生花店パート勤務の彩香は30代で未亡人となった。教師だった夫との恋を運命と信じていたがすべてを失い、『もう運命なんて信じない』と無味乾燥な毎日を送っていた。しかし突如、衝動的に「雑な大人の恋愛」をスタートすることに。程よい距離感、大人のルールを決めて始まった大人の恋の行方は。
花屋でパート勤務をしている主人公の彩香は、30代で未亡人となった。高校生の頃恋焦がれた20歳以上年の離れた数学教師との出会いを運命と信じ、想い続け、卒業後に2人は結ばれた。娘も授かり幸せな生活を送っていたが、その最愛の夫はガンで他界。当時の彩香にとってすべてだった夫。喪失感を抱え「もう運命なんて信じない。ロマンも要らない」とすべてを諦めて暮らしていたが、ある日、自分が失ってきたものの大きさに気づく。そして、焦燥感にも近い熱い衝動から偶然出逢った男性・今井と「雑な大人の恋愛」をすることに。ほどよい距離感と大人のルールを決めて始まった二人の恋。だが、徐々にその関係性は歪に綻び始める。お互いを、「運命の果てに立ち尽くしていた者同士」と実感していたはずだったが、徐々に彩香の心には違和感が生じる。そして今井にも、打ち明けられずにいた「真実」があった……。
本書は、若くして結ばれた夫を失った主人公・彩香が「運命」や「ロマン」を手放し、大人の「雑な恋愛」を通して自分の生き方を問い直す現代の大人向け恋愛小説。ロマンや劇的な情熱ではなく、距離・条件・合意といった現実的な側面を中心に据えた“雑で実利的な恋愛”の光と影が丁寧に掘り下げられ、主人公の内面の喪失感・焦燥・戸惑いが細やかに描かれます。
【満足度】 ★★★★

