2025年04月21日

『たぶん私たち一生最強』小林早代子

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たぶん私たち一生最強 [ 小林 早代子 ]
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 最弱な夜にひらめいた、最強になれる選択肢。「もうさー女友達と一生暮らしたいんだよね最近は!?」酔って叫んだひと言が、4人の運命を変えた…。エンドレスガールズトーク小説、開幕。

 花乃子、百合子、澪、亜希の4人は高校時代からの女友達。バカ話も重ためな恋愛話もマジレス無用の寸劇も、全てが楽しい20代。そろそろ人生の選択を迫られる年齢を迎え、花乃子が思い描くのは「4人で一生一緒にいる」暮らし……。でも、男はいらないってわけじゃないし、結婚だって出産だって興味はある。じゃあ、私たちの幸せっていったい何……? バカ笑いしたいときも死にたくなる夜もずっとずっと分かち合って生きていきたい4人が、別れた男にスマブラでダメージを与えながら大マジメに考えた「一生最強」の人生とは
!?

 本書は、女4人で家族になることを決意した同級生たちの人生を通して、結婚、出産、仕事、恋愛、性の悩みなど20代後半ならではの赤裸々な悩みを描き、自由で新しい“最強の生き方”を綴る連作短篇集。痛快で勢いのあるストーリーでしたが、女性だけのあからさまな部分が強すぎて、面白い家族の形ではあるものの、リアル感にはちょっと欠けていたのと、価値観が違いすぎて、作品としてはイマイチでした。

【満足度】 ★★★
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2025年04月19日

『節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由』林 望




 お金ほど大事なものはなかなかありません。だからこそ、自分の頭でしっかり考えたい。キャッシュレスになったからと言って、何か得することがあるのだろうか?世潮に逆らって、決してコンピュータなどに支配されてたまるか、とかろうじて土俵の徳俵でふんばっている、それが目下のわたくしの有様である。本書は、そういう「筋金入りのへそ曲がり」なる一親爺が、せめてこれだけは言っておかなくてはなるまい、と最後の力を振り絞った、その「老いの繰り言」にほかならぬ。

 本書は、著者が提唱する「キャッシュレスなんてまっぴら」や「投資よりコツコツ貯めるほうがいい」という現代に逆行する現金主義の提唱が書かれた一冊。貯金と投資の選択肢を再度考え直し、私たち一人ひとりが正しいと思うお金との向き合い方を考える内容で、共感できるところも多かったです。個人的に、著者と同じように囲い込みで制約されてしまうポイ活などはしておらず現金主義でもありますが、人それぞれで生活スタイルも違いますから、節約生活も楽しみながら行うべきとは思いますが、健康であることが一番の節約というのは最もなことで、ポイント制度などもその仕組みを改めて何が得かを考えてみて節約を楽しむべきと思います。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月18日

『「幸せ」を背負って 積雪期単独北海道分水嶺縦断記』野村良太




 宗谷岬から襟裳岬まで、雪に閉ざされた670Kmの稜線をたったひとりで歩きぬく前人未踏の挑戦に挑んだ青年がつかみ取った「幸せ」とは!?

 野村良太さんが分水嶺縦走中に地形図の裏面に書き記した日記を柱として、これまでの登山を振り返るルポルタージュ。北海道大学WV部での登山との出合い、山仲間との登山と単独行の目覚め、知床・日高の単独冬季縦走、そして北海道登山の総仕上げとしての北海道分水嶺縦走を達成するまでをつづる。

 本書は、北海道の北端・宗谷岬を出発し、脊梁をつないだ南端となる襟裳岬まで、670Kmに及ぶ北海道分水嶺の積雪期単独縦断に成功した、著者の旅の記録。宗谷丘陵、北見山地、石狩山地、日高山脈と北海道らしい奥深い山々を、北から南へとひとつなぎに踏破しようという過酷な挑戦内容が、登山中に手書きでまとめた日記をベースにまとめられています。

【満足度】 ★★★★☆
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2025年04月17日

『死写会』五十嵐貴久

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死写会 [ 五十嵐 貴久 ]
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 昭和最後の巨匠と呼ばれた映画監督・白波瀬が、最新作の完成直後に不審死した。配給会社の東活は、その事実を隠し試写会を強行するが、凄惨な事件が起こる。参加した人々が、集団自殺したのだ。集団パニックや催眠が疑われたが、残された現場映像によって奇妙な点が浮かび上がる。雑誌編集者の里中凪と新聞記者の矢部誠は、真相を突き止めることにするが…。

 本書は、昭和最後の巨匠が25年ぶりの新作『妖奇』を完成し、試写会を見た者は謎の不審死や集団自殺が次々起こる…というホラー作品。テンポ良い展開でしたが、読後の後味が悪く、消化不良の終わり方もイマイチでした。

【満足度】 ★★
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2025年04月16日

『生殖記』朝井リョウ

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生殖記 [ 朝井 リョウ ]
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 とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。体組成計を買うため―ではなく、寿命を効率よく消費するために。この本は、そんなヒトのオス個体に宿る○○目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

 本書は、日本に生息する30代男性に"ついた"生殖器、生殖本能が語り手となり、彼の人生を軸にヒトという生き物の特性・歴史を、過去についたことのある人間や虫、動物たちの生を引用しながら語り、人間の営みを幅広い視点から描いた物語。主人公の生殖器の視点による、現代日本における人間社会の観察記でもありますが、視点が斬新で面白く描かれています。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月15日

『校正・校閲11の現場 こんなふうに読んでいる』牟田都子




 言葉のあるところには、すべて校正がある。

 世の中には様々な校正・校閲の現場があるはずなのに、現場に関わる人以外にはなかなか中が見えづらい。本書は、校正者の牟田都子さんが11箇所の校正・校閲の現場で働く方々に取材をした対談集です。マンガ、レシピ、テレビ、辞書、ウェブ、法律書、スクール、地図、新聞、商業印刷物、雑誌、それぞれの現場における特徴や進行の仕方、仕事の醍醐味や難しさを伺い、その現場特有の仕事道具や、どのような経緯で今の仕事に就いたのかなども教えていただきました。校正・校閲に興味のある方、言葉そのものに関心のある方にぜひ手にしていただきたい内容です。

 本書は、フリーランスで主に文芸書の校正を生業としている著者が、文芸書以外の様々なジャンルの校正や校閲の現場を取材した対談本。色々な「校正・校閲」の現場の話はとても興味深く、文芸書や新聞以外の校正の現場を取材した内容は写真と共に奥深さを感じる一冊でした。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月14日

『髪の毛の疑問50』日本毛髪科学協会編




 さまざまな情報や噂にあふれている髪の毛について、気になる悩みをQ&A形式で取り上げ、正しい知識を教えます。組成などの基礎知識から、パーマやヘアカラーの仕組み、ヘアケア、抜け毛・薄毛の対策などをわかりやすく解説。

 髪の毛の寿命はどのくらいですか?正しいシャンプーの方法はあるのでしょうか?育毛剤を使うと髪が速く伸びるのですか?白髪は抜くと増えるというのはホントですか?髪の毛の病気やダメージのメカニズムについては、徐々に原因が解明されつつありますが、まだわからない部分もあります。そのため、いろいろな説があふれ、何が正しいのか、判断しにくいのが現状です。本書では、毛髪のスペシャリストたちが、髪の毛についての基礎知識から、正しいヘアケア、カラーやパーマ、抜け毛・薄毛の悩み、髪の毛にまつわるウワサなどについて、Q&A形式でわかりやすく解説します!

 本書は,公益社団法人日本毛髪科学協会の日常業務である毛髪相談などに寄せられている事項について50の質問に絞り込み,その整合性のある回答ができるという観点から整理したもの。仕事柄読みましたが、髪の毛について「髪の毛の基礎知識」「ヘアケア」「ヘアカラーとパーマ」「抜け毛・薄毛」「薄毛対策」「髪の毛のウワサ」と6つのセクションに分けて解説されていて、素朴な疑問がわかりやすくまとめられています。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月12日

『禁忌の子』山口未桜

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禁忌の子 [ 山口 未桜 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2025/4/12時点)




 救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは…。

 本書は、第34回鮎川哲也賞受賞作で、現役医師でもある著者だからこそ描けたリアルでさらに一歩踏み込んだ医療ミステリ。自身と同じ顔をした死体との邂逅に始まり、現役医師ならではの臨場感溢れる医療描写など読み応えがあり、終盤の展開はかなり重いですが、インパクトある作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月11日

『ここはすべての夜明けまえ』間宮改衣




 2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに父親から提案されたことだった。

 本書は、ひらがなの多い独特の文体で語られる「わたし」の家族史であり、2123年の世界から約100年前を回想して描かれる物語。融合手術によって肉体の殆どが機械化したため、永遠に老いない主人公は、年齢でいうと百歳をゆうに超えているが、見た目は若いまま。家族が死に絶え、ついに独りぼっちになった彼女が、血族のどろりとした部分を語った風変わりな家族史を書いていきますが、全編に漂う終末感はどこか清らかで、SFと純文学が融合し、ジャンルを超越した斬新な作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月10日

『カフネ』阿部暁子

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カフネ [ 阿部 暁子 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2025/4/10時点)




 法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。

 本書は、法務局に勤め、最愛の弟の突然死、離婚などのため自暴自棄になっていた40歳の薫子が、弟の元恋人・せつなの勧めで家事代行ボランティアを始めることになり、そのボランティアを通して少しずつ生きる意味取り戻してゆく過程を描いた物語。人知れず事情を抱えた人たちが交錯し、薫子の悲しみやせつなの隠された過去,弟の死の謎などミステリ仕立てで、人々の再生が丁寧に描かれています。家事代行サービスを通して考えさせられる人間模様と、心の隙間を埋めてくれる料理の数々も物語に奥深さを感じさせ、沢山の優しさも感じる素敵な作品でした。

【満足度】 ★★★★☆
ラベル:阿部暁子 カフネ
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2025年04月09日

『ウバステ』真梨幸子

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ウバステ [ 真梨 幸子 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2025/4/9時点)




 懐かしいメロディにのせて描かれる、「おひとり様」世津子と女たちの人生の軌跡。TVドラマ「ウバステ」の関係者のひとりが不審死を遂げた。世津子は、その謎を探るうち自身の出生の秘密に触れ…。

 逗子の実家に独りで暮らす駒田世津子は小説家。20年前、自身の作品『ウバステ』がTVドラマ化された縁で、元TV局プロデューサーの小野坂哲子、シナリオライターの舘川信代、女優の千田友枝、監督の妻だった谷崎寿々の5人で食事会を続けている。世津子の還暦パーティから3年たった冬、寿々が千駄木のアパートで孤独死したという知らせが入った。謎多き死に一同は憶測をめぐらす。年が明けると、寿々の元夫である梶谷も不審死を遂げた。食事会のメンバーにはそれぞれ、2人から遺書めいた年賀状が届いていた。2人の死に疑問を覚えた世津子は、ほかの仲間に引きずられるように、寿々のアパートに向かう。そこは、世津子が若かりしころ付き合っていた梶谷が住んでいた部屋だった。過去の記憶がフラッシュバックする。そのときから世津子の体調は異変を示し始めた。やがて真相に迫るうち、『ウバステ』のモデルとなった高級老人ホーム「ユートピア逗子」と、世津子自身の出生の秘密に触れることに…
…。

 本書は、おひとりさまの老後や終活に焦点をあてたミステリ。各章のストーリーに昭和の名曲が絡められ、小説家でおひとりさまの世津子をはじめ、プロデューサー、俳優など5人の女性たちが抱える終活、お金、住まい、介護をめぐる問題はリアルで、終活について考えさせられる作品です。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月08日

『あの日の風を描く』愛野史香

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あの日の風を描く [ 愛野 史香 ]
価格:1,650円(税込、送料無料) (2025/4/8時点)




 京都市にある美大の油画科を休学中の稲葉真は、従兄の凜太郎の声かけで狩野探幽の血縁であり、父が狩野派を破門された清原雪信の娘・平野雪香が描いた襖絵の復元模写制作を手伝うことになった。チームメンバーは修士二年・土師俊介と修士一年・蔡麗華。襖絵は、十二面の花鳥図だが、現存するのは九面と切り貼りされた一部のみ。果たして三人は復元模写を完成させることができるのか?

 京都市にある美大の油絵科を休学中の稲葉真は、バンド『Pintas』のPainterだったが、メジャー・デビューの時にメンバーから外されてしまった。それ以降、鬱屈して自宅に引き籠もっていた。そんな時、真は従兄の稲葉凛太郎の声がけで、狩野探幽の血縁であり、狩野派を破門された清原雪信の娘・平野雪香が描いた襖絵の想定復元模写制作を手伝うことに。チームメンバーは保存修復研究領域・修士二年・土師俊介と留学生で修士一年・蔡麗華。襖絵は、十二面の花鳥図だが、現存するのは九面と切り貼りされた一部のみ。果たして三人は、復元模写を完成させることができるのか?

 本書は、狩野派の血縁である絵師が描いた襖絵の復元模写に関わることになった美大生の物語。日本画,保存修復の知識が興味深く、復元を担当した美大生3人の葛藤や完成までの手探り状態の中から描かれた本質を見極める努力は読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月07日

『私の最後の羊が死んだ』河崎秋子

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私の最後の羊が死んだ [ 河崎 秋子 ]
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 どうして羊飼いという職業に就き、順調に美味しい肉を生産していたのに、やめる決断をしたのか。「小説家前夜」の日々を綴る。直木賞作家の自伝的初エッセイ。

 酪農家の娘として生まれたからこそ、その過酷さは身にしみており、大学卒業後も農業に関わるつもりはなかった。だが大学時代に教授宅で催されたバーベキューで出逢ってしまったのだ、美味しい羊肉と……。「自分でも生産してみたい」との思いから一念発起しニュージーランド実習へ。さまざまな縁にも助けられながら、勉強を重ね、日々実直に羊を育て、出荷し、羊飼いとして収入を得られるようになった。やがてお得意先のレストランシェフに「河崎さんとこの肉はお客さんに出すのが勿体ないほど美味しい」と言われるまでに。順調に回り始めた羊飼い生活を、それでもなぜやめる決断をしたか、そしていかにして小説を書き始めたのか。「小説家前夜」の日々を綴る。

 本書は、文壇初の羊飼い兼業作家としても知られた著者がなぜ羊飼いを志し、なぜその生活にピリオドを打ったのかを、作家となるまでの経緯も含めて綴った自身初の自伝的エッセイ。作家になるまでのバックグラウンドがしっかり理解でき、作家として独立するまでの羊飼い人生に誇りを持っていることなど、今後も道内作家として活躍されること期待します。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月05日

『歪曲済アイラービュ』住野よる

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歪曲済アイラービュ [ 住野 よる ]
価格:1,760円(税込、送料無料) (2025/4/5時点)




 「お前ら愛する人に気持ちは伝えたかい?」……底辺YouTuberの生配信「こなるんの予言ちゃんねる」で告げられたのは、世界の滅亡。嘘か真か一切不明、だが同じように終末を確信した者たちは最後の行動に出る。驚きと企みに満ちたクライマックスへ向け疾走する、常識も正論もぶっ飛ばすジェットコースターエンタメ。

 お前ら愛する人に気持ちは伝えたかい?底辺YouTuberが生配信「こなるんの予言ちゃんねる」で予告したのは「世界滅亡」。嘘か真か一切不明、だが同じように終末を確信した者たちは、最後の行動に出る。ずっと「いい子」だった女子高生も、本当は悪魔な先生も、幼馴染の前で精神的自傷行為を続ける大学生も、職場の先輩に料理を習う会社員も、妻に愛の音楽を奏でる青年も、獣のように無垢な少女も。彼らがなりふり構わず向かった先は―驚きと企みに満ちた衝撃の展開!超弩級のジェットコースターエンタメ、開幕。

 本書は、世界が滅ぶと自分にしか見えない何かから伝えられて翻弄される人と周りの人を描いた11編の短編集。勢いはあるものの、読み難く、読み解くのが難しい物語でもありました。世界の滅亡を信じて、ある種の無敵の人になった人達が、終わりを感じて初めて世間とか社会のルールとかから解き放たれた本当の自分の望みに気づくストーリーですが、読み手によって評価が分かれる作品とも思います。

【満足度】 ★★★
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2025年04月04日

『リンダを殺した犯人は』伊兼源太郎

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リンダを殺した犯人は [ 伊兼 源太郎 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2025/4/4時点)




 警視庁捜査一課殺人犯捜査第二係に所属する女性刑事・志々目春香と後輩の男性刑事・藤堂遙の“ハルカ”コンビ。2023年冬、新宿・大久保のマンションで若いベトナム人女性「リンダ」の死体が発見された。彼女の足取りを追うため、二人のハルカは四国・松山へ向かうが、そこには外国人技能実習制度の深い闇が…。不法滞在者に労働をあっせんする謎の人物・Q、そして彼女を殺した真犯人は、一体誰なのか、たどり着いた驚きの真相とは!?

 本書は、技能実習生の闇から、日本の問題点や課題を浮き彫りにした作品。外国人技能実習生制度の問題を警察小説として描いていますが、闇の部分が強調しすぎで、エンタメとしてはイマイチな印象を受けました。

【満足度】 ★★☆
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2025年04月03日

『蘭医繚乱 洪庵と泰然』海堂 尊

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蘭医繚乱 洪庵と泰然 [ 海堂 尊 ]
価格:2,530円(税込、送料無料) (2025/4/3時点)




 「チーム・バチスタ」「ブラックペアン」の著者が挑む新境地!幕末、東西に私塾を創った二人の蘭方医が天然痘撲滅に挑む、著者渾身の歴史医療小説。

 江戸時代後期、医者に憧れを抱くひとりの青年が、大坂なにわ橋の上で佇んでいた。青年の名は田上惟章……のちに「緒方洪庵」と名乗る人物である。貧乏藩士の三男坊だった彼は、大坂で師・中天游と出会い、蘭学にのめり込んでいく。同じ頃、江戸で祝言を挙げるひとりの青年が、医者の道へ歩み出そうとしていた。彼の名は田辺昇太郎……のちの「佐藤泰然」である。知り合いの商人から異国の話を聞いた昇太郎は、蘭学がこの先の世に役立つと考え……。真面目な洪庵と、破天荒な泰然。長崎で同じ時期に蘭学を学んだ二人は、互いをライバル視しつつも、その歩みは蘭学を大きく発展させ、それぞれ立ち上げた私塾は「西の適塾、東の順天堂」として、若者にとっての憧れの学び舎となっていく。そして二人は、世間を脅かす「天然痘」の撲滅に挑むのだった……。

 本書は、江戸時代後期から幕末の二人の蘭方医、緒方洪庵と佐藤泰然を主人公とした歴史医療小説。「西の適塾、東の順天堂」と呼ばれ、当時の若者を魅了した名門塾の創始者である蘭方医、緒方洪庵と佐藤泰然を主人公に、明治維新に向かう激動の時代、後世に活躍する多くの人材をそれぞれ育成する一方、当時の人々が怖れた疫病「天然痘」の撲滅に挑み続けた半生をドラマチックに描いています。

【満足度】 ★★★★
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2025年04月02日

『遊廓島心中譚』霜月 流

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遊廓島心中譚 [ 霜月 流 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2025/4/2時点)




 第70回江戸川乱歩賞受賞作!アニバーサリーイヤー!ミステリ界の新たな歴史を作る期待の新人、満を持して登場!

 孤島と化した遊廓で、国境を越えた愛と死の謎を解け!幕末日本。幼いころから綺麗な石にしか興味のない町娘・伊佐のもとへ、父・繁蔵の訃報が伝えられた。さらに真面目一筋だった木挽き職人の父の遺骸には、横浜・港崎遊廓(通称:遊廓島)の遊女屋・岩亀楼と、そこの遊女と思しき「潮騒」という名の書かれた鑑札が添えられ、挙げ句、父には攘夷派の強盗に与した上に町娘を殺した容疑がかけられていた。伊佐は父の無実と死の真相を確かめるべく、かつての父の弟子・幸正の斡旋で、外国人の妾となって遊廓島に乗り込む。そこで出会ったのは、「遊女殺し」の異名を持つ英国海軍の将校・メイソン。初め
はメイソンを恐れていた伊佐だったが、彼の宝石のように美しい目と実直な人柄に惹かれていく。伊佐はメイソンの力を借りながら、次第に事件の真相に近づいていくが…。4時間半の選考会でもっとも激論となった、ミステリー史上最大級のスケールの衝撃作!

 本書は、幕末・横浜の遊廓を主な舞台に、外国人の妾になった2人の女性を通して描かれる真実の愛を巡る時代ミステリ。展開も面白く、謎解きも楽しめましたが、登場人物の背景が分かりにくいところが多く、それがミステリとしてはやや物足りなさを感じましたが、幕末の横浜の臨場感は良かったです。

【満足度】 ★★★☆
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2025年04月01日

『よむよむかたる』朝倉かすみ




 小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。月に一度の読書会“坂の途中で本を読む会”のためだ。この会は最年長92歳、最年少78歳の超高齢読書サークル。それぞれに人の話を聞かないから予定は決まらないし、連絡が一度だけで伝わることもない。この会は発足20年を迎え、記念誌を作ろうとするが、すんなりと事が進むはずもなく…。

 小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉は今年で20年目を迎える。店長の安田松生は、28歳。小説の新人賞を受賞し、本を一冊出したが、それ以降は小説を書けないでいる。昨年叔母の美智留から店の運営を引き継いだばかりだ。その「引き継ぎ」の一つに〈坂の途中で本を読む会〉のお世話も含まれる。何しろこの会は最年長92歳、最年少78歳、平均年齢85歳の超高齢読書サークル。それぞれに人の話を聞かないから予定は決まらないし、連絡は一度だけで伝わることもない。持病の一つや二つは当たり前で、毎月集まれていることが奇跡的でもある。安田は店長の責務として世話係だけをするつもりだったが、「小説家」であることを見込まれて、この会の一員となる。安田は読書会に対しても斜に構えていた。二作目が書けない鬱屈がそうさせていたのかもしれない。しかし、読書会に参加し、自分でも老人たちと「語る」ことで心境に変化が訪れる……。

 本書は、北海道小樽市の古い民家を改造した喫茶シトロンという店を舞台とした読書会小説。80代、90代が中心の「坂の途中で本を読む会」の6人のメンバーが集い、課題本を音読し、意味や解釈を語り合う中で、亡くなった息子や小学校の教え子たちとの思い出など、さまざまなエピソードが蘇ります。小説家という夢に挫折し、「シトロン」の雇われ店長になった主人公の安田は、読書会に立ち会うたびに少しずつ心が揺り動かされていく…というストーリーですが、老人たちの読書会の会話がとてもリアルで、本の感想から昔語りへ移り、とりとめのない話に終始する様子は、いかにも高齢者が中心の物語らしく、読書会でのコニュニティがうまく作品で表現されています。

【満足度】 ★★★★☆
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2025年03月31日

『もうひとつの引退馬伝説 関係者が語るあの馬たちのその後』マイクロマガジン引退馬取材班




 著名な競走馬のセカンドキャリアを追った一冊。関係者への取材を基に「第二の馬生」の様子やエピソードなどを紹介していきます。

 ターフを沸かせて引退したあの競走馬は今どうしてる?有名競走馬28種の引退後をさまざまな関係者に直撃取材。種牡馬、繁殖牝馬、乗馬、誘導馬、伝統神事馬、功労馬などなど、新たなキャリアを歩む馬たちの実像に迫る!和田竜二騎手と角居勝彦元調教師のインタビューも収録。

 競走馬の引退後の行き先は、種牡馬や繁殖牝馬になる他、乗馬、馬術競技、伝統行事や農業で活躍したりなど多岐に渡りますが、本書はG1など重賞を勝った著名な馬の、繁殖生活だけに限らない余生(セカンドキャリア・サードキャリア)にアプローチし、繋養先でどのように過ごしているのか、現役時代との違いやエピソードなどを関係者へ直撃し、引退した著名な競走馬の現在の魅力をとことん掘り下げていきます。

【満足度】 ★★★★
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2025年03月29日

『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』森 功

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魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史 [ 森 功 ]
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 大宅賞作家が「日本一のマンモス私大」の「権力と闇」に光を当てる。

 迷走する「林真理子体制」。裏切られた改革。大宅賞作家が「日本一のマンモス私大」の「権力と闇」に光を当て、現在進行形の「タブー」に迫る。2021年、田中英壽理事長(当時)が率いる日本大学を舞台に起こった一連の事件には、日本の私立大学が長らく抱えてきた共通の病が潜んでいた。日本一のマンモス私大「日本大学」の歴代トップが歩んできた日大の歴史を紐解きながら、転換期にある日本の私大問題を掘る。

 本書は、日本一のマンモス私大「日本大学」の歴代トップが歩んできた日大の歴史を紐解きながら、転換期にある日本の私大問題を掘り下げた一冊。アメフト部薬物事件、ならびに重量挙部・陸上部・スケート部における「被害額約1億1500万円超」もの金銭不祥事…など、日大で何が起こっているのか戦後の「日大」裏面史から、その原因を探り出しています。

【満足度】 ★★★★
ラベル:森 功 魔窟
posted by babiru_22 at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする