2017年06月24日

『本を守ろうとする猫の話』夏川草介

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本を守ろうとする猫の話 [ 夏川 草介 ]
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 高校生の夏木林太郎は、祖父を突然亡くした。祖父が営んでいた古書店をたたみ、叔母に引き取られることになった林太郎の前に、人間の言葉を話すトラネコが現れ…。『STORY BOX』掲載に書き下ろしを加える。

 「お前は、ただの物知りになりたいのか?」 夏木林太郎は、一介の高校生である。夏木書店を営む祖父と二人暮らしをしてきた。生活が一変したのは、祖父が突然亡くなってからだ。面識のなかった伯母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。トラネコは、本を守るため林太郎の力を借りたいのだという。痛烈痛快! センス・オブ・ワンダーに満ちた夏川版『銀河鉄道の夜』!

 本書は、とある古書店を舞台にした著者版『銀河鉄道の夜』。本と人の関係を改めて問う社会派ファンタジーでもありますが、本を取り巻く厳しい現状に対して鋭い批判が込められています。本好きの高校生の主人公が、人間の言葉を話すネコと一緒に本を守ろうとする様子が物語として描かれますが、改めて本を読むことについてを考えさせられる一冊でした。

【満足度】 ★★★★
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2017年06月23日

『日本と世界の長距離列車』土屋武之

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仰天!?乗りたい!日本と世界の長距離列車 [ 造事務所 ]
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 9000kmを走り続けるシベリア鉄道、福岡〜札幌間を毎日走破する列車、東海道を走り続ける「大垣夜行」…。「長距離」をキーワードにさまざまな列車を紹介する。長距離列車乗車ルポも掲載。

 世界最長は6泊7日で9000km。日本では1日3000km走る車両が!? 日本と世界の長距離列車を見れば、お国柄や経済、政治も見えてくる! シベリア鉄道のロシア号が世界最長の列車なのは有名ですが、世界を見渡せば、ほかにも数千km規模の列車がたくさん!  寝台特急がほぼ全廃された日本では、一番長い距離を走るのは新幹線「のぞみ」かと思ったら、札幌発福岡行きがあるとか、1日に3000km以上走る車両があるとか…。どれも乗ってみたいけれど、えっ、どうやっても乗れない列車もあるの!?

 本書は、長距離列車乗車ルポを始めとして、タイトルにもあるように日本と世界の長距離列車についてのトリビアや面白話が書かれたもの。長距離列車のウンチクが多く、列車好きにはオススメの一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2017年06月22日

『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人』伊藤 歩



 「カネまわり」を知れば、プロ野球はもっと面白くなる! 公開情報はもちろん、球団代表への取材や全球団への質問状送付、顧客満足度調査など、球団経営に関するデータを結集し、12球団の経営を1球団ずつ詳細に分析する。

 球団経営を知れば、プロ野球はもっとおもしろくなる! 本書は、選手や監督ではなく、親会社の事情も含めたプロ野球12球団の事業構造そのものに焦点をあてた一冊である。現役の金融ジャーナリストが、公開情報はもちろん、球団代表への取材や全球団への質問状送付、顧客満足度調査に全本拠地の現地取材といった、12年間の取材と執念で得たプロ野球の“経営”に関するデータを結集し、12球団を一球団ずつ詳細に分析する。本来「同業他社」というのは基本的な収益構造が似通ってくるものだが、プロ野球のそれは多種多様を極めており、各球団の運営はおもしろいほどに「らしい」。あなたのひいきのチームは何で儲け、損しているのか。「カネまわり」を知れば、プロ野球はもっとおもしろくなる!

 本書は、外資系金融機関や信用調査会社に勤務した著者が、プロ野球12球団の財務表を基に球団の財務体質を一つづつ分析していたもの。各球団の経営状況や顧客満足度調査は、野球ファンとして非常に興味深かったですし、各球団の経営状態から、チームごとの特徴もよく出ています。

【満足度】 ★★★★
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2017年06月21日

『電通の深層』大下英治

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電通の深層 [ 大下英治 ]
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 日本の政官業すべてを支配する構造「一業種多社制」を有する巨大広告代理店「電通」。過労自殺、強制捜査、社長辞任…。電通問題の核心を突くドキュメント。マスコミ支配の実態を描いた、1981年出版の「小説電通」も収録。

 長時間労働、パワーハラスメントによる「電通」東大卒新入社員高橋まつりさんの過労自殺、強制捜査、そして社長辞任。巨大広告代理店「電通」は、歴史的に日本の政官業すべてを支配する構造……「一業種多社制」を有している。「電通省」、「日本のCIA」と呼ばれ、業界最大のタブーとされた電通の闇に、『週刊文春』記者時代の1981年から鋭く切り込み、問題作『小説電通』でデビューした作家・大下英治が渾身の取材力を駆使して描く、巨艦「電通」の核心を突く激震ドキュメント!

 本書は、「週刊文春」記者時代の1981年から、電通の闇に鋭く切り込んだ著者が、圧倒的な取材力を駆使して描いたドキュメント。35年前に問題作『小説電通』で作家デビューを果たした著者が、「電通省」「日本のCIA」と呼ばれ、業界最大のタブーとされてきた、政官業をウラから支配する電通の根底に迫ります。自民党との蜜月、NHKとの対立構造、オリンピック利権に関わる情報戦まで、関係者が語る電通の闇についてをまとめています。

【満足度】 ★★★★
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2017年06月20日

『天を灼く』あさのあつこ

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天を灼く/あさのあつこ【1000円以上送料無料】
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 父は切腹、所払いとなった天羽藩上士の子・伊吹藤士郎は、一面に藺草田が広がる僻村の大地を踏み締める…。過酷な運命を背負った武士の子は、何を知り、いかなる生を選ぶのか? 『小説NON』連載に加筆し書籍化。

 紅く焼ける空の下篠突く雨の中を、元服前の天羽藩大組組頭・伊吹家嫡男の藤士郎は、父・斗十郎の佩刀を抱え、山奥にある牢屋敷に向かっていた。姉・美鶴が嫁ぎ、両親や親友の風見慶吾、大鳥五馬と送る平穏な日々が暗転したのは二十日前。豪商・出雲屋嘉平と癒着し藩を壟断したという咎で斗十郎が捕縛されたのだ。切腹が申し渡されたこの日、謎の若者・柘植左京に牢屋敷に呼び出された藤士郎に、斗十郎は身の潔白と藩政改革の捨て石になると告げ、介錯を命じた……。

 物語は、冤罪を着せられた父親が切腹し、家も追われた主人公らが真実を求めていく姿を描いた時代小説。著者の時代小説は久々ですが、主人公の少年の友情などは著者らしく描かれていましたし、時代に翻弄されながらも賢明に生きる主人公の姿も良かったです。

【満足度】 ★★★★
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2017年06月19日

『昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実』牧 久

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昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実 [ 牧 久 ]
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 国鉄解体は「昭和」の解体をも意味していた…。国鉄が崩壊、消滅に向けて突き進んだ20年余りの歴史を、重大証言と発掘資料で再検証し、「借金1000兆円をかかえた国家の未来」を予言する。

 本書は国鉄が崩壊、消滅に向けて突き進んだ20年余の歴史に再検証を試みたものである。昭和が平成に変わる直前の20年余という歳月は、薩長の下級武士たちが決起、さまざまな歴史上の人物を巻き込んで徳川幕藩体制を崩壊に追い込んだあの「明治維新」にも似た昭和の時代の「国鉄維新」であったのかもしれない。少なくとも「分割・民営化」は、百年以上も続いた日本国有鉄道の「解体」であり、それはまた、敗戦そして占領から始まった「戦後」という時間と空間である「昭和」の解体をも意味していた。

 本書は、巨大な公共事業体でもあった国鉄が、30年前に分割・民営化されるまでの最後の20年間を再検証したノンフィクション。後にJR各社の社長・会長を歴任する国鉄内改革派のリーダー、政権の目玉政策にして改革を推し進めた中曽根康弘、猛反対した国労のドンなど、多くの関係者に取材し、国鉄が抱えていた問題の根深さについても追求します。特に組合問題と勢力の背後の既得権を守ろうとする運輸省や自民党の族議員、社会党などについての関係も赤裸々に書かれていて、労組抗争についても詳しくまとめていて、読み応えのあるノンフィクションです。

【満足度】 ★★★★☆
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2017年06月17日

『スウガクって、なんの役に立ちますか?』杉原厚吉



 ジャンケンに勝てる確率を増やすには? スキーのコブをうまく滑る数学的コツとは? 身近な生活の中で役に立つ数学活用術や数理的な考え方を、広く集めて紹介する。『子供の科学』連載を基に書籍化。

 数学ってなんの役に立つの? ずっと言われてきた素朴な疑問ですが、これに答える本はこれまでもたくさん出版されてきました。苦手だった微分・積分やサインコサインが世の中でどんなに役立っているのか、文系の人でもわかるように、さまざまな解説がされていると思います。それらを読んで納得できたとしても、あなたの生活の中で、趣味の中で、仕事の中で……毎日どれだけ数学が役に立っているでしょうか? この本で紹介するのは、すべて本当に使える数学。生きていく中で起きるさまざまな“やっかいな問題”に対して、スッキリ解決の道筋を見せてくれる思考ツールとしての数学の活用術を紹介していきます。

 本書は小・中高生向けの月刊誌『子供の科学』に連載されていた記事をもとに、身近な生活の中で「役に立つ」ことに重点を置いて大人向けに書き換えたもの。一見、数学とは関係なさそうな日常の問題がどのように数学と繋がっているのかを、「じゃんけんで勝つには?」、「情報のミスを防ぐには?」、「ブランコの漕ぎ方を子供に教えるには?」など、具体的な問題に対して、数学を使って答えていきます。数学というよりも数学的観点からの説明が書かれているもので、雑学的で面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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『成功者K』羽田圭介

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成功者K [ 羽田 圭介 ]
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 芥川賞を受賞したKは、いきなりTVに出まくり、寄ってくるファンや友人女性と次々性交する。突如人生が変わってしまったKの運命は? 『文藝』掲載を単行本化。

 デビューから12年で芥川賞を受賞したK。“ついに世界が変わった”と思ったKはTVに出まくり、寄ってくるファンや知人女性と性交を重ねる。だが、いつしかKの身辺に、不穏な変化が兆しはじめる……。

 本書は、著者と同一人物かと思わせる小説家の主人公が、芥川賞受賞を契機に「成功者K」を自称し、請われるままテレビに出て、出演料を荒稼ぎし、美しい女性たちと性交しまくる日々をドキュメント調に描いた小説。読み進むうちにパラレルワールド的な展開にもなりますが、展開も消化不良のままで、作品としては残念に感じました。

【満足度】 ★★
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2017年06月15日

『錯迷』堂場瞬一

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錯迷 [ 堂場 瞬一 ]
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 神奈川県警捜査一課課長補佐の萩原哲郎は、鎌倉南署に署長として赴任した。異例の昇格人事の裏には、女性前署長の不審死が。署内の協力者を得られないまま、孤独の秘密捜査が始まる…。『STORY BOX』連載を単行本化。

 順調にキャリアを重ねてきた神奈川県警捜査一課課長補佐の萩原哲郎に突然の異動命令が下された。行き先は鎌倉南署。それも署長としての赴任。異例の昇格人事の裏には事情があった。それは女性前署長の不審死の謎を解くこと。署内の結束は固く、協力者を得られないまま、孤独の秘密捜査を始める萩原。そして忘れ去られた過去の未解決殺人事件との関連が浮上して……。著者渾身の本格警察小説。

 本書は、著者らしい警察小説ではありましたが、様々な伏線は良かったものの、捜査の過程など強引な部分があり、これまでの作品と比べると物足りなさを感じました。シリーズ化しそうな終わり方でもありましたが、個人的にはイマイチという感じです。

【満足度】 ★★★
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2017年06月14日

『サーベル警視庁』今野 敏

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サーベル警視庁 [ 今野敏 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2017/6/14時点)



 明治38年7月、帝国大学講師の遺体が不忍池で発見された。警視庁第一部第一課は、元新選組・斎藤一や、探偵・西小路とともに事件の謎を解いていく。『ランティエ』連載を加筆・訂正。

 明治38年7月。国民たちは日露戦争の行方を見守っていた。そんなある日、警視庁第一部第一課の岡崎孝夫巡査が、警察署から上がってきた書類をまとめていると壁の電話のベルが鳴った。不忍池に死体が浮かんでいるという。鳥居部長、葦名警部とともに現場へ向った。私立探偵・西小路臨三郎もどこからともなく現れ捜査に加わることに……。殺された帝国大学講師・高島は急進派で日本古来の文化の排斥論者だという……。そして、間もなく陸軍大佐・本庄も高島と同じく、鋭い刃物で一突きに殺されているとの知らせが……。元新選組三番隊組長で警視庁にも在籍していた斎藤一改め、藤田五郎も加わり捜査を進めていくが、事件の背景に陸軍省におけるドイツ派とフランス派の対立が見え始め……。今野敏が初めて挑んだ、明治時代を舞台に描く傑作警察小説の登場!

 物語は、明治時代を舞台にした警察小説。日露戦争最中の警視庁を中心に、陸軍におけるフランス派とドイツ派の暗闘のなかで起こる連続殺人事件が描かれますが、元新撰組三番隊長・斉藤一や小泉八雲、夏目漱石などまで登場して展開を盛り立てています。できればシリーズ化として続編を読んでみたいですし、明治の時代背景も新鮮で面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2017年06月13日

『しんせかい』山下澄人

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しんせかい [ 山下 澄人 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2017/6/13時点)



 19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため北を目指す。辿り着いた先の〈谷〉では、俳優や脚本家志望の若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた…。文学界の異端者が自らの原点を描き出す。『新潮』掲載を単行本化。

 十代の終わり、遠く見知らぬ土地での、痛切でかけがえのない経験……。19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。辿り着いたその先は【谷】と呼ばれ、俳優や脚本家を目指す若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた。苛酷な肉体労働、【先生】との軋轢、そして地元の女性と同期との間で揺れ動く思い。気鋭作家が自らの原点と初めて向き合い、記憶の痛みに貫かれながら綴った渾身作!

 本書は、第156回芥川賞受賞作。著者は、劇団を主宰する劇作家・俳優でもあり、倉本聰の「富良野塾」第二期生として入塾していますが、本書の主人公と同様に、誤って配達された新聞の募集記事を見て「富良野塾」に入塾することとなったようで、本人はあえて明言していませんが、この「富良野塾」での出来事が下敷きとなり、書かれた私小説でもあります。本格的な作家ではないためか、文体が非常に独特で、視点も独自色が強いこともあって、読み手によって評価が分かれる作品とも思います。淡々としすぎていますが、その間の空気感や臨場感の表現が上手いと感じた作品です。

【満足度】 ★★★★
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2017年06月12日

『奇跡の醤 陸前高田の老舗醤油蔵八木澤商店 再生の物語』竹内早希子



 陸前高田の老舗醤油蔵八木澤商店は、東日本大震災の津波で、土蔵や杉桶、そして醤油屋の命である「もろみ」を失った。九代目の河野通洋、八木澤商店の社員たち、陸前高田の人々の苦闘を、緻密な取材で描くノンフィクション。

 東日本大震災の津波で、壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市。そこで、文化4年(1807年)から続く老舗醤油蔵八木澤商店は、200年以上の歴史を持つ土蔵や杉桶、そして醤油屋の命である「もろみ」を津波で失った。誰もが「終わった」と思ったが、九代目の河野通洋は震災から5日目にして「必ず再建する」と社員を前に約束する。醤油をもう一度つくれる日を夢見て、必死に再建を目指す社員たち。そんな中、伝統の醤油復活のために不可欠なもろみが思いがけないところで見つかるが、それは彼らが直面する困難の序章に過ぎなかった…。河野をはじめ、八木澤商店の社員たち、そして陸前高田の人々の5年間の苦闘を、緻密な取材で描くノンフィクション。

 本書は、東日本大震災で被災した老舗の醤油メーカー、八木澤商店(岩手県陸前高田市)の復興に向けた9代目・河野通洋氏の奮闘記。市街全域を襲った津波により、江戸後期1807年創業の老舗は醤油造りの命ともいえる「秘伝のもろみ」を始め、製造施設の全てを失い、震災直後に父から経営を託された若き9代目社長がマイナスからのスタートを切ることに。被害総額2億円以上。残った資産はトラック2台だけ。社員37人のうち25人が自宅を失い。厳しい現実が重く圧し掛かる中、200年以上受け継がれたもろみが、岩手県の研究施設に保管されていたことが判明。培養し、「奇跡のもろみ」として待望の醤油造りが始まり、そこから再生への道がスタートします。著者初の著書でもありますが、4年半に及ぶ綿密な取材力から、商店の苦闘や葛藤が伝わり、感動が伝わるノンフィクションです。

【満足度】 ★★★★☆
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2017年06月10日

『カルト村で生まれました。』高田かや

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カルト村で生まれました。 [ 高田かや ]
価格:1080円(税込、送料無料) (2017/6/10時点)



 「所有のない社会」を目指すカルト村で生まれた著者が、両親と離され、労働、空腹、体罰が当たり前の暮らしを送っていた少女時代を描く、実録コミックエッセイ。ウェブ掲載を書籍化。

 本書は、朝は5時半起床で労働、食事は昼と夜のみ、すべてのものが共有で服もお下がり、男子は丸刈り・女子はショートカット、両親とも自由に会えず、体罰は当たり前で手紙も検閲、テレビは『日本昔ばなし』だけ……という、「カルト村」で生まれ育った著者が、当時の生活をありのままに描いたコミックエッセイ。タイトルを読んだ時は「カルト村って、どこのことなのだろうか?」と思いましたが、内容からはヤマギシ会での生活を描いたものだと思います。そのヤマギシ会でのヤマギシズムについては、詳しく知りたい方はネットで検索して調べれば、多くのことが分かるでしょうから、ここでは省略しますが、そのヤマギシ会については、昔ネットもなかった時代に色々と調べたことがあったこともあって、内容や生活については昔から知っていたこともあっただけに、衝撃やインパクトはそれほどありませんでしたが、知らない人にとっては衝撃的な内容かもしれません。

【満足度】 ★★★
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2017年06月09日

『神は背番号に宿る』佐々木健一

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神は背番号に宿る [ 佐々木 健一 ]
価格:1512円(税込、送料無料) (2017/6/9時点)



 背番号という数字にまつわる、選手たちの数奇な人生とは? プロ野球選手の生きざまを背番号から見つめ直す異色のドキュメント。NHK−BS「背番号クロニクル プロ野球80年秘話」の取材をもとに書籍化。

 背番号という数字にまつわる、プロ野球選手たちの数奇な人生とは? 「28」は愚直なまでに自分を貫き、マウンドを去った。「11」はジンクスに抗い、ボロボロになるまで投げた。「1」は一番になれないまま、自ら消えることを選んだ。「19」はこの数字に賭け、波乱の人生を駆けた……。球史に埋もれていた選手たちの物語が、今ここに甦る! NHKの番組ディレクターによる異色のドキュメント。

 本書は、プロ野球選手の背番号と、その数字に関わる数奇ともいえるエピソードと共に選手の人生を描いたノンフィクション。トリビア的な知られざる逸話も書かれていて、古くからの野球ファンには、取り上げられている往年の名選手達のエピソードは感動するはずです。

【満足度】 ★★★★
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2017年06月08日

『科学の今を読む 宇宙の謎からオートファジーまで』中村秀生/間宮利夫

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科学の今を読む 宇宙の謎からオートファジーまで [ 中村秀生 ]
価格:1620円(税込、送料無料) (2017/6/8時点)



 「オートファジー」のノーベル賞受賞、異常気象を予測する新たな挑戦、日本発・新元素の“発見”、地球の成り立ちに迫る宇宙探査…。近年の科学の話題を、1話完結型でわかりやすく紹介。『月刊学習』連載に加筆・修正。

 新元素「Nh(ニホニウム)」の“発見”、生命の設計図DNAのさらなる解明、人類が“人間”になった過程を探る調査、異常気象を予測する新たな挑戦、地球の成り立ちに迫る宇宙探査……。近年の科学・技術のめざましい発展を、科学ジャーナリストが一話完結型でわかりやすく解説。最新科学のキーワードをしっかり押さえます。

 本書は、近年の話題となった科学を分かりやすく紹介したもの。図や写真も多いため、とても読みやすかったですが、分かりやすさに特化していて、内容的には正直物足りなさは感じます。

【満足度】 ★★★
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2017年06月07日

『困った!どうする? 店長2万人のクレーム解決術』外食相談研究会



 スタッフ教育から悪質クレーマー対策までわかる! 外食チェーン大手28社の店長とお客様相談窓口担当者が実際に寄せられた事例を基に練り上げた、クレーム解決術を紹介する。『日経レストラン』連載コラムをもとに書籍化。

 「レジ担当者の態度が悪い!」「どれだけ待たせるんだ!」「注文したものと違う!」「うるさい客を注意しろ!」「食後、腹が痛くなった!」「料理に石が入っていた!」「料理で服が汚れた!」「誠意を見せろ!」……。飲食店では日々、和多くのクレームが発生するが、一つ対応を間違えると、大きなトラブルに発展しかねない。事を穏便に収め、クレーム客に納得してもらうには、スタッフはどう対応すればよいのか。外食チェーン大手28社の店長とお客様相談窓口担当者が実際に寄せられた豊富な実例を基に練り上げたクレーム解決術の最新版を一挙紹介!

 本書は、紹介文にもあるように、外食チェーン大手28社の店長とお客様相談窓口担当者が実際に寄せられた事例と共に、解決方法についてを紹介したもの。実に様々なクレームがあり、悪質クレーマーと思えるクレームもありますが、お客様への対応法は、マニュアルではなく様々な対処が書かれているだけに、外食産業だけでなく、サービス業をする人にも参考になる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2017年06月06日

『火災調査官』福田和代

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火災調査官 [ 福田和代 ]
価格:1944円(税込、送料無料) (2017/6/6時点)



 有能な火災調査官の東が向かった目黒区の放火の現場には、犯人の遺留物と思しき、ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」の模写があった。その事件を皮切りに、都内で放火事件が頻発し…。『ミステリーズ!』連載を加筆、修正。

 火災調査官とは、火災の原因を調べる消防職員のことである。東京消防庁予防部調査課に勤める火災調査官・東は、仕事熱心だが、同時に火に魅せられている変わり者。ある日彼は、目黒区柿の木坂の空き家で起きた放火の調査に乗り出す。消火活動にあたったのは、東の学生時代の先輩であり、現在は目黒消防署八雲出張所のポンプ車小隊長を勤める白木。そこで東は、彼から犯人の遺留物と思しき、ダ・ヴィンチ『岩窟の聖母』の一部を模写した絵を見せられる。そして、その事件をきっかけに、連続して都内で放火事件が発生。現場には必ず同じ絵が落ちていた……。圧倒的なリーダビリティで描く、新境地にして渾身の長編ミステリ。

 物語は、東京消防庁の火災調査官を主役としたミステリ。連続放火事件の謎を描いた作品でもありますが、登場人物が多すぎて、折角の登場人物の個性が活かされていないところもありましたし、過去の出来事と、現在の人々の繋がりが複雑で、推理や設定は面白かっただけに、この点が物語で活かされれば更に物語に厚みが出たように思います。

【満足度】 ★★★☆
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2017年06月05日

『がん消滅の罠 完全寛解の謎』岩木一麻

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がん消滅の罠 完全寛解の謎 [ 岩木一麻 ]
価格:1490円(税込、送料無料) (2017/6/5時点)



 余命半年の宣告を受けたがん患者が、生命保険の生前給付金を受け取ると、その直後、病巣がきれいに消え去ってしまう…。連続して起きるがん消失事件は奇跡か、陰謀か。医師・夏目とがん研究者・羽島が謎に挑む!

 日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、生命保険会社に勤務する森川から、不正受給の可能性があると指摘を受けた。夏目から余命半年の宣告を受けた肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金3千万円を受け取った後も生存しており、それどころか、その後に病巣が綺麗に消え去っているというのだ。同様の保険支払いが4例立て続けに起きている。不審を抱いた夏目は、変わり者の友人で、同じくがんセンター勤務の羽島とともに、調査を始める。一方、がんを患った有力者たちから支持を受けていたのは、夏目の恩師・西條が理事長を務める湾岸医療センター病院だった。その病院は、がんの早期発見・治療を得意とし、もし再発した場合もがんを完全寛解に導くという病院。がんが完全に消失完治するのか? いったい、がん治療の世界で何が起こっているのだろうか…。

 本書は、第15回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作。著者は、国立がん研究センターと放射線医学総合研究所で、計約6年間がんの研究に従事し、現在も医療系出版社で最新の医学情報に接していることもあり、科学的な知識に裏打ちされた医療トリックと、謎が明かされる過程は見事です。富裕層や官僚など社会的影響力の大きい人々に高度医療を提供する病院の存在や、障害のある子供を抱えた母子家庭の母親のガンなど、ガン治療の現場と患者らの状況も描かれ、様々な伏線が真相へ収束していく展開も良かったです。

【満足度】 ★★★★☆
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2017年06月03日

『珈琲焙煎の書』小野善造

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珈琲焙煎の書 [ 小野 善造 ]
価格:1944円(税込、送料無料) (2017/6/3時点)




 自家焙煎をはじめて40年の焙煎マイスターが、後進養成のために書き下ろした指南書。焙煎の本質や基本的な焙煎方法、究極の完全焙煎などについて解説する。自家焙煎店の開店準備から軌道に乗るまでのアドバイスも掲載。

 軽井沢とは言え、観光客に気付かれることのない、閑静で美しい信濃追分の森の中にたたずむお店。焙煎の理想環境を求め、この地に根を下ろし、地元のコーヒー通に支持される自家焙煎店カワンルマー。店主の小野善造が自家焙煎と関わって40年。コーヒーの焙煎手順、テクニック、豆の基礎知識、店舗運営、そして抽出法など、本来、ほとんど公開されないプロ焙煎人の奥義を後進養成のために余すことなく書き下ろした。全国50店舗の開業に立ち会い、海外での指導も手がける珈琲マイスターが焙煎を愛する人々に贈る指南の書。

 本書は、タイトルにもあるように珈琲焙煎について、焙煎マイスターの著者がまとめたもの。焙煎の奥深さが感じられる内容で、これから自家焙煎店を開業したい人は読んで損のない内容だと思います。

【満足度】 ★★★☆
posted by babiru_22 at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月02日

『幻影たちの哀哭』直原冬明

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幻影たちの哀哭 [ 直原冬明 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2017/6/2時点)




 昭和17年5月、横須賀海軍工廠への空襲による負傷から復帰した亀島伊介海軍一等兵曹は、軍令部特別班への転属命令を受ける。ディーゼル機関の整備の腕だけが自慢の彼を待っていたのは、畑違いの防諜活動だった…。

 昭和17年5月、横須賀海軍工廠への空襲による負傷、入院から復帰した亀島伊介海軍一等兵曹は、軍令部特別班への転属命令を受ける。ディーゼル機関の整備の腕だけが自慢の彼を待っていたのは、畑違いの防諜活動(スパイ・ハンティング)だった。その上、特別班は曲者揃い……軍の規律を無視する者、軍の規格に届かない者、常に不在の班長……。苦悩の中、亀島は裏切りと陰謀の世界にその身を懸けていく。そして、帝都に迫る巨大な危機とは一体? 今、男たちの壮絶な戦いの幕が切って落とされる。

 物語は、太平洋戦争期のスパイ小説で、読みやすい展開ではありますが、スパイ小説といえば『ジョーカー・ゲーム』を思い出しましたが、『ジョーカー・ゲーム』と比べると物足りなさを感じました。諜報戦の展開もご都合主義的で、もう一捻りしてほしかったです。

【満足度】 ★★★
posted by babiru_22 at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする