2019年02月19日

『救済』長岡弘樹

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救済 SAVE [ 長岡 弘樹 ]
価格:1566円(税込、送料無料) (2019/2/19時点)




 放火犯として刑事に疑われた知的障害のある少年。夏休みの予定を時間割として書くことに容疑と関わりが? 「夏の終わりの時間割」ほか、心を揺さぶられる短篇6篇を収めたミステリ集。『メフィスト』掲載を単行本化。

 本書は、「三色の貌」「最後の晩餐」「ガラスの向こう側」「空目虫」「焦げた食パン」「夏の終わりの時間割」…と、救済をテーマにした6つの作品が収録されたミステリ集。淡々と描かれる短編集ではありますが、どの作品も切なくも心が温まる作品ばかりで、タイトルの『救済』が実に当てはまる作品集です。

【満足度】 ★★★★
ラベル:救済 長岡弘樹
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2019年02月18日

『キネマトグラフィカ』古内一絵

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キネマトグラフィカ [ 古内一絵 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2019/2/18時点)




 老舗映画会社に新卒入社した“平成元年組”6人の男女が、2018年春、ある地方の映画館で再会する。今はそれぞれの道を歩む彼らは、思い出の映画を鑑賞しながら26年前の“全国フィルムリレー”に思いを馳せ…。

 映画がフィルムだったころ、老舗映画会社に勤めた同期6人。働く事情も夢も、6人6様。けれど自分の信じた道を必死に進んでいた。あのころ、思い描いていた自分になれているだろうか?…20年間、映画の変遷を目撃してきた著者が贈る、働く人すべての心を熱くする、渾身の傑作!

 本書は、平成元年に大手映画会社に入社した、同期の桜たちの回顧の物語。映画の知識は誰にも負けないのに、それが何も生かされない営業職に鬱々とする者。「結婚」にまつわる恋人からの無言のプレッシャーに辟易する者。映画にはそんなに思い入れはないけれど、多少の困難ならそれなりにしのげる者。それぞれに誇りがあり、それぞれに悩みがある6人の仲間たちが、とある古い日本映画の貸出スケジュール管理をしくじり、群馬から大阪、そして名古屋、さらに福岡へと、35ミリフィルムの巨大な巻き物をリレーしていきます。平成元年、フィルム映画、ポケベル、のぞみ開通…と、バブル期以降の時代の流れを物語で上手く表現していて、地味な展開ではありますが、ノスタルジーを感じる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2019年02月16日

『鏡の背面』篠田節子

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鏡の背面 [ 篠田 節子 ]
価格:2160円(税込、送料無料) (2019/2/16時点)




 薬物依存症患者やDV被害者の女性たちが暮らすシェルターで発生した火災。聖母のように優しい「先生」は入居者を助け、死亡。皆が悲しむなか、死体は別人だと発覚し…。『小説すばる』連載を加筆・修正し単行本化。

 薬物依存症患者やDV被害者の女性たちが暮らすシェルターで発生した火災。「先生」こと小野尚子が入居者を救い、死亡。盛大な「お別れの会」が催された後、警察から衝撃の事実が告げられる。「小野尚子」として死んだ遺体は、別人のものだった。ライターの山崎知佳は、過去を調べるうちに、かつて「女」を追っていた記者にたどり着く。一方、指導者を失ったシェルター内では、じわじわと不協和音が…。傑作長編サスペンス。

 物語は、薬物依存症患者やDV被害者の女性たちが暮らすシェルターを支えてきた聖母とも思える人が、実は……というところから始まるサスペンス。500ページを超える大作でしたが、展開に引き込まれて一気読み。2人の女性の波乱に満ちた一生を、ジャーナリストが同業者の力を借りて解き明かしつつ進んでいきますが、著者らしさは存分に出ていたものの、余分な描写も多く、読み応えはあったものの、ラストも消化不良で、やや期待に欠けたのが少々残念です。

【満足度】 ★★★☆
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2019年02月15日

『「オホーツク村」ものがたり 人工林を原始の森へ40年の活動誌』竹田津実




 1970年代、北海道東部の小清水町。ある日、気がつくと入植以来の隣人であるシマフクロウやキツネ、ヒグマ、ムクドリたちがいなくなっていた。普通の自然を取り戻して、彼らを呼び戻さなくちゃ…。自然創成の活動記録。

 ある日、気がついた…入植以来の隣人たち、シマフクロウもキツネもヒグマも、いなくなった。1970年代、北海道小清水町の“沈黙の春”。…普通の自然を取り戻そう!! キタキツネの映画と写真集をきっかけに、18人が始めた、北の大地の自然創成とは。

 本書は、キタキツネの獣医が、1978年に農民達と始めた、自然環境保全活動をまとめたもの。100年の森をつくる……とした、自然と人との関わりを問うもので、改めて環境問題についてを考えさせられる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2019年02月14日

『売上の8割を占める 優良顧客を逃さない方法』大坂祐希枝




 「無料施策」「割引施策」を続けると、優良顧客は減っていく! リテンションマーケティングを活用し、顧客減に悩んでいたWOWOWを連続顧客増に導いた著者が、利益をもたらす優良顧客を増やす施策について解説する。

 「56万人加入しても5000人しか残らない! 」 WOWOWグループ初の女性取締役として、リテンションマーケティングを活用、 顧客減に悩んでいたWOWOWを10年以上連続顧客増に導いた、その施策とは!? サブスクリプション(定額課金)時代における日本型エンゲージメント(顧客との深いつながり)を作る方法。リアル店舗、通販、SNS、会員制ビジネスなど顧客や会員減に悩む、すべての会社、個人が使える「顧客を離れさせない仕組み」「優良な顧客だけをつかむ方法」がこの1冊に!

 本書は、サブタイトルに「利益を伸ばすリテンションマーケティング入門」ともありますが、優良顧客をどう繋がり、自社の価値を高めていくか、新規顧客ばかりを重要視するのではなく「寡黙な優良顧客」をどう見つけ出し、引き留め、そしてその優良顧客の割合を増やしていくか……という、WOWOWグループの日本型サブスクリプションモデルの実例が書かれており、マーケティング理論として興味深い内容でした。

【満足度】 ★★★★
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2019年02月13日

『いとしの印刷ボーイズ 業界あるある「トラブル祭り」』奈良裕己




 今日もナビ印刷では印刷事故が…。印刷会社営業出身の漫画家が、印刷業界の笑えて泣けるリアルな実態を描く。印刷用語も解説。『GetNabi web』連載を元に書籍化。

 ゲットナビウェブで大人気のウェブ漫画がコミック化! 中堅の印刷会社「ナビ印刷」を舞台に、毎回起こる印刷事故に現場はてんやわんや。印刷業界のみならず、デザイナー、チラシ制作会社、メーカーのカタログ担当と幅広い層から絶賛の声が出ています。

 本書は、印刷会社営業出身のマンガ家でもある著者が、ちょっと笑えて泣けるリアルな実態を描いたコミックエッセイ。印刷会社の内情を克明に描かれていて、印刷やデザイン関係の仕事の舞台裏がとてもリアルに表現されていますが、興味ある仕事内容でもあり、苦労があって印刷として出来上がる内容は、とても面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2019年02月12日

『今すぐ食べたい! すごい缶詰150』

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今すぐ食べたい!すごい缶詰150 (イカロスMOOK)
価格:1998円(税込、送料無料) (2019/2/12時点)




 サバ缶、ツナ缶などおなじみの缶詰から、獣肉缶、珍食缶まで、日本全国の特色ある缶詰を開缶。缶詰に関する地域性や歴史、製造の裏側や、缶詰に関わるプロフェッショナルたちの仕事も紹介する。

 食品の保存方法として、「容器に詰めて加熱・殺菌する」という缶詰の最も基本的な原理がフランスで発明されてから200年あまり。現在、缶詰は単なる保存食、あるいは携行食としてだけではなく、ひとつの食文化としてわたしたちの生活に浸透しているといえる。本書では、サバ缶、ツナ缶など普段の食卓でも親しまれている缶詰から、ジビエ、虫、1万円以上する高級缶、kg単位の大容量缶などの衝撃的な缶詰まで、全国から選りすぐりの150缶以上を紹介。実際に缶を開けて盛り付けた写真も掲載し、価格や問い合わせ先など、購入したい場合に使える情報もフォロー。そのほか、秋田県民のオリジナル缶詰文化、ツナ缶シェア9割以上を誇る静岡県の秘密、缶を叩いて中の状態を検査する「打検士」インタビュー、世界一臭い食べ物「シュールストレミング」の本当の食べ方など、細かい雑学も徹底取材。読んで楽しく、見て楽しい、「缶詰本」の決定版!!

 本書は、タイトルで分かるように「凄い缶詰」が一気に150缶以上が紹介されたサブカルチャー本。単なる缶詰の紹介だけではなく、食べ方や製造過程なども写真と共に掲載されており、あらゆる缶詰に関するトピックが詰め込まれています。

【満足度】 ★★★★
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2019年02月11日

『大人の道徳』齋藤 孝

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大人の道徳 [ 斎藤 孝 ]
価格:896円(税込、送料無料) (2019/2/11時点)




 閉塞感のただよう社会を生き抜くために必要な、本当の意味での「道徳」を説く。仕事や日常生活での悩みや不安が解消され、日々心穏やかに過ごすための心構えのヒントが満載。

 道徳はキレイごとではありません。先人たちが伝えてくれた「精神文化」と「身体文化」の結晶です。よくビジネスパーソンに必要なスキルとして「IT・会計・英語」の3つが挙げられたりしますが、私はここに「道徳」も入れたい!と本気で思っているほどです。インターネットが世界中を駆け巡り、すべての情報が一瞬のうちに共有されるグローバル社会において、人間関係はどんどん多様に、そして複雑になっています。本来人を幸せにする技術が、人をおとしめたり、誤解したり、孤立化させる要因にすらなっています。こうした閉塞感のただよう社会を生き抜くために必要なのが、本当の意味での「道徳」なのです。……(「はじめに」より)

 帯には「大人こそ道徳が必要です」とありますが、子どもたちに道徳を学ばせる前に、まず大人たちが学ぶべきと指摘する一冊。本書の目次より『大人たちにこそ「道徳」は必須の“能力”』『今までの価値観が通用しない時代』『道徳=心+精神文化+身体文化』『今の日本人が軽視する「礼」は形式的だからこそ意味がある』『道徳のベース「理解力」と「対話力」を育むために文学に触れ「心」を知る』『ネット社会が増幅させる人間の負の感情を直視する』『他者とより良い人間関係を築くために道徳を実践する』『精神文化と身体文化を受け継ぎ道徳を実践する』…とありますが、道徳とはどういうものか、また身に付けるには、それを実践するにはどうすればよいかなどを容易に理解しやすく書かれており、精神と身体の文化の上で心が支えられているという道徳構造の捉え方は特に分かりやすく書かれています。また形式的な礼やマナーの重要性、場に対する当事者意識を持つのも道徳であるといった具体例も勉強になりましたが、「大人こそ道徳が必要です」というコンセプトには大きく同意します。

【満足度】 ★★★★☆
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2019年02月09日

『アリエリー教授の「行動経済学」入門 お金篇』ダン・アリエリー&ジェフ・クライスラー




 セール、セット売りに目がない。当たりが出るまでクジを引き続ける。有料登録をずるずる続けてしまう…。お金の失敗エピソードを紹介しながら、行動経済学で「つい買ってしまう」心理を解き明かす。

 セール、セット売りに目がない。当たりが出るまでクジを引き続ける。有料登録をずるずる続けてしまう。小さな金額の小さな決断のつもりが、人生の大問題にも影響する。日々の決断にひそむ不合理には、収入やライフスタイルを問わず、あらゆる場面で見られるパターンがある。おもしろ実験とケーススタディで知られる行動経済学者のダン・アリエリーが、金融ネタを得意とするコメディアンと組んでパワーアップ! お金の失敗エピソードを紹介しながら、一生使える考え方を伝授する。これ1冊で、行動経済学の基本から応用までわかる入門書。

 本書は、行動経済学をエンターテインメントにしたダン・アリエリー教授と、弁護士出身のコメディアンのジェフ・クライスラーとが、お金をテーマに、お金に関してどんな間違いを犯しやすいか、なぜそうしてしまうのかを、楽しく行動経済学として分かりやすくまとめた一冊。支払いのタイミングで感覚が全く違う事、心の会計、言葉や表現の仕方で購入意欲が変わる事など、「つい買ってしまう」心理が面白く紹介されています。

【満足度】 ★★★★
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2019年02月08日

『いつか深い穴に落ちるまで』山野辺太郎

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いつか深い穴に落ちるまで [ 山野辺 太郎 ]
価格:1404円(税込、送料無料) (2019/2/8時点)




 人類は、地球を貫く穴を通れるのか? 日本−ブラジル間・直線ルート極秘開発プロジェクト。大手建設会社の子会社の広報係・鈴木一夫は、この謎めいた事業の存在理由について調査を開始するが…。『文藝』掲載を単行本化。

 戦後から現在まで続く「秘密プロジェクト」があった。発案者は、運輸省の若手官僚・山本清晴。敗戦から数年たったある時、新橋の闇市でカストリを飲みながら彼は思いつく。「底のない穴を空けよう、そしてそれを国の新事業にしよう」。かくして「日本‐ブラジル間・直線ルート開発計画」が「温泉を掘る」ための技術によって、始動した。その意志を引き継いだのは大手建設会社の子会社の広報係・鈴木一夫。彼は来たるべき事業公表の際のプレスリリースを記すために、この謎めいた事業の存在理由について調査を開始する。ポーランドからの諜報員、作業員としてやってくる日系移民やアジアからの技能実習生、ディズニーランドで待ち合わせた海外の要人、ブラジルの広報係・ルイーザへの想い、そしてついに穴が開通したとき、鈴木は…。

 本書は、第55回文藝賞受賞作。物語は日本から反対外のブラジルへ穴を掘って繋げるという秘密プロジェクトについてが書かれたストーリーで、荒唐無稽な設定で、淡々と展開が進んでいきますが、妙に味がある作品で、日本とブラジルの間に穴を掘る話を真面目に描くところに面白さがあります。

【満足度】 ★★★★
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2019年02月07日

『黄金の代償』福田和代

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黄金の代償 [ 福田 和代 ]
価格:1782円(税込、送料無料) (2019/2/7時点)




 妹の治療費のために金塊強盗に手を染めた葉山。成功したと思われたそのとき、相棒のクロエが死体で発見される。葉山はヤクザの弓庭に脅され、消えた黄金の行方を追うが…。青春クライムノベル。『小説野性時代』連載を書籍化。

 謎の男・クロエに金塊強盗の手伝いをしないかと声をかけられた葉山和之。幼いころに父を亡くし、病気の妹の治療代のため猛然と働く母を見ていた葉山はその話に乗るが、その準備の最中、クロエに「お前の父親は、日本史上最高金額の銀行強盗を成功させた男だ」と告げられる。母にも事実を問いただせないまま、金塊強盗を実行した葉山がクロエとの待ち合わせ場所に赴くと、クロエは殺されており、強奪したキャリーケース4個分の金塊は消えていた。金塊のもとの持ち主であるヤクザの弓庭に一週間で金塊を探し出さなければ命はないと脅され、葉山はクロエの仲間である松野たちと金塊を探し始めるが……。金塊はどこに消えたのか。クロエを殺したのは一体だれか。そして葉山の本当の父親は点店。震災から復興した街、神戸を舞台とした金塊をめぐるクライムミステリーノベル!

 本書は、震災から復興した神戸を舞台とした金塊を巡るクライムミステリ。著者のこれまでの作品と比べると異色作ともいえる内容ではありましたが、登場人物はそれぞれに個性的ではあるものの、展開にその個性が活かされていないところが多く、ストーリーが広がりすぎてまとまりのない物語となっていたのが残念です。

【満足度】 ★★☆
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2019年02月06日

『鬼嵐』仙川 環

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鬼嵐 [ 仙川 環 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2019/2/6時点)




 過疎の町に突如発生した殺人ウイルス。外資系製薬会社、外国人労働者、リストラ、そして…。感染源を追跡する女性医師が突き止めた戦慄の事実とは。医療ミステリー。『STORY BOX』連載を単行本化。

 『感染』で第1回小学館文庫小説賞を受賞し、単行本、文庫併せて23万部のベストセラーを生んだ、医療ミステリーの第一人者として名高い仙川環氏の最新作。女医の夏未は、東京の大学病院での研究者生活から挫折し、北関東の地元に戻って来た。過疎化が進み、外国人労働者の増加が目立つ地元では、町おこしの目玉にと、地元産の食肉を商品化しようとする動きが進んでいた。そんな中、謎の感染死が連続して起こる。独自に調査を始めた夏未を妨害する出来事が次々に起こって……。感染源は何か、そしてその裏側に何があるのか……。『STORY BOX』連載中からあまりにリアルと話題になった作品。作家デビュー16年目の脂ののった仙川氏が贈る読み応え満載の社会派医療ミステリです。

 物語は、北関東の過疎の町で突如発生した殺人ウイルスを、東京の大学病院を辞めて父が経営するクリニックを手伝う主人公が感染源を探るストーリー。パンデミックをテーマとした医療ミステリでしたが、様々な医療界の問題も絡めていましたが、そのパンデミックの感染恐怖や緊迫感があまり伝わってこなかったのが大きな欠点。設定が非常に良かっただけに、物足りなさを感じた点が残念です。

【満足度】 ★★★☆
ラベル:仙川 環 鬼嵐
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2019年02月05日

『凍てつく太陽』葉真中顕

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凍てつく太陽 [ 葉真中顕 ]
価格:1944円(税込、送料無料) (2019/2/5時点)




 昭和20年、終戦間際の北海道・室蘭。陸軍の軍事機密をめぐり、軍需工場の関係者が次々と毒殺される。アイヌ出身の特高刑事・日崎八尋は、先輩刑事とともに捜査に加わるが…。『小説幻冬』連載を加筆・修正し単行本化。

 逼迫した戦況を一変させるという陸軍の軍事機密「カンナカムイ」をめぐり、軍需工場の関係者が次々と毒殺される。アイヌ出身の特高刑事・日崎八尋は捜査に加わるが、「拷問王」の異名を持つ先輩刑事の三影に濡れ衣を着せられ、網走刑務所に投獄されてしまう。八尋は特高刑事としての「己の使命」を全うするために、脱獄を決意するのだが……。民族とは何か、国家とは何か、人間とは何か。魂に突き刺さる、骨太のエンターテイメント!

 本書は、終戦前の北海道を舞台に、アイヌ民族の歴史や文化を絡め、殺人事件と事件の背後を描いた特高警察小説。約530ページと重厚な内容で、極寒生活・貧困・拷問・差別…と、歴史的背景や当時の社会情勢を物語に上手く絡めていて、重厚なテーマであるものの、ミステリとしても、サスペンスとしても、冒険活劇としても、エンタメとして読み応えたっぷりに仕上げていて、存分に満足感を味わえる作品でした。

【満足度】 ★★★★☆
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2019年02月04日

『ローカルベンチャー 地域にはビジネスの可能性があふれている』牧 大介




 地域経済はもっと儲かる! 人口約1500人の岡山県・西粟倉村で、2社を立ち上げ、5億8千万円の売り上げを達成した著者が、自身の起業ストーリーと「地域でのベンチャービジネス」について語る。

 地域で自ら仕事をつくる「ローカルベンチャー」。発祥の地は、人口わずか約1500人の岡山県・西粟倉村だ。この村で2009年に『西粟倉・森の学校』を起業し、現在は「ローカルベンチャー」をサポートする事業などを行う『エーゼロ』も経営する著者。2社の売り上げは、合計5億8千万円(2017年)となっている。本書では、これまでの軌跡とその哲学、地域経済への思いなどを紹介。地域で起業した「ローカルベンチャー」たちや、地域で熱く活動する自治体職員の物語も収録している。移住者や自治体職員など、日本の地域に住むすべての人へ贈る“地域経済の指南書”として、地域にはビジネスの可能性があふれていることをおおいに実感できる一冊だ。

 本書は、著者自らが人口1500人足らずの山村・岡山県西粟倉村で、ローカルベンチャーを立ち上げ、木材の加工流通事業を皮切りに多彩な事業に取り組み、年間5億8千万円の売り上げに成長したことが書かれたもの。更にこの10年ほどの間に、同村では30社のローカルベンチャーが生まれ、年間売り上げの合計は15億円になり、結果、村の人口も2017年に増加に転じたのこと。地域にはビジネスの可能性があふれている……そう実感した著者が好循環が生まれていく過程を自ら生き生きと振り返っています。また、著者だけの努力ではなく、行政支援や、著者が行政を巻き込む姿が書かれていますが、こうした官民一体の取り組みこそが、地域を活性化させる好例にもなっています。

【満足度】 ★★★★
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2019年02月02日

『良い値決め悪い値決め きちんと儲けるためのプライシング戦略』田中靖浩




 「良い値決め」に転換するためのプライシング戦略が学べるテキスト。値決めをめぐる日米の歴史を踏まえつつ、管理会計の中から「値決め」についての内容を抜き出し、実例や図を多用して説明する。

 本書は、初心者でも楽しくプライシングが学べる入門書です。コストを把握するための会計知識と、「良いものをより高く」売るためのマーケティング・ビジネス心理学(行動経済学)をミックスさせて、読者に役立つヒントを紹介しています。とはいえ、難しい用語はほとんど出てきません。「下取りセールでイトーヨーカ堂が成功した理由」「ヤマダ電機がたどりついた結論」「マクドナルド価格戦略の成功と失敗」など、身近なケースを使ってわかりやすく読み進められるよう工夫しています。終わりなき安値争いから「顧客満足『高』価格」の世界へ、本書がナビゲートします。

 本書は「売上重視主義から利益重視主義」「企業目線から顧客目線」「従来の経済学から行動経済学」「デジタルから再びアナログに」といった相転移を解説し、上述した新たな必要性を説いたもの。マーケティングとして内容が分かりやすくまとめられているため、特に自営業をされている方は「値決め」の参考になる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2019年02月01日

『みらいの教育 学校現場をブラックからワクワクへ変える』内田良/苫野一徳




 「公教育は市民社会の根幹である」という共通理解のもと、ワクワクするような未来の教育を作るために、教育哲学者・苫野一徳と教育社会学者・内田良が、それぞれ考えてきたこと、やってきたことを語り合う。各人の論文も掲載。

 社会が急速に変化し、学校教育への要望が複雑化する中、増え続ける仕事をこなすため、過労死ラインを超えて自己犠牲的に働く教職員の異常な労働実態。「教師は子どもの人格の完成をめざす崇高で特殊な仕事である」、「教育には政治や経済の論理とは異なる独自の価値がある」……「教育の特殊性」論によって生じている学校現場の課題を克服し、子どもも先生もワクワクできる学びの場としての学校をつくるには? 新進気鋭の教育社会学者と教育哲学者が、学校教育の現状と「みらいの教育」について語り合い、それぞれの立場から書き下ろし論文を寄せた、ワクワク対話シリーズの第1弾!

 本書は、「教育の特殊性」について論考した一冊。その「教育の特殊性」が教師を縛り付けているという現実についてが書かれていますが、教育現場の実情が非常に分かりやすくまとめられていて、テーマを決めた対話の参考にもなる内容です。

【満足度】 ★★★★
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2019年01月31日

『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』かげはら史帆




 ベートーヴェンの晩年に、音楽活動や日常生活の補佐役をつとめていたシンドラー。彼はなぜ罪を犯し、どうやってそれを隠し通したのか。音楽史上最大のスキャンダル「会話帳改竄事件」の全貌に迫る歴史ノンフィクション。

 本書は、音楽史上最悪のペテン師を召喚し、19世紀の音楽業界を描き起こす「会話帳改竄事件」の全貌に迫る歴史ノンフィクション。内面描写がかなり著者の主観で書かれているため、史実を元に、極めてフィクションに近いノンフィクションとは思いますが、シンドラーの生い立ち、学生時代の行状、ベートーヴェンとの関係、ベートーヴェンの死後の会話帳改竄に至るまでの経緯については興味深い内容でした。

【満足度】 ★★★★
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2019年01月30日

『プロ野球を選ばなかった怪物たち』元永知宏

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プロ野球を選ばなかった怪物たち [ 元永知宏 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2019/1/30時点)




 杉浦正則、鍛治舍巧、應武篤良…。彼らはなぜ、プロ野球を選ばなかったのか? 決断を下した裏には、どんな思いがあったのか? 「プロ野球を選ばなかった怪物」7人に質問をぶつけ、自ら歩んだその人生に迫る。

 すべての野球少年が夢見る舞台、“プロ野球”。そこは選ばれし一握りの者だけが集う、非常に狭き世界である。しかし、高校、大学、社会人野球などで大活躍し、プロが熱望するスーパースターであったにもかかわらず、あえてプロ野球界に足を踏み入れなかった名選手たちがいる。彼らは何を思い野球に打ち込んだのか。なぜ栄光を胸に秘めながら、現役のユニフォームを脱いだのか。自らの意志で、自らの道を歩んだ男たちの生き方に迫る! オリンピック日本代表として3連続出場を果たした「ミスターオリンピック」杉浦正則。「小さな大投手」と呼ばれ、星野仙一、田淵幸一、山本浩二、高田繁らがいた六大学黄金時代に不滅の48勝を挙げた山中正竹。社会人野球からパナソニックの重役となり、高校野球の名監督としても知られることになる鍛治舍巧。選手としてオリンピック代表に選ばれ、新日鐵君津、早稲田大学の監督としても、渡辺俊介、森慎二、斎藤佑樹らを育てた應武篤良。慶應大学の絶対的なエースとして53イニング連続無失点記録を樹立するなど、伝説的な活躍を見せながらスッパリと野球を辞めた志村亮。浦和学院の主将としてセンバツで優勝、大学野球でも日本一に輝いたエリート野球人・山根佑太。そして番外編として、東大史上4人目のプロ野球選手として日本ハムに入団し、現在はGM補佐を務める遠藤良平。これは、一流選手として野球に真摯に向き合い、今なお野球を愛する野球人たちの記録である。

 本書は、高校、大学、社会人野球で大活躍した、プロが熱望するスーパースターであったにもかかわらず、あえてプロ野球に足を踏み入れなかった名選手達6人のその後の人生に迫ったノンフィクション。野球好きであれば、知る人ぞ知る人達のその後を追ったものですが、あえてプロ野球の世界を選ばずとも、共通しているのは野球に対する思いの強さと、野球と真摯に向き合ったからこその人生の選択としてプロ野球以外の道を選んだこと。その意思の強さには後悔は全く見られませんし、野球との絆の深さを実感する一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2019年01月29日

『ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで』デレク・トンプソン




 スターウォーズ、ポケモンGO、フェイスブック…。なぜそれがヒットしたのか? 多くのメガヒットの作り手や仕掛け人に話を聞き、ネットワーク理論の専門家にも取材し、ヒットの背景にあるシンプルなルールを解き明かす。

 無料コンテンツが世の中にあふれ、選択肢は無限に増えた。ヒットを生むのは難しい。では、メガヒットを連発するクリエーターや企業の秘密は? 映画、小説、音楽、絵画、SNS、アプリ、大統領演説、人の名前……あらゆる「ヒット」を調べてわかった〈なじみ感〉と〈拡散〉の法則。

 本書は、米国の高級誌「アトランティック」の編集主任でもある著者が、音楽や小説、映画、スマホアプリなど様々なコンテンツで、ヒット作が生まれた理由や背景を解き明かしたもの。様々なヒットをマーケティングとして分析されていますが、好みや流行の構造を、エピソードも多く交えつつ軽快かつ面白く書かれています。

【満足度】 ★★★★
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2019年01月26日

『バッグをザックに持ち替えて』唯川 恵

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バッグをザックに持ち替えて [ 唯川恵 ]
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 浅間山から谷川岳、八ケ岳そして富士山、ついにはエベレスト街道まで。何が楽しいのか? 辛いのにどうしてまた登ってしまうのか? 登山の魅力を、名手が描き尽くしたエッセイ集。『小説宝石』連載を単行本化。

 はじめての登山に懲りて、山なんてやめた……はずだった。それが浅間山から谷川岳、八ヶ岳そして富士山、ついにはエベレスト街道まで! 何が楽しいのか? 辛いのにどうしてまた登ってしまうのか? 登山に目覚めた著者が、山の魅力を描き尽くす。

 本書は、初めての登山に懲りていた著者が、自宅や軽井沢周辺の登山から始まり、ついにエベレスト街道まで挑戦して行く山エッセイ。装備の調達と装備の重要性、富士登山での山小屋のありえない待遇、ラッセル泥棒の話、ザイル問題、山の素晴らしさと怖さ……など、自らの登山経験から登山の魅力をたっぷりと紹介しています。

【満足度】 ★★★★
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