2020年07月07日

『古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家』辻田真佐憲




 日本人の欲望に応え続けた昭和のヒットメーカー・古関裕而。彼はいかなる人物だったのか、その作品は昭和史にいかなる役割を果たしたのか。古関裕而の生涯と激動の昭和を気鋭のメディア研究者が描きつくす。

 軍歌「露営の歌」、早稲田大学の「紺碧の空」、読売ジャイアンツの「闘魂こめて」、怪獣映画の「モスラの歌」、原爆鎮魂の歌「長崎の鐘」―ジャンルを超えていまも愛唱される5000曲はどのようにして生まれたのか。日本人の欲望に応え続けたヒットメーカー。連続テレビ小説「エール」のモデルになった80年の生涯。

 本書は、NHK連続テレビ小説「エール」の主人公のモデルとなった、昭和を代表する大作曲家である古関裕而氏の評伝本。古関裕而氏を通して、昭和史としても書かれており、「六甲おろし」「モスラの歌」「オリンピック・マーチ」などはもちろん、社歌や校歌など、その団体に所属する人たち以外にはほぼ知られることのない曲を手がけていた事実にもちゃんとページを割いていて、興味深い一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年07月06日

『クスノキの番人』東野圭吾

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 解雇された職場に盗みに入り逮捕された直井玲斗は、弁護士費用を支払ってくれた伯母から、クスノキの番人をするように命じられる。そのクスノキに祈れば、願いが叶うと言われていて…。

 本書は、クスノキを巡る家族愛、そして認知症が縦糸として描かれる作品。工場の非正規労働者だった主人公・玲斗が、クビになった工場に盗みに入るも逮捕され、会ったこともない伯母・千舟に引き取られ、玲斗は千舟から「願い事が叶う」と言われているパワースポット・月郷神社の「クスノキ」の番人をしろと命じられる。どうもこのクスノキには隠された秘密、超常的な力が本当にあるようで、新月と満月の夜を中心に、夜な夜な人が「予約制」で訪れる。クスノキの持つ力とはいったいどんなものなのか、なぜ玲斗はクスノキの番人を託されたのか、フラフラと生きてきた玲斗は自分の生きる道を見つけることができるのだろうか……。クスノキの前で交錯する様々な人生は読み応えある作品で、個人的には映画化しても面白いと思う物語でした。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年07月04日

『告解』薬丸 岳

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 飲酒運転中、1人の老女の命を奪ってしまった大学生の籬翔太。懲役4年を超える実刑を下された翔太を、被害者の夫は「ある思い」を胸に待ち続け…。贖罪の在り方を問う物語。『小説現代』掲載を大幅に加筆・修正し単行本化。

 飲酒運転中、何かに乗り上げた衝撃を受けるも、恐怖のあまり走り去ってしまった大学生の籬翔太。翌日、一人の老女の命を奪ってしまったことを知る。自分の未来、家族の幸せ、恋人の笑顔…。失うものの大きさに、罪から目をそらし続ける翔太に下されたのは、懲役4年を超える実刑だった。一方、被害者の夫である法輪二三久は、“ある思い”を胸に翔太の出所を待ち続けていた。贖罪の在り方を問う、慟哭の傑作長編。

 本書は、罪を犯した青年の葛藤と再生の物語。交通事故によってある日突然加害者となってしまった青年と、突然大切な人の命を奪われた被害者家族についてが描かれ、現代社会特有ともいえるSNSの問題や認知症も絡み、リアルで読み応えがありました。著者らしい作品です。

【満足度】 ★★★★
ラベル:告解 薬丸 岳
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2020年07月03日

『紅蓮館の殺人』阿津川辰海

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 高校の合宿をぬけ出し、隠棲した文豪の館を訪れた田所と葛城。館で仲良くなった少女が死体で発見され、葛城は真相を推理しようとするが、館には山火事が迫る。タイムリミットは35時間。生存と真実、選ぶべきはどっちだ。

 山中に隠棲した文豪に会うため、高松の合宿をぬけ出した僕と友人の葛城は、落雷による山火事に遭遇。救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。これは事故か、殺人か。葛城は真相を推理しようとするが、住人と他の避難者は脱出を優先するべきだと語り…。タイムリミットは35時間。生存と真実、選ぶべきはどっちだ。

 物語は、山奥の推理作家の館を目指し山を登り始めた高校生2人組が山火事に会い、逃げ込んだ館には昏睡状態の作家と息子家族、そして同じく逃げてきた数名が集まり、殺人事件が起こる…というストーリー。謎解きは論理的かつ伏線も良かったですが、様々な要素が詰め込まれすぎていて、それが逆にマイナスとなっていたのがもったいないと感じるミステリでした。

【満足度】 ★★★
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2020年07月02日

『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない!』菊地高弘




 地元の冷ややかな視線や心ない声を浴びせられながら、奮闘する彼らは、どのような日々を過ごしているのか。地元の高校生と何が違うのか。高校野球界で「ガイジン部隊」と呼ばれる越境入学者たちの実態を伝える。

 15歳にして親元を離れ、甲子園を目指す野球留学生たち。強豪校ゆえの激しいポジション争いや、慣れない土地での寮生活に悪戦苦闘しながら過ごす日々。郷土を思う一部の過度なファンから、気持ちよく応援してもらえないこともあるが、そんな地域文化とも向き合いながら、やがて人間としても成長していく……。『野球部あるある』『下剋上球児』で高校球児をハートフルに描いてきた菊地高弘氏が、野球留学生の奮闘の日々を、愛情を込めてお届けする青春物語。

 本書は、野球留学生の奮闘の日々を、愛情を込めてお届けする青春物語。全国の強豪校の中で、野球留学生を多く抱える高校を中心に全8章で構成されており、八戸学院光星(青森)、盛岡大付(岩手)、健大高崎(群馬)、帝京(東東京)、滋賀学園(滋賀)、石見智翠館(島根)、明徳義塾(高知)、創成館(長崎)の順に、指導者や選手・OBに取材し、その日常や暮らしぶりを、イラストを交えながらコミカルに紹介されています。

【満足度】 ★★★★
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2020年07月01日

『エンジョイ!クラフトビール 人生最高の一杯を求めて』スコット・マーフィー




 いつものビールから飛び出して飲んだことのないスタイルのクラフトビールを飲んでみよう! スタイル、歴史や原料、造り方や楽しみ方、料理とのペアリングまで、クラフトビールの情報が満載。全国のブルワリーリストも収録。

 本書は、クラフトビールについてイラストを中心に、分かりやすく紹介した一冊。世界のクラフトビールを飲み歩いた著者のクラフトビール愛を強く感じますし、スタイル、歴史や原料、造り方や楽しみ方、料理とのペアリングまで、ビールをとことん知りたい、楽しみたい方にはオススメのクラフトビール本です。

【満足度】 ★★★★
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2020年06月30日

『暗黒残酷監獄』城戸喜由

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 人妻との不倫に暗い愉しみを見いだす高校生・椿太郎。ある日、姉が十字架に磔となって死んだ。彼女が遺した「この家には悪魔がいる」というメモの真意を探るべく、家族を調べ始めた椿太郎は、彼らの残酷な秘密を知ることに…。

 同級生の女子から絶えず言い寄られ、人妻との不倫に暗い愉しみを見いだし、友人は皆無の高校生・清家椿太郎。ある日、姉の御鍬が十字架に磔となって死んだ。彼女が遺した「この家には悪魔がいる」というメモの真意を探るべく、椿太郎は家族の身辺調査を始める。明らかとなるのは数多の秘密。父は誘拐事件に関わり、新聞で事故死と報道された母は存命中、自殺した兄は不可解な小説を書いていた。そして、椿太郎が辿り着く残酷な真実とは。

 本書は、第23回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。友人は皆無の高校生の清家椿太郎が主人公。ある日、姉の御鍬が十字架に磔となって死んでしまい、彼女が遺した「この家には悪魔がいる」というメモの真意を探るべく、椿太郎は家族の身辺調査を始める……ミステリですが、様々な要素が詰め込まれすぎていて、伏線や謎解きは楽しめるものの、強烈すぎるキャラクターの独特すぎる言い回しが好き嫌いが分かれるとは思いますが、次作も読んでみたい作家です。

【満足度】 ★★★☆
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2020年06月29日

『わたしはナチスに盗まれた子ども 隠蔽された〈レーベンスボルン〉計画』イングリット・フォン・エールハーフェン/ティム・テイト




 ナチスが純血アーリア人の子どもを生産するべく作った組織〈レーベンスボルン〉。自分がそこからもらわれてきた里子だと知った著者は、自分のルーツをたどる旅に出る…。〈レーベンスボルン〉の全貌と出自の真相を綴る。

 終戦後のドイツ。少女イングリットは両親から冷遇されてきた理由が、自分の素性にあると知る。彼女は里子…それもただの里子ではなく、ナチスが純血アーリア人の子どもを“生産”するべく作った組織“レーベンスボルン”からもらわれてきた子どもだったのだ。本当の名前はエリカ・マトコ。しかしそれ以外に、自分についてわかることは一つもなかった。やがて60歳を目前にしたイングリットは、ドイツ赤十字や歴史学者の協力を得て、自分のルーツをたどる旅に出る。謎多き“レーベンスボルン”の全貌と、筆舌につくしがたい出自の真相が明らかに。

 本書は、著者自らが長年にわたり自らの出自の真相を辿ったノンフィクション。ナチスドイツが推進したレーベンスボルン計画によって幼いころに拉致された外国出身者の著者が、どこで生まれ、どういう経緯でドイツに来ることになったのか、そして実の両親や家族はその後どうなったのかを、20年にわたって著者が探し続けた記録でもありますが、ナチスドイツの負の歴史や出生の秘密は、悲劇でもあり、数多くの謎と歴史の事実が印象に残る一冊です。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年06月27日

『老後に住める家がない! 明日は我が身の“漂流老人”問題』太田垣章子




 あなたは必ず「終の棲家」を確保できますか? 賃貸トラブルに携わる司法書士が、高齢者の賃貸トラブルの実例、家主のジレンマと管理会社の苦悩など、住む家が「借りられない」現実と実態を明らかにする。

 今すぐ、「住活」を始めなさい! 「住活」とは、自分のライフプランに合った「終の棲家」を得ることです。60代以降の自分の収入を確認して、最期まで払っていける家賃に合う住居を決めるのです。そのためには、さまざまな「断捨離」や人間関係の構築が必要になります。つまり、「住活」とは自分の人生に責任を持つということなのです。家主、不動産管理会社も必読! 高齢者の賃貸トラブルの実例を挙げ、その実態に迫ります。

 本書は、家主も管理会社も、高齢者による様々なトラブルを回避したいため、70歳代以上の高齢者が借りることは非常に難しい、ということを現場の事例数多く紹介しながら、そのためにどのような社会制度への改革が必要かを提言したもの。現実問題として、高齢者の賃貸トラブルが紹介されていますが、これは賃貸していれ家主や不動産会社は読むべき一冊でもあるでしょう。様々な実態はとても興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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2020年06月26日

『流浪の月』凪良ゆう

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 愛ではない。けれどそばにいたい…。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描いた長編小説。

 あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい…。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

 本書は、「2020年本屋大賞大賞受賞作」。物語は、誘拐された少女と、誘拐した大学生の2人を軸に、恋愛とも友情ともとれない複雑な関係性を描いた作品で、ある誘拐事件を巡り、加害者の青年と被害者の少女という、公表された情報では語り尽くせない人間関係を描写し、ネット社会における情報拡散の痛ましさにも切り込んでいます。世間の理解を得られない二人は、別の街で暮らし始め、離れたところに住む、若い一人の理解者と交流を続けていきますが、それぞれの心理、真実と事実、そしてマイノリティ…など、メディアの一方通行な報道と世論で本質が見えなくなることの怖さも物語として上手く表現しており、非常に印象に残る作品です。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年06月25日

『夜がどれほど暗くても』中山七里

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 志賀倫成は大手出版社の週刊誌の副編集長。だが息子・健輔に殺人の疑いがかかり、スキャンダルを追う立場から追われる立場に。被害者の娘、奈々美に襲われるが、彼女と触れ合ううちに…。『ランティエ』連載に加筆・訂正。

 志賀倫成は、大手出版社の雑誌『週刊春潮』の副編集長で、その売上は会社の大黒柱だった。志賀は、スキャンダル記事こそが他の部門も支えているという自負を持ち、充実した編集者生活を送っていた。だが大学生の息子・健輔が、ストーカー殺人を犯した上で自殺したという疑いがかかったことで、幸福だった生活は崩れ去る。スキャンダルを追う立場から追われる立場に転落、社の問題雑誌である『春潮48』へと左遷。取材対象のみならず同僚からも罵倒される日々に精神をすりつぶしていく。一人生き残った被害者の娘・奈々美から襲われ、妻も家出してしまった。奈々美と触れ合ううちに、新たな光が見え始めるのだが……。

 本書は、ミステリではあるものの、被害者遺族の再生の物語といえる作品で、展開がややご都合主義的で、終盤の展開に現実味が感じられず、やや強引なまとめ方になったいたのも残念です。

【満足度】 ★★☆
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2020年06月24日

『免疫力を強くする 最新科学が語るワクチンと免疫のしくみ』宮坂昌之




 健康食品やサプリメント、ワクチン…。免疫に関する情報のウソ・ホント、あなたはわかりますか? 免疫学の第一人者が、予防接種や話題の「がん免疫療法」など、科学的に正しい「免疫力の高め方」をわかりやすく解説します。

 免疫力増強を謳う健康食品やサプリメントは多数あるが、医学的に信頼できるエビデンスを持つものはほぼ皆無である。一方、医学的に最も信頼できる「免疫力増強法」はワクチンだが、副作用に対する過剰な恐怖感から日本ではその接種を控える風潮がある。免疫学の第一人者として知られる著者が予防接種や話題の「がん免疫療法」など科学的に信頼できる「免疫力の高め方」をわかりやすく解説する。

 本書は、体の中の免役の仕組み、ワクチンの仕組みなどを分かりやすく解説した一冊。免疫学から説得力ある説明がされていて、最新の免疫医療の解説など、免疫について非常に分かりやすい内容です。

【満足度】 ★★★★
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2020年06月23日

『まほり』高田大介

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 社会学を専攻する大学生の勝山裕は、上州に、蛇の目紋を書いた紙がいたるところに貼られている村があると聞き、昔なじみの香織と調査を始めるが…。膨大な史料から浮かび上がる恐るべき真実とは。長篇民俗学ミステリ。

 大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学4年生の勝山裕。卒研グループの飲み会に誘われた彼は、その際に出た都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村に出身地が近かった裕は、夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。偶然、図書館で司書のバイトをしていた昔なじみの飯山香織とともにフィールドワークを始めるが、調査の過程で出会った少年から不穏な噂を聞く。その村では少女が監禁されているというのだ……。代々伝わる、恐るべき因習とは? そして「まほり」の意味とは?

 物語は、都市伝説から始まる民俗学ミステリ。因習・土俗・民間信仰が作り出す現世の異界を描いた作品ですが、学術的に難しいところも多かったですが、中身が濃いミステリで、寺社合祀の歴史など民俗学の奥深さも感じつつ、真相に迫る過程も良かったです。

【満足度】 ★★★★
ラベル:高田大介 まほり
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2020年06月22日

『メデューサの首 微生物研究室特任教授 坂口信』内藤 了




 微生物学者の坂口は新型のゾンビ・ウイルスを発見。後日、ウイルスを手に入れたという謎の団体から、首相官邸に犯行予告が届く。人質は全国民。坂口は毒舌女刑事・海谷とウイルスを探すが、都内では次々と爆破事件が発生し…。

 微生物学者の坂口がある日発見した新型ウイルス。感染したラットは互いを獰猛にむさぼり喰い、死んでいった。後輩に処分を任せたが後日、ウイルスを手に入れたという謎の団体から首相官邸に犯行予告が届く。人質は、全国民。目的は何なのか? 毒舌女刑事・海谷とウイルスを捜すが、都内では次々と爆破事件が発生し―衝撃連発のサスペンス開幕!

 本書は、新型ウイルスとテロ事件を描いたパンデミックサスペンス。登場人物それぞれに個性があり、前半はやや淡々とした展開ではあったものの、中盤から後半にかけて一気にスピード感が出て、一気に読まされました。できれば続編も描いてほしいです。

【満足度】 ★★★★
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2020年06月20日

『米国とイランはなぜ戦うのか? 繰り返される40年の対立』菅原 出




 1980年に断交して以来、40年にわたって対立を続ける米国とイラン。トランプ大統領の登場でその対立は激しさを増し、軍事衝突に発展する可能性は高い。両国の抗争の歴史を振り返り、中東情勢の展開を読む。

 米国とイランは1980年に断交して以来、40年にわたって対立を続けてきた。トランプ大統領の登場で、その対立は激しさを増し、2020年1月3日のソレイマニ司令官殺害でピークに達した。その後も米国の圧力は続き、イランの抵抗も続いている。危機は去っておらず、両国の対立が軍事衝突に発展する可能性は高い。なぜ米国とイランはここまで憎しみあい、敵対するのか? 両国の抗争の歴史を振り返り、イランが生存をかけた危険な勝負に出ている危機の実態に迫る!

 本書は、40年間にわたり米国とイランの間に横たわる深刻な対立の構図を明らかにしつつ、年明け早々に勃発した一触即発の危機が勃発する過程についても追った一冊で、今後の情勢も改めて考えさせられます。

【満足度】 ★★★★
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2020年06月19日

『バグトリデザイン 事例で学ぶ「行為のデザイン」思考』村田智明




 人の行為に注目すれば、あるべきデザインが見えてくる。「行為のデザイン」を実践できるよう、基本的な考え方と企業での事例を解説。行為を想像体験することでバグを抽出し、洞察するワークショップの進め方も紹介する。

 タイトルにもなっている「バグトリデザイン」とは、人の行為を観察したり想像体験したりして、このバグを見つけ出し、解消するようにモノやサービスをデザインすること。多くの有名企業や自治体、大学などが取り入れる思考法としての「バグトリデザイン」の様々な事例も含めて紹介されているのが本書で、デザインに興味のある方は勿論のこと、ワークショップ事例も多く、ビジネスのあり方としても参考になる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年06月18日

『二重らせん 欲望と喧噪のメディア』中川一徳

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二重らせん 欲望と喧噪のメディア [ 中川 一徳 ]
価格:2640円(税込、送料無料) (2020/6/18時点)




 テレビ局が生み出すカネと利権に群がる人々…。戦後、公共のものとして開放されたはずの電波。やがてメディア一族が私し、政官財で分け合い、マネーゲームの具と化していったその姿を、チャンネル8と10の裏面史で辿る。

 フジテレビとテレビ朝日は1959年、日本テレビ、TBSに続く民放テレビ第三局、第四局として産声をあげた。テレビ局が「カネのなる木」だということが明らかになるにつれ、多くの政商、旧軍人、メディア企業、政治家たちが群がった。なかでもフジ、テレ朝の2社に深く食い込んだのが、出版社「旺文社」を経営する赤尾好夫である。自らが支配するラジオ局文化放送を通じて両社の株を握り、テレビ朝日では東映社長の大川博を追い出し、経営権を握った。その息子・赤尾一夫もテレビ朝日の大株主として独特の存在感を発揮、さらにマネーゲームへと狂奔していく。テレビの系列化に乗り遅れた朝日新聞はその間隙をつき、テレビ朝日を支配しようともくろむ。一方のフジテレビのオーナーとなった鹿内家だが、突然のクーデターによって鹿内宏明が放逐され、日枝久による支配体制が確立される。しかし、その後も、フジの親会社・ニッポン放送株の10%を握る鹿内宏明の存在が、日枝に重くのしかかった。それを振り払うためのニッポン放送、フジテレビの上場が、思わぬ「簒奪者」を呼び込むことになる……。絡み合うようにうごめく二つの「欲望のメディア」。膨大な内部資料を入手し、その相貌を赤裸々にする。

 本書は、テレビ朝日・フジテレビの設立から現在までの利権争いや買収工作をまとめたもの。テレビ特有の「絶大な影響力」という武器にして金のなる木に魅せられた、政治家、実業家、投資家、裏のフィクサーなど、野心に満ちた輩が群がり、ついにはマネーゲームの具と化す「メディア経営」の舞台が書かれますが、政治権力と放送メディアが結託したいびつな日本社会の裏側の姿は実に読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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2020年06月17日

『ニューヨーク・タイムズを守った男』デヴィット・E・マクロー




 2016年の大統領選挙、そして続くトランプ政権。権力vs新聞社、真実か捏造か…。ニューヨーク・タイムズ社ニュース編集室の元弁護士が、アメリカの報道の自由が激しく混乱した時代の、重大な報道の裏側を綴る。

 民主党候補が多数名乗りをあげ、大統領選挙が本格的にスタートしたアメリカ。4年前、ドナルド・トランプが当選してから、アメリカの国内の政治状況は一変した。著者は、アメリカの代表的な新聞、「ニューヨーク・タイムズ」紙の社内弁護士。記者たちが日々取材してくるネタについて、様々なアドバイスを行ってきた。大統領から名誉棄損で訴えられるかもしれないニュースを報じるべきか、見送るべきか。…そんなニュース編集室の議論の内側を描く。格差が大きく、社会が分断されているといわれるアメリカで、なぜ今も新聞の報道が支持を得るのか。彼らのしなやかさと、行動の基本にある「憲法修正第一条」…「言論・出版の自由」を追った1冊。

 本書は、「ニューヨーク・タイムズ」紙の社内弁護士でもある著者が、ニュース編集室の議論の内側を描いた一冊。信念をもって行動する記者達の姿が印象深かったですが、改めて報道の自由についてを考えさせられる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年06月16日

『地域活性マーケティング』岩永洋平




 ふるさと納税をはじめとする政府と自治体の政策や地方の事業者の実践を検証し、望ましい地域発展、地域支援のありかたをマーケティングの視点から考える。さらに、地方が地域産品でいかに稼ぐか、実践に役立つ方針も示す。

 独自データとマーケティングのメソッドから導かれる「地域の振興」と「地方間の共同性構築」の方法。ふるさと納税は地方の活性化、支援のためにスタートした制度だが、本来の目的を裏切る結果をもたらして、いまや無責任な有権者による「税金のムダ遣い」を招きかねない制度となっている。一方で地域の特色を生かして独自にブランド化、ビジネスを成功させて、地域社会の発展に大きく貢献している地方企業もある。うまくいく地域産品は何が違ったのか。地方の価値を高め、地域を活性化する秘策は、ここにある!

 本書は、「ふるさと納税」をはじめとする政府と自治体の政策や、地方の事業者の実践を検証し、望ましい地域発展、地域支援のあり方をマーケティングの視点から考察したもので、ふるさと納税について詳細な調査結果をもとに論じ、改革案を示した一冊。地方の大きな期待を寄せられ始まった「ふるさと納税」について、本当に地方のためになる制度なのか疑問も寄せ、制度をさまざな視点から検証し、地域産品のブランド化に成功して地域社会に貢献している企業の成功の秘密を分析するなど、地域を活性化する仕組みと戦略を提案しており、タイトルにもなっている「地域活性マーケティング」として参考になります。

【満足度】 ★★★★
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2020年06月15日

『脱走王と呼ばれた男 第二次世界大戦中21回脱走した捕虜の半生』デイヴィッド・M・ガス




 脱走は将校の義務である…。トンネル作戦、綱渡り、列車からの飛び降り、詐病…。第二次世界大戦中、仲間と共に、あるいは単独で脱走を繰り返し、不屈の精神力で目的を果たしたイギリス軍将校アレスター・クラムの半生を描く。

 開戦直前にイタリア軍捕虜となり、以来21回のあらゆる手段で脱走を繰り返した英軍将校アラステア・クラム。彼は終戦直前に脱走に成功し英雄として迎えられた。本書はその破天荒にして不屈の「脱走半生」を克明にたどったノンフィクションである。

 本書は、第二次世界大戦期、ドイツやイタリアの捕虜収容所から21回も脱走を試み、仲間から「男爵」と呼ばれた男、イギリス陸軍のアレスター・クラム中尉の半生を描いたノンフィクション。ジェノヴァのガーヴィ要塞での長期間かけてトンネルを掘る脱走劇は臨場感溢れて映画さながらの迫力で、ドイツに移送が決まってからはゲシュタポも絡み、ジュネーヴ条約も無視されがちで悲壮感が漂い始めますが、映画を見ているような感覚で、興味深かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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