2026年03月19日

『考察する若者たち』三宅香帆

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考察する若者たち (PHP新書) [ 三宅 香帆 ]
価格:1,100円(税込、送料無料) (2026/3/19時点)




 映画や漫画の解釈を解説する「考察記事・考察動画」がなぜ流行するのか? 「正解を当てにいく」風潮から令和日本の深層を読み解く。

 なぜ映画を観たあとすぐに考察動画を見たくなるのか?映画やドラマ、漫画の解釈を解説する考察記事・動画が流行している。昭和・平成の時代はエンタメ作品が「批評」されたが、令和のいまは解釈の“正解”を当てにいく「考察」が人気だ。その変化の背景には、若者を中心に、ただ作品を楽しむだけではなく、考察して“答え”を得ることで「報われたい」という思考がある。30万部超『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』著者が令和日本の深層を読み解く!

 本書は、現代の若者が、映画やドラマ、漫画といった物語作品に対して見せる「考察」という独特な鑑賞態度をテーマに、その背景にある現代社会の構造や情報環境を分析した一冊。なぜ若者が考察に熱中するのか、その心理的・文化的背景を掘り下げていて、考察を通じて、若者たちが「作品を所有する喜び」や、「社会とのつながり」を得ている、と分析しています。現代の物語と消費文化の現状を鋭く切り取りながら、若者の行動様式とその背景にある社会の構造を読み解く、非常に示唆に富んだ文化評論として中々興味深かったです。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月18日

『コレクターズパレード 100人の収集生活』落合加依子/佐藤友理




 ひとり暮らし100人の生活を綴ったエッセイ集『ワンルームワンダーランド』に続く待望のシリーズ第2弾!

 本書は、特定の分野の熱狂的なコレクターだけではなく、ごく普通の人々が「つい集めてしまうもの」や「捨てられずに溜まっていくもの」に焦点を当てた、視覚的にも楽しい一冊。2歳の男の子から主婦、会社員、アーティスト、専門家など、年齢も職業もバラバラな100人の収集生活を収録しており、マッチ箱、ミニカー、シロクマグッズ、黒文字(和菓子に添える爪楊枝)、ご当地日本酒ワンカップ……といった日常のささやかな断片まで多岐にわたります。単に収集物だけを見せるのではなく、それが置かれた部屋の写真と、なぜ集めているのかを語る短いエッセイが添えられており、人々の個性的な「好き」の多様性を讃え、日常の中のささやかな「ときめき」に光を当てる、温かく楽しいビジュアルエッセイです。

【満足度】 ★★★☆
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2026年03月17日

『イスラエル・パレスチナ紛争をゼロから理解する』イラン・パペ




 現代パレスチナ史の世界的泰斗が、シオニズム運動の胎動から2023年ガザ虐殺まで、その歴史をコンパクトに描く決定版!

 本当のことを書きすぎてイスラエルにいられなくなった、ユダヤ系イスラエル人歴史家による世界一わかりやすい入門書。

 本書は、イスラエル・パレスチナ紛争を「宗教対立」や「古代から続く憎しみ」ではなく、近代史における植民地主義と国家建設の問題として捉え直すことを目的とした入門書です。著者のイラン・パペは、イスラエル出身の歴史学者でありながら、イスラエル政府の公式歴史観を批判する「ニュー・ヒストリアン」の代表的存在で、その立場から、本書は一貫してパレスチナ側の視点を重視しています。この問題を対等な二者間の「紛争」と呼ぶことに異を唱え、「入植者植民地主義」であると指摘し、「ゼロから理解する」というタイトルの通り、複雑な経緯を整理しつつ、問題の本質が「人権」と「正義」にあることを突きつけ、感情論ではなく、構造と歴史で答えようとする一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月16日

『インフラ崩壊 老朽化する日本を救う「省インフラ」』根本祐二




 インフラ老朽化問題が深刻化し、全国で事故が多発。これから何が起きるのか。どのような対策を打てばいいのか。具体策を解説する。

 道路、橋、上下水道、市役所、学校などインフラの老朽化が全国で深刻化しており、事故が多発している。なぜこのような事態になったのか、これから何が起きるのか。そして、どのような対策を打てばいいのか。解決の決め手となる「省インフラ」の具体策を解説する。

 本書は、老朽化が深刻化している日本のインフラが直面する危機と、その解決策として著者が提唱する「省インフラ」という新しい考え方を提示した、警鐘と提言の一冊。高度経済成長期に整備された道路、橋、上下水道、トンネルなどの公共インフラが、一斉に寿命を迎えつつある中、適切な対策を取らなければ、インフラの機能不全や重大事故が多発し、人命や経済活動に深刻な影響が出る「インフラ崩壊」の危機が迫っていると訴え、単なる老朽化だけでなく、人口減少による利用者の減少と、維持管理を担う技術者や作業員の不足が、問題を一層深刻にしていると指摘しています。著者は、すべてを維持しようとするのではなく、「不要なインフラは廃止・縮小し、本当に必要なものだけに資源を集中させる」という、「省インフラ」の概念を提唱し、利用者が極端に減った道路や水道管などは、廃止や簡易化を検討し、その分のコストや人材を、都市部の基幹インフラなど、維持が急務な場所に振り向け、少ない資源でインフラの寿命を延ばすスマートインフラ技術の導入を提案していますが、この提案内容は個人的にも大賛成で、日本のインフラ危機の実態を明らかにし、持続可能な未来のために『省インフラ』という大胆な戦略転換を迫る一冊といえます。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年03月14日

『あなたはなぜ雑談が苦手なのか』桜林直子




 雑談を通して考えや思いを相手に伝えることで、「自分がどうしたいか」がわかってくる。マンツーマン雑談サービスを行っている著者が、「よい雑談」のエッセンスをやさしく伝える。Webマガジン『考える人』連載に加筆修正。

 「自分の話がうまくできない」「いつも聞き役ばかり」「もっと仕事以外の話がしたい」…そんな悩みに、これまで三千回以上のマンツーマン雑談を行ってきた著者がこたえます。よい雑談の条件やそのメリット、話が苦手な人の共通点とは?雑談を通して考えや思いを相手に伝えることで、「自分がどうしたいか」がわかってくる。「不信メガネ」「プール理論」など独自の思考法を駆使して、そのエッセンスをやさしく伝える雑談入門。

 本書は、雑談に対する苦手意識を持つ人のための、具体的なヒントと心理的なサポートを提供する一冊。従来の「雑談テクニック集」とは異なり、まず「雑談が苦手」と感じる人の心理的な構造や理由を掘り下げ、苦手意識を持つ人が陥りやすい思考パターン(自己否定、完璧主義など)を言語化しています。心理的な側面から雑談の苦手意識を解消し、具体的な技術でその練習をサポートしてくれる、心強い一冊と言えます。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月13日

『失われた貌』櫻田智也

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 山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。事件報道後、警察署に小学生が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は10年前に失踪し、失踪宣告を受けていた…。

 山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対策が不十分だという投書がなされた直後の出来事だった。事件報道後、生活安全課に一人の小学生が訪ねて来て、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に行方不明になり、失踪宣告を受けていた。彼は、身元不明の死体が発見されると、同じ確認をしに警察を訪れているという。無関係に見えた出来事が絡み合い、現在と過去を飲み込んで、事件は思いがけない方向へ膨らみ始め
る。

 著者初の長編ミステリでもある本書は、顔を潰され、手首を切断された身元不明の死体から始まる事件が、複数のサブ事件(声かけ事案、脅迫、失踪など)と絡み合い、過去と現在を繋ぐ複雑な謎を解き明かすミステリ。捜査が進む中で、この事件と10年前に失踪した父親を探す小学生の訴え、そして無関係に見えた他の事件や過去の出来事が、一本の線で結びついていくのが大きな読みどころで、家族の悲劇、善悪の葛藤、希望の喪失が見事に描かれ、一見地味な進行の中に、非常に精密な仕掛けと人間ドラマが織り込まれた、読後に唸る本格ミステリです。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月12日

『エピクロスの処方箋』夏川草介

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 「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。患者は82歳の老人。それは、かつて哲郎が激怒させた大学院の絶対権力者、飛良泉寅彦教授の父親だった…。「医療では、人は救えないんだよ」治せない病は山のようにあるが、癒せない哀しみはない。思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく…。

 本書は、前作『スピノザの診察室』の続編で、町医者・雄町哲郎(マチ先生)が、地域医療の現場で患者やその家族と向き合う姿を描いた作品です。医療小説でありながら、「幸福とは何か」「人と人とのつながりの大切さ」といった人生哲学を深く考えさせられる作品で、医療の現場で日々「生と死」に向き合う主人公が、エピクロスの思想に触れることで、少しずつ自分自身と向き合い直してゆく過程が丁寧に描かれています。単なる医療ドラマではなく、医療の限界と向き合いながらも、患者とその家族の心に寄り添い、真の幸福とは何かを問いかける、深く心温まる感動作でもありました。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月11日

『ライアーハウスの殺人』織守きょうや

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 彩莉は莫大な遺産で孤島にギミックつきの館を建設し、かつて自分の書いた小説を馬鹿にした相手を殺害しようと企てる。ターゲットのミステリ愛好者たちが館に集められ、金にものを言わせたクローズドサークルが完成するが…。

 孤島に聳え立つ来鴉館で嘘つきたちの饗宴が始まる。お嬢様・彩莉は転がり込んできた莫大な遺産で孤島にギミックつきの館を建設し、かつて自分の書いた小説を馬鹿にした相手を殺害しようと企てる。「おまえらがバカにした私の考えたトリックで死ね」嵐の気配が近づく中、ターゲットのミステリ愛好者たち(ショーゴ、詩音)、医療関係者(みくに)、刑事(矢頭)、霊能者(真波)、嘘で雇われたメイド(アリカ)が館に集められ、金にものを言わせた自前のクローズドサークルが完成。有能メイド・葵の鬼のダメ出しの末、綿密に練られた復讐劇は、成功間違いなしと思われた。しかし、一夜明けると、彩莉が殺した覚えのない死体が転がっていた…。二度読み必至。空前絶後の超本格ミステリ!!

 本書は、雪に閉ざされた山荘という古典的なミステリの舞台設定を用いながら、現代的なテーマである「嘘」「虚偽記憶」、そして「物語」の力を深く追求した、変格ミステリ。外部との連絡が閉ざされた「ライアーハウス(嘘つきの家)」と呼ばれる山荘を舞台に、嵐や雪によって外部と隔離されるクローズド・サークル(閉鎖空間)という、ミステリ王道のプロットを採用しています。緊張感と、本格ミステリらしい知的な謎解きが提供されており、一つひとつの会話や行動が伏線として機能し、読み進めるほど“嘘と真実の境界”が曖昧になっていく感覚に包まれ、強烈な余韻を残すミステリでした。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月10日

『43歳頂点論』角幡唯介




 植村直己ら名だたる冒険家やクライマーがなぜか同じ年齢で命を落とした。背後にあるのは、歳とともに落ちる体力と上がっていく経験値とのギャップ…。極地探検家ならではの比類なき人生論。『小説新潮』連載を加筆し新書化。

 植村直己、長谷川恒男、星野道夫…名だたる冒険家やクライマーが、なぜか同じ年齢で命を落とす。背後にあるのは、歳とともに落ちる体力と上がっていく経験値とのギャップ、すなわち「魔の領域」だ。二十代の頃、「体力の衰えは経験でカバーできる」と語る先達を「心中ひそかにバカにしていた」著者が、五十代を前に「その言葉は衰退の言い訳ではなく真理」だと思い至るまで、極地探検家ならではの圧倒的人間論!

 本書は、著者自身の極地探検の経験と、年齢に対する深い考察を結びつけた、独特な人間論・年齢論です。探検家という独自の視点から「年齢」と「人生の盛衰」を深く考察し、ピークを過ぎた後の人生に新たな光を当てる、示唆に富んだ人間論でもあり、20代の体力、30代の判断力、40代の経験…と、それぞれの強みをどう生かし、どう折り合いをつけるのか。「若さのピーク=人生のピーク」という発想を否定し、年齢を重ねていくことの強さも示しています。「衰えた」と思うところにこそ、視野や深みが宿るという視点が新鮮で、北極圏での行動、極寒での判断、孤独な移動…極限の状況で人間がどう反応するのかという具体的な体験が、単なる年齢論に説得力を与えています。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年03月09日

『読むと死ぬ本』彩藤アザミ

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読むと死ぬ本 [ 彩藤 アザミ ]
価格:2,090円(税込、送料無料) (2026/3/9時点)




 今後あなたの身にいかなる事象が訪れた場合も、作者・出版社および関係各所は一切の責任を負いかねます。

 ベストセラー作家を夢見ながらも売れない小説を書き続ける作家の私。ロシアで「読むと死ぬ本」と呼ばれる本を執筆し、謎の生涯を送ったセージャ・ダビニフスのドキュメントを書き上げ担当編集の氷上さんに手渡した。すると、「実は見つかったらしいんですよ、本物が。読みたくありませんか…?」と告げられた。あの伝承は本当なのだろうか。その呪いはどう現れるというのだろうか。私は興味をひかれつつも、その日は答えを出さずに帰宅した。そして、その日、あの人に死が訪れた…。現代によみがえった本が、私の生活を侵食していく。

 本書は、「読むと死ぬ」という呪われた本を巡る怪異を描いたモキュメンタリーホラー小説。ロシアの架空の作家が書いたとされる“特級呪物”のような本を題材に、モキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)の形式で、現実と虚構の境目が曖昧になるような仕掛けが凝らされています。物語の序盤は怪異現象が忍び寄る王道ホラーですが、呪いを乗り越えようとする後半の展開で「死」や「生」についての哲学的な考察へと飛躍し、ホラーの常識を覆す哲学的・SF的な結末と衝撃の叙述トリックを見舞う異色の作品でした。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月07日

『本質観取の教科書 みんなの納得を生み出す対話』苫野一徳/岩内章太郎/稲垣みどり




 自分とは異なる立場や考えの人と、いかに対話し、合意形成していけばよいのか分からない。それどころか、深刻な信念対立を目の当たりにし、対話への希望を失ってしまう。そんな人は多いのではないだろうか。本書は、「本質観取」と呼ばれる哲学の思考法・対話法を、誰もが実践できるようになるための入門書である。分断をのりこえ、民主主義を成熟させるための対話の極意とは? 実践で活用できるワークシートや、ファシリテーションのコツなども収録。

 本書は、哲学者フッサールの現象学に基づく対話メソッド「本質観取」を、日常的な対話や組織での話し合いに応用する方法を解説した実践的な対話の教科書です。フッサールの現象学という難解な分野を、具体的な事例や対話例を用いて非常に分かりやすく解説しており、「そもそも〇〇とは何か?」という問いを深堀りしていく方法論が提示されており、思考力の鍛錬にもつながります。具体的なファシリテーション(対話の進行)の手順やルールも示されており、実際に話し合いに参加しているような感覚で、メソッドを体感しながら学べる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月06日

『バッタ博士の異常な愛情 恋愛と婚活の失敗学』前野ウルド浩太郎




 昆虫学者が真面目に、おのれの恋愛・婚活・結婚を考察してみた。「バッタを倒しにアフリカへ」シリーズのスピンオフ!

 夢を追い、夢をつかんだ代償は……45歳独身。『バッタを倒しにアフリカへ』『孤独なバッタが群れるとき』『バッタを倒すぜ アフリカで』『ウルド昆虫記』……累計37万部の人気シリーズの華麗なるスピンオフ! 人生を懸けたウルドの闘いは、まだ終わらない。婚活に成功し「未婚男性の星」になることはできるのか? 昆虫学者が真面目に、おのれの恋愛・婚活、そして未知の結婚を考察した一冊。

 本書は、「バッタ博士」として知られる昆虫学者の著者が、自身の専門分野である生物学や進化論の知見を駆使して、自身の壮絶な恋愛・婚活の「失敗」を徹底的に分析した、異色のエッセイ。自虐的でありながらも、どこか憎めない恋愛遍歴と婚活の失敗談が、赤裸々に、そしてユーモラスに語られています。科学者ならではの分析力と、稀代のエッセイストとしてのユーモアが融合した、笑えて学べる恋愛エッセイでした。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月05日

『春の星を一緒に』藤岡陽子

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春の星を一緒に [ 藤岡 陽子 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/3/5時点)




 シングルマザーとして息子と生きてきた看護師は、緩和ケア病棟で幸せに生ききる最期を模索する日々を送る。親子の夢の行方は…。『満天のゴール』続編。

 旅立つ人が最期まで幸せを感じてくれたなら、残される人も未来に希望が持てる。奈緒(40歳)はシングルマザーの看護師として一人息子の涼介と寄り添い生きてきた。そんな折、大きな転機が訪れ、東京の緩和ケア病棟で働くことに。死を間近に見つめ、幸せに生ききる最期を模索し続ける日々。一方、強く抱く母子の夢の行方、そして二人のこれからは…。緩和ケア病棟を舞台に、綿密な取材と圧倒的リアリティ、温かな視線で人々の生き様を丁寧に紡ぐ。

 本書は、現役看護師でもある著者ならではのリアルな終末期医療の現場を舞台に、主人公とその家族、そして関わる人々との深い人間愛を描いた感動作。前作『満天のゴール』の続編で、前作同様にホスピス(緩和ケア病棟)を舞台に、看護師である主人公と、そこで出会う人々との交流を通して、命の輝きと死の迎え方を描いた物語でもありますが、「生」と「死」の隣り合わせにある日常、親子の絆、終末期医療…と重いデーマではありますが、温かく尊い死生観が貫かれており、人が人を想う気持ちを見事に表現した作品です。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月04日

『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』白鳥和生




 「野菜→魚→肉→牛乳→パン」の順番には理由がある!売り場に潜む疑問から、暮らし、経済、世界を読み解く。「令和のコメ騒動はなぜ起きた?」「食料品の値上げはいつまで続く?」「半額シールを貼るタイミングはどう決まる?」「トランプ関税の家計への影響は?」「なぜいつも余計なものまで買ってしまうのか?」…全国2万3000店舗、110万人が働く、25兆円の成長市場を徹底解剖!買い物だけじゃもったいない、賢く生きるためのスーパーマーケット論。

 本書は、私たちにとって最も身近な消費の現場である「スーパーマーケット」を経済学・行動経済学の視点から分析し、そこに隠された購買戦略や価格決定の仕組みを分かりやすく解説した一冊。普段何気なく目にしているスーパーの仕組みに、すべて消費者の行動を誘導するための明確な理由、陳列や価格設定の裏側など、「なぜ試食販売をするのか」「なぜレジ前でガムを売るのか」などの実例から、その裏にある経済原理を紐解いていきます。スーパーマーケットという身近な題材を通じて、経済学と消費者心理の奥深い世界を楽しく学べる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2026年03月03日

『日本人が知らない 世界の温泉探検録』鈴木浩大




 51か国1250か所の湯を知る温泉探検家が、まだ見ぬ秘湯を求め、世界を飛び回るお宝温泉探し旅。海外温泉実践編も収録。

 古地図や希少文献、海外のウェブサイトを丹念に調べ、飛行機を乗り継ぎ、水上飛行機や小型ボートをチャーターして、目指すは僻地の野湯や素朴な共同浴場。フィジー、ニュージーランド、中国、トルコ、マダガスカル、カナダ、チリ、コロンビア。筆者がこれまでに訪ねた海外温泉1250湯の中から、特に思い出深い温泉旅を厳選して紹介する。まだ見ぬ温泉を探し求め、世界中を飛び回る稀代の温泉バカの体温まる“お宝温泉探し旅”。海外温泉旅に挑戦したい人向けの実践アドバイスも収録。

 本書は、「絶景温泉探検家」である著者が、世界51か国、約1250か所もの温泉を巡った中から、特に記憶に残る辺境の秘湯への旅を厳選して紹介する、壮大な温泉探検エッセイ。古地図や希少文献、海外のウェブサイトを駆使して温泉の情報を探し、飛行機、水上飛行機、小型ボート、クルーザーなどをチャーターして、誰も知らないような秘湯を目指します。誰も知らない湯を追い求める著者の途方もない情熱と、それを実現させる驚異的な行動力に圧倒され、温泉にたどり着くまでの移動の苦労、現地の人とのユニークな交流、軍事クーデターなどクレイジーなハプニングなど、単なる温泉ガイドブックではない、スリル満点の旅の物語として楽しめます。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年03月02日

『2000坪の荒れ地をひとりで開拓してキャンプ場をつくったオーナー七転八倒DIY奮闘記』中山茂大




 DIYの達人、次なる挑戦は“キャンプ場づくり&ワンオペ経営”!古民家再生や小屋づくりのDIY本を手がけた著者が、今度はゼロからキャンプ場をつくり上げるという壮大な計画に挑戦する。

 DIYの達人、次なる挑戦は「キャンプ場づくり&ワンオペ経営」!古民家再生や小屋づくりのDIY本を手がけた著者が、今度は自らの手でキャンプ場をゼロからつくり上げるという壮大な計画に挑戦する。受付小屋、トイレ、五右衛門風呂、ウッドデッキ、コテージすべてが手づくり。失敗と試行錯誤の連続でも、持ち前のユーモアと前向きな姿勢で乗り越えていく。DIYの楽しさと苦労、そして“ひとりでやる”という覚悟が詰まった、笑って泣ける実録エッセイ!

 本書は、一人のサラリーマンが脱サラし、約2000坪(畳約4000枚分)の荒れ地をたった一人で開拓し、人気のキャンプ場を作り上げるまでの、実録DIY奮闘記であり、笑いと涙のビジネスサクセスストーリーのエッセイ。土地の購入から、重機を使った開墾、水回りやトイレの整備、看板製作など、開業に至るまでの具体的な作業内容と、それに伴う七転八倒の失敗談がコミカルに描かれ、キャンプ場運営のリアルな裏側(予想外の出費やトラブル、孤独な作業)が包み隠さず綴られています。専門知識ゼロから、ほぼすべてを自力で作り上げる熱量と執念に圧倒され、そのスケールは、単なるDIYの枠を超えた「開拓記」として非常に読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月28日

『糖質リスク 自覚なき「食後高血糖」が万病を招く』石黒成治




 その一口が、未来の体調を決める。知らないと危ない糖質と血糖値の新常識!

 “隠れた糖質依存”から抜け出す死ぬまで役立つ健康最新理論!糖質はエネルギー源である一方、摂取の仕方で血糖値の乱高下を招き、体調不良や病気のリスクを高めます。本書では最新の医学論文による知見をもとに、予防医学を発信する消化器外科医である著者が、食べ方・選び方などで血糖変動を抑える実践法を解説。糖質との正しい付き合い方を知れば、疲れや不調を防ぎ、長期的な健康とパフォーマンス向上につながります。

 本書は、師である著者によって、糖質の過剰摂取が引き起こす「食後高血糖」の危険性と、その具体的な対策について解説された一冊。健康診断などで測る空腹時の血糖値は正常でも、食後に急激に血糖値が上がる「食後高血糖」が、実は心筋梗塞、脳梗塞、認知症、がんなど、万病の引き金になっており、「血糖値スパイク」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行するため、知らず知らずのうちに血管がダメージを受けていると警鐘を鳴らし、万病を予防し、健康を維持するためには、ご飯、パン、麺類などの糖質を多く含む食品を控える「ゆるやかな糖質制限」が非常に有効であると提唱されています。他にも、血糖値を上げにくい食品の選び方や、食事の順番などの工夫も示されており、読み手がすぐに始められるよう配慮されています。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年02月27日

『つくみの記憶』白石一文

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つくみの記憶 [ 白石一文 ]
価格:2,090円(税込、送料無料) (2026/2/27時点)




 遼平は、ほぼ初対面のつくみが昔からの知り合いのような感覚に襲われ、わずか1カ月半で結婚。それまで恋人だった友莉が失踪し、捜索を進めるにつれ驚愕の真実を知ることに…。『小説推理』掲載に書き下ろしを加え単行本化。

 31歳の松谷遼平は会社の懇親会で8歳下のアルバイト・隠善つくみと初めてまともに話すと、奇妙な感覚に襲われる。……この人は俺に会いに来たんじゃないか? 遼平は幼少期、生死の境を彷徨ったことがある。その記憶とつくみとが不思議と繋がってくる。遼平がつくみと結婚すると、別れた恋人の友莉が失踪してしまう。その捜索によって知った関係者の出自や記憶が大分のある地域に奇妙に収斂し、人間関係が因縁めいた連環の形となっていく。やるせなさ、ずるさ、だらしなさが随所に描かれながら、どこまでも澄んだ読み心地がする物語。

 本書は、主人公の「過去の記憶」をめぐる旅を軸に、記憶と人生の軌跡をめぐる、静かで深い問いの物語。物語の軸となるのは、誰もが心の奥に抱えている曖昧な記憶と、その記憶を支えてきた感情で、過去を見つめ直すことで、現在の自分がどのように形づくられてきたのかが、少しずつ浮かび上がっていきます。派手な展開はありませんが、深い心理描写と哲学的な問いかけを受け取れる作品です。

【満足度】 ★★★
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2026年02月26日

『天上の火焔』遠田潤子

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天上の火焔 [ 遠田 潤子 ]
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 大らかな性格で孫に優しい人間国宝の祖父。息子に無関心な轆轤の名手の父。物心つく前に母を亡くした城は、陽と陰のような二人の間で育ち、悩み苦しんで…。備前焼窯元一家の再生と継承を描く。『小説すばる』連載を単行本化。

 大らかな性格で孫に優しい偉大な人間国宝の祖父・路傍。氷のように冷たく息子に無関心な轆轤の名手である父・天河。物心つく前に母親を亡くした城は、陽と陰のような二人の間で育ち、悩み苦しんでいた。父に認められたいのに自己韜晦に走る城。出口が見つからないまま、宿痾のように精神は蝕まれていき…。父子三世代の心の闇に斬り込み、愛と憎しみの狭間でもがく人間たちを描いた、焔の家族史。

 本書は、日本の伝統芸能である「能楽(能)」の世界を舞台に描いた、人間の心の暗闇と、そこに灯る小さな光を描いた美しくも壮絶な愛憎劇。対照的な運命を背負った二人の能楽師が、能という芸術を通して激しくぶつかり合い、嫉妬、羨望、そして深い絆で結ばれていく様子が描かれますが、過去に刻まれたトラウマや後悔が、現在の行動や選択に影を落とし、その連鎖がさらにドラマを生んでいき、熱量のある作品でもありました。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月25日

『生成AI「思考」の裏側 なぜ賢いのか? なぜ間違うのか?』立山秀利




 生成AIの仕組みを文系でも理解できるように丁寧に解説。なぜ賢いのか、なぜ間違うのかを知り、ビジネスに有効活用しよう!

 「ChatGPT」「Copilot」「Gemini」などの生成AIは、どのように学習し、考え、回答を生成しているのでしょうか。このギモンに答えるべく、生成AIの「仕組み」を解説するのが本書です。といっても、難しい数式は一切登場しません。中学生の数学の知識さえあれば、誰でも読み通せるように、一般の人が理解できるレベルでザックリと解説しています。「なぜ人間のように賢く受け答えできるの?」「なぜもっともらしいウソをつくの?」といった生成AIの素朴な疑問も解消できます。

 本書は、急速に普及している生成AIが、一体どのような仕組みで動き、なぜ人間のように賢く振る舞えるのか?、そしてなぜ時に誤った情報を生成するのか?という、素朴で本質的な疑問に答える解説書です。最新の生成AI技術の現状を把握できるだけでなく、今後の進化の方向性や、ビジネス・社会がどう変わっていくのかについての示唆も得られ、AIの「賢さ」だけでなく「間違い」の構造を知ることで賢く活用するための活用法についても紹介しています。

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