2019年07月19日

『YouTubeの時代 動画は世界をどう変えるか』ケヴィン・アロッカ




 なぜ見るのを止められないんだろう? “世界で一番YouTubeを見ている男”YouTubeトレンド・カルチャー統括部長が、動画プラットフォームの舞台裏を語る。見ながら読めるQRコード付き。

 10億人が利用する動画プラットフォ−ム「YouTube」には毎分400時間の動画がアップロードされている。何気なく誰かが投稿した動画が、シェアされ、リミックスされ、パロディとなり、新たな創造性を触発(感染=ヴァイラル)していくプロセスは、20世紀型のブロードキャストの終焉と全く新しい時代の到来を告げている。YouTubeトレンド分析マネージャーが歴代バズ動画と拡散プロセスをよみときながら、巨大プラットフォームの成長過程と新しい世代の動画コミュニケーションの今を伝える最前線からのドキュメント。

 本書は、ユーチューブ社内で「カルチャー&トレンド」というチームのトップを務める著者が、舞台裏も交えて書いたドキュメント。その内容も多岐にわたり、実は出会い系に使われることを想定していたという、ユーチューブの黎明期についての解説から始まり、近年の傾向など興味深い話が書かれていますが、時代の変化を感じる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月18日

『ビブリオ漫談 「笑い」と「ユーモア」あふれる本の紹介』笹倉 剛




 2人もしくは3人が楽しい「笑い」や「ユーモア」を誘うようなかけあいで本を紹介する、「ビブリオ漫談」。そのよさを説明し、実践を中学生〜一般向け、小学生向けに分けて紹介する。

 本の紹介におもしろさやユニークさだけでなく「笑い」や「ユーモア」の要素を入れるとどのようになるか。実践をしていくと、思った以上に子どもたちは前向きに取り組んでくれました。それが今回紹介する「ビブリオ漫談」です。読書が嫌いな子どもを本に向かわせるには、読書が楽しくておもしろいと実感をさせていく必要があります。本嫌いな子どもには、「今まで経験したことのない分厚い本でも、自分で読んでみたらおもしろかった! 」という体験を一度でもいいからさせないといけないと思います。そういう子どもたちに少しでも、読書に目を向けてもらうような動議づけが必要なのです。 そこで考えたのが、今までとは違った本の紹介で、「笑い」や「ユーモア」を交えながらのビブリオトークです。

 「ビブリオ漫談って何だ?」……と思い、読んだのが本書。ビブリオバトルと非常に良く似ていますが、笑いやユーモアを要素とし、読書の面白さを実践するよう、一般向けや小学生向けへの紹介が数多くの事例として紹介されています。ビブリオバトルは1冊の本を1人が5分間で紹介しますが、ビブリオ漫談は1冊の本を数名で紹介し、そこに笑いやユーモアのかけ合いを入れて本の紹介を進めていくというもの。一人での紹介だと一方的な主観での表現となりがちですが、複数で紹介し、笑いも交えてとなると、協調性も求められますし、面白さという意味では参加者には伝えやすい本の紹介であるとも思います。これも図書館などで開催されると面白そう!

【満足度】 ★★★★
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『半分生きて、半分死んでいる』養老孟司

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 「もう死んだと思ってました」と学生に話しかけられた養老孟司。「要するにすでに死亡済み」と嘯き、超越した視点で「意識」が支配する現代社会の諸相を見つめる。『Voice』連載を書籍化。

 ある大学で「養老さんじゃないですか、もう死んだと思ってました」と話しかけられた著者。「要するにすでに死亡済み。そう思えば気楽なもの」と嘯き、超越した視点で「意識」が支配する現代社会の諸相を見つめる。人工知能が台頭する時代に「コンピュータは吹けば飛ぶようなもの」と語り、平成においては「万物が煮詰まった」と述べ人口や実体経済の限界が見えた時代の生き方を考える。現代の問題は「一般論としての人生と、個々の人生の乖離」と述べ、一般化からこぼれ落ちた個々の生へ眼差しを向ける。現代人の盲点を淡々と衝く一冊。

 久々に著者の時事エッセイを読みましたが、現代社会への視点は相変わらず鋭く、社会の難点はギリギリまで待ってしまうという点は非常に納得しました。バランスの取れた指摘は参考にもなり、自分の頭で物事を考える必要性にも同意です。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月16日

『ふたたび嗤う淑女』中山七里

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 蒲生美智留による凶悪事件から3年。国会議員の資金団体で事務局長を務める藤沢優美は、野々宮恭子と名乗る投資アドバイザーの指南で資金の不正運用に手を染め…。「嗤う淑女」続編。『月刊ジェイ・ノベル』等掲載を単行本化。

 類い稀な話術で唆し、餌食となった者の人生を狂わせる…「蒲生美智留」が世間を震撼させた凶悪事件から3年。「野々宮恭子」と名乗る美貌の投資アドバイザーが現れた。国会議員・柳井耕一郎の資金団体で事務局長を務める藤沢優美は恭子の指南を受け、資金の不正運用に手を染めるが…史上最恐、完全無欠の悪女ミステリー!

 本書は、前作『嗤う淑女』に続く第2弾。自分では直接手を汚さずターゲットを破滅に追い込む計算された巧妙な手口で。NPO法人の事務局長、宗教団体の幹部、国会議員の後援会長、秘書…と、身の丈に合わない野心を持つ人達を破滅させる主人公の不思議な魅力が存分に描かれます。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月15日

『なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか!?』日野田直彦




 世界の難関、米ミネルバ大学の合格者を出した日本初の高校となった大阪府立箕面高校。その前民間人校長である著者が、マインドセットのための土曜講座、先生の意識改革など、箕面高校で続けてきたチャレンジを公開する。

 大阪府で始まった校長の民間公募制で、当時36歳で全国最年少の校長として箕面高校に赴任し、4年間の学校経営で数々の実績を出し注目される日野田先生。地域4番手だった学校の教育を世界に通用するレベルにまで引き上げ、海外トップ大学への進学実績日本一を短期間で達成するなど大改革を成し遂げました。変化の激しい時代に対応し世界に貢献できる人材を育成するための教育改善と、同時に先生の働き方改革も実践したその手腕を惜しみなく公開します。

 本書は、偏差値50、地域4番手の公立高校が、著者が民間公募制で校長に赴任してから、僅か4年で海外トップ大学へ多数の進学者を出す進学校になった意識改革が書かれていますが、決して大学に合格するためのテクニックが書かれているものではなく、手段を目的に変えて、共に考えながら動くことで、大きな変化が起きる実例が数々紹介されています。ビジョンを示して一緒に考え、決して強制するのではなく、互いに折り合いをつけて、目標を達成する楽しさを覚えて成長していく姿など、共感できるところが非常に多く、組織論としてとても参考になる内容で、読み応えも十分あり、役立つ一冊です。

【満足度】 ★★★★☆
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2019年07月14日

『武山・やすらぎの池の絆 少年工科学校物語』桂儀一光




 13名の若き命をのみこんだ“やすらぎの池”。指揮官田山男一はどんな人だったのか。なぜあの雨の中で強行したのか……実在の事故をモデルに同期会の熱意が書かせた小説。神奈川県横須賀市の自衛隊少年工科学校(現高等工科学校)で起きた訓練中の死亡事故から50年。同期生等の追悼の心情止み難く、伝え残すべく、同じ自衛隊出身の著者が意を酌んで取材書き下ろした、心揺さぶられる長編。

 本書は、1968年7月2日、神奈川県横須賀市の陸上自衛隊少年工科学校(現高等工科学校)で、生徒13人が戦闘訓練中に殉職する事故をモデルとした小説。区隊長の教えに従い、純真な気持ちで池を渡り始め、銃を手放すことなく力泳に努めた結果の事故ではありますが、区隊長の事故後の責任を自らで追及する姿、責任とは何か?を考えさせられます。自衛隊の訓練、生活の厳しさなど、心が揺さぶられる作品です。師団長を約束され、生徒達に慕われていた優秀な教官がなぜ雨の中で訓練を強行したかは、胸が熱くなる内容で、殉職された隊員の方々が、安らかに眠ることを祈るばかりです。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月13日

『逃げ出せなかった君へ』安藤祐介

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 ブラック企業に入社した3人の同期。久しぶりに深夜の居酒屋で人間らしく笑い合った3人だったが、極悪上司に目を付けられ過酷な追い込みにあった夏野は…。命と仕事の6つの物語。『小説野性時代』掲載と書き下ろしを収録。

 ブラック企業に入社した3人の同期、大友、夏野、村沢。早朝から深夜まで個人宅や企業への飛び込み営業を命じられ、休む間もなく会社に泊まり込む毎日。心身共に疲弊しきった3人は、ある日思い立って深夜の居酒屋に向かう。非人間的な毎日のなか、一杯の生ビールで久しぶりに人間らしく笑い合えた3人だったが、極悪上司に目を付けられて過酷な追い込みにあった夏野は……。やる気のない居酒屋のアルバイター、定年の日を迎えた男、暴走しがちな池袋警察署交通課員……。夏野の選択はすれ違うだけのはずだった人々の人生をも変えていく。『本のエンドロール』で大注目の著者が描く、命と仕事の6つの物語。

 本書は、ブラック企業に勤める3人の男性と、彼らを取り巻くそれぞれの人生の短編作品の連作集。6章それぞれのエピソードが見事で、短編ではあるものの読み応えのある作品集です。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月12日

『大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実』仲村和代/藤田さつき




 たくさん作って、無駄に捨てられる年間10億着の衣服や、大量の恵方巻き。「無駄」の裏には必ず「無理」が潜んでいる。大量廃棄社会の実情と解決策を、「SDGsプロジェクト」に取り組む朝日新聞記者2人がレポートする。

 「このままじゃだめだよな」「なんか変だな、おかしいな」暮らしの中で、ふと思うことはありませんか? たとえば、一回も袖を通すことなく、洋服を捨てる時。イベントだからと買った恵方巻きやケーキを食べ切れなかった時。新品の服が1年間に何億枚も廃棄されていることを知った時。たくさん作って、たくさん買って、たくさん捨てる。それが当たり前の時代だが、「無駄」のウラには必ず「無理」が隠れている。NHKの元キャスター・国谷裕子氏と「SDGsプロジェクト」に取り組む朝日新聞の2人の記者が、「大量廃棄社会」の実情と解決策を徹底リポートします。

 本書は、サブタイトルに「アパレルとコンビニの不都合な真実」とありますが、大量廃棄の実情をレポートしたもの。先進国の大量生産・大量消費・大量廃棄のシステムの問題点についてのルポでもあり、知られざる不都合な真実を取り上げている点は非常に興味深かったです。ただし、大量生産・大量消費・大量廃棄について、それぞれに奥深く追及してほしかったところでもあり、広く扱っているだけに、問題と課題が分散している点が少々残念ではありましたが、消費者に対しての問題提起にはなっているだけに、考えさせられる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月11日

『地銀波乱』日本経済新聞社編




 連続した赤字に苦しむ地方銀行。暴走するアパートローン、不良債権という名の爆弾、人材の枯渇、モラトリアム法の遺産…。地域金融の現場の「今」と「これから」を描く。『日本経済新聞』『日経電子版』掲載を加筆し書籍化。

 不良債権問題や金融ビッグバンにより都銀・長信銀が再編されたときも抜本的な対策が取られず温存された日本の地方銀行。融資案件不足や長期にわたる低金利で収益が細り存在意義が問われるなか、金融庁から事業性融資の拡大を求められたこともあり、質の悪い融資、アパートローン、ノンバンク業務などで焦げ付きが起き、いま問題が噴出している。本書は、全国の日経記者が連携し、地方銀行の実態を深掘り取材した成果をまとめるもの。設立20年をむかえた金融庁による行政が適切だったのかについても問うことになる。スルガ銀行のシェアハウス向け個人融資は問題の一端に過ぎず、程度の差こそあれ、多くの地方銀行で同じような問題が起きつつある。地域金融の関係者の必読書となる一冊。

 本書は、日経で地銀に関する取材した内容を再編集したもの。マイナス金利政策や、人口減少などの経営を取り巻く環境変化による地域金融機関の厳しい状況などから、地銀は石炭業界と同じで、地域金融機関は構造不況業種で衰退すると表現されていますが、厳しい状況と現実がまとめられた一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月10日

『高田馬場アンダーグラウンド』本橋信宏

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 手塚治虫、江戸川乱歩、「神田川」(かぐや姫)から、ビニ本、自販機本、ブルセラ、フードルまで、“伝説”はこの街で生まれた。「東京最後の異界鶯谷」の著者が、早稲田大学のお膝元・高田馬場を訪ね歩く。

 本書は、『東京最後の異界 鶯谷』『迷宮の花街 渋谷円山町』『上野アンダーグラウンド』『新橋アンダーグラウンド』につづく著者の「東京の異界シリーズ」第5弾で、高田馬場ののアンダーグラウンドに生きる人たちを描いたノンフィクション。裏側の人達だけではなく、高田馬場ゆかりの江戸川乱歩や手塚治虫、また名曲「神田川」の作詞家・喜多條忠たちの素顔にも迫り、「神田川」を作詞し、それに南こうせつが曲をつけたエピソードはとても印象深く、昭和の時代の伝説の多くが高田馬場から出されたことも印象的で、人に歴史あり…を実感するアンダーグラウンドが書かれるノンフィクションです。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月09日

『データは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学』ゲアリー・スミス




 政府統計のウソ、不都合なデータの隠蔽…。世の中にあふれる数字のワナを見破るには? 統計経済学のエキスパートが、さまざまな数値から巧妙に導き出されるトリックを明かし、ダマされないための極意を伝授する。

 「ビッグ・データ」の活用が叫ばれる一方、政府から科学界に至るまで、データの改竄や捏造は絶えない。世の中にあふれる一見もっともらしい数字や調査に、私たちはどう向き合えばいいのか? そんな声に応え、統計経済学のエキスパートがさまざまな数値から巧妙に導き出されるトリックを明かし、ダマされないための極意を伝授。ビジネス、研究、日常生活の各場面で役立つ楽しい統計学入門。

 本書は、世の中に溢れる一見尤もらしい数値や調査への向き合い方を統計経済学としてまとめたもの。いわゆる数字のマジックについて詳細に書かれており、具体的な統計データの不正、改竄、捏造などは、とても興味深い内容でもありました。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月08日

『ドライブイン探訪』橋本倫史

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ドライブイン探訪 (単行本) [ 橋本 倫史 ]
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 道路沿いにひっそりと佇むドライブイン。クルマ社会、外食産業の激変を受けながら、ドライバーたちに食事を提供し続けた人々の人生と思いに迫る。『月刊ドライブイン』連載を加筆し書籍化。

 平成も終わりを迎えつつある今、「ドライブイン」といっても通じない方もいるかもしれません。高速道路にあるサービスエリアやパーキングエリアでもなく、近年注目を集めつつある道の駅でもなく、ドライブイン。ロードサイドを走ると、現在では廃墟になってしまったお店も含めて、数多くのドライブインを見かけます。どうして日本全国に「ドライブイン」と看板を掲げるお店が誕生し、どうして現在ではその数が減りつつあるのか。道路沿いにひっそりと佇み、ドライバーたちに食事を提供する人々。クルマ社会、外食産業の激変とともにあった、その人生とは? 本書『ドライブイン探訪』は、著者が一人で企画・取材・制作を手がけた少部数の自主出版=リトルプレス「月刊ドライブイン」(全12号)をもとにして生まれた一冊です。今、徐々に消えつつある全国のドライブインを訪ね歩き、店主の個人史をじっくり聞き出すことで浮かび上がる「昭和」を記録します。

 本書は、昭和の激動の時代に、ドライバー客を迎え続けたドライブイン店主たちの半生を長期取材からまとめた傑作ノンフィクション。単なるドライブインを紹介する内容ではなく、人と町と店と周辺の環境も含めたドライブインの歴史を22店紹介しています。著者の丹念な取材にもとずいた記述が多く見られ、その著者の熱意も感じます。国道沿いのドライブインは今も営業されているところもありますが、ドライブインがこれから廃れていく文化である事を著者も取材先のお店の皆さんも知っているからこそ、盛衰を事実として伝える潔さも清々しい内容です。

【満足度】 ★★★★☆
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2019年07月06日

『東海道ふたり旅 道の文化史』池内 紀

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東海道ふたり旅 道の文化史 [ 池内 紀 ]
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 道案内の絵師・広重とともに往きつ戻りつ…。「東海道五十三次」を、美術ではなく“社会”として眺めると、日本人が見えてくる。文化、経済、歴史、技術、風俗。道をひたすら歩き、今につながる糸をたぐる文化考。

 本書は、歌川広重の「東海道五十三次」をもとにして、著者が自らがその道を歩き、「五十三次」のなかに描かれた江戸時代、その時代の仕組み、そこに生きた人々を図版の中から抽出し、幾つかの推測も含めながら書いた文化史。東海道の江戸時代と原題の町の様子との違いなど、歌川広重の五十三次を語るエッセイです。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月05日

『地域おこし協力隊 10年の挑戦』椎川忍/小田切徳美/佐藤啓太郎/地域活性化センター/移住・交流推進機構

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地域おこし協力隊 10年の挑戦 [ 椎川忍 ]
価格:1944円(税込、送料無料) (2019/7/5時点)




 都市地域から条件不利地域等に生活の拠点を移し、地域協力活動を行う「地域おこし協力隊」。特色ある17事例を関係者がリアルにレポートし、有識者がこの制度の効果や、地域のためにさらに高める方向性について解説する。

 地域おこし協力隊は2018年度で制度導入10年目を迎えた。この間、協力隊は地域住民や行政と協働して、何を成し遂げただろうか。本書の事例編では、全国の活動事例から厳選し、現役協力隊員、OB・OG、受け入れ側の自治体職員、中間支援組織職員など、当事者のレポートによって、10年間、協力隊の成長と地域内におけるさまざまな変化を明らかにする。さらに分析編では、地域おこし協力隊にかかわる主要な論者がこの制度の効果とそれをさらに高める方向性について分析する。

 本書は、2009度の「地域おこし協力隊」制度の創設以来10年の挑戦として、特色ある17事例を現役の協力隊員、OB・OG、自治体職員など関係者がリアルにレポートし、有識者がこの制度の効果を地域のために更に高める方向性について解説したもの。実践者たちのリアルな現場報告がレポートされ、地域活性化への取り組みは非常に興味深く読みました。基本的には成功譚のレポートになっていますが、途中退任したケースも多いだけに、問題点や課題こそもう少し掘り下げてた方が良かったようには思います。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月04日

『トップアスリートに伝授した勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた』小山田良治/小田伸午




 気鋭の治療師が追究してきた、身体の動きの法則を体得する手順「動作のレシピ」を紹介し、身体科学者がトップアスリートの事例を交えつつ解説する。選手たちの座談会も収録。動作のアニメーションが見られるQRコード付き。

 楽器の演奏やそろばんと同じで、スポーツもまずはゆっくり正しく動くことができなければ、素早く無駄のない美しい動作には到達できない。つまり、細やかな身体感覚を一つひとつ磨いていくことで、身体を自在に動かすことができ、パフォーマンスは劇的に上がる。本書では、治療師である小山田が長年にわたり追究してきた動作の基本レシピ(手順)を紹介し、身体科学者の小田がトップアスリートの事例を交えつつ解説する。既存の常識にとらわれない、唯一無二の身体の手引書。

 本書は、スポーツマッサージの治療師であり、競輪選手をはじめプロ野球選手、サッカー選手などのトレーナーでもある小山田良治さんに、身体の動く仕組みと身体の使いかたについて、秘伝の「動作のレシピ」で紹介され身体が動く仕組みの解説がされていて、トレーニング手順書の公開がされています。更に動作研究者の小田伸午さんが、一流選手の動作を取り上げて解説されていて、身体感覚の磨き方が多くの事例と共に紹介されています。

【満足度】 ★★★★
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2019年07月03日

『跳ぶ男』青山文平

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跳ぶ男 [ 青山 文平 ]
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 母と友を失い、独りになった少年・剛は、能だけが生き甲斐だった。だが、土地も米も金もない貧乏藩の藩主の身代わりを命じられる。そこには、友の言葉と藩のある事情があった…。『別冊文藝春秋』連載を単行本化。

 土地も金も水も米もない、ないない尽くしの藤戸藩に、道具役(能役者)の長男として生まれた屋島剛は、幼くして母を亡くし、嫡子としての居場処も失った。以来、3つ齢上の友・岩船保の手を借りながら独修で能に励んできたが、保が切腹を命じられた。さらに、藩主が急死し、剛が身代わりとして立てられることに。そこには、保の言葉と、藩のある事情があった…。

 物語は、江戸時代後期に、藩主の身代わりとなった15歳の少年が、能によって、己と、藩の運命を切り拓こうとする姿を描いた作品。江戸時代の能役者の物語でもあっただけに、能についての知識が殆どないため、少々難解な作品でもありましたが、幕府の管理統制により武家の式楽にまで位置付けられた演能についてが詳細に綴られています。武家と能の関わりの深さを知ることができましたが、武家の能は奥が深いですね。

【満足度】 ★★★
ラベル:跳ぶ男 青山文平
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2019年07月02日

『冷たい檻』伊岡 瞬

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冷たい檻 (単行本) [ 伊岡瞬 ]
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 村の駐在所から失踪した警官の行方を追う、後任の警官と調査官。彼らは、過去に発生した事件や事故が、村に存在する大型複合福祉医療施設に関係していることに気付き…。『読売プレミアム』連載に大幅加筆、改題し単行本化。

 北陸地方の海沿いにある小さな駐在所で警官が失踪。県警本部は個人的な都合で失踪したと処理する。後任として駐在所に着任したっ島崎巡査部長の下に、上層部から送り込まれた調査官・樋口が現れる。警察内で密かに失踪事件を調査することのようなのだが……。日本海側の過疎の村にふきだまる欲望! 巨大福祉施設に隠された恐ろしい秘密を二人は暴けるのか。そして、樋口の正体とは!?

 物語は、新薬開発のための投与実験が行われている北陸の村が舞台の警察小説。濃厚な2日間を描いた作品でもありますが、登場人物が多すぎるために、展開がボヤけてしまうことも多く、様々な要素を詰め込みすぎていた点が少々残念です。

【満足度】 ★★★
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2019年07月01日

『東京輪舞』月村了衛

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東京輪舞 [ 月村 了衛 ]
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 田中角栄邸の警備をしていた警察官・砂田修作は、公安へと異動し、「ロッキード」「地下鉄サリン」など、数々の事件と関わっていく…。昭和・平成の裏面史を「貫通」する公安警察小説。『週刊ポスト』連載を加筆し単行本化。

 かつて田中角栄邸を警備していた警察官・砂田修作は、公安へと異動し、時代を賑わす数々の事件と関わっていくことになる。ロッキード、東芝COCOM、ソ連崩壊、地下鉄サリン、長官狙撃……。それらの事件には、警察内の様々な思惑、腐敗、外部からの圧力などが複雑に絡み合っていた……。圧倒的スケールで激動の時代の暗闘を炙り出す、前人未踏の警察大河ミステリー!

 本書は、ロッキード、ソ連崩壊、オウム、地下鉄サリン、北朝鮮問題……など、昭和から平成の世に起こった大事件の裏側に迫り、かつて、田中角栄邸の警備担当だった警察官・砂田が、己の信じる正義を胸に、警察組織に蔓延る闇に立ち向かっていく作品。人間の果てしない欲望、個人では抗えない権力、組織の腐敗を主人公・砂田の視点で描く様は、ドキュメンタリー作品を読んでいるようで、緊迫感とスピード感ある展開で、公安から見た昭和史が描かれています。

【満足度】 ★★★★☆
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2019年06月29日

『テレビ探偵』小路幸也

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 1969年、コミックバンド「ザ・トレインズ」のボーヤとなって芸能界入りした19歳の葛西靖之(チャコ)。ある日、生放送中の舞台で殺人未遂(?)事件が発生し…。昭和青春ミステリ。『文芸カドカワ』連載を単行本化。

 1969年、イケイケで無類に楽しく、でもちょっといかがわしい、そんなテレビに誰もが夢中だったあの頃…コミックバンド「ザ・トレインズ」のボーヤとなって芸能界入りした19歳の葛西靖之(チャコ)は、個性的なメンバーや業界人たちに振り回されていつも忙しい。ある日、トレインズに土曜夜8時の新番組を持つ話が持ち上がった。スターへの道が拓けたことを喜ぶ者、音楽に専念できないことを危ぶむ者…間で右往左往するばかりのチャコだが、そんな中、生放送中の舞台で殺人未遂(?)事件が発生し…。停滞の時代にガツンと元気を届ける、昭和青春ミステリの開幕!

 物語は、かつての「8時だよ!全員集合」をモデルに描いた作品。探偵と書かれているものの、ミステリ要素は殆どなく、ザ・ドリフターズへのオマージュ作品で、懐かしさを感じる作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2019年06月28日

『銭湯図解』塩谷歩波

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銭湯図解 (単行本) [ 塩谷歩波 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2019/6/28時点)




 初心者から玄人まであらゆる人が楽しめる24軒の銭湯をピックアップ。その魅力を、番頭兼イラストレーターの著者が建築の図法で描く「銭湯図解」とともに紹介する。

 小杉湯番頭兼イラストレーターで設計事務所出身の著者が、建築の図法(アイソメトリック)を用い、銭湯の建物内部を精密な俯瞰図で描く「銭湯図解」。Twitter上で発表されて話題となり、新聞、テレビ、ラジオなどでも取り上げられたシリーズが待望の描き下ろし書籍化。本書では、「露天の王様」「銭湯建築のニューウェーブ」「泣きに行く銭湯」など、都内を中心に24軒の銭湯の図解をカラーで掲載するとともに、見どころ、味わいどころをエッセイで紹介。銭湯初心者から上級者まで楽しめ、心もほかほかになるイラストエッセイ集。

 本書は、東京・高円寺の銭湯「小杉湯」で番頭として働きながら、イラストレーターとしても活動している著者が、都内の銭湯だけでなく、埼玉、千葉、京都、三重、徳島など合計24軒の銭湯を、温かみのあるカラーイラストと、銭湯愛のこもった紹介文で解説したもの。読むと思わず銭湯に行きたくなる一冊です。

【満足度】 ★★★★
posted by babiru_22 at 18:00| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする