姫だった。礼として居城に招かれるが、それが思わぬ和人とアイヌの戦の引き金を引いてしまう。稲は己の無知が招いた惨状を目の当たりにして、和睦には自ら打って出ることを決意する。一方シラウキも稲姫の姿に心打たれ、少年期の惨劇の清算を和睦へと託すのであった。無頼の女傑、女真族、恐山の怪僧……二人は心強い協力者とともに和睦の中人となりうる出羽国・安東氏のもとへ向かう。果たして二人は、「とこしえの和」を実現することができるのか。
物語は、16世紀半ばの北海道と北東北を舞台に、長年続くアイヌ民族と和人の争いに終止符を打つため、蠣崎氏当主の姫が仲間とともに、主筋に当たる出羽国の安東氏に和睦の仲介を求める歴史小説。戦国時代のアイヌと和人の関係が怒涛の展開で描かれ、コシャマインの戦いから大館騒動までの経緯など、意外な形で史実との繋がりも描かれており、アイヌと和人の闘いと交流を骨太の作品として表現しています。
【満足度】 ★★★★☆