2020年09月10日

『教育現場は困ってる 薄っぺらな大人をつくる実学志向』榎本博明




 あらゆる学習において実用性を重視する実学志向が強まっている教育現場。社会に出てほんとうに役に立つ教育には何が大切なのか。教育界の現状や教育改革の矛盾を指摘し、学校教育のあり方に警鐘を鳴らす。

 いま、教育の現場では、英会話を小学校から始めるようになったり、2022年度から、高校の国語の授業で契約書の読み方を学ばせるなど、あらゆる学習において実用性を重視する実学志向が強まっている。だが、社会に出てほんとうに役に立つ教育には何が大切か、いま一度、立ち止まって考える必要があるのではないか。このままでは、変化の激しい時代に柔軟に生きるのは困難になるだろう。教育界の現状や教育改革の矛盾を指摘し、学校教育の在りかたに警鐘を鳴らす。

 本書は、今の教育の現場では、あらゆる学習において、社会に出てからの実用性を重視する実学志向が強まっていますが、基礎知識や教養、物事を深く考える習慣を身につけさせないのであれば、先の読めない変化の激しい時代を柔軟に生きることは困難だとして、学校教育のあり方について問題提起した一冊。実学志向が強くなった一方で、著者は読解力や教養を身に付けられていないと指摘していますが、教育については様々な見直しが必要とも思いますし、教育改革に対して一石を投じる一冊だと思います。

【満足度】 ★★★★
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2020年09月09日

『お酒の経済学 日本酒のグローバル化からサワーの躍進まで』都留 康




 国内消費が減少する日本の酒類。一方、高級日本酒やウイスキーが製品差別化により国内需要を回復させており、海外からも高く評価され輸出も急増している。その課題と可能性を、経済学と経営学の最新の研究成果から解き明かす。

 日本のお酒をめぐる環境が激変している。日本酒からビール、焼酎と主役が入れ替わりつつ一貫して消費が伸びてきたが、1990年代半ばをピークに減少に転じた。その後はデフレ下で新ジャンルやサワーが躍進する一方、クラフトビールや純米大吟醸なども人気を集める。また、日本酒やウイスキーは海外から高く評価され、輸出が急増している。日本の酒類が抱える課題とは、可能性とは。経済学と経営学の最新の研究成果を踏まえて読み解く。

 本書は、日本の酒類の生産から消費までを、経済学と経営学の視点から平易に解説したもの。「日本のお酒の現在」「日本酒」「ビール」「ウイスキー」「焼酎」「グローバル化」「日本のお酒はこれからどうなるか」が各章で書かれており、出荷量のグラフや、ビールとウイスキーではベンチャー企業が参入していることなど、読み応えのある内容でした。

【満足度】 ★★★★
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2020年09月08日

『いまこそ「小松左京」を読み直す』宮崎哲弥




 大規模自然災害、ウイルス・パンデミック、科学技術の進歩と限界…。驚くべき精度で「現在」を予見したSF作家・小松左京。「日本沈没」をはじめとする代表作を読み解きながら、戦後最大の知識人の洞察の淵源を探る。

 戦後日本を代表するSF作家として知られる小松左京。その作品は、大規模自然災害、ウイルス・パンデミック、科学技術の進歩と限界等、現在の私たちが直面し、未だ解決できない問題を先取りするかのようなリアリティを持っていることから、いまふたたび注目を集めている。彼は危機の予言者なのか? それとも……。作家としての出発点『地には平和を』、日本SFのオールタイムベスト『果しなき流れの果に』、460万部超の大ベストセラー『日本沈没』、カルト的な人気を誇る『ゴルディアスの結び目』、未完の遺作『虚無回廊』等、小松の仕事を画期する代表作群を読み解き、時代を超える洞察の淵源をさぐる。小松左京を「SF作家」にとどまらない、戦後最大の知識人として捉えなおす試み!

 本書は、評論家でもある著者が『地には平和を』『果しなき流れの果に』『日本沈没』『ゴルディアスの結び目』『虚無回廊』等の小松左京の代表作を読み解き、戦後最大の知識人でもある小松左京の思索に迫った一冊。中学・高校時には小松左京の作品を好んでよく読みましたが、改めて小松左京作品を考えると奥深さがより一層感じます。

【満足度】 ★★★★
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2020年09月07日

『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』庭田杏珠/渡邉英徳




 戦前・戦後の貴重な白黒写真355枚を、最新のAI技術と当事者への取材や資料をもとに人の手で彩色。カラー化した写真から、当時の暮らしを紹介する。

 本書は、AI技術でモノクロ写真を自動カラー化したのち、戦争体験者との直接の対話などから、当時の資料などをもとに手作業で色彩を補正して、戦前の広島・沖縄・国内のようす、開戦から太平洋戦線、沖縄戦・空襲・原爆投下、そして戦後の復興。個人提供による貴重な写真、朝日新聞社・共同通信社提供の写真、アメリカ軍が撮影した戦場写真など約350枚をカラー化し、収録したもの。収録されているカラー化写真とモノクロ写真の比較をするだけでも感じ方が全く違いますし、プロジェクトによって、カラー化させたことによって、当時の暮らしぶりがより鮮明に表現されています。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年09月05日

『ウイルスVS人類』瀬名秀明ほか

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 未知のウイルスにいかに立ち向かうか。顕わになった現代文明の脆弱性を克服する道はあるのか。第一線の専門家同士が徹底討論。NHKBS1スペシャルの同タイトルの放送内容を書籍化。

 第一線の専門家同士が、未曽有の脅威のさなかにおこなった徹底討論。未知のウイルスにいかに立ち向かうか、顕わになった現代社会の脆弱性、その克服への道までを語り尽くす。分野や専門をまたぐ英知の結集が、解決の鍵を握る。

 本書は、新型コロナウィルスのパンデミック感染について、NHKBS1スペシャルとして放送された同タイトルの番組内容を書籍化したもの。新型コロナウイルスの特徴や、対策の困難さについても討論内容がまとめられており、放送後の新型コロナの状況も書き加えられています。

【満足度】 ★★★★
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2020年09月04日

『あぶない法哲学 常識に盾突く思考のレッスン』住吉雅美




 クローン人間の作製はNG? 私には「誰かに食べられる自由」がある? 社会に飼い慣らされないための「悪魔の法哲学」教室。哲学的な視点で法律や常識を批判的に再検討する。青山学院大学法学部での講義をベースに新書化。

 常識を揺さぶる「究極の問い」にあなたは何と答えますか? 社会に飼い慣らされないための“悪魔の法哲学”。「正義」「権利と義務」「自由」「平等」「功利主義」「アナーキズム」考えることの楽しさがわかる、青山学院大学で大人気の授業!!

 本書は、法と道徳、功利主義、人権、国家、自由、平等……など、私たちが生きていくうえで目をそらさずに考えたい「法哲学の問い」を、たくさんの具体例を紹介しながらわかりやすく解説したもの。哲学という程堅苦しい内容ではなく、身近な議論を更に展開させて、法律や常識についてを再検討しているもので、様々な考えが出ていて中々興味深い内容でした。

【満足度】 ★★★★
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2020年09月03日

『命を守る、救える! 応急手当』横田裕行・監修




 日常生活で起こりやすいケガや病気を取り上げ、応急手当のしかたをイラストでわかりやすく紹介。熱中症や冬場の入浴事故などへの応急手当も解説する。NHK−Eテレ「きょうの健康」の番組内容をもとに書籍化。

 本書は、基本の応急手当方法をイラスト付で解りやすく解説している応急手当事典。応急手当は勿論のこと、台風や地震などの災害対策も網羅しており、災害グッズ一覧も紹介されていて応急時の参考になる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年09月02日

『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』石井光太

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 産婦人科医・菊田昇は、望まぬ妊娠をした女性と子どもを望む夫婦の橋渡しを始める。それは法を犯すことでもあった…。国を相手に闘い「特別養子縁組制度」成立に人生をかけた男の物語。『きらら』連載を改題、加筆改稿。

 1926年石巻で生まれた菊田昇は、母が経営する遊郭で幼少期を送り、遊女の悲哀を目の当たりにする。その後、東北大学医学部に進学。卒業後は、産婦人科医となり、望まぬ妊娠をした女性が子供を堕ろすことなく、子供を欲する夫婦の実子となるよう非合法な縁組みを始める。法を犯してでも小さな命を守ることを優先、多くの赤ちゃんの命を救うこととなる。ところが、その事実が新聞にスクープされ、世間を揺るがす事件に発展。日本医師会からの処分、国会招致、家宅捜索など、幾多の試練にさらされ、それでも命を守るという信念を曲げることなく、国を相手に闘い続けた昇は、悲願の「特別養子縁組」制度を勝ち取った。ノンフィクションの旗手・石井光太氏が取材を重ね、「赤ちゃんあっせん事件」の裏にある真実を描いた小説。

 本書は、1970年代、違法の斡旋を行い「特別養子縁組制度」の実現にこぎつけた宮城県石巻市の医師・菊田昇の生涯を追った事実に基づいた小説。「特別養子縁組制度」成立に尽力し、医師会から処分され、刑事罰を受けても尚、信念を貫く姿勢は感動を覚えます。小さな命を救う「特別養子縁組制度」成立の背景には、色々と考えさせられるところも多く、一人の医師が法律を変えた信念には胸が熱くなります。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年09月01日

『ワン・モア・ヌーク』藤井太洋

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 原爆テロを予告する一本の動画。3月11日、爆心地は新国立競技場。科学者と刑事の執念は、互いを欺きながら“正義の瞬間”に向けて疾走するテロリスト2人の歪んだ理想を捉えていた…。『yomyom』連載を文庫化。

 「核の穴は、あなた方をもう一度、特別な存在にしてくれる」。原爆テロを予告する一本の動画が日本を大混乱に陥れた。爆発は3月11日午前零時。福島第一原発事故への繋がりを示唆するメッセージの、その真意を政府は見抜けない。だが科学者と刑事の執念は、互いを欺きながら“正義の瞬間”に向けて疾走するテロリスト2人の歪んだ理想を捉えていた…。戒厳令の東京、110時間のサスペンス。

 本書は、オリンピックを控えた東京を舞台に、核テロリストと攻防を描いたサスペンス。東京で原爆テロを起こそうとするテロリストと、それを阻止しようとする刑事や技術者たちの5日間の攻防が描かれる作品ですが、テンポが良く、展開自体も非常に良かったです。緊急事態への政府の対応や、同盟国とのやりとりなども緊迫感があり、原発事故だけでなく、コロナ騒動にも通じる「正しく恐れる」事の難しさについてなど、冒頭から結末まで緊迫感が全編に漂い、エンタメとしてもとても面白かったです。願わくば映像化としても見てみたいものです。

【満足度】 ★★★★
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2020年08月31日

『ルポ技能実習生』澤田晃宏




 技能実習生の最大の供給国となったベトナム。政府の後押しもあり、日本を目指す農村部の若者たち。彼らの夢は「300万貯金する」こと。日越の関係機関、実習生、支援団体を取材。国際的な労働力移動の舞台裏を全部書く。

 中国にかわり技能実習生の最大の供給国となったベトナム。「労働力輸出」を掲げる政府の後押しもあり、日本を目指す農村部の若者たち。多額の借金を背負ってまで来日した彼らの夢は「300万円貯金する」こと。故郷に錦を飾る者もいれば、悪徳ブローカーの餌食となる者もいる。劣悪な企業から逃げ出す失踪者は後を絶たない。日越の関係機関、実習生、支援団体を取材し、単純労働者の受け入れ先進国・韓国にも飛んだ。国際的な労働力移動の舞台裏を全部書く。

 本書は、技能実習生の現実に迫ったルポルタージュ。技能実習生と特定技能外国人、特にベトナム人に絞って、現地での送り出し企業、監理団体、受け入れ企業、失踪者、実習生の家族など様々な人へのインタビューから、その実態と舞台裏が書かれています。貨幣価値のギャップと、そこに付け込むブローカー。安い労働力として扱われる現実や、追い込まれたうえの失踪についての他にも制度上の問題点についても、制度に関わる様々な立場の人達の声を集めており、日本の制度の脆さにも触れています。

【満足度】 ★★★★
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2020年08月29日

『ルポ 老人受刑者』斎藤充功

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 増加する高齢の受刑者たち、福祉施設化する刑務所。彼らは刑務所を安住の地としなければならないのか。受刑者・出所者の生の声、刑務所・更生保護施設への現場取材を通して、漂流する老人たちの現実をさぐったルポルタージュ。

 著者はこれまで300人を超える元受刑者を取材してきた。そのなかで、近年顕著になってきたのは、高齢の受刑者たちである。塀の外の孤独で不安定な生活より、安全な刑務所を志願する老人たちが増加しているという。受刑者に占める65歳以上の割合は18.1%、数にして20年前の10倍となった。これは、刑務所の老人ホーム化なのか。再犯者率の増加、社会復帰・更正への対策は、ようやく進められているところだが、それだけでは解決できない、高齢化社会ならではの問題と言える。人生100年時代と呼ばれ、後半戦を健康で豊かに過ごそうという多くの高齢者がいる反面、社会から見捨てられ、置き去りにされる老人受刑者たち。刑務所、更生保護施設、支援組織を取材、高齢受刑者本人へのインタビューを行い、漂流する老人たちの現実に迫ったルポルタージュ。

 本書は、増え続ける高齢の受刑者、福祉施設化する刑務所…受刑者・出所者の生の声、刑務所・更生保護施設への現場取材を通し、塀の内と外のリアルに迫るルポルタージュで、高齢受刑者の抱える諸問題を紹介しています。貧困に陥った一部の高齢者にとって、「衣食住」を保証してくれる「刑務所」が唯一の「安全圏」となっている現実がありますが、刑の執行が刑務所の役割であるということをもっと強く訴えてほしいとも思います。

【満足度】 ★★★★
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2020年08月28日

『よその島』井上荒野

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 妻が〈殺人者〉と知ったとき、穏やかな日常がサスペンスに変わる。東京での暮らしをたたみ、「島」に移住した70代の夫婦と、友人の小説家、それぞれの秘密、それぞれの疑惑があやしく溶け合うなかで〈真実〉が徐々に姿を見せていく。

 離島へ移住を決めた芳朗と蕗子、そして夫妻の友人・野呂。人生の終盤で実現した共同生活の滑り出しは順調に見えるが、三人はそれぞれ不穏な秘密を抱えており…。おいそれとは帰れないこの場所で、彼らは何を目にし、何を知るのか…。

 物語は、元骨董品屋の碇谷夫妻と元小説家の野呂、住み込みのお手伝い・みゆかとその息子も加わり、島での奇妙な共同生活から始まりますが、不穏な生活となる心理サスペンスとして描かれます。それぞれに秘密を抱えながら平然を装い、妄想と真実が交錯する作品でしたが、老後生活について考えさせられる物語ではあったものの、著者の作品としては異質な作品で、やや違和感を感じる作品でした。

【満足度】 ★★★
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2020年08月27日

『ヤバい選挙』宮澤 暁

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ヤバい選挙 (新潮新書) [ 宮澤 暁 ]
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 「放送禁止用語」連呼の政見放送、「死んだ男」が立候補した都知事選、村民200人以上が一斉出馬した村長選…。その狙いは? 有権者の判断は? 屈指の選挙マニアが、半世紀分の資料から発掘した衝撃のエピソードを明かす。

 政見放送で「放送禁止用語」を連呼する候補者がいた。村民2百人以上が一斉出馬した村長選があった。「死んだ男」が立候補した都知事選があった。「問題候補者」の真の狙いは何だったのか。そして有権者はどんな判断を下したか。屈指の選挙マニアが、半世紀分の資料から発掘した衝撃のエピソードを明かす。国政選挙、地方選挙から「選挙権が剥奪されていた島」の初投票まで網羅した、「我らが民主主義制度」のヤバい事件簿。

 本書は、選挙に関する珍事件・怪事件の数々をまとめた事件簿。立候補者が死亡していた『幽霊候補事件』『200人以上も立候補者が出た村長選』『選挙権が剥奪されていた島』など、個性的な候補者や珍事件などが満載で、選挙マニアでもある著者が、半世紀分の資料から発掘した衝撃のエピソードを明かしていますが、選挙をめぐるヤバいエピソードが満載で面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2020年08月26日

『身近に潜む食卓の危険物』齋藤勝裕

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SUPERサイエンス 身近に潜む食卓の危険物 [ 齋藤勝裕 ]
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 私たちの身近な食卓には、さまざまな危険物が潜んでいます。山菜やキノコ、フグなど毒をもつ動植物や細菌性・ウイルス性の食中毒から、食品添加物、農薬、遺伝子組み換え作物など、食べ物に関連した危険物を幅広く解説する。

 本書は、大きく9章に分けられ、「危険物とは」「危険な植物」「危険なキノコ」「危険な魚介類」「危険な病原菌」「危険な食品添加物」「危険な農薬・公害物質」「危険な食器・調理器具」「危険な現代科学操作」…と、食卓に並ぶ食べ物に関連した危険物についてを解説したもの。食の安全が求められる現代ですが、参考になる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年08月25日

『漂流郵便局−お母さんへ− 届け先のわからない手紙、預かります』久保田沙耶




 瀬戸内の粟島にある古い郵便局舎を蘇らせたアートプロジェクト、漂流郵便局。「届け先のわからない手紙を受け付ける郵便局」として預かった4万通の手紙から、お母さんあて、お母さんからの手紙を収録。オリジナルはがき付き。

 返事はないとわかっていても、想いを伝えたい人…あなたにもいませんか? 心をゆさぶる69通の手紙。瀬戸内の小さな島にある不思議な郵便局の物語。

 本書で書かれる「漂流郵便局」は、もともと2013年の瀬戸内国際芸術祭の出展作品として、瀬戸内の粟島にある古い郵便局舎を蘇らせたアートプロジェクトで、「こちらは、届け先のわからない手紙を受け付ける郵便局です。いつか所在不明の存在に届くまで、手紙を漂わせてお預かりします。」というコンセプトが話題を呼んで、開局7年目の今、預かる手紙は4万通を超えましたが、本書は開局以来続々と届くお母さんあて、お母さんからの手紙を収録したもの。色々な人の想いが届く漂流郵便局の取り組みについても非常に興味を持ちました。

【満足度】 ★★★★
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『話すチカラ』齋藤孝/安住紳一郎

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話すチカラ [ 齋藤 孝 ]
価格:1540円(税込、送料無料) (2020/8/24時点)




 明治大学時代の先生と教え子という師弟関係のふたりが、雑談からプレゼン、交渉、会話まで、すべてが上達する「話すチカラ」について縦横無尽に語りつくす。安住アナが現役の明治大学生たちを前に白熱講義した内容も紹介する。

 齋藤孝先生と安住紳一郎TBSアナウンサーは、明治大学時代の先生と教え子という師弟関係。いまや日本屈指の話し手となったふたりが、「話すチカラ」について縦横無尽に語り尽くす。安住アナが後輩の現役明大生たちを前に白熱講義した内容も紹介!

 本書は、人と話す時に意識すべきこと、相手に伝わる話し方のコツなど、安住アナと齊藤教授が明大生に話すチカラをテーマに講義した内容をまとめたもの。本書の中での「他人の3倍のインプットを心がける。あくまで、インプットはアウトプットの手段」というのがとても印象的で、話をする事だけでなく、日本語そのものについても深く掘り下げていて、改めて話をする奥深さも感じました。構成的にも非常に読みやすく、自分自身にも物凄く参考になる内容でもありました。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年08月22日

『パルプ・ノンフィクション 出版社つぶれるかもしれない日記』三島邦弘




 やれるだけやっても、売れない。好きだけじゃ、仕事にならない…。原点回帰を標榜する野生派出版社・ミシマ社に押し寄せる荒波に追い詰められた男は、それでもこれからの面白い働き方を信じて奔走する! 崖っぷち出版奮闘記。

 本の世界に、希望はあるのか? 可能性を求めて挑戦を繰り返す著者の、崖っぷち出版奮闘記! すべてのはたらく人に捧げる、ほがらかでクレイジーな、最前線からの「働き方」レポート。

 本書は、小さな総合出版社・ミシマ社の三島社長のエッセイ本。ミシマ社ではなく河出書房出版から出版されているというのが何とも面白いですが、何か変えないといけないと言う危機感を強く感じたエッセイで、出版業界の内側についても興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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2020年08月21日

『南極に立った樺太アイヌ 白瀬南極探検隊秘話』佐藤忠悦




 白瀬矗の南極探検隊には、山辺安之助、花守信吉という2人の樺太アイヌ隊員が犬ぞり係として同行していた。有能なだけでなくひそかに隊長の命をも救っていた2人を含めた、白瀬南極探検隊の秘話を綴る。

 本書は、樺太アイヌを題材とした第162回直木賞受賞作『熱源』の参考資料としても注目されている名著の増補新版。世界初の南極点到達を目指し、白瀬中尉の率いた探検隊については有名ですが、その白瀬南極探検隊に樺太アイヌ隊員2名とアイヌ犬60頭近くが参加していたのはあまり知られていませんが、その足跡を丹念に辿っています。日本とロシアという大国の間に挟まれて翻弄された樺太アイヌの忘れられた歴史についてもしっかりと掘り起こした良書です。

【満足度】 ★★★★
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2020年08月20日

『地方議員は必要か 3万2千人の大アンケート』NHKスペシャル取材班




 「やりがいは?」「選挙にはお金がかかる?」「生まれ変わっても議員になりたい?」 全国1788議会のすべての議員にアンケートした結果と追加取材をまとめる。NHKスペシャル「崖っぷち!?わが町の議会」を書籍化。

 「あなたのやりがいは?」「選挙にはお金がかかる?」「生まれ変わっても議員になりたい?」。全国1788議会のすべての議員を対象にした前代未聞の企画。その結果と追加取材をまとめた議員のホンネがわかる一冊。

 本書は、昨年の統一地方選にあわせて地方議員に対する大規模、かつ本音に迫る詳細なアンケート調査を実施し、その調査結果をもとにNHKスペシャル「崖っぷち!? わが町の議会」が放送されましたが、その放送した大規模アンケートの結果を全面的に精査しなおし、放送後に寄せられた意見および追加取材で得られた内容などをまとめて書籍化したもの。議員としての生き方や本音にも踏み込んだアンケート内容も興味深かったですが、地方議会の制度的な役割、地方議会が抱える問題、行政・首長との議会のなれ合い、問題議員や政治とカネの問題、地方議会における女性議員の苦労と壁、町や村の議会で顕著な議員への「なり手不足」…など、幾つもの課題に地方議会としてどのように向き合っていくのかもぜひ取り上げてほしいです。

【満足度】 ★★★★
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2020年08月19日

『トラックドライバーにも言わせて』橋本愛喜




 幅寄せ、路駐…。公道上でとかく悪者にされるトラック。そのドライバーも「態度が悪い」と批判される。元トラックドライバーの著者が自身の体験と現役ドライバーの声をもとに、これまで語られてこなかった事情を解説する。

 強引な幅寄せ、ノロノロ運転と急ブレーキ、堂々と路駐…公道上でとかく悪者にされるトラック。そのドライバーも「態度が悪い」と批判されがちだが、内情を知れば、複雑な事情が見えてくる。「彼らは底辺職なのか」「休憩中エンジンを切らない理由」「プロの眠気対策」等々、これまで語られてこなかった本音を元トラックドライバーの女性ライターが徹底解説。読後、街中でトラックを見る目が一変すること必至!

 本書は、これまで語られてこなかったトラックドライバーたちの「本音」と、物流業界が抱える諸問題の本質を、元トラックドライバーで女性ライターでもある著者が徹底解説した一冊。トラックドライバーの実情と過酷な労働環境、物流業界の問題点が非常に分かりやすく書かれており、問題点の指摘だけでなく、ドライバーや業界への提言もあり、とてもバランスの取れた内容となっています。我々の生活も物流があって成り立っているところも多いだけに、構造的な様々な問題点が少しでも解決されることを望みます。

【満足度】 ★★★★☆
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