2026年03月06日

『バッタ博士の異常な愛情 恋愛と婚活の失敗学』前野ウルド浩太郎




 昆虫学者が真面目に、おのれの恋愛・婚活・結婚を考察してみた。「バッタを倒しにアフリカへ」シリーズのスピンオフ!

 夢を追い、夢をつかんだ代償は……45歳独身。『バッタを倒しにアフリカへ』『孤独なバッタが群れるとき』『バッタを倒すぜ アフリカで』『ウルド昆虫記』……累計37万部の人気シリーズの華麗なるスピンオフ! 人生を懸けたウルドの闘いは、まだ終わらない。婚活に成功し「未婚男性の星」になることはできるのか? 昆虫学者が真面目に、おのれの恋愛・婚活、そして未知の結婚を考察した一冊。

 本書は、「バッタ博士」として知られる昆虫学者の著者が、自身の専門分野である生物学や進化論の知見を駆使して、自身の壮絶な恋愛・婚活の「失敗」を徹底的に分析した、異色のエッセイ。自虐的でありながらも、どこか憎めない恋愛遍歴と婚活の失敗談が、赤裸々に、そしてユーモラスに語られています。科学者ならではの分析力と、稀代のエッセイストとしてのユーモアが融合した、笑えて学べる恋愛エッセイでした。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月05日

『春の星を一緒に』藤岡陽子

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春の星を一緒に [ 藤岡 陽子 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/3/5時点)




 シングルマザーとして息子と生きてきた看護師は、緩和ケア病棟で幸せに生ききる最期を模索する日々を送る。親子の夢の行方は…。『満天のゴール』続編。

 旅立つ人が最期まで幸せを感じてくれたなら、残される人も未来に希望が持てる。奈緒(40歳)はシングルマザーの看護師として一人息子の涼介と寄り添い生きてきた。そんな折、大きな転機が訪れ、東京の緩和ケア病棟で働くことに。死を間近に見つめ、幸せに生ききる最期を模索し続ける日々。一方、強く抱く母子の夢の行方、そして二人のこれからは…。緩和ケア病棟を舞台に、綿密な取材と圧倒的リアリティ、温かな視線で人々の生き様を丁寧に紡ぐ。

 本書は、現役看護師でもある著者ならではのリアルな終末期医療の現場を舞台に、主人公とその家族、そして関わる人々との深い人間愛を描いた感動作。前作『満天のゴール』の続編で、前作同様にホスピス(緩和ケア病棟)を舞台に、看護師である主人公と、そこで出会う人々との交流を通して、命の輝きと死の迎え方を描いた物語でもありますが、「生」と「死」の隣り合わせにある日常、親子の絆、終末期医療…と重いデーマではありますが、温かく尊い死生観が貫かれており、人が人を想う気持ちを見事に表現した作品です。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月04日

『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』白鳥和生




 「野菜→魚→肉→牛乳→パン」の順番には理由がある!売り場に潜む疑問から、暮らし、経済、世界を読み解く。「令和のコメ騒動はなぜ起きた?」「食料品の値上げはいつまで続く?」「半額シールを貼るタイミングはどう決まる?」「トランプ関税の家計への影響は?」「なぜいつも余計なものまで買ってしまうのか?」…全国2万3000店舗、110万人が働く、25兆円の成長市場を徹底解剖!買い物だけじゃもったいない、賢く生きるためのスーパーマーケット論。

 本書は、私たちにとって最も身近な消費の現場である「スーパーマーケット」を経済学・行動経済学の視点から分析し、そこに隠された購買戦略や価格決定の仕組みを分かりやすく解説した一冊。普段何気なく目にしているスーパーの仕組みに、すべて消費者の行動を誘導するための明確な理由、陳列や価格設定の裏側など、「なぜ試食販売をするのか」「なぜレジ前でガムを売るのか」などの実例から、その裏にある経済原理を紐解いていきます。スーパーマーケットという身近な題材を通じて、経済学と消費者心理の奥深い世界を楽しく学べる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月03日

『日本人が知らない 世界の温泉探検録』鈴木浩大




 51か国1250か所の湯を知る温泉探検家が、まだ見ぬ秘湯を求め、世界を飛び回るお宝温泉探し旅。海外温泉実践編も収録。

 古地図や希少文献、海外のウェブサイトを丹念に調べ、飛行機を乗り継ぎ、水上飛行機や小型ボートをチャーターして、目指すは僻地の野湯や素朴な共同浴場。フィジー、ニュージーランド、中国、トルコ、マダガスカル、カナダ、チリ、コロンビア。筆者がこれまでに訪ねた海外温泉1250湯の中から、特に思い出深い温泉旅を厳選して紹介する。まだ見ぬ温泉を探し求め、世界中を飛び回る稀代の温泉バカの体温まる“お宝温泉探し旅”。海外温泉旅に挑戦したい人向けの実践アドバイスも収録。

 本書は、「絶景温泉探検家」である著者が、世界51か国、約1250か所もの温泉を巡った中から、特に記憶に残る辺境の秘湯への旅を厳選して紹介する、壮大な温泉探検エッセイ。古地図や希少文献、海外のウェブサイトを駆使して温泉の情報を探し、飛行機、水上飛行機、小型ボート、クルーザーなどをチャーターして、誰も知らないような秘湯を目指します。誰も知らない湯を追い求める著者の途方もない情熱と、それを実現させる驚異的な行動力に圧倒され、温泉にたどり着くまでの移動の苦労、現地の人とのユニークな交流、軍事クーデターなどクレイジーなハプニングなど、単なる温泉ガイドブックではない、スリル満点の旅の物語として楽しめます。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年03月02日

『2000坪の荒れ地をひとりで開拓してキャンプ場をつくったオーナー七転八倒DIY奮闘記』中山茂大




 DIYの達人、次なる挑戦は“キャンプ場づくり&ワンオペ経営”!古民家再生や小屋づくりのDIY本を手がけた著者が、今度はゼロからキャンプ場をつくり上げるという壮大な計画に挑戦する。

 DIYの達人、次なる挑戦は「キャンプ場づくり&ワンオペ経営」!古民家再生や小屋づくりのDIY本を手がけた著者が、今度は自らの手でキャンプ場をゼロからつくり上げるという壮大な計画に挑戦する。受付小屋、トイレ、五右衛門風呂、ウッドデッキ、コテージすべてが手づくり。失敗と試行錯誤の連続でも、持ち前のユーモアと前向きな姿勢で乗り越えていく。DIYの楽しさと苦労、そして“ひとりでやる”という覚悟が詰まった、笑って泣ける実録エッセイ!

 本書は、一人のサラリーマンが脱サラし、約2000坪(畳約4000枚分)の荒れ地をたった一人で開拓し、人気のキャンプ場を作り上げるまでの、実録DIY奮闘記であり、笑いと涙のビジネスサクセスストーリーのエッセイ。土地の購入から、重機を使った開墾、水回りやトイレの整備、看板製作など、開業に至るまでの具体的な作業内容と、それに伴う七転八倒の失敗談がコミカルに描かれ、キャンプ場運営のリアルな裏側(予想外の出費やトラブル、孤独な作業)が包み隠さず綴られています。専門知識ゼロから、ほぼすべてを自力で作り上げる熱量と執念に圧倒され、そのスケールは、単なるDIYの枠を超えた「開拓記」として非常に読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月28日

『糖質リスク 自覚なき「食後高血糖」が万病を招く』石黒成治




 その一口が、未来の体調を決める。知らないと危ない糖質と血糖値の新常識!

 “隠れた糖質依存”から抜け出す死ぬまで役立つ健康最新理論!糖質はエネルギー源である一方、摂取の仕方で血糖値の乱高下を招き、体調不良や病気のリスクを高めます。本書では最新の医学論文による知見をもとに、予防医学を発信する消化器外科医である著者が、食べ方・選び方などで血糖変動を抑える実践法を解説。糖質との正しい付き合い方を知れば、疲れや不調を防ぎ、長期的な健康とパフォーマンス向上につながります。

 本書は、師である著者によって、糖質の過剰摂取が引き起こす「食後高血糖」の危険性と、その具体的な対策について解説された一冊。健康診断などで測る空腹時の血糖値は正常でも、食後に急激に血糖値が上がる「食後高血糖」が、実は心筋梗塞、脳梗塞、認知症、がんなど、万病の引き金になっており、「血糖値スパイク」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行するため、知らず知らずのうちに血管がダメージを受けていると警鐘を鳴らし、万病を予防し、健康を維持するためには、ご飯、パン、麺類などの糖質を多く含む食品を控える「ゆるやかな糖質制限」が非常に有効であると提唱されています。他にも、血糖値を上げにくい食品の選び方や、食事の順番などの工夫も示されており、読み手がすぐに始められるよう配慮されています。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年02月27日

『つくみの記憶』白石一文

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 遼平は、ほぼ初対面のつくみが昔からの知り合いのような感覚に襲われ、わずか1カ月半で結婚。それまで恋人だった友莉が失踪し、捜索を進めるにつれ驚愕の真実を知ることに…。『小説推理』掲載に書き下ろしを加え単行本化。

 31歳の松谷遼平は会社の懇親会で8歳下のアルバイト・隠善つくみと初めてまともに話すと、奇妙な感覚に襲われる。……この人は俺に会いに来たんじゃないか? 遼平は幼少期、生死の境を彷徨ったことがある。その記憶とつくみとが不思議と繋がってくる。遼平がつくみと結婚すると、別れた恋人の友莉が失踪してしまう。その捜索によって知った関係者の出自や記憶が大分のある地域に奇妙に収斂し、人間関係が因縁めいた連環の形となっていく。やるせなさ、ずるさ、だらしなさが随所に描かれながら、どこまでも澄んだ読み心地がする物語。

 本書は、主人公の「過去の記憶」をめぐる旅を軸に、記憶と人生の軌跡をめぐる、静かで深い問いの物語。物語の軸となるのは、誰もが心の奥に抱えている曖昧な記憶と、その記憶を支えてきた感情で、過去を見つめ直すことで、現在の自分がどのように形づくられてきたのかが、少しずつ浮かび上がっていきます。派手な展開はありませんが、深い心理描写と哲学的な問いかけを受け取れる作品です。

【満足度】 ★★★
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2026年02月26日

『天上の火焔』遠田潤子

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 大らかな性格で孫に優しい人間国宝の祖父。息子に無関心な轆轤の名手の父。物心つく前に母を亡くした城は、陽と陰のような二人の間で育ち、悩み苦しんで…。備前焼窯元一家の再生と継承を描く。『小説すばる』連載を単行本化。

 大らかな性格で孫に優しい偉大な人間国宝の祖父・路傍。氷のように冷たく息子に無関心な轆轤の名手である父・天河。物心つく前に母親を亡くした城は、陽と陰のような二人の間で育ち、悩み苦しんでいた。父に認められたいのに自己韜晦に走る城。出口が見つからないまま、宿痾のように精神は蝕まれていき…。父子三世代の心の闇に斬り込み、愛と憎しみの狭間でもがく人間たちを描いた、焔の家族史。

 本書は、日本の伝統芸能である「能楽(能)」の世界を舞台に描いた、人間の心の暗闇と、そこに灯る小さな光を描いた美しくも壮絶な愛憎劇。対照的な運命を背負った二人の能楽師が、能という芸術を通して激しくぶつかり合い、嫉妬、羨望、そして深い絆で結ばれていく様子が描かれますが、過去に刻まれたトラウマや後悔が、現在の行動や選択に影を落とし、その連鎖がさらにドラマを生んでいき、熱量のある作品でもありました。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月25日

『生成AI「思考」の裏側 なぜ賢いのか? なぜ間違うのか?』立山秀利




 生成AIの仕組みを文系でも理解できるように丁寧に解説。なぜ賢いのか、なぜ間違うのかを知り、ビジネスに有効活用しよう!

 「ChatGPT」「Copilot」「Gemini」などの生成AIは、どのように学習し、考え、回答を生成しているのでしょうか。このギモンに答えるべく、生成AIの「仕組み」を解説するのが本書です。といっても、難しい数式は一切登場しません。中学生の数学の知識さえあれば、誰でも読み通せるように、一般の人が理解できるレベルでザックリと解説しています。「なぜ人間のように賢く受け答えできるの?」「なぜもっともらしいウソをつくの?」といった生成AIの素朴な疑問も解消できます。

 本書は、急速に普及している生成AIが、一体どのような仕組みで動き、なぜ人間のように賢く振る舞えるのか?、そしてなぜ時に誤った情報を生成するのか?という、素朴で本質的な疑問に答える解説書です。最新の生成AI技術の現状を把握できるだけでなく、今後の進化の方向性や、ビジネス・社会がどう変わっていくのかについての示唆も得られ、AIの「賢さ」だけでなく「間違い」の構造を知ることで賢く活用するための活用法についても紹介しています。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月24日

『真珠配列』岩井圭也

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真珠配列 [ 岩井 圭也 ]
価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/2/24時点)




 2029年、北京。常軌を逸した速さで進行する癌で有力政治家の息子が死亡し、同様の癌での死亡事例が見つかる。これは偶然なのか? 刑事偵査総隊の刑事アーロンは捜査を始めるが…。『ミステリマガジン』連載を加筆修正。

 2029年、北京。常軌を逸した速さで進行する癌で有力者の息子が死亡した。これは仕組まれた連続殺人なのか? 刑事偵査総隊の刑事アーロンは、ウイグル人の遺伝子エンジニア、マリクとともに捜査を行なう。やがてアーロンとマリクは、生命科学上の闇に直面し……。

 本書は、ヒトゲノム編集という現代的なテーマを扱った、骨太な近未来ディストピア小説。近未来の香港を舞台に、政府要人の子息の謎の死を発端に、警察官と遺伝子エンジニアが協力して、密かに行われている遺伝子操作の闇を暴こうとするストーリーで、科学的な側面だけでなく、陰謀論や正義感、人間の業といった要素も絡み合いハードな展開は、従来の岩井圭也作品とは一味違う物語でしたが、読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月23日

『翠雨の人』伊与原新

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翠雨の人 [ 伊与原 新 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/2/23時点)




 少女時代、素朴な疑問を抱いたことから理系の道を選んだ猿橋勝子(サルハシ カツコ)。戦時下で科学と戦争の関係を問い続けた勝子は、戦後、ビキニ水爆実験による放射能汚染の実態究明に打ち込んでいく…。『波』連載に加筆修正。

 科学の目的、それは人類を幸せにすること。「なぜ雨は降るのだろう」。少女時代、素朴な疑問を抱いたことから理系の道を歩んだ猿橋勝子。戦時下で科学と戦争の関係を問い続けた勝子は、戦後、ビキニ水爆実験による放射能汚染の実態究明に打ち込んでいく―。『藍を継ぐ海』『宙わたる教室』の著者が、構想10年、満を持して描く!直木賞受賞第一作。渾身の長篇小説。

 本書は、実在の女性科学者・猿橋勝子の生涯を基にした評伝小説。少女時代に「雨はなぜ降るのか」という疑問を抱き、戦前・戦中の女性差別や戦争の時を乗り越え、科学の道を切り開く姿んが描かれます。戦後、米国のビキニ環礁水爆実験で第五福竜丸が被曝した「死の灰」による放射能汚染の研究に携わり、国際的に評価された成果が核実験禁止条約に繋がったエピソードがクライマックスとなりますが、科学の情熱と女性の強靭さを、雨や紫陽花などの自然描写で優しく綴る作品です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月21日

『桐生市事件 生活保護が歪められた街で』小林美穂子/小松田健一

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桐生市事件 生活保護が歪められた街で [ 小林 美穂子 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/2/21時点)




 保護費を毎日1000円だけ手渡し、残りは金庫にしまうなど、異常な運用がおこなわれていた桐生市の生活保護行政。助けを求める市民を威圧し、支給を徹底的に削る姿勢が、次々明らかになる。支援と取材の現場から迫ったルポ。

 「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する生活保護制度が根底から歪められた。群馬県南東部の桐生市。高齢化などにともなって生活保護率が高くなっている周辺自治体とは正反対に、年を追うごとに保護率が激減していく異常なデータ。「ハローワークへ毎日行って求職活動をしてください。窓口で書類に印鑑を押してもらい、私たちがそれを確認できたら1000円お渡しします」。違法で過酷な水際作戦に、ついに当事者が声をあげ、支援者が奔走する…。

 本書は、群馬県桐生市で発覚した生活保護行政の深刻な不正・違法運用問題について、支援活動家とジャーナリストの視点からその実態と背景を徹底的に追及したルポルタージュ。長年にわたり、桐生市が生活保護の申請者・利用者に非人道的な対応を取り、「命の砦」である制度を根底から歪めていた実態が克明に描かれています。自治体で生活保護制度が違法かつ非人道的に運用されていた衝撃的な実態を、支援者と報道の現場から詳細に記録し、行政の責任と制度のあり方を問う内容は読みごたえがありました。

【満足度】 ★★★★
ラベル:桐生市事件
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2026年02月20日

『華氏マイナス三十度』キャシディ・ランドール




 1970年、世界で初めて女性だけの登山隊がマッキンリー山に挑んだ!女性だけで危険な極地の山に登れるはずだと信じることは尊大だとみなされた時代の、心が掴まれる興奮の冒険物語。

 本書はサブタイトルに『「ガラスの天井」を打ち破った女性登山家たちのマッキンリー初登頂物語』とありますが、1970年に世界で初めて、女性だけの登山隊が北米最高峰であるマッキンリー山(現在のデナリ)に挑んだ実話に基づいたノンフィクション。当時、「女性に独力で危険な極地の山を登る能力はない」という性差別や女性嫌悪が登山界に根強く残る中で、彼女たちが挑戦を決意した経緯が描かれ、主人公であるグレース・ホーマンをはじめとする「デナリ・ダムゼルズ」と名付けられた6人の女性隊員たちが、いかに周囲の反対を押し退け、自らの肉体の限界を超えて挑戦し続けたかが詳細に描かれています。不可能とされた挑戦を成し遂げた女性たちの勇気、情熱、そして友情を描いた、歴史的にも重要な興奮のノンフィクションです。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年02月19日

『エロってなんだろう?』山本直樹




 現実とフィクションは違う。でも、現実のルールを知らなければ、面白いフィクションはつくれない。エロマンガ界のレジェンドが語る、いまこの社会でエロを表現し、人に見せるということ。蛙亭・イワクラとの対談「エロいは面白い」収録。

 本書は、長年にわたり“エロティック”をテーマに作品を描き続けてきた漫画家の著者が 「エロとは何か」「なぜ人はエロを求めるのか」 を、漫画という表現を通して真正面から掘り下げようとしたエッセイ的作品です。タイトルは刺激的ですが、内容は非常に哲学的で、著者は「エロ」を単なるスケベな話としてではなく、「生きるエネルギー(エロス)」として捉え、「死」や「虚無」と対極にあるものとして「エロ」を位置づけ、「エロについて悩むことは、どう生きるかを考えることと同じだ」というメッセージが込められています。時代ごとの価値観の変化、規制や倫理観との向き合い方、エロを描くことへの批判や葛藤など、社会との摩擦についても触れており、文化・メディア・自由と表現の問題を読み解く一冊でもあります。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月18日

『円ドル戦争40年秘史 なぜ円は最弱通貨になったのか』河浪武史




 プラザ合意から40年。日本が経済大国入りした出来事と言えるが、その後日本は苦境にあえいだ。日経記者が、円・ドル戦争を検証。

 ドル円相場の後ろには常に米国がいた。同盟国として日本の経済成長を後押ししつつも、それが自国の脅威となると為替を使って露骨に圧力をかける米国の冷徹さ。最強通貨から最弱通貨への転落はなぜ起こったのか。プラザ合意40年という節目に検証する。

 本書は、1985年のプラザ合意から、第2次トランプ政権を見据えた2025年までの40年間を描く、最新の通貨ドキュメント。かつて「世界最強」と恐れられた日本円が、なぜ今や「最弱通貨」となり、日本経済の重荷になってしまったのかを、日米の攻防(円ドル戦争)の歴史から解き明かす一冊で、現場で取材した「通貨マフィア」(財務官や中央銀行総裁など、通貨政策を操る黒幕たち)の肉声を通じて、教科書には載らない裏側を描き出しています。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月17日

『汚名』和田はつ子

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汚名 [ 和田 はつ子 ]
価格:2,310円(税込、送料無料) (2026/2/16時点)




 佐賀の貧しい農家に生まれた伊東玄朴は、シーボルトの弟子になり、江戸で医者として開業する。当時猛威を振るっていた天然痘に立ち向かうため、種痘所の設立を決意するが…。『文蔵』連載を改題、加筆・修正。

 佐賀の貧しい農家に生まれた伊東玄朴は、シーボルトの弟子になり、江戸参府に随行する。シーボルト事件に巻き込まれ、玄朴はお咎めなしとなったものの、義兄源三郎は獄死してしまう。江戸で医者として開業した玄朴は、当時猛威を振るっていた天然痘に立ち向かうため、種痘所の設立を決意。権力者の横槍、漢方医たちの妨害、家族の冷たい目と逆境の中、出世と金にしか興味がない男との悪評を浴びつつも、彼が貫いた決意とは。「料理人季蔵捕物控」「産医お信なぞとき帖」で人気の著者が挑む、感動の歴史小説!

 本書は、江戸時代後期に実在した蘭方医である伊東玄朴の生涯を描いた歴史小説で、天然痘の撲滅に生涯を捧げた玄朴の医者としての熱意と、時に権力や富を求め、複雑な人間関係の中で汚名を浴びながらも一途に医術を貫いた人生を描いています。玄朴が政権中枢にまで上り詰め、権力や金を得て病に対応する姿勢も描かれ、その医者としての熱意が印象的な作品です。

【満足度】 ★★★★
ラベル:和田はつ子 汚名
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2026年02月14日

『労組日本プロ野球選手会をつくった男たち』木村元彦




 初代会長の中畑清、FA制度導入の立役者・岡田彰布、球界再編問題で奮闘した古田敦也、東日本大震災時に開幕延期を訴えた新井貴浩、現会長の曾澤翼など歴代選手会長に聞く、日本プロ野球選手会の存在意義とは。

 今から40年前の1985年11月に設立された「労働組合日本プロ野球選手会」。一見、華やかに見える日本プロ野球の世界だが、かつての選手たちにはまともな権利が与えられておらず、球団側から一方的に「搾取」される状態が続いていた。そうした状況に風穴をあけたのが「労働組合日本プロ野球選手会」であった。大谷翔平選手がメジャーリーグで活躍する背景には、彼自身の圧倒的な才能・努力があるのは言うまでもないが、それを制度面で支えた日本プロ野球選手会の存在も忘れてはならない。選手たちはいかに団結して、権利を獲得していったのか。当時、日本プロ野球の中心選手として活躍しながら、球界のために奮闘した人物や、それを支えた周りの人々に取材したスポーツ・ノンフィクション。

 本書は、1985年に労働組合として設立された日本プロ野球選手会が、どのようにして球界の旧態依然とした体制に挑み、選手の権利と地位を確立していったのかを詳細に追ったノンフィクション。当時の日本プロ野球界は、選手側が立場が弱く、年俸交渉、契約の自由、引退後の待遇など、すべてにおいて球団側の意向が優先されており、単なる親睦団体に過ぎなかった選手会が、一部の選手たちを中心に組織を労働組合として法人化するという革命的な決断に至るまでの経緯を、当事者の証言を交えてリアルに描いています。プロ野球という華やかな世界の裏側にあった「労働争議」と「組織改革」の物語を描き切った作品で、野球ファンだけでなく、組織論、労働問題、そして困難に立ち向かう人間のドラマに関心のある読者にも深く響く一冊です。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年02月13日

『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』松本祐貴




 人間関係や社会的立場を捨て、新たな環境で別の人間として生き直す失踪者。彼らはいかに生き、何を考えているのか。当事者や残された人々に取材し、失踪の理由から実行の手順、現在の生活までを綴る。

 失踪の赤裸々な事情を経験者たちが大いに語る!失踪…それは現在の人間関係や社会的立場を捨て、新たな環境で別の人間として生き直すことである。一見するとわれわれの日常から縁遠いように思われる失踪だが、現在日本の行方不明者は年間9万人、およそ1000人に1人にのぼる。本書はそんな近くて遠い存在である行方不明者や残された人々に取材し、失踪の理由から実行の手順、現在の生活までの一部始終を記した本である。失踪者はいかに生き、何を考えているのか?人生がつらい、逃げたいと思ったことが一度でもある人に捧げる、失踪のリアルを通じて生きづらさと向き合う術を考え直す新しい人生論にして幸福論。

 本書は、日本で年間約9万人にのぼる行方不明者というテーマに切り込み、自らの意志で「失踪」を選んだ人々の壮絶な実態に迫ったルポルタージュ。警察の失踪統計や「失踪ビジネス(夜逃げ屋)」の実態、家族の証言などをもとに、逃げた人々の現実を多面的に描き出しており、淡々とした筆致ながら、センセーショナルな描き方を避け、逃げた人たちの声をそのまま伝える構成が印象的です。失踪を善悪で断じるのではなく、現代社会の「生きづらさ」の果てにある、もう一つの人生の形をルポを通じて深く考察させてくれる一冊でした。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月12日

『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』佐藤靖青




 その靴、スニーカー痛くなりますよ!膝痛、靴ずれ、外反母趾、etc.2万人の足にさわってわかったこと。日本人はカカトが小さい。履いてはいけない靴がある。中敷きは交換すべし。

 2万人以上の足をさわってきた予約の取れない人気シューフィッターとして、『マツコの知らない世界』「インソールの世界」に出演。マツコ・デラックスの猫背をインソールで見事に一発矯正したことで話題に。靴の設計から修理、フィッティングに携わり、得てきた知見を活かして、なぜ「靴が痛くなるのか?」「靴が合わないのか?」を徹底解明。そこで導き出された結論は、「靴選びは『目的×サイズ×インソール』の掛け算である」ということ。曰く、「1.靴には目的がある、2.靴のサイズはあってないようなもの、3.インソールは取り替える」。この鉄則3か条をクリアして始めてきちんと足にフィットした靴が選べるという。本書では、誰も教えてくれなかった正しい靴の選びかたを指南する。

 本書は、2万人以上の足を診断してきた人気シューフィッターが、「なぜ靴が痛くなるのか?」「なぜ靴が合わないのか?」という長年の疑問に答えるための、正しい靴選びのノウハウをまとめた一冊です。靴選びの結論として「目的×サイズ×インソール」の掛け算が重要だと提示し、この「鉄則三か条」を軸に解説を進めていきます。用途別(ランニング、厚底、革靴など)や素材別(革靴の今後など)にも触れ、「流行だから」「見た目がいいから」という理由だけで靴を選ぶリスクも指摘し、靴量販店・スポーツ用品店・EC・アウトレットなど、購入場所の選び方や、履き下ろし時の注意点、足と靴のフィッティング(形・内部構造・インソール)といった“現場”の知恵も豊富に掲載されており、靴選びの参考にもなる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月11日

『マスカレード・ライフ』東野圭吾




 ホテル・コルテシア東京で開催されることになった、『日本推理小説新人賞』の選考会。当日、文学賞受賞の候補者として、ある死体遺棄事件の重要参考人が会場に現れる!?警視庁を辞め、コルテシア東京の保安課長となった新田浩介が、お客様の安全確保を第一に、新たな活躍をみせる最新作。

 本書は、累計550万部を超える大人気「マスカレード」シリーズの第5作目で、ホテルという舞台で生きる人々の人生を描く、静かで深い群像劇。今作も、タイトルの「マスカレード(仮面)」が象徴するように、登場人物たちはそれぞれに「誰にも見せない顔」を抱えて、ホテルマン、客、周囲の人々……と、誰もが何かを隠し、何かを守りながら生きており、物語を通してその仮面が少しずつ剥がれていく様子が丁寧に描かれます。ミステリーとしてだけでなく、丁寧な人物描写、働くこと・生きることの重み、仮面の内側にある本音の物語を味わえるため、シリーズファンはもちろん、初めて読む人にもおすすめできる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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