2026年02月24日

『真珠配列』岩井圭也

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真珠配列 [ 岩井 圭也 ]
価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/2/24時点)




 2029年、北京。常軌を逸した速さで進行する癌で有力政治家の息子が死亡し、同様の癌での死亡事例が見つかる。これは偶然なのか? 刑事偵査総隊の刑事アーロンは捜査を始めるが…。『ミステリマガジン』連載を加筆修正。

 2029年、北京。常軌を逸した速さで進行する癌で有力者の息子が死亡した。これは仕組まれた連続殺人なのか? 刑事偵査総隊の刑事アーロンは、ウイグル人の遺伝子エンジニア、マリクとともに捜査を行なう。やがてアーロンとマリクは、生命科学上の闇に直面し……。

 本書は、ヒトゲノム編集という現代的なテーマを扱った、骨太な近未来ディストピア小説。近未来の香港を舞台に、政府要人の子息の謎の死を発端に、警察官と遺伝子エンジニアが協力して、密かに行われている遺伝子操作の闇を暴こうとするストーリーで、科学的な側面だけでなく、陰謀論や正義感、人間の業といった要素も絡み合いハードな展開は、従来の岩井圭也作品とは一味違う物語でしたが、読み応えがありました。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月23日

『翠雨の人』伊与原新

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翠雨の人 [ 伊与原 新 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/2/23時点)




 少女時代、素朴な疑問を抱いたことから理系の道を選んだ猿橋勝子(サルハシ カツコ)。戦時下で科学と戦争の関係を問い続けた勝子は、戦後、ビキニ水爆実験による放射能汚染の実態究明に打ち込んでいく…。『波』連載に加筆修正。

 科学の目的、それは人類を幸せにすること。「なぜ雨は降るのだろう」。少女時代、素朴な疑問を抱いたことから理系の道を歩んだ猿橋勝子。戦時下で科学と戦争の関係を問い続けた勝子は、戦後、ビキニ水爆実験による放射能汚染の実態究明に打ち込んでいく―。『藍を継ぐ海』『宙わたる教室』の著者が、構想10年、満を持して描く!直木賞受賞第一作。渾身の長篇小説。

 本書は、実在の女性科学者・猿橋勝子の生涯を基にした評伝小説。少女時代に「雨はなぜ降るのか」という疑問を抱き、戦前・戦中の女性差別や戦争の時を乗り越え、科学の道を切り開く姿んが描かれます。戦後、米国のビキニ環礁水爆実験で第五福竜丸が被曝した「死の灰」による放射能汚染の研究に携わり、国際的に評価された成果が核実験禁止条約に繋がったエピソードがクライマックスとなりますが、科学の情熱と女性の強靭さを、雨や紫陽花などの自然描写で優しく綴る作品です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月21日

『桐生市事件 生活保護が歪められた街で』小林美穂子/小松田健一

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桐生市事件 生活保護が歪められた街で [ 小林 美穂子 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2026/2/21時点)




 保護費を毎日1000円だけ手渡し、残りは金庫にしまうなど、異常な運用がおこなわれていた桐生市の生活保護行政。助けを求める市民を威圧し、支給を徹底的に削る姿勢が、次々明らかになる。支援と取材の現場から迫ったルポ。

 「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する生活保護制度が根底から歪められた。群馬県南東部の桐生市。高齢化などにともなって生活保護率が高くなっている周辺自治体とは正反対に、年を追うごとに保護率が激減していく異常なデータ。「ハローワークへ毎日行って求職活動をしてください。窓口で書類に印鑑を押してもらい、私たちがそれを確認できたら1000円お渡しします」。違法で過酷な水際作戦に、ついに当事者が声をあげ、支援者が奔走する…。

 本書は、群馬県桐生市で発覚した生活保護行政の深刻な不正・違法運用問題について、支援活動家とジャーナリストの視点からその実態と背景を徹底的に追及したルポルタージュ。長年にわたり、桐生市が生活保護の申請者・利用者に非人道的な対応を取り、「命の砦」である制度を根底から歪めていた実態が克明に描かれています。自治体で生活保護制度が違法かつ非人道的に運用されていた衝撃的な実態を、支援者と報道の現場から詳細に記録し、行政の責任と制度のあり方を問う内容は読みごたえがありました。

【満足度】 ★★★★
ラベル:桐生市事件
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2026年02月20日

『華氏マイナス三十度』キャシディ・ランドール




 1970年、世界で初めて女性だけの登山隊がマッキンリー山に挑んだ!女性だけで危険な極地の山に登れるはずだと信じることは尊大だとみなされた時代の、心が掴まれる興奮の冒険物語。

 本書はサブタイトルに『「ガラスの天井」を打ち破った女性登山家たちのマッキンリー初登頂物語』とありますが、1970年に世界で初めて、女性だけの登山隊が北米最高峰であるマッキンリー山(現在のデナリ)に挑んだ実話に基づいたノンフィクション。当時、「女性に独力で危険な極地の山を登る能力はない」という性差別や女性嫌悪が登山界に根強く残る中で、彼女たちが挑戦を決意した経緯が描かれ、主人公であるグレース・ホーマンをはじめとする「デナリ・ダムゼルズ」と名付けられた6人の女性隊員たちが、いかに周囲の反対を押し退け、自らの肉体の限界を超えて挑戦し続けたかが詳細に描かれています。不可能とされた挑戦を成し遂げた女性たちの勇気、情熱、そして友情を描いた、歴史的にも重要な興奮のノンフィクションです。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年02月19日

『エロってなんだろう?』山本直樹




 現実とフィクションは違う。でも、現実のルールを知らなければ、面白いフィクションはつくれない。エロマンガ界のレジェンドが語る、いまこの社会でエロを表現し、人に見せるということ。蛙亭・イワクラとの対談「エロいは面白い」収録。

 本書は、長年にわたり“エロティック”をテーマに作品を描き続けてきた漫画家の著者が 「エロとは何か」「なぜ人はエロを求めるのか」 を、漫画という表現を通して真正面から掘り下げようとしたエッセイ的作品です。タイトルは刺激的ですが、内容は非常に哲学的で、著者は「エロ」を単なるスケベな話としてではなく、「生きるエネルギー(エロス)」として捉え、「死」や「虚無」と対極にあるものとして「エロ」を位置づけ、「エロについて悩むことは、どう生きるかを考えることと同じだ」というメッセージが込められています。時代ごとの価値観の変化、規制や倫理観との向き合い方、エロを描くことへの批判や葛藤など、社会との摩擦についても触れており、文化・メディア・自由と表現の問題を読み解く一冊でもあります。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月18日

『円ドル戦争40年秘史 なぜ円は最弱通貨になったのか』河浪武史




 プラザ合意から40年。日本が経済大国入りした出来事と言えるが、その後日本は苦境にあえいだ。日経記者が、円・ドル戦争を検証。

 ドル円相場の後ろには常に米国がいた。同盟国として日本の経済成長を後押ししつつも、それが自国の脅威となると為替を使って露骨に圧力をかける米国の冷徹さ。最強通貨から最弱通貨への転落はなぜ起こったのか。プラザ合意40年という節目に検証する。

 本書は、1985年のプラザ合意から、第2次トランプ政権を見据えた2025年までの40年間を描く、最新の通貨ドキュメント。かつて「世界最強」と恐れられた日本円が、なぜ今や「最弱通貨」となり、日本経済の重荷になってしまったのかを、日米の攻防(円ドル戦争)の歴史から解き明かす一冊で、現場で取材した「通貨マフィア」(財務官や中央銀行総裁など、通貨政策を操る黒幕たち)の肉声を通じて、教科書には載らない裏側を描き出しています。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月17日

『汚名』和田はつ子

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汚名 [ 和田 はつ子 ]
価格:2,310円(税込、送料無料) (2026/2/16時点)




 佐賀の貧しい農家に生まれた伊東玄朴は、シーボルトの弟子になり、江戸で医者として開業する。当時猛威を振るっていた天然痘に立ち向かうため、種痘所の設立を決意するが…。『文蔵』連載を改題、加筆・修正。

 佐賀の貧しい農家に生まれた伊東玄朴は、シーボルトの弟子になり、江戸参府に随行する。シーボルト事件に巻き込まれ、玄朴はお咎めなしとなったものの、義兄源三郎は獄死してしまう。江戸で医者として開業した玄朴は、当時猛威を振るっていた天然痘に立ち向かうため、種痘所の設立を決意。権力者の横槍、漢方医たちの妨害、家族の冷たい目と逆境の中、出世と金にしか興味がない男との悪評を浴びつつも、彼が貫いた決意とは。「料理人季蔵捕物控」「産医お信なぞとき帖」で人気の著者が挑む、感動の歴史小説!

 本書は、江戸時代後期に実在した蘭方医である伊東玄朴の生涯を描いた歴史小説で、天然痘の撲滅に生涯を捧げた玄朴の医者としての熱意と、時に権力や富を求め、複雑な人間関係の中で汚名を浴びながらも一途に医術を貫いた人生を描いています。玄朴が政権中枢にまで上り詰め、権力や金を得て病に対応する姿勢も描かれ、その医者としての熱意が印象的な作品です。

【満足度】 ★★★★
ラベル:和田はつ子 汚名
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2026年02月14日

『労組日本プロ野球選手会をつくった男たち』木村元彦




 初代会長の中畑清、FA制度導入の立役者・岡田彰布、球界再編問題で奮闘した古田敦也、東日本大震災時に開幕延期を訴えた新井貴浩、現会長の曾澤翼など歴代選手会長に聞く、日本プロ野球選手会の存在意義とは。

 今から40年前の1985年11月に設立された「労働組合日本プロ野球選手会」。一見、華やかに見える日本プロ野球の世界だが、かつての選手たちにはまともな権利が与えられておらず、球団側から一方的に「搾取」される状態が続いていた。そうした状況に風穴をあけたのが「労働組合日本プロ野球選手会」であった。大谷翔平選手がメジャーリーグで活躍する背景には、彼自身の圧倒的な才能・努力があるのは言うまでもないが、それを制度面で支えた日本プロ野球選手会の存在も忘れてはならない。選手たちはいかに団結して、権利を獲得していったのか。当時、日本プロ野球の中心選手として活躍しながら、球界のために奮闘した人物や、それを支えた周りの人々に取材したスポーツ・ノンフィクション。

 本書は、1985年に労働組合として設立された日本プロ野球選手会が、どのようにして球界の旧態依然とした体制に挑み、選手の権利と地位を確立していったのかを詳細に追ったノンフィクション。当時の日本プロ野球界は、選手側が立場が弱く、年俸交渉、契約の自由、引退後の待遇など、すべてにおいて球団側の意向が優先されており、単なる親睦団体に過ぎなかった選手会が、一部の選手たちを中心に組織を労働組合として法人化するという革命的な決断に至るまでの経緯を、当事者の証言を交えてリアルに描いています。プロ野球という華やかな世界の裏側にあった「労働争議」と「組織改革」の物語を描き切った作品で、野球ファンだけでなく、組織論、労働問題、そして困難に立ち向かう人間のドラマに関心のある読者にも深く響く一冊です。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年02月13日

『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』松本祐貴




 人間関係や社会的立場を捨て、新たな環境で別の人間として生き直す失踪者。彼らはいかに生き、何を考えているのか。当事者や残された人々に取材し、失踪の理由から実行の手順、現在の生活までを綴る。

 失踪の赤裸々な事情を経験者たちが大いに語る!失踪…それは現在の人間関係や社会的立場を捨て、新たな環境で別の人間として生き直すことである。一見するとわれわれの日常から縁遠いように思われる失踪だが、現在日本の行方不明者は年間9万人、およそ1000人に1人にのぼる。本書はそんな近くて遠い存在である行方不明者や残された人々に取材し、失踪の理由から実行の手順、現在の生活までの一部始終を記した本である。失踪者はいかに生き、何を考えているのか?人生がつらい、逃げたいと思ったことが一度でもある人に捧げる、失踪のリアルを通じて生きづらさと向き合う術を考え直す新しい人生論にして幸福論。

 本書は、日本で年間約9万人にのぼる行方不明者というテーマに切り込み、自らの意志で「失踪」を選んだ人々の壮絶な実態に迫ったルポルタージュ。警察の失踪統計や「失踪ビジネス(夜逃げ屋)」の実態、家族の証言などをもとに、逃げた人々の現実を多面的に描き出しており、淡々とした筆致ながら、センセーショナルな描き方を避け、逃げた人たちの声をそのまま伝える構成が印象的です。失踪を善悪で断じるのではなく、現代社会の「生きづらさ」の果てにある、もう一つの人生の形をルポを通じて深く考察させてくれる一冊でした。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月12日

『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』佐藤靖青




 その靴、スニーカー痛くなりますよ!膝痛、靴ずれ、外反母趾、etc.2万人の足にさわってわかったこと。日本人はカカトが小さい。履いてはいけない靴がある。中敷きは交換すべし。

 2万人以上の足をさわってきた予約の取れない人気シューフィッターとして、『マツコの知らない世界』「インソールの世界」に出演。マツコ・デラックスの猫背をインソールで見事に一発矯正したことで話題に。靴の設計から修理、フィッティングに携わり、得てきた知見を活かして、なぜ「靴が痛くなるのか?」「靴が合わないのか?」を徹底解明。そこで導き出された結論は、「靴選びは『目的×サイズ×インソール』の掛け算である」ということ。曰く、「1.靴には目的がある、2.靴のサイズはあってないようなもの、3.インソールは取り替える」。この鉄則3か条をクリアして始めてきちんと足にフィットした靴が選べるという。本書では、誰も教えてくれなかった正しい靴の選びかたを指南する。

 本書は、2万人以上の足を診断してきた人気シューフィッターが、「なぜ靴が痛くなるのか?」「なぜ靴が合わないのか?」という長年の疑問に答えるための、正しい靴選びのノウハウをまとめた一冊です。靴選びの結論として「目的×サイズ×インソール」の掛け算が重要だと提示し、この「鉄則三か条」を軸に解説を進めていきます。用途別(ランニング、厚底、革靴など)や素材別(革靴の今後など)にも触れ、「流行だから」「見た目がいいから」という理由だけで靴を選ぶリスクも指摘し、靴量販店・スポーツ用品店・EC・アウトレットなど、購入場所の選び方や、履き下ろし時の注意点、足と靴のフィッティング(形・内部構造・インソール)といった“現場”の知恵も豊富に掲載されており、靴選びの参考にもなる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月11日

『マスカレード・ライフ』東野圭吾




 ホテル・コルテシア東京で開催されることになった、『日本推理小説新人賞』の選考会。当日、文学賞受賞の候補者として、ある死体遺棄事件の重要参考人が会場に現れる!?警視庁を辞め、コルテシア東京の保安課長となった新田浩介が、お客様の安全確保を第一に、新たな活躍をみせる最新作。

 本書は、累計550万部を超える大人気「マスカレード」シリーズの第5作目で、ホテルという舞台で生きる人々の人生を描く、静かで深い群像劇。今作も、タイトルの「マスカレード(仮面)」が象徴するように、登場人物たちはそれぞれに「誰にも見せない顔」を抱えて、ホテルマン、客、周囲の人々……と、誰もが何かを隠し、何かを守りながら生きており、物語を通してその仮面が少しずつ剥がれていく様子が丁寧に描かれます。ミステリーとしてだけでなく、丁寧な人物描写、働くこと・生きることの重み、仮面の内側にある本音の物語を味わえるため、シリーズファンはもちろん、初めて読む人にもおすすめできる一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月10日

『北方防衛と開拓の魁』中村恵子




 歴史から抹消された江戸幕府と松前藩を支えた商人たちの奮闘と功績。北前船による「命がけの交易」蝦夷地と日本列島を交易で結びつけ、近代経済の礎を築いた知られざる歴史!

 本書はサブタイトルに「蝦夷地を舞台に暮らし革命を起こし領土を守った商人」とありますが、北海道の歴史でもある北方警備と開拓の原点に立った人々の足跡を丁寧に掘り起こした歴史ノンフィクション。『江戸の商人』こそが、実は北海道を開拓し、ロシアの脅威から日本を守った英雄だった」という、歴史の常識を覆す一冊で、国を思い、私財を投げ打って北の大地を切り拓いた近江商人や北前船商人たちの真実の姿を描いています。著者は「江戸時代からすでに商人による平和的な経済活動と統治の実績(和人地としての歴史)が深く刻まれている」と主張し、既存の歴史観に一石を投じており、「経済(商い)」の力がいかに国を守り、文化を豊かにしたかに焦点を当てた、非常に現代的な視点の歴史ノンフィクションです。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月09日

『北方領土を知るための63章』名越健郎/大野正美/常盤伸/小泉悠




 本書では、四島の自然や地勢・生態系、歴史、日本統治時代の生活や開発、ソ連占領後の統治、軍事配備、返還交渉、島の現状などを取り上げる。旧ソ連の占領から80年を経て、日本の主権や領土保全など、北方領土の現状や歴史と未来を改めて注視すべきであろう。

 本書は、は、北方領土の全体像とその実情を多角的に解説した一冊。専門家による63の短い章で構成されており、歴史・外交・国際法・地理・住民の暮らし・報道など、幅広い視点から整理されており、一般読者にも理解できる形で解説し、日露関係の歴史的経緯はもちろん、領土交渉の現状や、返還問題に関する日本とロシアの立場の違い、さらには島民の人々の声や文化的背景まで掘り下げています。「領土問題=外交課題」としてだけでなく、「そこに生きた人々の歴史」として捉え直す構成になっており、単なる知識ではなく現実の重みを感じられる内容です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月07日

『日本の馬の仕事図鑑』青木修・監修ほか

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日本の馬の仕事図鑑 [ 青木 修 ]
価格:2,970円(税込、送料無料) (2026/2/7時点)




 競馬や競技、馬搬・馬耕、騎馬警ら、神事・祭事、レクレーション、イベント・観光など、現在の日本でみられる「馬の仕事」を紹介。

 産業動物であり、使役動物であり、家族のような伴侶動物でもあり、馬は人とのかかわりにおいて、さまざまな面をもっている。本書では、競馬や各種競技はもちろん、馬搬・馬耕、騎馬警ら、神事・祭事、レクレーション、イベント・観光など、現在の日本でみられるさまざまな「馬の仕事」を豊富なビジュアルとともに紹介。さらに、種類や体の構造といった馬という動物の基礎知識や日本で生産・育成されている馬たちのライフサイクルなども専門家がわかりやすく解説。

 本書は、日本国内で活躍している「働く馬たち」の種類、仕事内容、そして関わる人々の営みを、豊富な写真とともに網羅的かつ分かりやすく紹介した図鑑・解説書で、競馬という華やかな世界だけでなく、知られざる馬の仕事や文化に光を当てています。競馬、馬術競技、乗馬クラブといったおなじみの分野だけでなく、使役馬(牧場や山林などで働く馬)、アニマルセラピーの馬、日本の伝統文化に関わる馬など、多岐にわたる「馬の仕事」が紹介されています。馬が「どんな場所で、どんな風に働いているか」が仕事の種類ごとに解説されており、日本の馬文化の幅広さも知ることができます。馬の種類や体の構造、馬という動物の基礎知識についても、馬の専門家が丁寧に解説しており、馬の仕事や文化を通じて、日本の馬文化の保全や発展について考えるきっかけを与えてくれる良書です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月06日

『都市に映える大リーグ野球 LAドジャーズから読み解く都市の文化史』宇佐見陽




 MLBのスーパースター大谷選手やNPBを代表する山本投手らが入団して大きな話題となっているロサンゼルス・ドジャーズを手がかりとして、大リーグにおける都市と球団との濃密な繋がりから北米球界の全体像までを描く本。

 本書は、米メジャーリーグの ロサンゼルス・ドジャーズ を起点に、「都市」と「球団」の関係性を軸として、北米プロ野球界を都市文化史の観点から読み解いた一冊。都市移転や球団拡張など、野球界の“地理的・都市的な動き”を捉えることで、スポーツを単なる競技としてではなく、都市文化の一部として捉え、球場の立地、都市再開発、自治体・スポンサーとの関係など、スポーツ施設と都市空間との絡みも扱われており、都市と野球球団という視点からスポーツ文化を立体的に読み解いた好著です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月05日

『単身リスク 「100年人生」をどう生きるか』山田昌弘




 単身で生きる時間が長くなる「人生100年時代」。国民の4割が単身世帯の日本社会に何が欠けているかを考察し、単身者でも「ゆっくりと、幸せに」長寿社会を生きられる国の制度設計と個人の思考法を提言する。

 「人生100年時代」のリスクとは何か。それは、単身で生きる時間が長くなることだ。「単身リスク」は誰もが避けられない。しかも今は「人生100年時代」に向かう過渡期である。これまでそれを覚悟して生きてきた先人はいない。前例もなければ、ロールモデルもいない。世界に先駆けて超長寿社会を迎えたのが日本なのだから。ゆえに問う。自己責任の限界を突き、リスクに寛容な社会の実現を…。

 本書は、社会学者の著者が、「人生100年時代」を迎えた現代日本において、誰にとっても他人事ではない「単身で生きるリスク」を正面から論じ、そのリスクを乗り越えるための提言を行った一冊です。単身で生きる人が直面しやすい貧困、孤立、病気などの複合的なリスクを、データをもとに具体的に可視化し、自由と多様性が広がる一方で、選択に伴うリスクも増大し、その結果をすべて個人が背負う「自己責任」の構造が進んでいることを指摘しています。単身化という社会の不可避な潮流を捉え、その構造的なリスクを個人任せにするのではなく、個人と社会の双方がどう変わるべきかを提言する、人生100年時代を生き抜くための実践的な一冊です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月04日

『食べるヘアケア 髪と心がうるおう薬膳のある暮らし』てまり




 毛髪診断士・国際中医薬膳師が、髪にいい「食事」と「暮らし」を提案。髪悩みを食から改善する方法や、おすすめ食材なども紹介。

 髪にかまう余裕がない。あつかいにくい髪質だとあきらめている。……そんな悩みを抱える方でも、今日からすぐにできることがあります。それは、髪によい「食事」と「暮らし」。本書は、薬膳・中医学の知恵などから「心身から美しい髪」を提案するヘアケア本です。闘病による脱毛をきっかけに、毛髪診断士・国際中医薬膳師などの資格を取得した著者が、髪の悩みを食から改善する方法や、体質別のおすすめ食材、髪によい習慣や考え方をやさしく解説します。

 本書は、ヘアケアを外側からではなく「食べること」、つまり食事と生活習慣の改善によって実現しようとする、薬膳・中医学の知恵に基づいた実用書で、著者が自身の闘病による脱毛をきっかけに、毛髪診断士や国際中医薬膳師の資格を取得した経験から、「心身から美しい髪」を目指す方法を提案しています。薬膳と中医学の知恵に基づき、「食べること」を通じて体全体の健康を整えることで、髪の悩みも根本から解決しようとする、心と体に優しいヘアケア指南書です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月03日

『天馬の子』高瀬乃一

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天馬の子 [ 高瀬 乃一 ]
価格:2,090円(税込、送料無料) (2026/2/3時点)




 南部藩の小さな村に生まれた少女リュウは馬の病を治す名伯楽となることを夢みて、見捨てられた仔馬に愛情を注ぐ。彼女のもとに現れた馬喰は、その仔馬がいずれ天馬になるという。出自の違いに悩みながら、選んだ人生を力強く生きる少年少女たちを描く時代小説。

 南部藩の小さな村に生まれた少女リュウ。母馬・生築の世話の傍ら、隠れ家「柳の穴」で仲間たちと過ごす彼女のもとに、ある日片腕のない馬喰(馬の目利き)が現れ、こう囁いた。「生築の仔は天下の御馬になる」。けれど天馬は天馬から生まれるのが道理。生まれにとらわれず、違う何かになることなどできるのだろうか?終わりの見えぬ飢饉、友や馬との別れ。度重なる苦難のなかで馬と人の命の重さ、儚さを目にしていくリュウは、やがて仲間たちのため、自らが大人になる道を探すため、外の世界へと駆けだしていく。

 本書は、江戸時代の東北地方の寒村を舞台にした長編時代小説で、貧しい家に生まれた少女リュウが、馬との出会いと過酷な現実を通して、自分の道を切り開いていく圧倒的な迫力を持つ成長物語です。舞台となるのは、飢饉や自然の脅威、身分による激しい格差が色濃く残る厳しい世界で、馬よりも軽い人命、子どもたちの労働実態、生まれた子を間引くといった、現代では想像しがたい壮絶な暮らしが臨場感たっぷりに描かれます。江戸時代の東北という圧倒的に過酷な環境の中で、自分の夢を信じ、馬とともに生きる道を自分の力で切り開いた少女の姿を描いた、迫力に満ちた時代小説です。

【満足度】 ★★★★
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2026年02月02日

『シン・関ヶ原』高橋陽介

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シン・関ヶ原 (講談社現代新書) [ 高橋 陽介 ]
価格:1,100円(税込、送料無料) (2026/2/2時点)




 西軍の首謀者は石田三成ではない。小早川秀秋は合戦中に裏切っていない。近年発見された一次史料が、関ヶ原の戦いの通説を覆す!

 もはや私たちは、この「関ヶ原」を拒むことはできない。「天下分け目の戦い」ではなかった。徳川家康はすでに天下人だった。石田三成は西軍の首謀者ではなかった。小早川秀秋は合戦中に裏切っていない。東西両軍は開戦前に和睦していた。両軍の合計は3万ほどだった。帝国陸軍と司馬遼太郎が創った「通説」を170通余りの書状が根本から覆す!

 本書は、本史の転換点「関ヶ原の戦い」を、最新の史料と視点で再検証した一冊。著者は、従来の「家康=勝者・正義」「三成=敗者・理想家」といった単純な構図を見直し、政治・外交・情報戦の観点から、戦いの実像を立体的に描き出します。戦場の一日だけでなく、その前後の駆け引きや諸大名の思惑、情報伝達の遅れなどにも焦点を当て、「なぜ家康が勝てたのか」「なぜ三成は孤立したのか」を現代的に分析しています。また、大河ドラマなどで描かれる「関ヶ原」との違いも明確で、歴史を“人間の選択と誤算の連続”として描いている点が特徴で、歴史ファンはもちろん、戦国の終わりがどのようにして“江戸のはじまり”へとつながったのかを知りたい人におすすめの、知的興奮に満ちた一冊です。

【満足度】 ★★★★☆
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2026年01月31日

『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』博報堂生活総合研究所




 Z世代は恋人より母親といたい?「メンター親」が社会を変える? 30年間の若者調査で家族関係の変化を探る新・若者論。

 Z世代は恋人より母親といたい!?博報堂のシンクタンクが、30年前と同じ設計で実施した「若者調査」をもとに、いま20歳前後のコアZ世代と、その親世代を比較分析。すると見えてきたのは、親世代とは大きく異なるZ世代の人間関係のあり方、とりわけ家族の密接すぎる関係性だった。定量データに加えてチャットアプリの親子会話を多数収集し、進化した親たち=「メンターペアレンツ」の実態と時代背景に迫る。

 本書は、統計データや親子間のチャット画面などの具体的な資料をもとに、現代のZ世代(主に20歳前後の若者)と親の関係性が、親世代の時代と比べていかに大きく変化し、「近すぎる」関係になっているかを考察した一冊です。今の若者を理解するには「家族との関係性」という視点が不可欠であるとし、データに基づきその密接すぎる家族関係の実態と、そこから生まれるZ世代の特性を浮き彫りにしています。

【満足度】 ★★★★
posted by babiru_22 at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする