2020年12月24日

『絶対猫から動かない』新井素子

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絶対猫から動かない [ 新井 素子 ]
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 介護離職して老後が絶賛不安なあたしは、地下鉄の中で人類を捕食する未知のいきものと遭遇し…。大人の冒険ファンタジー。『文芸カドカワ』『カドブンノベル』連載を加筆し単行本化。

 「うぃやっ……地震?」56歳の大原夢路は将来が絶賛不安な元校正者、現在無職。両親の介護のために仕事をやめ、さらには認知症になった義父母の存在もがっしりとのしかかっている。そこそこに仲良しの旦那はいるけれど、そりゃもうストレスは満載。おかげで最近妙な夢を見る。地震で止まった地下鉄の中に閉じ込められ続けるのだ。親友の冬美と、袖すりあった見知らぬひとたちと、そしてもうひとり、人間の生気を喰らういきもの「三春ちゃん」と!!それぞれに問題を抱えたいい年の大人たちが、自分たちの生存と、たまたま居合わせてしまった子供たちの未来を守るために戦いを始める。初めはおずおずとコミュニケーションをとり、やがて奇妙な共闘態勢が。憧れるのは猫のごとき平和な日常、いつか手にしたら、絶対そこから動いてなんかやるものか。でも、それまでは−−日本SFのレジェンドがおくる、最高の「ふつうの大人」の冒険小説!!

 物語は、人の生気を吸う妖怪のようなモノと、夢の中の地下鉄に閉じ込められた人々の話が描かれる妖怪ファンタジー。SFを期待して読み始めましたが、SFではあるものの、妖怪色が強くて、読み始める前の予想とはやや違いましたが、著者らしい展開ではあったものの、展開の幅が広がりすぎて、今一つの印象でした。

【満足度】 ★★★
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2020年12月23日

『死神の棋譜』奥泉 光




 名人戦の夜、不詰めの図式を拾った男が姿を消した。北海道の廃坑から地下神殿の対局室まで、消えた棋士の行方と魔の図式の謎を追う旅が始まる…。前代未聞の将棋ミステリ。『小説新潮』連載を単行本化。

 死神の刃の下で駒を凝視する男の行方は……。圧倒的引力で読ませる将棋ミステリ。……負けました。これをいうのは人生で何度目だろう。将棋に魅入られ、頂点を目指し、深みへ潜った男は鳩森神社で不詰めの図式を拾って姿を消した。彼の行方を追う旅が始まったが……。北海道の廃坑、幻の「棋道会」、美しい女流二段、地下神殿の対局、盤上の磐、そして将棋指しの呪い。前代未聞の将棋エンタテインメント。

 本書は、棋士の極限の心理と、奇妙な詰め将棋の図式を核に、謎がまた謎を呼んでいくスリルを描いた将棋ミステリ。将棋棋士になれなかった奨励会員たちが、すでに存在を消した棋道会という将棋の地下組織と絡んで失踪し、その謎を追っていくストーリーですが、現役の棋士が実名で登場し、実際のタイトル戦も登場するので展開にも引き込まれ、それに「死神の棋譜」というフィクションを絡めた奥の深いミステリでもありました。

【満足度】 ★★★★
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2020年12月22日

『検証ブラックアウト 北海道胆振東部地震』北海道新聞社編




 2018年9月6日未明、北海道を襲った震度7の「激震」。地震による全域停電=ブラックアウトはなぜ発生し、人々はどう動き、企業や行政はどう対応したか、その経験を語り継ぐ。『北海道新聞』連載を再編集して単行本化。

 2018年9月6日午前3時7分、道民はかつて経験したことのなかった「激震」に見舞われた。地震による全域停電=ブラックアウトはなぜ発生し、人々はどう動き、企業や行政はどう対応したか。発生から3日間、被災者が遭遇した出来事を時系列でつづったドキュメントなど、その経験を語り継ぐとともに北海道電力の電源政策をひもとき、未曽有の事態を引き起こした背景を検証。同時に、想定を超えた災害に向き合い、それを乗り越えようと生きる道民の息遣いを克明に伝える。

 本書は、北海道新聞での連載企画「激震 暗闇の大地(ブラックアウト)」をまとめたもので、胆振東部地震や、それに伴うブラックアウト発生直後の道内各地の状況、地震からの復興を目指す道民の取り組みなどを紹介しています。新聞の連載記事としても読んでいましたが、地震直後の電気のない生活を強いられた人々の証言を丹念に集めて当時の状況を再現する一方、脆弱な電力供給態勢と「電力の安定供給とは何か」を多角的に考えさせる貴重な記録となっています。

【満足度】 ★★★★
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2020年12月21日

『コロナ黙示録』海堂 尊

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コロナ黙示録 [ 海堂 尊 ]
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 桜宮市に新型コロナウイルスが襲来。その時、田口医師は、厚労省技官・白鳥は……そして“北の将軍”が帰ってくる! ダイヤモンド・ダスト号で起きたパンデミックと忖度政治。今、病院で起きていること。これは虚構か真実か。作家・医学博士の海堂尊が描き出す、現代ニッポンの“今”

 2020年、東京オリンピックを前にした世界に、新型コロナウイルスが襲来した。豪華クルーズ船ダイヤモンド・ダスト号で感染者が発生、この対応で厚労省を始めとする安保政府は後手に回る。一方、北海道の雪見市救命救急センターでもクラスターが発生。速水晃一センター長を始め、対応に追われる。クルーズ船感染者を、東城大学医学部付属病院ホスピス病棟、黎明棟で引き受けることになり新型コロナウイルス対策本部に任命された田口公平がその任にあたる。一方、東京ではかつて「日本三分の計」を打ち出し、挫折した元浪速府知事・村雨を筆頭に政策集団・梁山泊が安保内閣の打倒をめざしていた……。

 本書は、「新型コロナ」をテーマに、田口公平、白鳥圭輔ら「チーム・バチスタ」の面々が集結し、架空の都市である「桜宮市」などを舞台に、新型コロナに立ち向かう物語。その物語では、医学に基づかない政策決定をする首相官邸、柔軟な対応ができない厚生労働省の官僚、そして、メディアの体たらく…とコロナがあぶり出した日本の病巣についても描いていますが、前政権への批判が強すぎて、エンタメとはいえ少々やりすぎ感が強く、辟易したところが多く、この表現が正直残念でもありました。

【満足度】 ★★★☆
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2020年12月19日

『アフターバブル 近代資本主義は延命できるか』小幡 績




 巨大バブルの崩壊が始まった。経済、金融、マーケット、企業経営はどうなるのか? 「ゼロリスク志向が財政危機を加速させる」「不要不急の消費による「成長モデル」の終焉」…。異能の経済学者による衝撃の未来予測。

 本書は、アフターバブルの経済について書かれたもの。『バブルがつくった経済成長、壊した経済成長』というプロローグから始まり、『バブル・アフターバブルの30年』『コロナショックは史上最大級の危機か』『全ての価格はバブルである』『日銀が行うべきは「新次元の金融政策」』『「安心」神話が財政を破綻させる』『「アフターコロナ」の資本主義』…と6章に分けて書かれており、近代資本主義について改めて考えさせられる良書です。最後の章では「健康であり、それに少しの楽しみがある、ささやかな幸せこそが、素晴らしい人生と社会ではないのだろうか。それが実現できない高度な経済社会とは何の意味があるだろうか。」…と書かれていましたが、経済は勿論のこと社会生活の見直しも含めて、考えさせられた一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2020年12月18日

『オンライン・セミナーのうまいやりかた』高橋龍征

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オンライン・セミナーのうまいやりかた [ 高橋龍征 ]
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 どんなテーマがウケる? 集客や収益化はどうする? 1年間で200件に及ぶセミナーを企画・実施してきた著者が、その方法論をベースに、オンライン・セミナーを成功に導く基本的な考え方とノウハウを詳しく伝える。

 本章は、実際にオンラインセミナーを主催していくにつれて、集客についての基本となる考え方を中心にまとめたもの。「なぜ今このタイミングでオンラインセミナーが必要になっているのか」から始まり、「オンラインセミナーを成功するのに必要なポイント」「企画の立て方」「集客部分」……について言及されており、オンラインセミナーという新たなノウハウについて、分かりやすくまとめられています。

【満足度】 ★★★★
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2020年12月17日

『アニメ大国建国紀 1963-1973 テレビアニメを築いた先駆者たち』中川右介




 宮崎駿・高畑勲らが台頭した東映動画の躍進から、手塚治虫による虫プロの倒産まで。過酷な制作環境の中で、「動くマンガ」に執念を燃やし、テレビアニメ産業を創出した情熱家たちと、アニメの黎明史を描く。

 宮崎駿、高畑勲らが台頭した東映動画の躍進。エイケン、東京ムービー、タツノコプロ、ピープロ、スタジオ・ゼロなどの誕生。手塚治虫による虫プロ設立から倒産まで。…その黎明史を描く。過酷な制作環境の中で、「動くマンガ」に執念を燃やし、テレビアニメ産業を創出した情熱家たちの物語。

 本書は、数多くの資料から、日本のアニメーションがどのような経緯で発展していったかを、手塚治虫を軸に綴った、日本のテレビアニメの黎明史を書いた一冊。アニメ史に興味のある方にはオススメの内容です。

【満足度】 ★★★★
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2020年12月16日

『わさびの日本史 鮨・蕎麦・刺身…和食との出会いを探る』山根京子

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 日本固有の野生植物「ワサビ」は、いつ、どこで、どのようにして栽培植物になったのか。DNA解析でワサビが固有種であることを明らかにした著者が、古典籍と絵画を渉猟してその謎に挑む。わさび歴史年表付き。

 和食で使われる野菜といっても、日本発祥の植物はごくわずか。日本の野生植物からうまれた数少ない食材の一つが、ワサビです。DNA解析を駆使する理系女子が『群書類従』など歴史資料に手を伸ばし、栽培ワサビの起源に迫ります。

 本書は、ワサビの謎を植物起源学から解き明かす内容。野生植物の自然史と人の歴史の関係をたどり、栽培起源地の謎に挑む内容は、中々興味深く、雑学的で面白かったです。

【満足度】 ★★★★
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2020年12月15日

『幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた〈サピエンス納豆〉』高野秀行




 世界の食は納豆に通じていた。イスラム過激派出没地域から南北軍事境界線まで、著者は幻の納豆を求めて彷徨い歩く。そして取材の末に辿り着いた、人類の食文化を揺るがす新説「サピエンス納豆」とは…。高野ワークスの集大成。

 究極の納豆は、アフリカの辺境に存在した……。知と食欲を刺激する前人未踏のミステリー冒険譚! アジア辺境の納豆の存在を突き止めた著者が、今度は、IS出没地域から南北軍事境界線まで、幻の納豆を追い求める。隠れキリシタン納豆とは。ハイビスカスやバオバブからも納豆がつくられていた!? そして、人類の食文化を揺るがす新説「サピエンス納豆」とは一体。執念と狂気の取材が結実した、これぞ、高野ワークスの集大成。

 本書は、前作『謎のアジア納豆そして帰ってきた<日本納豆>』で、納豆は日本人だけの食べ物ではないと証明した著者が、今回は、アジアだけでなくアフリカにも納豆のようなうま味調味料があると聞き及び、調査に赴き、その秘密に迫ったノンフィクション。納豆を追いかけて、ナイジェリア、セネガル、韓国、そしてブルキナファソへと納豆を追い求める姿は、とにかく面白く、探求の旅の様子に思わず引き込まれました。

【満足度】 ★★★★☆
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2020年12月14日

『身近にあふれる「化学」が3時間でわかる本』齋藤勝裕




 漂白剤が布地を白くするのはなぜ? 添加物や人工甘味料って何? 二酸化炭素にも毒性があるって本当? 僕たちの生活は全部化学でできている! 身の回りにある物質とその変化を楽しく、わかりやすく解説します。

 私たちの身のまわりには「化学」があふれています。たとえば、汚れを落とす洗剤、お菓子などに含まれる甘味料、お酒や漬物、抗生物質や覚醒剤、遺伝子組換えやゲノム編集、CO2排出問題から放射能汚染問題まで……。挙げていけばきりがないほど、私たちは化学の恩恵を受けた生活を送っているのです。そんな化学の不思議や仕組みを、前知識のない方でも読めるやさしい解説でひもときます。

 本書は、化学について雑学的要素として様々な身近な「化学」についてを解説したもの。日常生活で触れる物を中心に、素朴な疑問の仕組みを解説していますが、改めて普段の日常生活で「化学」が多いことを感じました。

【満足度】 ★★★★
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