少女時代、素朴な疑問を抱いたことから理系の道を選んだ猿橋勝子(サルハシ カツコ)。戦時下で科学と戦争の関係を問い続けた勝子は、戦後、ビキニ水爆実験による放射能汚染の実態究明に打ち込んでいく…。『波』連載に加筆修正。
科学の目的、それは人類を幸せにすること。「なぜ雨は降るのだろう」。少女時代、素朴な疑問を抱いたことから理系の道を歩んだ猿橋勝子。戦時下で科学と戦争の関係を問い続けた勝子は、戦後、ビキニ水爆実験による放射能汚染の実態究明に打ち込んでいく―。『藍を継ぐ海』『宙わたる教室』の著者が、構想10年、満を持して描く!直木賞受賞第一作。渾身の長篇小説。
本書は、実在の女性科学者・猿橋勝子の生涯を基にした評伝小説。少女時代に「雨はなぜ降るのか」という疑問を抱き、戦前・戦中の女性差別や戦争の時を乗り越え、科学の道を切り開く姿んが描かれます。戦後、米国のビキニ環礁水爆実験で第五福竜丸が被曝した「死の灰」による放射能汚染の研究に携わり、国際的に評価された成果が核実験禁止条約に繋がったエピソードがクライマックスとなりますが、科学の情熱と女性の強靭さを、雨や紫陽花などの自然描写で優しく綴る作品です。
【満足度】 ★★★★

