2020年12月02日

『サラリーマン球団社長』清武英利

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サラリーマン球団社長 [ 清武 英利 ]
価格:1760円(税込、送料無料) (2020/12/2時点)




 旅行会社から阪神タイガースに出向した野崎。経理部員から広島カープに転職した鈴木。どん底球団の優勝に向けて、野球素人のサラリーマン2人が行った改革とは…。企業ノンフィクション。『週刊文春』連載を加筆し書籍化。

 旅行マンから阪神タイガースに出向した野崎勝義。経理部員から広島カープに転じた鈴木清明。野球の素人だった彼らは、ある日を境に突然、球団運営に身を投じることになる。「営業収益アップ」「商品販売の効率化」「上司の理不尽な命令」「異例の人事異動」「業務のデジタル化」……異端な2人のサラリーマンが“どん底”球団の優勝にむけて行った改革とは!?『しんがり』『石つぶて』の著者が放つ渾身の企業ノンフィクション!

 本書は、プロ野球「阪神タイガース」と「広島東洋カープ」を舞台に、組織改革に奮闘する異端のサラリーマンを描いた企業ノンフィクション。主人公は、2003年の阪神優勝時の球団社長、野崎勝義さんと、現在も広島の球団本部長を務める鈴木清明さん。親会社から球団に出向、転職した2人のサラリーマンが、球団の変革に挑んだ軌跡を追ったものですが、現場と上司の板挟みに遭い、悪戦苦闘しながらチームやフロントを変えていく2人の姿は勿論、プロ野球フロントの裏話も多く書かれ、野球ファンにはオススメの一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年12月01日

『じんかん』今村翔吾

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じんかん [ 今村 翔吾 ]
価格:2090円(税込、送料無料) (2020/12/1時点)




 天正5年のある晩、織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が2度目の謀叛を企てたという。だが、意外にも信長は笑みを浮かべ、語り出したのは…。『小説現代』掲載に加筆修正し単行本化。

 仕えた主人を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くす……。民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか? 時は天正5年(1577年)。ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の謀叛を企てたという。前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の小姓・狩野又九郎。だが、意外にも信長は、笑みを浮かべた。やがて信長は、かつて久秀と語り明かしたときに直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。

 本書は、主人公が「裏切り者」のイメージで語られることの多い戦国武将、松永久秀。主君の織田信長に2度も反旗を翻し、室町将軍の暗殺にも関与、東大寺大仏殿を焼いたという説も伝わる人物でもありますが、そんな史上屈指の悪人にまつわる史料を大胆に解釈し直すことで、周囲の誤解を恐れず、胸に秘めた夢を追い続ける新たな人物像を描き出した作品。松永久秀の生涯を、大胆な新解釈で描くと共に、不条理に満ちた乱世を懸命に生きる人々の業と夢を描き切った時代小説で、500ページ強というボリュームではありますが、読み応え十分で面白かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年11月30日

『侵略者 アグレッサー』福田和代

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侵略者 [ 福田和代 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2020/11/30時点)




 日本領空に突如現れた不明機による自衛隊機撃墜事件。行方不明となった2人のパイロットは、独立国家樹立を目指すラースランドに拘束されていた。リムパックによる作戦が始動する中、驚愕の真相が明らかに…。ミリタリー小説。

 航空自衛隊飛行教導群(通称:アグレッサー部隊)に所属するF−15パイロットの森近は、訓練中に不明機の急襲を受ける。何とか空域を脱出した森近だが、同僚の深浦と安田の機体は撃墜され、行方不明となる。2人は目を覚ますと、独立国家樹立を目指す“ラースランド”が保有する最新兵器“クラーケン”の中に拘束されていた…。一方、森近は“クラーケン”捜索艦隊に派遣される。さらにリムパックによる作戦“ディープ・ライジング”によって、“クラーケン”を追い詰めていくのだが…。

 物語は、領空侵犯した国籍不明機に訓練中の自衛隊機が撃墜される…という衝撃的な出だしから始まり、息もつかせぬ展開で物語はとんでもない方向に進んでいきます。エンタメとしては面白いとは思うものの、展開があまりにも広がりすぎているのが事件の焦点がボヤけてしまい、この点が少々残念。

【満足度】 ★★★☆
ラベル:福田和代 侵略者
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2020年11月28日

『スーベニア』しまおまほ

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スーベニア [ しまおまほ ]
価格:1760円(税込、送料無料) (2020/11/28時点)




 安藤シオは、30代半ばのカメラマン。大好きなのに「恋人」とは呼べない文雄。妻子のいる点ちゃんからの、不意打ちのキス。そして地震のあとで届いた元カレ角田のメール…。シオの心は揺れうごく。両親や友だちの目を気にしながら生きてきたシオが選んだ答えとは?

 文雄と過ごすキラキラした時間は、いつか歳をとった自分自身への贈り物になる……。2010年、東京。34歳独身で、雑誌を中心に活躍するフリーカメラマンの安藤シオは、3年前に飲み屋で知り合って以来たまに泊まりに来る41歳の映像カメラマン、文雄に思いを寄せている。自分の私生活を語りたがらず、マメに連絡をくれない文雄との「恋人」とは呼べない曖昧な関係にモヤモヤしていたシオは、美大時代の男友達でイラストレーターの点ちゃんと偶然出版社で再会。周囲には秘密にしていた文雄とのことを話した帰り道、妻子のいる点ちゃんに不意打ちのキスをされる。2011年3月11日、東日本大震災が発生。真っ先にメールをくれたのは、シオが連絡を待っていた文雄からでも、点ちゃんからでもなく、いやな別れ方をした元カレの角田だった。シオの心は揺れ動く……。両親や友だちの目を気にして生きてきたシオが選んだ答えとは?

 本書は、三十代半ばの働く女性の人間関係と複雑な心模様を描いた作品。恋愛模様が物語となっていますが、主人公と登場人物の男達の曖昧すぎる関係が、どうもリアル感が感じられず、流されるままの主人公と身勝手すぎる男達との関係が、逆にイライラ感が募ってしまい、イマイチでした。

【満足度】 ★★
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2020年11月27日

『戦争にいったうま』いしいゆみ

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[改訂版]戦争にいったうま [ いしい ゆみ ]
価格:1100円(税込、送料無料) (2020/11/27時点)




 1934年の秋、マツさんの家にかわいい子馬がやってきました。ランタンと名付け、可愛がっていましたが、ある日、1通の青い手紙が届きました。それは馬の召集令状で…。平和への願いをこめてつづった実話をもとにした物語。

 マツさんの家にかわいい子馬がやってきました。栗色の毛の子馬です。目と目の間から鼻すじ、口まで真っ白、右の後ろ足も真っ白。その姿がかわいくて、家族はかわるがわる馬小屋をのぞいていました。ところがある日、マツさんの家に1通の手紙が届きます。青い紙に書かれたその手紙は……。きずついたのは人間だけじゃない。あの日、やさしい目にいっぱいの涙をうかべたこの馬は、何を見ていたのでしょう。戦後75年をむかえたいま、平和への願いをこめておくる、奇跡といわれたある馬の物語。

 本書は、戦争にいって元の飼い主のもとに帰ってきた、たった一頭の馬の実話を物語とした児童書。岩手から中国、神奈川。そして東神奈川で貨車にのり4日かけて岩手と、戦地では何度も負傷するも、部隊長が日本に連れて帰り、飼い主の元に帰ってきた勝山号について、子ども達にも分かりやすく書かれた作品で、こういう側面から戦争を考えるのもとても良い児童書だと思います。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月26日

『事件持ち』伊兼源太郎

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事件持ち [ 伊兼 源太郎 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2020/11/26時点)




 報日新聞の若手記者・永尾哲平は、千葉県下で起きた猟奇的な連続絞殺事件の取材を始める。捜査情報をつかめずに苛立つ記者クラブは県警批判を開始。犯人逮捕の手がかりを得られない県警は、報日新聞にある取引を持ち掛け…。

 千葉県下で起きた連続猟奇殺人事件。入社2年目の報日新聞の記者・永尾哲平は事件直後の聞き込みで、被害者2人を知る不審な男・魚住優に偶然接触する。その後、魚住は失踪。県警一課の津崎庸介も重要参考人として、魚住の後を追う。捜査情報をつかめずに苛立つ記者クラブは県警批判を開始する。犯人逮捕の手がかりを得られない県警は、ある取引を報日新聞に持ち掛けるが……。永尾と津崎、2人は交錯する2つの使命に揺れ動く。

 本書は、猟奇殺人事件の真相を追う「入社2年目の記者」と「捜査一課の刑事」の立場の違う2人がそれぞれの「正義」を求めて衝突、共闘していく社会派ミステリ。事件は勿論のこと、新聞記者と刑事の意識に焦点が当てられており、報道と正義のあり方について、事件報道の意義についてが書かれ、新聞記者の存在意義を問いかける作品で、読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年11月25日

『感染症はぼくらの社会をいかに変えてきたのか 世界史のなかの病原体』小田中直樹




 地中海貿易が広めたペストは民衆に力を与え、天然痘は医学にイノベーションをもたらし…。社会経済史学者による「コロナ後」を読み解くための感染症史。感染症と社会の相互作用という観点から感染爆発の歴史をたどる。

 社会経済史を専門とする歴史学者である著者が、緊急事態宣言発令下で芽生えた切実な関心から文献を集め、読み解いた、感染症史です。「感染症と人間社会の相互作用(人間社会の変化が感染症に影響し、感染症の変化が人間社会に影響する)」という観点から、ペスト、天然痘、コレラ、インフルエンザなど、過去に感染爆発を起こした代表的な感染症について、概説します。ウイリアム・マクニールの論考を枠組みとして用いながら、信頼できる情報を体系的、かつコンパクトにまとめました。各章末には、それぞれの感染症についてより深く理解するうえで役立つ名著、良書を紹介するブックガイドを付しています。

 本書は、社会経済史を専門とする歴史学者である著者が、緊急事態宣言発令下で芽生えた切実な関心から文献を集め、読み解いた、感染症史。ペスト、天然痘、コレラ、インフルエンザなど、過去に感染爆発を起こした代表的な感染症について、概説しており、各章末には、それぞれの感染症についてより深く理解するうえで役立つ名著、良書を紹介するブックガイドを付しています。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月24日

『腰の激痛 最高の治し方大全』菊地臣一




 現在、国民が訴える不調の第1位は腰痛。治療を続けてもなぜ治らない? 痛みが和らぐ体操は? 腰痛診療の第一線で活躍してきた脊椎外科の専門医陣が、患者の疑問や質問、不安について、最新の知見に基づく解決策を示す。

 日本人の国民病といわれて久しいにもかかわらず、いまだ患者数の増加に歯止めがかからない「腰痛」。二足歩行の人間の宿命ともいわれるが、長年、腰痛の85%は原因不明と考えられ、有効な対策に出合えずに慢性化を許す人が非常に多いことが懸念されている。こうした腰痛や坐骨神経痛をなんの対策も講じずに放置して悪化・進行させれば、生活に大きな支障をきたし、やむなく転職や休業を迫られる人も少なくない。さらには、腰痛の最終形態ともいわれる「脊柱管狭窄症」の発症にもつながり、少しずつしか歩けなくなる間欠性跛行や排尿・排便障害など重い症状も生じかねない。 しかし、脊椎の専門医らによると、大半の腰痛はきちんと診察すれば原因を特定でき、その原因に応じた対策や治療を行えばかなりの高確率で改善できることがわかってきたという。本書は、脊柱管狭窄症に至るさまざまな腰痛の原因(椎間板ヘルニア・すべり症・分離症・圧迫骨折など)について総合的に取り上げ、それぞれの最善の治し方や対処法を、一問一答形式で専門医に解説してもらった究極の腰痛対策本。独りで思い悩んでいる腰痛持ちの患者さんを一人でも減らすため、有用・有益な情報だけを届ける一冊とすることを主眼にした、腰痛患者必携の書。

 本書は、急性のギックリ腰から、椎間板ヘルニア・すべり症・分離症・圧迫骨折、果ては脊柱管狭窄症まで、なかなかよくならずに慢性化し、医療難民化する人も多い腰痛の本当のところがわかる、日本を代表する名医陣による一問一答事典。12章に分けて「腰痛についての疑問」「腰痛を招く原因についての疑問」「症状についての疑問」「診察・検査・診断についての疑問」「治療についての疑問」「保存療法についての疑問」「薬物療法についての疑問」「運動療法についての疑問」「日常動作についての疑問」「セルフケアについての疑問」「食事についての疑問」「手術についての疑問」…と、Q&Aとして分かりやすく解説されている他、痛みを和らげる、体操やストレッチも紹介さけているため、腰痛持ちの人にはオススメの一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月23日

『KGBの男 冷戦史上最大の二重スパイ』ベン・マッキンタイアー




 核戦争を回避させた老スパイは現在、英国で24時間警護を受けながら、名前も身分も偽り、孤独な生活を送っている…。本人のインタビューとMI6で工作に関わった面々の証言から、大胆にして危険極まりない諜報半生を辿る。

 本書は、KGBの敏腕な情報工作員が、自らの祖国の政治姿勢に疑問を持ち、スパイとして担当している西側社会に惹かれ、やがて二重スパイになるという実話ノンフィクション。著者は、ゴルジエフスキー本人のインタビューと、彼を操っていたMI6の当事者たちの膨大な取材をもとに、この稀代の二重スパイの物語を丁寧に編んでいくと同時に、70年代から80年代にかけての冷戦後期、激動の国際政治を巡る裏面史でもあります。展開にも驚かされますが、波瀾万丈のスパイ物語は面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月21日

『現代経済学の直観的方法』長沼伸一郎

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現代経済学の直観的方法 [ 長沼 伸一郎 ]
価格:2640円(税込、送料無料) (2020/11/21時点)




 世界の状況が刻々と変わる現在、文系理系問わず、経済を知らずに世の中を知ることはできない。「経済をなんとなく避けてきた」人に向けて、現代資本主義社会の本質とその問題をわかりやすく解説する。

 本書は、経済学に「直観的方法」を応用した一冊。その本書は9つの章に分かれ、「資本主義はなぜ止まれないのか」「農業経済はなぜ敗退するのか」「インフレとデフレのメカニズム」「貿易はなぜ拡大するのか」「ケインズ経済学とは何だったのか」「貨幣はなぜ増殖するのか」「ドルはなぜ国際経済に君臨したのか」「仮想通貨とブロックチェーン」「資本主義の将来はどこへ向かうのか」……について、経済初心者にも、感覚的に捉えられるように書かれています。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月20日

『カビの取扱説明書』浜田信夫

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カビの取扱説明書 [ 浜田 信夫 ]
価格:1760円(税込、送料無料) (2020/11/20時点)




 エアコンや浴室、スマホにも、隙あらばと勢力拡大を目論むカビ。嫌われ者だけど、薬やチーズ、漬物、酒などグルメ界では大人気。そんなカビとヒトとの切っても切れない関係を、カビ研究の第一人者が楽しく紹介する。

 本書は、長年に渡ってカビの研究に取り組み、住宅、エアコン、洗濯機など住環境のカビの生態を解明した農学博士でもある著者が、カビについて分かりやすく解説した一冊。カビは、菌類に属し、実はカビと酵母の区別は曖昧で、分類学的にはカビと酵母は一体だという記述には驚きましたが、菌類の中には善玉と悪玉があり、悪玉菌の代表がカビで、善玉菌の代表が酵母だと解説しています。雑学的な内容も多く、中々面白い「カビの取扱説明書」でした。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月19日

『家族写真 3.11原発事故と忘れられた津波』笠井千晶

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家族写真 3.11原発事故と忘れられた津波 [ 笠井 千晶 ]
価格:1760円(税込、送料無料) (2020/11/19時点)




 福島第一原発から北に22キロ。福島県南相馬市で生きる、上野さん一家を襲った東日本大震災。避難を拒み、仲間とともに行方不明の家族を自力で捜す上野さんの姿を、著者が7年にわたり丹念に取材した記録。

 福島県南相馬市で生きる、上野敬幸さん一家を襲った東日本大震災。上野さんは、両親と幼い2人の子どもの家族4人が津波にのまれました。しかし、その後に起きた原発事故により、自宅のあった地区は避難指示区域に指定されます。そして、行方不明者がまだいるにも関わらず、警察も自衛隊も捜索に入らなくなってしまったのです。本書は、そのような中で避難を拒み、仲間とともに行方不明の家族を自力で捜す上野さんの姿を、著者が7年にわたり丹念に取材した記録です。震災から年月が経つにつれ一般には報道されにくくなってしまった、被災地での現実が明らかにされる労作です。

 本書は、第26回小学館ノンフィクション大賞受賞作。東日本大震災で被災した家族を追ったノンフィクションですが、避難を拒み行方不明の家族を探す、上野さん一家(妻と娘)に寄り添った7年間を記録した一冊で、報道されない現実がここにあります。警察も自衛隊も捜索に入らなくなった原発避難指示区域で、行方不明の家族を捜し続ける上野さんを、著者が7年にわたり、通い続けた記録の凄さは勿論ですが、有給を取りすぎて会社をやめて独立してでも、毎週末のように自費で深夜バスで静岡から福島に通い取材し続ける姿勢には心が打たれました。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年11月18日

『家族じまい』桜木紫乃




 認知症の母と、齢を重ねても横暴な父。両親の老いに姉妹は戸惑い、それぞれ夫との仲も揺れて…。大人の諦観と慈愛に満ちた長編小説。『小説すばる』掲載を加筆し単行本化。

 「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」。突然かかってきた、妹からの電話。両親の老いに直面して戸惑う姉妹と、それぞれの家族。認知症の母と、かつて横暴だった父……。別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。

 本書は、北海道を舞台に、家族に正面から向き合った5編からなる連作集。認知症の母と介護する父を取り巻く家族の物語で、各章で主人公は異なるものの、物語として繋がっており、家族の意味を改めて考えさせられる作品です。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月17日

『カケラ』湊かなえ

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カケラ [ 湊 かなえ ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2020/11/17時点)




 あの子は死んだ。大量のドーナツに囲まれて。他人の視線と自分の理想。少女の心を追いつめたものとは? 「美容整形」をテーマに、容姿をめぐる固定観念をあぶりだす心理ミステリ。『小説すばる』連載を加筆修正し、単行本化。

 美容クリニックに勤める医師の橘久乃は、久しぶりに訪ねてきた幼なじみから「やせたい」という相談を受ける。カウンセリングをしていると、小学校時代の同級生・横網八重子の思い出話になった。幼なじみいわく、八重子には娘がいて、その娘は、高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのか……? 「美容整形」をテーマに、外見にまつわる自意識や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリ長編。

 本書は、美容整形をテーマに、人の心に潜む容姿への思い込みを描きだし、一人の少女の自殺の謎を追う心理ミステリ。美容整形をテーマに人間、特に女性の容姿をめぐる固定観念を炙りだした、著者らしい作品です。

【満足度】 ★★★★
ラベル:湊かなえ カケラ
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『食っちゃ寝て書いて』小野寺史宜

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食っちゃ寝て書いて [ 小野寺 史宜 ]
価格:1870円(税込、送料無料) (2020/11/16時点)




 作家の横尾成吾はここ数年、鳴かず飛ばずの状態が続いていた。ずっと一人で生きてきた横尾は、今後の身の振り方を考えはじめる。一方、横尾の新しい担当・井草菜種は、自身同様長く停滞中の横尾と本気で向き合いはじめ…。

 作家の横尾成吾はここ数年、鳴かず飛ばずの状態が続いていた。50を前にそろそろ出版社から声がかからなくなるのでは、との不安を感じていた矢先、担当編集者からボツを食らわされ、不安に拍車がかかる。書くことを何よりも優先し、ずっと一人で生きてきた横尾。友人・弓子の思わぬ告白もあり、今後の自分の身の振り方を考えはじめる。一方、横尾の新しい担当になった井草菜種は、これまでヒット作を出したことがなく、もう後はないと気は焦るばかり。菜種は、自身同様長く停滞中の横尾と本気で向き合いはじめる……。

 本書は、50歳の売れない作家・横尾成吾の担当になった編集者の井草菜種が、新たな小説を生み出すまでの1年を交互の視点で描いた物語。展開は淡々としていますが、作家や編集者の仕事の一端が詳しく描かれ、作家と編集者の関係性もわかって面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月14日

『五年後に』咲沢くれは

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五年後に [ 咲沢 くれは ]
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 夫のかつての教え子。彼女は、夫の最後の吐息も血も体温も奪っていった…。誰もが抱く嫉妬心や悪意、心の弱さや痛みを「教師」という人間を通して浮き彫りにした短編集。『小説推理』掲載に書き下ろしを加え書籍化。

 中学教師の華に一人の女子生徒が言う。男性教師に告白したが、返ってきた言葉は「5年後に言うてくれたら嬉しいのに」だったと。それは、のちに華の夫が命を落とすきっかけとなった言葉でもあった。人間のささやかな悪意、不器用さ、弱さなどを、元中学教師である著者が教師を主人公に描く。第40回小説推理新人賞受賞作家のデビュー短編集。

 本書は、第40回小説推理新人賞受賞作。大阪を舞台にした中学校の教師が主人公の短編集で、先生への恋愛、複雑な家庭事情、陰湿ないじめなどの問題がリアルに描かれるものの、様々な問題の中で悩み苦悩する中学教師の姿が描かれます。作品でそれぞれに切り口の違った物語で、次作も楽しみです。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月13日

『カインの傲慢』中山七里




 臓器を抜き取られた死体が相次いで発見された。被害者たちはみな、貧しい家庭で育った少年だった。孤高の敏腕刑事・犬養は点と点をどう繋ぐのか。医療と社会の闇にも迫った警察ミステリ。『本の旅人』連載を加筆修正し改題。

 違法な臓器売買の検挙は、形を変えた殺人だ…。練馬区の公園で、少年の死体が発見された。調査の結果、少年は中国人だと判明。しかも死体からは臓器が持ち去られていた。捜査一課の犬養隼人は、後輩の高千穂明日香と共に捜査に乗り出す。少年の生家は最貧層の家庭だった。日中の養子縁組を仲介する不審な団体の存在も明らかに…。その頃、都内では相次いで第2、第3の死体が見つかる。やはり被害者たちは貧困家庭の少年で…。背後に見え隠れする巨大な陰謀。それに立ち向かう犬養たちの執念と葛藤。驚愕のラストが待つ、医療と社会の闇にも迫った警察ミステリ。

 本書は、刑事・犬養隼人シリーズ第5弾で、貧困と臓器売買を扱った警察ミステリ。社会の闇を鋭く抉った作品でもありましたが、臓器移植に対する記述は考えさせられ内容でもあり、ラストはスッキリしない結末ではありましたが、シリーズとしての続編も期待したい。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月12日

『オンライン会議の教科書』堀 公俊

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オンライン会議の教科書 [ 堀公俊 ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2020/11/12時点)




 オンライン会議は段取りが7割! 成果を生むマナーと振る舞い、スムーズな進行と場の回し方、オンラインだから出来る最新のチームづくりなど、オンライン会議ならではの作法を紹介する。よくあるトラブルの解決策も収録する。

 本書は、オンライン会議を成功させるコツをまとめた一冊。著者は、組織の力を最大限に引き出すファシリテーションのスキルを、20年以上にわたり研究・実践しており、オンライン会議についても、電話会議やメール会議を手始めとして、ここ10年はオンライン会議へとツールを変えつつ、実践ノウハウの探究に関わってきたとのことで、そのオンライン会議の活動の中で培ったノウハウを紹介しています。基本的なポイントである「オンライン会議のメリットとデメリット」は勿論のこと、効果的に進める方法など、参考になる一冊でした。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月11日

『お見合い35回にうんざりしてアメリカに家出して僧侶になって帰ってきました』英月




 親のお見合い攻撃から逃れるべく、すべてを捨ててアメリカへ。もう日本には帰らないつもりだったのに、あることがきっかけで仏教の魅力に惹き込まれ、いつのまにやら住職になっていて…。「自分らしさ」を綴ったエッセイ集。

 「あなたの唯一の取り柄は若さです。若さがあるうちに結婚しなさい」という親の一言から始まったお見合い地獄。「自分の居場所は、ここではない」と、30代を目前に全てを捨ててサンフランシスコへ家出。10年近く住み、もう日本には帰らないつもりだったのに、友人の猫のお葬式がきっかけで仏教の魅力に惹きこまれ……いつのまにやら京都で住職になっていました! どんな人生でも、きっと居場所が見つかります。笑えて泣ける奮闘人生エッセイ。

 本書は、京都にある真宗佛光寺派大行寺の住職でもある著者の48年の波乱万丈の半生を赤裸々に綴ったエッセイ。京都の寺に生まれた著者は、若いうちに結婚を望む親に勧められてお見合いを繰り返し、申し分のない相手ばかりだったが、来客を笑顔で迎え、男児を産むことだけが相手側から求められているとむなしさを感じ、30歳を前に米国に逃げ出す。仕事をしながら生活を送るも、在留資格のために僧籍を取得し、仏教の魅力に惹きこまれて、波瀾万丈な自身の半生を振り返り、仏教によって変わった人生の見え方について紹介しています。

【満足度】 ★★★★
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2020年11月10日

『あふれる家』中島さなえ

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あふれる家 [ 中島さなえ ]
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 わたしは小学校に上がるまで、どこの家も満員御礼で暮らしているのだと疑っていなかった…。中島らもを父にもつ著者が、自身の破天荒でファンキーな「家」を舞台に、世にも奇妙な小学4年生の夏休みを描く。自伝的長編。

 明日実の家には、つねに人があふれている。バンドマンのトキオ、薬剤師のアキちゃんら両親の友達だけでなく、見知らぬ大人が平気で寝泊まりする家だ。父は放浪中、母は入院中。小4の明日実は、一風変わった大人たちに彩られ、奇妙でファンタスティックな夏休みを過ごす。

 本書は、故・中島らもを父としてもつ著者が、はじめて自身の破天荒でファンキーな「家」を舞台に世にも奇妙な小4の夏休みを描いた自伝的長編小説。物語は、一癖も二癖もある、常連の居候たちの他、入れ替わり立ち替わり、いろんな人が寝泊まりする家で、両親に劣らずパワフルな「わたし」のひと夏を描いた作品。中島らもの娘さんの自伝的小説ということで、興味を持って読みましたが、ハチャメチャな同居人たちを見つめる観察力と、それをユーモアに代えるセンスは面白かったです。

【満足度】 ★★★★
posted by babiru_22 at 17:00| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする