2026年02月27日

『つくみの記憶』白石一文

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つくみの記憶 [ 白石一文 ]
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 遼平は、ほぼ初対面のつくみが昔からの知り合いのような感覚に襲われ、わずか1カ月半で結婚。それまで恋人だった友莉が失踪し、捜索を進めるにつれ驚愕の真実を知ることに…。『小説推理』掲載に書き下ろしを加え単行本化。

 31歳の松谷遼平は会社の懇親会で8歳下のアルバイト・隠善つくみと初めてまともに話すと、奇妙な感覚に襲われる。……この人は俺に会いに来たんじゃないか? 遼平は幼少期、生死の境を彷徨ったことがある。その記憶とつくみとが不思議と繋がってくる。遼平がつくみと結婚すると、別れた恋人の友莉が失踪してしまう。その捜索によって知った関係者の出自や記憶が大分のある地域に奇妙に収斂し、人間関係が因縁めいた連環の形となっていく。やるせなさ、ずるさ、だらしなさが随所に描かれながら、どこまでも澄んだ読み心地がする物語。

 本書は、主人公の「過去の記憶」をめぐる旅を軸に、記憶と人生の軌跡をめぐる、静かで深い問いの物語。物語の軸となるのは、誰もが心の奥に抱えている曖昧な記憶と、その記憶を支えてきた感情で、過去を見つめ直すことで、現在の自分がどのように形づくられてきたのかが、少しずつ浮かび上がっていきます。派手な展開はありませんが、深い心理描写と哲学的な問いかけを受け取れる作品です。

【満足度】 ★★★
posted by babiru_22 at 19:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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