2021年03月16日

『盆踊りの戦後史 「ふるさと」の喪失と創造』大石 始




 人が集まり、音頭にあわせて踊る「盆踊り」は、楽しいだけでなく人や地域にとって大切な役割を持ち、その役割も時とともに変化してきた。盆踊りを通して日本の地域コミュニティの変遷を見つめ、その未来を考える。

 盆踊りは、戦後大きく形を変えてきた。敗戦、高度経済成長、ニュータウンの造成、バブル、東日本大震災、地域の高齢化・過疎化、そしてコロナ禍…。人が集まり、音頭にあわせて踊ることは、楽しいだけでなく、人や地域にとって大切な役割を持っている。そして、その役割も時とともに変化してきた。盆踊りを通して、日本の地域コミュニティの変遷を見つめ、その未来を考える。 本書は、戦災・震災後の鎮魂の盆踊り、団地の盆踊り、野外フェスのような盆踊り、コロナ禍の盆踊り…など、盆踊りを通して戦後日本の変遷を見、その未来も考える一冊。戦後日本社会やコミュニティの変遷も見える内容で、伝統行事であると同時に、地域のコミュニティー活動でもある盆踊りが古くから担ってきたものについて、改めて考えさせられます。

【満足度】 ★★★★
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2021年03月15日

『避難所に行かない防災の教科書』西野弘章

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避難所に行かない防災の教科書 [ 西野弘章 ]
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 強烈な台風や大地震などでも「逃げなくていい家」をテーマに、家族を守る家をDIYで実現する方法、停電や断水等とうまくつきあいながらストレスなく避難生活を送るためのノウハウを、写真やイラストを豊富に使って紹介する。

 著者は、2019年の台風15号と19号で、自宅の千葉県・富津市で、2週間にわたるライフラインの断絶を経験。電気などのライフラインを自給し、自身が被災者であるにも関わらず、周辺の家々を修理し、知人から集まった物資の配布、炊き出しや食料を配布するなどして、周囲の被災者を助けることができた経験で見えてきた、被災時に必要なノウハウや道具、備えを、誰にでも真似できる形に体系化したのが本書です。ベランダ発電所のつくりかたや雨漏りの補修などの応用的な内容も、写真や図解でわかりやすく紹介しており、まさに「避難所に行かない防災」対策として参考になる一冊です。

【満足度】 ★★★★☆
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2021年03月13日

『人は話し方が9割』永松茂久

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人は話し方が9割 [ 永松茂久 ]
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 話し方をちょっと変えるだけで、仕事もプライベートも大きく好転する! 「あなた」を多用して自分のファンを作る、肩書き・立場によって話し方を変えないなど、楽しく会話できる「とっておきの秘訣」を紹介する。

 本書は、コミュニケーションの基本である会話がうまくいくようになる、ちょっとした、でも多くの人が気づいていないエッセンスについてまとめたもの。その本書の中では、会話がうまくなる方法について、「苦手な人との会話を避け、大好きな人と話す時間を増やす」ことが書かれていますが、相手を否定せず、自分自身も否定しないで、相手の立場で考えることの大切さが書かれています。人前で話す機会もあるものの、スムースな話し方ができるポイントも幾つか書かれており、参考になる内容でした。

【満足度】 ★★★★
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2021年03月12日

『本当は危ない国産食品 「食」が「病」を引き起こす』奥野修司




 「国産食品だから安心、安全」というのは嘘である。実は日本では一部の農薬の規制が世界的に見ても緩く、それらが残留した食品が病を引き起こすのだ。農薬の驚くべき毒性について紹介する。『週刊新潮』連載を加筆・改編。

 「国産食品だから安心、安全」というのは嘘である。実は日本では一部の農薬の規制が世界的に見ても緩い。それらが残留した日本茶、野菜、果物、コメ、パン、パスタなどを私たちは日常、口にしているのだ。研究者たちが指摘するのは、肥満、アレルギーのみならず、脳の萎縮、自律神経の失調、神経伝達の異常、発達障害など、数々の重大なリスクである。最新の科学データと緻密な取材をもとに、大宅賞作家が警鐘を鳴らす問題作。

 本書は、残留農薬の危険性が主に書かれた一冊。世界が農薬を規制することに向かう中、日本はアグリ企業から要請を受けたアメリカ政府の指示を受けて規制緩和をするという真逆の方向に向かっていますが、食の安全を考えさせられる内容です。

【満足度】 ★★★★
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2021年03月11日

『「日本の伝統」の正体』藤井青銅

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「日本の伝統」の正体 (新潮文庫) [ 藤井 青銅 ]
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 「日本の伝統」はいつ、いかにして創られ、私たちはどのようにして、受け入れてきたのか。初詣、神前結婚式、恵方巻、大安・仏滅、三世代同居など、さまざまな「伝統」を取り上げ、その成り立ちなどを明らかにする。

 その伝統、本当に昔からあった? お正月の定番「初詣」も「重箱おせち」も、実は私鉄や百貨店のキャンペーンから生まれた新しい文化。喪服は黒、土下座が謝罪のポーズになったのも実はごく最近。行事・風習・食生活……日常のいたるところに潜む、一見それらしい“昔からのしきたり”や“和の心”の裏側には、面白エピソードが盛りだくさん。楽しく学べるベストセラーに大幅増補。待望の文庫化。

 本書は、初詣、お節料理、伝統芸能、神社仏閣など、日本の伝統の歴史を調べ、その成り立ちを紹介したもの。日本の伝統的なものだと感じていることも、実は文化として定着してそれほど年数が経っていないことが結構あるということも分かりましたし、雑学としても興味深い内容でした。

【満足度】 ★★★★
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2021年03月10日

『ニキ』夏木志朋

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ニキ (一般書 292) [ 夏木 志朋 ]
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 高校生の田井中広一が、唯一人間的な関心を寄せた美術教師の二木良平。彼が自分以上に危険な人間であると確信する広一は、二木に近づき、脅し、取引をもちかけ…。生徒と教師の悪戦苦闘をスリリングに描いた青春小説。

 高校生・田井中広一は黙っていても、口を開いても、つねに人から馬鹿にされ、世界から浮き上がってしまう。そんな広一が「この人なら」と唯一、人間的な関心を寄せたのが美術教師の二木良平だった。穏やかな人気教師で通っていたが、それは表の顔。彼が自分以上に危険な人間であると確信する広一は、二木に近づき、脅し、とんでもない取引をもちかける……。嘘と誠実が崖っぷちで交錯し、追い詰めあうふたり。生徒と教師の悪戦苦闘をスリリングに描き、読後に爽やかな感動を呼ぶ青春小説。

 本書は、2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。物語は、生きづらさを抱えた高校生と美術教師の奇妙な関係を描いた作品。主人公の背景にあるマイノリティの生きづらさや、自分を好きでいるための行動など、登場人物の心理描写が巧みで、マイノリティに対して考えさせられ、爽やかなラストも良かったです。

【満足度】 ★★★★
ラベル:夏木志朋 ニキ
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2021年03月09日

『地方を生きる』小松理虔




 いま、余白がある「地方」にこそ可能性が広がっている。福島県いわき市を拠点とする活動家がこれまでの活動や取り組み、そこで出会った人たちの興味深い活動などを紹介しつつ、地方で生きるとはどういうことなのかを語る。

 いま地方にこそ可能性が広がっている。これまでと違った視点でみれば、新たな魅力と課題が浮かんでくる。仕事、暮らし、苦労などローカルな生き方をお伝えします。

 本書は、福島県いわき市小名浜にUターンした著者ならではのローカル論。ウェブマガジンを制作したり、オルタナティブスペースを運営したり、大小様々なイベントを企画したり…と、著者の行動力に驚かされますが、地方の特色を活かし、様々な可能性を模索しながら、色々と取り組んでいく姿勢には共感を覚えます。生きることに面白がって、主体的な何かを始める大切さを感じる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2021年03月08日

『デスゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』河野 啓

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デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場 [ 河野 啓 ]
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 彼はなぜエベレストに挑み続けたのか? 登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由とは? 滑落死は本当に事故だったのか? 凍傷で指を失いながら七大陸最高峰単独無酸素登頂を目指した登山家・栗城史多の秘密に迫る。

 両手の指9本を失いながら“七大陸最高峰単独無酸素”登頂を目指した登山家・栗城史多氏。エベレスト登頂をインターネットで生中継することを掲げ、SNS時代の寵児と称賛を受けた。しかし、8度目の挑戦となった2018年5月21日、滑落死。35歳だった。彼はなぜ凍傷で指を失ったあともエベレストに挑み続けたのか? 最後の挑戦に、登れるはずのない最難関のルートを選んだ理由は何だったのか? 滑落死は本当に事故だったのか? そして、彼は何者だったのか。謎多き人気クライマーの心の内を、綿密な取材で解き明かす。

 本書は、第18回開高健ノンフィクション賞受賞作。2018年にエベレストへの登頂を目指している最中に滑落死した登山家・栗城史多について、かつて、彼のドキュメンタリー番組を制作した著者が、疑念を抱えながら、その最期を追ったノンフィクション。著者は、栗城史多の番組をプロデュースしようとし、栗城に係わった多くの人同様、彼に近づき、その元を去っていくが、栗城の死後、取材を進める中で、著者の栗城観が大きく変わっていく様子も含めて、人物像に迫る一冊です。

【満足度】 ★★★★☆
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2021年03月06日

『建て主たちのクレーム事典 50の実例で知る住宅トラブルのきっかけ』日経ホームビルダー編




 家づくりのプロと建て主のすれ違いはどこから生まれるか。住宅会社が建て主から受けたクレーム実話50ケースを、トラブル別に紹介する。『日経ホームビルダー』連載を再編集して単行本化。

 本書は、家づくりのクレーム実例を10タイプ別に50ケースを紹介したもの。建築工事でクレームにつながった事例とその原因、建設会社・工務店と建て主の行き違いのポイント、クレームの処理結果等が列挙されていますが、クレーム対処としては非常に参考になりました。クレーム内容では、工務店側には落ち度がなく、建て主側のわがままに思える場面も多く、顧客対応として工務店側の配慮不足を指摘する記事も相当数ありましたが、業者側も大変だと感じました。

【満足度】 ★★★★
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2021年03月05日

『灯台からの響き』宮本 輝

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灯台からの響き [ 宮本 輝 ]
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 本の間から、亡き妻宛てに30年前に届いたハガキを見つけた康平。そこに描かれていたのは、海岸線と灯台のように見える線画。妻の過去を知るために、康平は灯台を巡る旅に出る…。『北日本新聞』ほか掲載を単行本化。

 板橋の商店街で、父の代から続く中華そば店を営む康平は、一緒に店を切り盛りしてきた妻を急病で失って、長い間休業していた。ある日、分厚い本の間から、妻宛ての古いはがきを見つける。30年前の日付が記されたはがきには、海辺の地図らしい線画と数行の文章が添えられていた。差出人は大学生の小坂真砂雄。記憶をたどるうちに、当時30歳だった妻が「見知らぬ人からはがきが届いた」と言っていたことを思い出す。なぜ妻はこれを大事にとっていたのか、そしてなぜ康平の蔵書に挟んでおいたのか。妻の知られざる過去を探して、康平は旅に出る……。市井の人々の姿を通じて、人生の尊さを伝える傑作長編。

 本書は、東京・板橋の商店街で長年一緒に中華そば屋を切り盛りしてきた妻・蘭子に先立たれた62歳の男・牧野康平を主人公に、生きる気力を失ってしまった主人公が、ふとしたきっかけで灯台を巡る旅をする中で、自身の人生を振り返り、家族との関係、近所の幼馴染みや友人たちとの関係を見つめ直し、ゆっくりと自分を取り戻していく…という、初老に差しかかった男の「再生」の物語です。深みのある物語となっており、著者の作品は久々に読みましたが、主人公の再生物語であると同時に、素敵な家族愛が描かれた作品です。

【満足度】 ★★★★☆
posted by babiru_22 at 17:43| Comment(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする